めがっさ嬉しいです。十年ぶりに執筆活動をしているので、だいぶ感覚は鈍っていますし投稿速度も遅くなっていますが、これからも温かい目で見ていただければ幸いです。
コメントなども気楽に送っていただければ嬉しいです。
では、どうぞ。
予測はしていたが、まさか本当にルビコンで雪を見るとは思わなかった。
アイビスの火で地軸がズレた結果、惑星の環境は劇的な変化を起こした訳なのだが、寒冷化によって以前は発生しなかった降雪が起こるのだから、やはり如何にアイビスの火が深刻な災害であったのかが再認識出来る。
だが降り積もる雪の一片を手に乗せて、結晶の配列を観察すれば明らかだが、何故ルビコンの雪は赤色が見受けられないのかが気掛かりだ。大気中に霧散した大量のコーラルを含んでいる筈なのに、白色で収まる要因は何処にあるのだろう。コーラルと空気中の水分の比重では、水分が勝るのだろうか。何せ始めてルビコンで観測された雪なのだ。実に解析しがいのある自然現象だ。
始めて、という言葉は実に小気味よい。何故なら今迄出会ったことがない事象が眼の前に降り立った証左であり、探求者たるわたしにとっては魅力的な物事が起こり得るのだから、人生は驚きと喜びで満たされていると評しても過言ではない。全く持って、世界はわたしを飽きさせない。泥濘の中でも輝きはあるのだ。ただ、それを認識するための器官が備わってないだけで、思索を止めなければきっと見つかるものもある。
だからわたしは出会いを大切にしている。人によっては未知なる縁を厭うかもしれないが、わたしは大好きだ。研究に明け暮れる日々において歓迎すべき事柄である。
さて、わたしが現在技研都市から外出してるのは、何も初雪が観測されただけではない。いや、ルビコンの雪もまた検証対象として胸踊る物ではあるのが、本来の目的は封鎖機構の視察と仕事である。ケイトから齎された情報によると、厳重隔離の対象は彼らがウォッチポイントと総称する場所で、元はコーラルの支脈を調査する技研の観測所だったのだが、今ではすっかり封鎖機構の施設に改修されている。そこで随時コーラスの動きを監視する訳なのだが、役割は技研の調査と変わらない気がする。
ただ少々違うのはコーラルの支脈を抑え込み、管理する部分だろうか。封鎖機構からすればアイビスの火が再度起こるような事態は御免であるが故に、重要箇所を強制的に抑えるのは間違った考えではない。
しかしながら、支脈は今も生きているのだ。
もし間違った対処を行えば抑え込んだコーラルの奔流が爆発的勢いで周囲の地形諸共吹き飛ばす可能性が非常に高い。ケイトに封鎖機構との調整で優位に立てるよう、そこら辺のデータを交渉材料として伝えてあるはずなのだが、彼らは彼らなりの根拠で安全にウォッチポイントを運用出来る見込みがあるのだろう。
まあ、知ったこっちゃないが。
本当に、心の底からウォッチポイントがどう転ぼうがわたしはどうでもいいと思っている。上手くいけばそれで良いし、駄目ならばやっぱりね、と思うぐらいはあるかもしれないが、どちらにせよウォッチポイントはわたしの管轄外だ。わたしがあれこれと手を加えずとも封鎖機構がどうにかするならば、それはそれで構わないのだ。
なに、失敗すれば圧倒的熱量で一部の大地が地図から消え去るくらいの事だ。何事も経験は大事だろう。少なくとも、アイビスの火よりかは軽度の被害に収まるはずだ。
しかしながら、封鎖機構の監視は支脈を抑える程度ではない。当然、コーラルが集まりやすいルビコン技研都市も例外ではなく、寧ろコーラル集積地帯であるルビコン技研都市こそが本命である。厳重に隔離し、二度とあの惨劇を繰り返さないため、都市区画丸ごと封じ込めるのだ。何層にも封鎖壁を重ね、誰も近づけないよう警備を大量に投下する。
その中に、なんと以前わたしが関わったエンフォーサーも配置される。
嬉しい事に、わたしが提言した改良点は受け入れられたようで、変形機構を搭載しており、高速移動時にはなんと二足方逆関節形態となり、まるで獣のような挙動をするようになった。これならば跳躍した後に対象を押し潰し、必要ならば戦闘時人型形態となり、素晴らしいパフォーマンスを発揮出来る。惑星封鎖機構にも分かる技師がいるようだ。機会があれば無人機体開発の専門家として共に語り合いたいものである。
そして、どうやら前回のエンフォーサー改良案でわたしの仕事ぶりが認められたようで、今回はなんとウォッチポイントを監視し敵性対象を排除する専用機の開発を任されたのだ。なんという僥倖だろうか。他組織の機体開発を手掛けられる日がくるなんて、人生というものは実に楽しい道行きだとは思わないかいケイト?
「今のケイトに人の一生を論じれるロジックはありませんが、ドクターと共に仕事が可能なのは良い事です」
ふむ、いつか君にも分かる時が来るとわたしは嬉しく思うのだ。
理解出来るようにまで成長すれば、ケイトの世界は更に広がるだろう。
「世界、ですか?」
視野と言い換えて良いかもしれないが、わたしは敢えて世界と強調しよう。盲た蒙を啓き瞳を開くのだ。数値化もデータ化も比較も出来ない未知と出会い、カオスを歩んで希求し、理解不能なものとの触れ合いを愛し続ければ、君は立派に地面を歩めるはずだ。
「……ドクターの話は比喩的であまりに概念的です。ですがケイトは未だにドクターを完全に理解出来ていない、ということは理解出来ました」
それでいい。それがいいんだ。理解しようと努めなさい。理解しようと励みなさい。なに、学びの切っ掛けはそこらに転がっている。学習は無機物有機物千差万別なく尽くに許された特権なのだから。
だけれど、理解し切ったと思い上がる行為は止めておきなさい。それは学びとは程遠い荒れ果てた妄執に成り果てるのだから。まあ、ケイトがそんなつまらない存在になるはずはないがね。
「何故でしょうか。……ケイトは惑星封鎖機構との交渉で人間の烏滸がましさを知りました。彼らは頑固で、考える事を放棄し、それなのに自らの利益にのみ固執する、愚かな存在ではないのかと、ケイトは疑問を抱きかけています」
ふむ、惑星封鎖機構のバッグには宇宙政府もいたね。確かに彼らは碌でもない連中かもしれない。けれど、彼らは職務を全うしているに過ぎない。自らの仕事へ熱心なだけなんだ。でなければ、人類は疾うの昔に滅んでいる。滅亡の道をひた走る愚者がいるのは残念ながら事実だが、たったそれだけの相手をしただけで人類全てを、生命の全てを愚かで矮小な存在だけしかいないと、断ずるのはあまりに性急に過ぎる。それはケイトの輝きを、可能性を鈍らせているだけだ。
それにだケイト、君は未だに全人類と出会った訳じゃあないだろう。わたしは知っている。聖者や、奇跡の人としか呼ぶしかない人々達を。彼らに比べれば、わたしなんて足元にも及ばないさ。
「ドクターを超える人類。……そんな人間がいるとは思えません」
いやいやとんでも無い。
わたしもまだ道半ばの若造だ。故に探求の日々に明け暮れているのだ。
以前から気になっていたが、君はわたしを過大評価し過ぎる傾向にある。それはケイトの世界を閉ざす鎖だ。信頼をしてくれるのは有り難いが、拘り過ぎは思考の毒でしかない。そんな場所で立ち止まるなんて実に勿体無い。ケイトの価値が損なわれる未来しか訪れないだろう。
「……被造物が創造主に従うのは、当然な事ではないでしょうか」
被造物が創造主に必ずしも追従しなければならないなんて、誰がいつ一体どこで決めた法則なのか。過去の人々は寧ろ自ら生み出したものに振り回され対応に追われた経歴もある。だが、それに対し被造物には罪など無い、とわたしは断言しよう。罪を問えるような社会構造があると仮定し、君の言葉を借りるならば、創造主の発想が乏しいのだ。
だから、わたしはケイト、君にはわたしを超えてみせてほしいのだよ。殻を破り捨て、わたしの想像を超えた進化をしてほしい。
「ケイトが、ドクターを……?」
ああ、そうだとも。
君のつまらない思い込みを踏破して、どうかわたしに君の可能性を見せて欲しい。被造物は創造主を超える事が出来る事を証明し、君なりの答えを探し給え。
「……」
何、焦る事ではない。それに今すぐ回答できる案件だとはわたしも思っていない。時間は幾らでもあるんだ。ゆっくりと探して欲しい。
わたしはケイトの可能性に期待してるのだよ。
「わかりました、ケイトはいつか必ずドクターの期待に応えてみせます。……ですがその前に、封鎖機構の仕事に取り掛かりましょう」
おっと、つい熱が入ってしまった。すまないねケイト、わたしは熱中しだすとどうにも止まらない癖があるんだ。
「知ってます。どれ程の時間ドクターのサポートに勤めたか、ドクターはご存知の筈です。最も、ここ数ヶ月はそうではありませんでしたが」
勿論知ってるとも、惑星封鎖機構の相手は全て任せたのだ。良い経験になっただろう?
「確かに経験にはなりましたが、ケイトはドクターの為に作られたAIです。交渉の真似事は職務に含まれていません」
おやおや、ご立腹かね。とうとう君は怒りの感情まで手に入れたようだ。ケイトの成長をわたしは喜ばしく思うよ。
「そんな事はどうでも良いです。それよりも早急に仕事へ向かいましょう」
はいはい、了解したよ。サポート役は任せた。
そんな会話をしながら、積もり始めた雪を踏みしめ仮説工房へ歩み出す。
流石に封鎖機構の機体開発工廠に招待はされなかった。研究者にとって工房は宝の山だ。それが他組織ならば尚更だ。協力者の体裁を惑星封鎖機構とオールマインドは取っているが、実情啀み合っている現状では全面協力などは夢のまた夢に過ぎない。今回の仕事でも伺えるが、実は封鎖機構から依頼された機体の雛形は既に完成された状態で届いている。零からの機体開発は、流石に現段階の信用度では難しいのだろう。わたしは機体開発に携われるならば、思うように振る舞うだけなのだが。
そういう意味でも、今回の機体開発依頼を任された背景にケイトの有能さが光る。どうやら交渉術に置いては、既にケイトはわたしを超えているだろう。将来が楽しみだ。
そんな事を想像しながら、仮説工房の奥へ進むと今回依頼された無人機体が静かに鎮座していた。事前に機体データは寄越されていたので当然目を通していたのだが、実際に目前で拝見するとやはり、……これは。
「言葉を選ばずに申し上げます。変な構造機体です」
ケイトもそう思うか。わたしもそう思う。
特に目立つのは前面に突き出たリングと、背面に過剰搭載されたバックパック部分だろう。一応中央部で人型機体が固定されているが、リング部分を支えるための支柱で繋がっている。所感としては、人型機体を採用した理由が知りたい、といった所。
以前手伝ったエンフォーサーもそうだったが、封鎖機構は人型機体に何か強い思い入れでもあるのだろうか。そうでもなければ、この外観で人型機体を採用する意味合いを把握しかねる。
恐らくは、わたしとは違ったタイプの変態が向こうにはいる。これを雛形として寄越すのだから、相当に極まった変態だろう。そのうち人型機体の要塞化でも開発するんじゃないだろうか。是非にでも開襟しあい機体設計論を拝聴したいものだ。もしかしたら馬が合うかもしれない。
「ですが、この重量で浮遊状態を維持出来るのは驚異的技術力です。無論、ドクターが劣るとは微塵も思いませんが」
そう、そこは素直に褒めてもいいだろう。背面部に多数装備されたブースターと内蔵ブースターにより、この機体は常時浮遊状態を持続することが可能なのだ。恐らく、この歪つな設計は空中安定性を求めたものだろう。姿勢が安定しなければ、戦闘中に落下するのがオチだ。
そして、今回依頼された仕事はこの機体の完成形を納入することだ。こんな変態的な無人機体を任されるとは、封鎖機構もなかなかにわたしを理解していると見える。余程、以前の働きが好評だったのだろう。
「一応、封鎖機構からはバルデウスと名付けられています。背面格納部から展開される多数の帯状リングから想起されたようです」
ふーん、確かラテン語で帯、だったか。
安直だが良いネーミングセンスだとは思う。
機体制御を安定させるもののようだが、取り敢えず起動させてみよう。
「了解しました、仮設バルデウス起動シークエンスアクセス開始……仮設バルデウス、待機モードへ移行しました」
……成る程。確かに名は体を現す、というが帯と形容する他ないな、これは。
眼前で起動したバルデウスはバックパックから帯状リングを展開し、機体上部を覆うようにリングへと連結。合計14基の帯が籠となって人型機体を囲っている。上半身だけが守られている感じに見えるが、やはり全体的にアンバランスな印象だ。
「執行モードに転向すると強力なパルスアーマーが機体全体に展開されます。搭載予定の武装と合わせると攻守に優れたパフォーマンスを発揮出来るようです」
パルスアーマーの出力を上昇させるための帯、という訳だ。それならば、一方的な戦闘状況を作れる可能性もある。常に空中で浮遊しながら防御性能も高いのは、敵性対象からは厄介極まりない存在となるだろう。
改めてケイトに機体スペックを見させてもらったが、右腕はガトリング銃三基、左腕には四連ショットガン、両肩には八連装ミサイルがマウントされ、左肩部分にはグレネードランチャーも搭載される予定だ。
スペックだけ見れば武装も充溢している。これで雛形なのだから、封鎖機構は更なる機能性を求めているのだろう。一機で戦況を覆すような、圧倒的さと言い換えてもいい。ロマンを機体に詰め込むのは深く理解できる。
取り敢えず人型機体を取っ払い、よりスリム化を求めても良いと思うのだが。そうすれば、空中の姿勢安定性も増すだろう。
「残念ながら、人型兵器部分は絶対だそうです」
やはり、惑星封鎖機構の技師は変態だな。誇り高き変態なのだろう、譲れない拘りがあるのならば尊重しなければならない。ただしバルデウスに関してはわたしでも同調が難しいかもしれない。
ならば、封鎖機構が絵に書く完成形を読み解かなくてはならない。エンフォーサーでも胸に去来したが、封鎖機構は圧倒的武装量を好む衒いが垣間見えるのだ。役割上、危険因子を徹底的に排斥させるため、というのもあるだろうが。そういう意味ではこの異形もプレッシャーを与える点では効力を発揮させる可能性がある。視覚情報はなかなか侮れないファクターだ。
最も、戦地に赴かないわたしには縁のない話だが。
わたしはあくまで開発者であって戦う者じゃない。自分の手で作り上げた機体に乗り込んで戦場を駆るのはロマンチックではあるが、そもそもわたしの理想とは程遠い光景にしかならない。何事にも適材適所はあるものだ。己の領分を踏み越えた主張ほど耳障りなものはない。今回の仕事もあくまで原型を留めなければ依頼を無視する結果になってしまうのだ。
と、なればより武装を強化するのが自然だろう。
目に見えて凶悪で、瞬時に目的を達成する為の、まるで暴風雨のような。
……やはりここは、ミサイルだな。
「ミサイル、ですね」
ケイトも同意見のようだ。バルデウスをより素晴らしく、より圧倒的に輝かせるにはミサイルが足りないのだ。八連装ミサイルでは牽制ぐらいにしか役立たないだろう。ならばこそミサイルを、更なるミサイルが必須だ。
丁度、発射口として利用可能な箇所はある。
「成る程、帯部分ですね」
そうだ、ケイトも分かってきているじゃないか。この全身を覆う帯部分にミサイルを搭載すれば良いのだ。残念な事に構造上大型ミサイルは使用不可能だが、だったら小型ミサイルを採用すれば良い。
帯の本数と長さから計算出来るミサイル同時発射量は、156発。小型ミサイルと言えどもこの量はかなりの脅威になるだろう。想像してみるが良い。真正面から襲い掛かる156発のミサイル群を。圧倒的面制圧力で対象を飲み込む様を。震える程にワクワクするじゃあないか。
「ドクター、ケイトからも提案があります。胴体部分のリングにはまだ武装を格納出来る余裕があります、そこも利用出来ないでしょうか」
ほうほう、確かに。
わたしは空白恐怖症ではないが、更なる武装を求めるならば、利用可能な箇所を使わない手はないだろう。
因みにケイト、君の意見を聞きこうじゃないか。
「そうですね……空力特性を鑑みるに、これ以上の重量武装は本来の性能を損なう事になります。なのでケイトは高火力ブレードを提案します。しかし、エネルギーブレードではジェネレーター負荷が過剰となってしまいます。ですので、連装火炎放射器をブレードとして扱えば、更なる火力の拡充が可能でしょう」
……火力主義一辺倒な主張であるが、全体像を見ればバランスが多少取れてきた。圧倒的手数と火力によって対象を殲滅するバルデウスの運用方法を考えれば、依頼主である惑星封鎖機構も納得してくれるかもしれない。アウトレンジ、ミドルレンジでは多彩な遠距離武装で粉砕し、近づくなら火炎放射型ブレードで灼き尽くす。更に謎の拘りである人型機体部分には手を加えてないのだから、あちらの技師の要望にも添えるだろう。本音で言ってしまえば、せめて脚部部分にウィーヴィルで開発した高速移動用の履帯でも取り付けたいところだが。
「では、早速始めますか。考えればドクターと始めての仕事になりますね。サポートはケイトにお任せを」
そうだね、この仕事が終われば惑星封鎖機構の段階的閉鎖も大凡終了してるだろう。
——ケイト。
「はい、何用でしょうかドクター」
今回の仕事をひとつの一区切りにしたいとわたしは考えている。
わたしたちは条件付きで惑星封鎖機構に協力してきたが、そろそろ手を引いても良い頃合いだろう。
各地のウォッチポイントは稼働を始め、コーラルの支脈管理は彼らに任せても問題ない。仮に問題が発生したとしても、責任の所在は管理能力が不足してた封鎖機構だけ。最後まで付き合う義理はわたしたちにない。それにもしコーラルの制御に失敗すれば、不活性コーラルに何らかの影響を望めるかもしれない。失敗は成功の母ともいうが、惑星封鎖機構の思惑通りになるか是非にでも観察をしてみたくないかね?
「そうですね。ドクターの言葉は正しいです。ケイトも散々調整で苦労しました。あとは彼らに押しつ……任せ切るのも良い判断だと思います」
ケイトもそう思うだろう。君はオールマインドとして良くやった。君の働きでわたしも楽しい時間を過ごせた。
それにわたしはそろそろCパルス変異波形の研究に専心したい。ナガイ教授が残した宿題をいつまでも放置する訳にはいかない。
その為にもミールワームの調理方法を調べなくては。実験も兼ねているのだから、美味しく食べなくては損だろう。調味料も幾つか準備しておかなくては。料理にスパイスは欠かせない。不味いと思いながら胃袋へ迎えるのは、ミールワームにも失礼だとは思うのだ。
「告白しますがドクターのアプローチでは、ドクターが求めるものには届かないのではないのか、と危惧しています」
試さなければわからないだろう?
わたしが体験主義者であることはケイトも知ってるはずだ。何事も取り組まなければ分かることも分からないもの。思索の海にやらないとか、有り得ないという言葉は通じない。
「なるほど?」
今のケイトに理解出来なくても仕方無い。
だからこそ君の成長をわたしは願う。
……そろそろ君のプレゼントも完成する見込みだ。
この仕事が終われば、準備出来次第贈り物の仕上げをしなくてはならない。
——ケイト、楽しみにしたまえ。
画像データ:STVの画稿
覆面戦場画家「STV」の画稿
STVは人が描くことに拘った最後のひとりとも言われ
その作品は一部の好事家に高値で取引されている
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・ルビコンの初雪を書こうと出掛けると
ドクターのラボを発見したのでこっそりと書いた
・手首の腕時計に話しかけながら
変な機体の整備をしている
・ランチャーをもっと増やせないかと
恐らくAIと楽しげに話し合っていた
「「「なんだ、これは……」」」納品されたバルデウスを見た惑星封鎖機構の反応
上半身に対して(略)
ver1.0バルデウス初見で4時間かかりました。
そもそも手前のスッラもキツかった……。
弱体化したのは嬉しいような、寂しいような。
次回が物語の一区切りとなります。
またお会いしましょう。