あの子こそ 無自覚ヤンデレ製造機で チートで ヤバイ奴ホイホイの 何も知らないTS逆行少女なのさ   作:maybear

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 HAPPY Halloween!
 
 多忙が極まる。

 







Scene5 濫觴

 

 ザクッ・・・。

 

 ザク・・・。

 

 ひどく古びていて劣化したコンクリートの道に歩みを進める。

 

 階段は、ボロボロで今にも崩れそうである。

 

 キぃぃぃイっとボロボロなドアを開ければ其処には雲一つない快晴。

 

 風は少し強めに吹いている。

 

 ふぅ・・・と深呼吸をし、また歩みを進める。

 

 

 周りに高いビルはない。

 

 周りに人の気配もない。

 

 あるのは、ボロボロになった赤い二人掛けのソファーそしてその上に古びたレコードが置かれているだけである。

 

 

 

 落下防止用の鉄格子もない其処に

 

 

 僕は、足をおいた。

 

 

 足には、包帯が巻かれていた。

 

 足先を三分の一ほど出して心地の良い空気を肺いっぱいに溜め込む。

 

 深く深く息を吐いて、目を開く。

 

 そして僕は、片足を・・・・。

 

 「ねぇ君。なんでこんなところにいるのさ!」

 

 !!!

 

 びっくりして足を引っ込めてしまった。

 

 「あれー・・・?もしかして、飛び降り自殺するところだった?」

 

 「あーあー。ごめんね!邪魔だったかナ!!」

 

 「僕のせいで決意が揺らんじゃった?」

 

 「それはすまないとこをしたなぁー。」

 

 其処には、少し変わったイントネーションで喋る青緑色の髪の色をした女の子が立っていた。

 

 「ワタシは、廻柏満(ねはくみつ)!」

 

 「決意が揺らんじゃったついでになんでこんなことしたか教えてくれなイ?」

 

 「あ!デモあれだよ!飛び降りたくなったら言ってね!」

 

 「飛び降りの邪魔は、もうしない予定だよ!」

 

 「予定?」

 

 「ワタシが意図的じゃなくしてしまう場合もあるからネ!」

 

 「・・・。」

 

 「・・・?」

 

 「僕の自殺は止めようとはしないんだね。」

 

 「しないよー!だって…人の死も生も自由でしょう?」

 

 「それに僕もね・・・ってん〜ん。何でもないや。」

 

 「あーで!キミノコト話す気にはなったかい???」

 

 「あ!もしや・・・飛び降りる気にでもなったのかい???」

 

 「・・・。」

 

 少女は、無邪気に楽しそうに言うものだから僕の気が変わってしまった。

 

 「・・・・飛び降りる気分じゃなくなったから、君に話を聞いてから飛び降りてみるよ。」

 

 

 「・・・。」

 

 「「・・・。」」

 

 

 「・・・ソレはイイ!」

 

 「ぜひ聞かせてオクレ!!!」

 

 少女は、僕の顔をまじまじと見た後にこやかにそう返事した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「この怪我を負うまで…僕の世界の中心は、サッカーだったんだ。」

 

 足の包帯を撫でながら発す。

 

 「サッカーこそ僕の生まれた意味とすら思えたし、生きる糧だった。」

 

 「僕は、ここらじゃ負け知らずのサッカー少年で。」

 

 「有名なサッカークラブにスカウトされて…エースって持て囃されてっ。」

 

 「サッカーのゴールを揺らすことが一番の快感で…。」

 

 「僕を形作るとても大切なものだった…。」

 

 

 ・・・この子うまいな。

 

 少しずつの言葉の揺れ、間・・・技術を繊細に触ったら壊れてしまう硝子の様な声を作り出している。

 

 声により涙が誘発されそうになる。

 

 彼が涙を流していないのにも関わらずだ。

 

 私は、廻柏満という純粋できっぱりとした役を演じているから涙は流せない。

 

 だか、気を抜けば全部彼に持ってかれそうなほど卓越した感情移入の技術。

 

 本物の技術。

 

 絶対負けない。

 

 だって、この役は・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「怖かった。」

 

 「激痛が走った足を丸めながらコートで唸った後、気絶し、」

 

 「その次に見た景色が病院だったことが。」

 

 「それに気が付きたくなくて…下を見れなかった自分がいて。」

 

 この役を演じるのは容易かった。

 

 だって、それを私はもう知ってたから。

 

 その感情を繊細に掘り起こしてカメラの瞳に訴えればいいと知っているから。

 

 タイムトラベラーのようにゆっくり尚且つ美しく魅せるのように。

 

 嫌でも思い出す、あの時の醜い私。

 

 ああ。

 

 そうだ。

 

 あの時もどんどん肌が青白くなって、世界の色が抜けていく感覚。

 

 自分の行動やあの場所で笑う君の笑顔が全部心と体を蝕む自傷行為だったあの頃。

 

 醜い思いが体の中をぐるぐる渦巻いてあの思いは濁り腐ってしまった。

 

 そんな自分が醜くて醜くて逃げて逃げて…。

 

 「死にたくなった。」

 

 「なんで、僕は生きているのか分からなくなった。」

 

 「追い打ちをかけたのは、歩けるようになってクラブに行こうとしたときだった。」

 

 「そこはもう…僕の居場所じゃなかった。」

 

 「あそこが僕の居場所じゃなくなれば、僕の存在意義や価値は無に等しかった。」

 

 じわじわと心を揺さぶられて涙が溢れる。

 

 「君にはわからないよね…分かりたくもないよね。」

 

 「心がキュッと締め付けられて、何処も悪くないのに苦しいんだっ。」

 

 ツーっと流れた涙の雫はよりその場面を美しく彩らせる。

 

 目を擦って涙を拭き取る。

 

 目元は赤くなってハイライトがなくなった瞳を宿してポツリと言葉を零す。

 

 

 「だから死のうと思った。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元々、要領が良い餓鬼だった。

 

 本人は公言しては居ないが、その餓鬼は、天才女優、御幸紫苑の子供。

 

 父親は、胡散臭い騎士の様に立ち振る舞うあの男、杜若貂學。

 

 あの二人の親なのだからと、それなりに期待されていた。

 

 実際、本人は、本当に二人のハイブリットみたいな性格をしていた。

 

 年相応の無邪気さや少しおちゃめは母親似。

 

 その無邪気さがまるで商品臭く感じてしまうのは、父親似。

 

  このドラマの監督、劇団天羽監督、厳乃上染矢(いずのかみそめや)は、つばめのことを優等生で面白みのない・・・匂わない…

 

 親バカの押し売りだと思っていた。

 

 つばめ本人に会うまでは。

 

 初めてあったのは、自身の劇団のワークショップ。

 

 当時まだつばめは4歳の時だ。

 

 

 

 厳乃上は、劇団の監督として挨拶を済ませたあと劇団員に丸投げして、自身は傍観に徹していた。

 

 目が気に入るやつ、良い感じに臭うやつ…そんなやつがいたらこっそりスカウトしようと思っての行動だ。

 

 うん。うん。監督っぽいな。

 

 

 傍から見れば不審者であることに彼は気付いていない。

 

 

 ワークショップは自己紹介から始まり、簡単な演技ゲームを行うのが今回のプログラムである。

 

 自己紹介では皆、年相応に緊張している様子の者がいたり、ハキハキと大きな声で喋っていたり個性豊かで面白いやつがちらほらいた。

 

 でも、一人凄く匂わないやつがいた。

 

 明らかな作り物の年相応の挨拶の仕方。

 

 顔が見えずされどぼんやりとせず、好感度をただ上げるためだけに見える仕草。

 

 名前は他の劇団員が話しかけてきて対応したため、なんともタイミングが合わず聞き逃してしまった。

 

 自己紹介が終わるとプログラム通り、簡単なミニ演技ゲームなるものをする。

 

 ゲーム内容は簡単。

 

 劇団員が感情が書かれている紙を演者の方だけに見せ、演者はその感情を演じる。

 

 観衆は、その演技がどの感情なのかを当てる。

 

 よくあるゲームである。

 

 最初は劇団員が手本を見せる。

 

 幼児でもわかりやすい笑いの演技。

 

 つられて笑ってしまう子も現れる…65点だな。

 

 俺の劇団員なら全員笑わせるくらいじゃねーとな。

 

 幼児でもわかりやすくを意識したせいで少し表現が雑になってる。

 

 彼奴は、あとでしばく。

 

 チュートリアルが終わったら、手を上げた順に演者が決まる。

 

 泣き…焦り…喜び…好奇心…困惑・・・・

 

 ・・・。

 

 ある特定の感情だけがお題として上がっていない…。

 

 あ゛ぁ!

 

 今日のワークショップの司会が、弦(つる)なのを忘れていた…。

 

 弦は、見た目はまともなやつに見えるのに中身が終わっているのだ。

 

 好き嫌いが激しく猫みたい振る舞い、ドMという特殊性癖持ちなのだ。

 

 特に美人の憎しみや怒り、憎悪を受けるのが大好きでその辺の女を引っ掛けよく修羅場を作ってる。

 

 なんでそんなやつを幼い子もいるワークショップの司会にしたんだ…!!

 

 柊は!!あの上っ面だけ好青年はどうした!!!

 

 「あ!はいじゃあ次、白髮の子。」

 

 「はい。」

 

 ああ。

 

 すまねぇな。

 

 今回の哀れな犠牲者…次を出さないように祈っておくよ…。

 

 「ふんふん〜(可愛い子だねぇ〜いじめられたい〜♡♡♡)お題は、これ!」

 

 「!」

 

 「よ〜し。わかったかなぁ〜?」

 

 「それでは〜33221・・・9!」

 

 

 「あ゛ぁ゛。腹が立つ。腹が立つ。

 

 それは、明確な殺意だった。

 

 「なぜ…あの御方に迷惑をかける。

 

 「彼の人の魅力も…思いも…何も知らぬお前が。

 

 空気が凍る。

 

 えぐえぐっと涙目になる子も現れた。

 

 

 ジロリ。

 

 

 「「「!!!」」」

 

 思わず涙が引っ込む。

 

 見た。こちらを見た。

 

 観客に介入してきた!!

 

 はっ。っと息が詰まる。

 

 呼吸が出来ない…させない感覚。

 

 「あゝ゛!!妬ましい!!

 

 今度は、こちらの動きを言葉と雰囲気のみで掌握してきた!!

 

 恐ろしい!だって、奴は!!一歩も動いていない!!

 

 言葉の圧で…体で…眼力で…!

 

 誰一人、喋れなくした!!

 

 「はぁ♡はぁ♡はぁ♡」

 

 こんな状況下で喘いでいる奴がいる。

 

 弦だ・・・・!

 

 あのバカ!この状態で興奮してやがる!!!

 

 

 ギロリ。

 

 

 奴は、弦に視線を向ける。

 

 何だコイツはと意味がわからぬというような圧倒的支配者の目を向ける。

 

 はーーーーー。

 

 奴の視界から俺らは外される。

 

 ようやく、俺達は、許されたかのように呼吸が出来た。

 

 ありがとう弦。御前は生贄だ。

 

 「はぁ♡はぁ♡ああ!!こっちを見てくださった!!その瞳で!僕を!!!射止めてくださった!!」

 

 「はぁ♡はぁ♡・・・その目で!!僕を蔑んで!罵って!!」

 

 「僕を!!!」

 

 

 

 「誰が喋って良いといったのだ?

 

 

 

 ヒュッ!

 

 俺らに発せられた訳では無いのに・・・喉が締め付けられる感覚に陥る。

 

 会話ではない。

 

 脅迫に近い・・・命令であった。

 

 「・・・!!」

 

 「あァーーー♡♡」

 

 おい。こら。弦。

 

 

 

 頭を乱雑に掻き毟る。

 

 ボサボサの髪の中から菫色の瞳が怒りを宿している。

 

 「あ゛!!」

 

 「・・・・この怒りどうしてくれよかっ!

 

 ドンッ!と地面を足で押す。

 

 

 ずんずん、心なしか嬉しそうな弦の方へ向かう。

 

 ああ。まずいな。弦を物理的に黙らそうとしてやがる。

 

 頬でも叩く気か・・?

 

 弦にはご褒美にでもなりそうだが…。

 

 ・・・暴力沙汰はよしてくれ。

 

 こんなドMでもうちの立派な劇団員なんだぜ?

 

 顔は…商売道具だからな。

 

 

 パチパチパチ。

 

 

 「その感情は…怒りだろ?」

 

 俺は圧に耐え、手をたたきながら奴に問う。

 

 

 

 カチッ

 

 

 

 

 「はい。正解です。」

 

 

 

 その子は、さわやかな笑みで答えた。

 

 まるで別人。

 

 拍手をカンコの代わりにして自分と役を切り替えた。

 

 さわやかな笑みは、恐ろしいまでにこちらに安堵させる。

 

 み・つ・け・た。

 

 才能は…受け継がれていた。

 

 いや。磨けば光る…母親さえも超えてしまう天賦の才。

 

 感情に深く潜って、尚且つあの表現力!!!

 

 「なァ!御前…名前は?」

 

 「僕ですか?・・・僕の名前は、つばめ…杜若つばめです。」

 

 「つばめ。そうか。つばめか。なァ…つばめ…「あー!!」」

 

 「なんだよ…。弦。」

 

 「厳乃上サン!僕がせっかく罵られそうになったのに!なんで止めちゃうのさァ!!」

 

 「やめろ!ド変態!子供の教育に悪いことしてんじゃねぇ!」

 

 「絶好のチャンスをっっ!!!あーあー!!!なんてもったいない!」

 

 「あーあー。うるせぇ!」

 

 「うぎぎっぎぎぎぎいいいいいい!!!!!!」

 

 「うわああ!!おっおい!天!!後、頼む!」

 

 「はいはい。わかりましたよ。監督。」

 

 「あと…。」

 

 「わかってますよ。彼の勧誘でしょ。」

 

 「頼んだぞ!!!」

 

 「はい。監督。」

 

 

 

 

 これがつばめとのファーストコンタクトだった。

 

 弦のせいでクソみたいな出会いだったが。

 

 その後、あの胡散臭い騎士がニコニコしてやってきた。

 

 「うちの愛しい子を育ててみませんか?」

 

 「あ?うちに所属したいってことか?それだったら大歓迎だぜ?」

 

 「いえいえ。そういうことではありません。所属は僕の管轄事務所ですよ。」

 

 「あー?そんな食い逃げしてくつもりかよ。」

 

 「はぁぁあ・・・。これだから・・・そんな条件、僕の妻の古巣にするはずないでしょう。」

 

 「・・・。」

 「なんなのコイツ!」

 「彼は嫁狂いなんですよ。弦さん。」

 

 「そんな・・・////嫁狂いなんて・・・////恥ずかしいっ・・・///」

 

 「褒めてはないんですがね。って乙女か!」

 「天・・・ソイツのペースに乗んな。」

 

 「まあまあ。そんな茶番はおいておいて・・・。」

 

 「茶番だったのかよ!」

 「監督!!!」

 

 「僕の愛し子は、確実に才能があるでしょう?」

 

 「ああ。ありゃあ、上物だな。未指導であれだ。才能の原石じゃねえ。宝石クラスだ。」

 

 「そうでしょう。そうでしょう。なので、より一層その天賦の才を高嶺の花にしましょう。」

 

 「・・・。」

 

 「触れるのも烏滸がましいくらいの圧倒的な力にしたいと、僕は考えています。」

 

 「それを手伝えってか?」

 

 「はい。そうです。面白そうでしょう?」

 

 「・・・弦、天。ちょっと席…外してくれ。」

 

 「え!?嫌!だって僕絶対あの子に入ってほし「行きますよ。弦さん。」はァ!?ちょ‼天!!」

 

 

 

 

 「フフフ。魅力的なお誘いでしょう?」

 

 「・・ウチにメリットは。」

 

 「つばめの出演料、あれを磨き中()なしで。」

 

 「・・・。」

 

 「ああ。それか支援の方がよかったです?」

 

 「はァ。わかった。してやるよ。宝石磨き。」

 

 「ああ!よかったです。監督が利口な方で!」

 

 「何言ってやがる。断ったら脅迫だのするつもりだったくせに。」

 

 「いやだな~。先ほども申しました通り、妻の古巣にそんなひどいことするわけないでしょう?」

 

 「信頼できるか。」

 

 「ひどいなァ~。」

 

 うん。つばめの周りの人間にひどいことをされた記憶が大半を占めている…。

 

 変な奴、癖が強いやつ、キャラが濃いやつに好かれやすいのを知ったのは、預かった後の話だ。

 

 やばいやつホイホイなんだよな・・・。

 

 

 

 

 

 「はい!撮影再開します!」

 

 

 「あははは。どうして満はここにいるの?」

 

 「うふふ。どうしてだと思ゥ?」

 

 「えー??嫌なことがあったの?」

 

 先ほどの鬱の状態から子供みたいに年相応にはしゃいでいる。

 

 「きゃっきゃ。」

 

 美しい演技…。しかし。

 

 「カットだ。止めろ。」

 

 

 「はい。カットオオオオオ!!!!!!!!」

 

 

 「つばめ。」

 

 「はい。なんでしょう。厳乃上さん。」

 

 「喰い過ぎだ。」

 

 「ありゃ?バランス悪くなってました?」

 

 「主人公を空気にしてどうする。」

 

 「はい。調整します。」

 

 「ああ。だが、自分を下げるな。相手を感化して、自分の領域までひっぱれ。」

 

 「無茶言いますね。」

 

 「出来るから言ってんだろ。あれは、多分見た目重視だ。」

 

 「後は話題性ですかね。あのレベルの童顔は、中々お目にかかれませんから。」

 

 「・・・珍しいですね。厳乃上さんがそれを許可するなんて。」

 

 「あれの事務所の奴に恩を売っててな。」

 

 「なるほど。大人の事情だ。」

 

 「そーだよ。生意気ガキつばめ。」

 

 「生意気なんです?僕?」

 

 「そういうとこだよ。ほら。さっさと始めんぞ。俺にフォローさせるな。」

 

 「それ職務放棄ですよ。」

 

 「・・・。」

 

 

 

 「大丈夫?つばめくん?なんか言われたの?」

 

 「あー。演技指導を受けただけですよ。」

 

 「え!?大丈夫!」

 

 「大丈夫です。ただの職務放棄からの小言ですから。」

 

 おい。つばめ聞こえてんぞ。

 

 「???そっかー!」

 

 ・・・クソ容姿だけ女優が。

 

 これが主役とは…と嘆きたいところだが、つばめと共演させたんだ。

 

 一回で演技の質を向上させる。

 

 今回の主演女優は、中の中。高校の演劇部レベルだ。

 

 演じてはいるのだろうが、何か違和感を感じている。

 

 観客側に私今演じてまーす!と投げかけるような演技力しか持ってねぇ。

 

 今までは、カメラワークでなんとか加工されてた、模造品の演技だ。

 

 そこに、本物をぶち当てる。

 

 彼奴は、主役として輝かせることも、輝くこともできる。

 

 母とはまた違う、特殊な俯瞰の目を持ち、違った演技法を持つ。

 

 つばめのやり方で。

 

 「本物を見せてやれ。つばめ。」

 

 カンっと音が鳴る。

 

 相手を触発させろ。

 

 

 

 

 

 

 「はい。カット!」

 

 監督に無茶言われつつもなんとか仕上げたドラマ一本。

 

 深夜に近い放送だからだろうか。

 

 大きなお友達が好きそうな見た目のおねーさんが主演のネット発物語。

 

 おねーさんの演技はよく言えば、発展途上。悪く言えば…素人。

 

 多分見た目贔屓で選ばれた”絶賛売り出し中”の女優さん。

 

 元グラドルさんってプロフィールに書いてあったし。

 

 菊姉ちゃんや桜姉ちゃん、藤姉ちゃんが成功者であるならば彼女はどちらかというと苦労人なんだろう。

 

 一緒に演じてみて“努力はしてきた”という姿勢は見えた。

 

 だが、

 

 努力が実らない、実績に直結しないなんてこの世界(芸能界)には何万とある話だ。

 

 ある種、世界(芸能界)は、実力勝負ではない。

 

 運やコネ、大人の事情…etc.自分の実力相応の仕事が必ずしも来るとは限らない。

 

 そしてこの話、普通なら僕の元には来ない依頼。

 

 一応、これでも僕は、僕の演技の師匠、厳乃上監督の秘蔵っ子、お父さんの事務所の推し子役という肩書がある。

 

 身の丈にあっていない、実力相応だとは全く思わないけどね。

 

 だけど、この話がきたのは明らかに厳乃上監督が関わっている。

 

 案の定悪びれもせず、職務放棄監督は大人の事情だと言い切った。

 

 だからなんだろうなァ~お父さんのいやそ~な顔が思い浮かぶ。

 

 一話のスペシャルゲストという枠だが、深夜枠に使われるのは…お父さんとしては嫌なのだろう。

 

 仕事を選んで僕の希少価値を上げようとしてること。

 

 後は、自分の子がそんな風に使われるのは我慢ならないことかな。

 

 僕は、若手の方だしそういうので経験を積んでいくのだろうけれど、お父さんは、僕に才能がある!

 

 そこら辺の顔だけと一緒にすんな!ボケ!!って思ってるだろうからな…。

 

 今度、手料理か、お母さんセラピーを浴びさせよう。そうしよう。

 

 まァ。僕はサッカーしたいから扱いとかどうでもいいのだけどね。

 

 撮影が一話終わり、皆が打ち上げの雰囲気の中寄ってきたのは、主演のおねーさん。

 

 「つばめくん!お疲れ様!」

 

 「お疲れ様です。」

 

 「あははっ!つばめ君はクールだね!大人びてる!!」

 

 「あははは。」

 

 「今回はありがとう。私のフォローいっぱいしてくれたよね。年下なのに。」

 

 「いえいえ。そんなことないですよ。」

 

 !

 

 気が付いてたのか。

 

 「いいの。いいの。そんな社交辞令。私に演技の才能がないのはわかってたし。迷惑またかけちゃうなあ~って思ってたから。」

 

 「はあ。じゃあなんで…。」

 

 「なんで続けるんですかって?」

 

 「はい。」

 

 

 「憧れてた人がいたの。」

 

 

 「御幸紫苑さんっていう人なんだけどね?」

 

 お母さんだ…。

 

 「5,6歳くらいかな…初めて彼女の演技を見て魅了されちゃって。」

 

 ああ…お母さんに憧れる人が良く言うセリフだ…。

 

 「彼女の演技一つ一つに心動かされて。」

 

 「思っちゃったんです。」

 

 「彼女みたいになりたいなって。」

 

 「烏滸がましいにもほどがあるし、なれるなんて一ミリも思ってなかったです。」

 

 「実際、現実はそうでした。」

 

 「演技の仕事がしたくても来る仕事は、全部ちょっぴりえっちな仕事だし。」

 

 「ようやく来たと思ったら、ロリだし・・・。」

 

 「こんなしゃべって大丈夫ですか?」

 

 「ああ。いいんです。この仕事でこの世界(芸能界)をやめようと思ってたから。」

 

 「いい男でも捕まえて、玉の輿にでも乗ってやろうって思ってるの!」

 

 「・・・強い人ですね。」

 

 「ありがとう。なんかたくさんしゃべっちゃいましたね!ごめんなさい!」

 

 「つばめ君大人びててしっかりしてるから・・・!!」

 

 「いえいえ。」

 

 「あ。じゃあ・・・。」

 

 

 「最後に一つだけ言わせてください。」

 

  

 「?」

 

 「最後のワンシーンの演技…一等綺麗でしたよ。」

 

 「!」

 

 「あっつ・・・あ゛り゛がと゛う゛!!!」

 

 「ごめんね。こんな情けないお姉さんで…君は憧れの人とよく似てるから…たくさんしゃべっちゃったのかも!」

 

 涙をぬぐいながら立ち去っていくお姉さん。

 

 そして、そこに忍び寄る…職務放棄のおっさん。

 

 「おい。つばめ。なにいい感じに終わらしてんだ。」

 

 「監督・・・。」

 

 「お前の演技…70点だったからな。今度あんな演技したら弦と二人っきりにする。」

 

 「監督…。」

 

 いい感じだったのに…。

 

 「あ?なんだ?文句でもあるのかァ?」

 

 「治安わりいーな。」

 

 「はっつ。ようやく素かよ。猫かぶり。」

 

 「僕に恨みなんてあるんです?」

 

 「あーあるさ。たっぷりな。お前の父に。」

 

 「その子供にぶつけないでもらえます?」

 

 「うるっせ。」

 

 「で?なんのようなんですか?明後日も仕事なんですけど!」

 

 「ああ。でも、この後暇だろ?」

 

 「・・・。」

 

 この人…打ち上げさぼる気だな?

 

 「一応ですよ?一応聞きます。監督…。打ち上げは?」

 

 「あ゛?あんなん行く意味ねぇ。」

 

 「監督…イラついてんなァ…。」

 

 監督…イラついてんなァ・・・。

 

 「心の声が出てるぞ。つばめ。」

 

 「ぺへぺろー。」

 

 「棒読みで言うなや。」

 

 「すんませんー。」

 

 「おっまぇ…。まあいい。この後の時間寄越せ。モノローグで詰めて100点の演技にするぞ。」

 

 「えー。それしたらバランス取れます?僕のゴリ押しになりません?」

 

 「舐めんな。そこは、俺の手腕だろ?」

 

 「全力でぶちかませ。」

 

 「いぇっさー。」

 

 その後、ドラマは話題となり成功という形で終わった。

 

 お父さんは70点って言ってた。

 

 仲いいのかな?あの二人。

 

 あ。僕の演技は、100点満点!って言ってた。

 

 僕のこと大好きよね。

 

 そして、その話題に便乗して僕の肩書はニッチな人(監督、ファン含め)が知ってる子役からけっこう有名な子役になった。

 

 うぇーい。

 

 仕事がたくさん来たみたいだけど相も変わらずえり好みしてる。

 

 おとうさんがキイキイと選別してた。

 

 おとうさんが楽しそうで何よりです。

 

 一日休暇のつもりが、午前中は職務怠惰と打ち合わせで消え、午後は、モノローグ撮影で消えた。

 

 やっと解放され地元に幼い養分(潔ととこちゃん)を摂取しに行って、すぐ明日の撮影に向けて近くのホテルに向かう。

 

 あれ・・・?ぼくなんさい???

 

 労働基準法にぎりぎり引っかからないところでこき使われてます‥。

 

 打ち合わせは、稽古の延長上。

 

 なので、実質金銭が発生しているのはアフレコ中のみ。

 

 あーあ、前世で友達が言ってたあれの気分。

 

 バイトで着替えの時間も時給が発生してほしい。

 

 その気分ですわ…いや…。もらえる額は桁が二個ぐらい違うんですけどね。

 

 ああ~キャラブレが…。

 

 はよねよ。

 

 

 

 翌日。

 

 おはざます。

 

 やっぱり枕変わるとあんまり寝れない…。

 

 今度からお家の枕持参ですかね~。

 

 ふぁ~あ。

 

 いつも通りセバスチャンに送迎をお願いして現場入り。

 

 カチッと切り替える。

 

 「おはようございます。よろしくお願いします。」

 

 今日は、MV撮影。

 

 どんな曲の担当になったかというと…アニソンである。

 

 もう一回言おう。

 

 アニソンだっ!!!

 

 原作は「蒼刃」

 

 話を簡単に要約すると・・・

 

 幼少期に家族を惨殺された主人公は、“()()()()()”によって不老不死の異常状態になってしまう。

 

 目を閉じれば家族からの怨念に蝕まれていく。

 

 そんな異常状態になってしまった主人公は、その呪いから逃れるため復讐を誓い戦いに身を捧げた。

 

 戦っている時だけは、異常じゃない。

 

 狂うように戦う主人公。

 

 ただただ自分の為だけに敵を殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して。

 

 どうなるか作者すら未明の作品。

 

 この説明だとホラーだと思われがちだが、全年齢コメディー作品なのだ。

 

 めちゃくちゃカッコイイ狂気的な戦闘シーンとおちゃらけ回とのギャップでグッピーを殺しまくるスタイル。

 

 ヲタク殺しの神作品!!!

 

 その作品のアニメOP曲のMVを担当できるなんてっつ!!!

 

 頑張って昨日アフレコしたかいがあるってもんよ!!!

 

 そして、僕はMVで主人公を演じる。

 

 木刀をぶんぶんカッコよく音楽に合わせて振り回す。

 

 昨日もらった資料をしっかり読み込んできて、アーティストさん、監督、豪華なことに原作者様もいらっしゃる打ち合わせを行う。

 

 「ここの部分なんですけど・・・。」

 

 「あーそれは・・・。」

 

 「この歌詞の意味って…。」

 

 「それはですね‥‥。」

 

 「御子君(主人公)のここのセリフが引用してるんですけど…。」

 

 「ここの動きは・・・。」

 

 朝九時からお昼手前までしっかり打ち合わせを行う。

 

 お昼休憩を挟んで会議室から撮影スタジオへ移動。

 

 衣装に着替えたら早速撮影開始。

 

 今回の衣装は頭から爪の先までトータル着替え。

 

 頭は、御子くんの髪色と髪型にセットしてあるウィッグを装着。

 

 服装は、作品の時代背景にあった原作通りの服。

 

 瞳は、やや青みを帯びた鮮やかな深紅色である猩々緋色のカラコン。

 

 爪は、手も足も黒色のマニキュアに色付けられている。

 

 靴は、痛くないようにちゃんと加工されている藁の草履。

 

 鏡を見ると見開きカラーで見たまんまの御子君が出来上がる。

 

 さすがに仕事なので表面上スンっとしているが、僕のテンションは爆上がりである。

 

 ここまでしてもらったならば最高の演技をしなくては!!!

 

 

 

 

 

 

 「それでは、撮影開始させていただきます!」

 

 今回のアニメ化について俺は最初難色を示した。

 

 「まず、つばめさんの大立ち回りのシーンから!」

 

 自身が手掛けたものが動く出すのはとてもうれしい。だが、

 

 「つばめさん、立ち位置にお願いします!」

 

 同業者から聞くアニメーション化への落胆は、どうしても目を背けることはできない。

 

 「はい。」

 

 期待はするなという周りの声を聴くたびに、自身の作品を汚されるのではないか。

 

 「よろしくお願いいたします。」

 

 

 ならば自分で目を通して決めてしまえ。

 

 

 それが俺の結論だった。

 

 そう決めてから。担当はとても慌てた。

 

 そんなのできっこないと。連載もしているんだと。

 

 なら休載する。

 

 それくらい自分の意志は固かったし、譲る気はサラサラなかった。

 

 アニメの話の構成、担当アーティストから歌、そのMV、BGM、声優まで。

 

 一から十まで必ず目を通し、アニメにするからという妥協は一切許さなかった。

 

 忙しかった初期に比べ、段取りが大方決まってきた今、MVの撮影が決まった。

 

 アーティストからの打ち合わせでは主人公がアクションをするという構成になっていた。

 

 それは、大変良いと思って了承したが、いざ企画書を見ると実写で行うと書いてあった。

 

 俺の作品の主人公は、小学校低学年の年頃の男の子だ。

 

 幼い子があのような荒れ狂った演技とアクションができるのか。

 

 子供だからと妥協した腑抜けた演技にならないか苦言を呈した。

 

 それでも、アーティスト側の意志は固く、大丈夫な役者を連れてくると言ってきかない。

 

 推測だが、俺からいちゃもんが多いから反抗したくなったのだろう。

 

 作詞の時の二の舞のように泥沼化した打ち合わせが続く。

 

 そんなところにある胡散臭い男が現れた。

 

 紳士の皮のみを被ったようないけ好かない男だ。

 

 「解決策(イイハナシ)を持ってきました。」

 

 ニンマリ、三日月のように口を歪め、この泥沼に終止符を打つ。

 

 「うちの素晴らしい役者を特別に紹介いたしましょう。」

 

 まるで悪魔の契約のようにキケンで…でも、そのキケンの裏腹に魅力を感じてしまう。

 

 それが男の言い方なのか、それとも人生経験からの勘が言っているのか。

 

 「どうです?良い解決策(イイハナシ)でしょう?」

 

 「・・・。」

 

 信用がない。

 

 「何故俺にそんな話を持ち掛ける?役者を貸すだなんて。」

 

 「貸す?」

 

 「今、そうおっしゃいました?」

 

 「ああ。紹介するってコトは、役者を貸し出すも同義だろう。」

 

 「・・。」

 

 「どうした?黙りこくって…。」

 

 「‥‥潰してやろうか?」

 

 

 「!!!」

 

 

 「あの子をモノのように扱うなど・・・。」

 

 「赦されざる非道ですね。ええ。」

 

 「ああ。この話はなかったことに…。」

 

 

 

 「演技の神様…。」

 

 

 

 アーティストの一人が神の名を発するような声で告げる。

 

 「もしかして紹介してもらえる演者って、あの天才役者…つばめ様ですか?」

 

 「御影の寵愛を受ける、真なる若き天才児“つばめ”。」

 

 「仕事は、ある御方の紹介でしか出演させることができない…。」

 

 「その演者様は、お方なのですか?」

 

 

 「御影の寵愛がむかつく点ですが…そうですね。あってますよ。」

 

 「でも、あの子をモノ扱いした・・・その罪は重い。」

 

 

 「すみませんっつ!!!土下座します!!!」

 

 「おっつおい。どうしたんだよ!高岡!」

 

 「ばっか!てめぇらも頭下げろ!!!」

 

 「はァ?」

 

 「アンタもだよ!原作者っつ!!」

 

 

 「おやおや。いきなり慌て始めましたねぇ~」

 

 クスクス・・・アーティストの一人、高岡が慌てだし、悪魔は嗤いだした。

 

 まるで愚かな人間たちと天界から見下す天使や悪魔などの‥人外のように。

 

 「まあ、いきなり現れて紹介してやるなんて上からな話でしたね。その貴方の即座に取った態度に免じて許しましょう。」

 

 「!!」

 

 「あっありがとうございます!」

 

 以外だった。

 

 交渉ができない人外だと思ったが…なんとあちらから交渉してきた。

 

 「とっておきを見せて差し上げましょう。」

 

 「「とっとっておき…。」」

 

 「フフフ。」

 

 それは、ある映画のワンシーンの切り抜きだった。

 

 

 

 『君が太陽なら、僕はステラだ。』

 

 『君という太陽がいるから、僕はキラキラと輝けるんだよ。』

 

 目を奪われた。

 

 

 『ねぇ…ジョペルネぇ…きれいだねぇ…。』

 

 『一つ一つの光が集まっていて…まるで海のようだねぇ…。』

 

 美しく輝く瞳から、その小さな身体から、溢れんばかりの純粋さを。

 

 解き放ち、見る者の目を心を掴んで離さない。

 

 

 

 暗転

 

 

 

 『あはっははははははは!!!ジョペルネぇ…起きてよお。』

 

 『太陽がいなきゃステラは輝けないんだよ…。』

 

 狂愛。

 

 太陽(ジョペルネ)の死体に高笑いしたというのに無様に縋る。

 

 顔も声も容姿も一緒だと()()しているのに、こんなにも違う。

 

 

 これが役者。

 

 真なる若き天才役者、つばめなのか。

 

 

 「どうです?素晴らしいでしょう?」

 

 「ああ。これはもう・・・言葉にできない。」

 

 「この言葉は、こちらから言わせてくれ。この子を・・・

 

 

 

 シャキーン!

 

 はアはあはあはあ・・・。

 

 斬首音と呼吸だけがスタジオを支配している。

 

 衣装を着ただけでは、面の良い少年だった。

 

 カンコがなった途端、あの少年はどこへ行ったのやら。

 

 瞳、顔つき、頭の先からつま先の爪先まで俺が…俺が歩みをともに進めてきた少年がいる。

 

 今まで頭から…紙の中から出てこなかったあの、少年が。

 

 目の前に!!!

 

 

 

 その時間は、約15分。

 

 100×100のフィールドを無音の中、戦い続けた。

 

 そして、ラストは瞳孔がん開きで第三者と目が合わせた状態で終わったという。

 

 深淵を覗くものは、深淵もまたこちらを覗いている…そう体現しているようだった。

 

 

 

 「カット!!!」

 

 

 

 そして、恐ろしいのはカットの声が聞こえるまで彼はそこに立っていたのだ。

 

 まるで、仮面ライダーの変身が解けたように。

 

 御子(主人公)から杜若つばめ(演者)へ体を纏う何かが変えたのだ。

 

 

 「お疲れ様でした!ここで原作者様からの言葉で締めたいと思います!」

 

 

 「15分お疲れさまでした。とてもかっこいい御子を、御子本人を演じてくださって最高の感謝を示します。」

 

 「・・・。」

 

 「・・・なんでしょう…こう、作品を作ってきて…このような完成度で作品を作ってくださって…あー。言葉がいい表現が思いつかないくらいとても素晴らしいものになったのは確かです…。ええ。なんというか…。」

 

 90度のお辞儀をして今俺にできるすべてを。

 

 「ありがとう。」

 

 「俺の作品を。」

 

 

 「こちらこそ。」

 

 目を合わせ、微笑み合う。

 

 

 

 

 この後、作品は作者のこだわりをふんだんにつかった素晴らしいアニメになった。

 

 一つの解釈不一致も許さない作品となり、アニメ史に残る最高の作品となった。

 

 勿論。僕はリアタイ視聴した。

 

 なんとそこでびっくり、MVだけ使うはずの僕の映像がEDに差し替わっていたのだ。

 

 嬉しすぎてとこちゃんと大興奮したよね…。

 

 はわわわ。

 

 一生懸命詰めてお仕事したので、お休み中の課題を一時間ですべて終わらせた。

 

 明日からは、普通に学校である。

 

 

 

 こんな感じで、学校をほとんど行かないで仕事をして名声を上げつつ、とこちゃんとオタクライフを楽しみ、潔とはクラブでサッカーに勤しんで、休日どちらかは鎌倉へ行き、糸師兄弟とサッカー漬けの日々を送り・・・

 

 転生してから12年。精神年齢3ピー歳。

 

 この無性という生を受けてから初めて別れというものを体験する。

 

 「これから、俺はスペインに行く。」

 

 そう。糸師兄弟の長男、冴が海外に行くようなのだ。

 

 それも長期。

 

 「へーそか。」

 

 「サッカー留学というやつだ。」

 

 「わー冴。さらにサッカー馬鹿になりに行くの?」

 

 「うるせえ。国内じゃ、俺の相手できる奴なんていねぇ。」

 

 「ん?冴さん?あーた、僕に勝てたことないよね?」

 

 「…つばめくらいしか。」

 

 「ん~そうだねぇ~物事は正確に言おうねぇ~。」

 

 「でも、練習相手がひとりだといつまでもつばめに勝てない。それにつばめにも勝てないそんな奴が世界一のストライカーになれるバズもない。」

 

 「…。」

 

 「だから、俺はスペインに行く。」

 

 「・・・僕を倒すために?」

 

 「ああ。つばめを倒して・・・俺が世界一になるために。」

 

 「ふ~ん。そうなんだ…へぇ?」

 

 「なんだ。何を笑ってんだ。」

 

 「ふふふ。だって…冴は僕のこと大好きなんだなァって。」

 

 「なっ!」

 

 「んふふふ。あははは!」

 

 「ふんっ。」

 

  

 

 「あはは!はーあ。わかったよ。冴。いつか僕を倒しに来てね。」

 

 

  

 「ああ。すぐにでも。高みの見物してるつばめを引きずり落としてやる。」

 

 「うん。待ってるよ。」

 

 

 

 

 「じゃあね。冴。あっちでも元気でね。」

 

 「ああ。母さん。」

 

 「健康には気を付けろ。」

 

 「うん。父さん。」

 

 「じゃあ。行ってくる。」

 

 

 「つばめ。凛。行ってきます。世界一のストライカーになるために。」

 

 

 搭乗口の方に体を向けたその時、急に振り返って腰に手を回し、僕の体を腕で引き寄せる。

 

 

 「じゃあな。つばめ。いつかつばめを完膚なきまでに潰すから…首を洗って待っとけ。」

 

 「ふふっ・・・ああ。楽しみに待ってるよ。」

 

 「・・・その顔禁止。」

 

 「は?どんな顔?」

 

 「凛。」

 

 「無視か。」

 

 「お兄ちゃん!」

 

 「「・・・コクッ。」」

 

 「いや。何も言わんのかい!」

 

 「言いたいことは昨日言ったからな。」

 

 「兄ちゃんに言われなくてもわかってる。」

 

 「な。」「ねー。」

 

 「じゃあな。」

 

 「「いってらしゃい。」」

 

 納得できない終わり方だが、こうして冴は旅立っていった。

 

 来年からは中学生。

 

 この時、僕が気付かぬ間に■■■■の歯車は進んでいた。

 

 

 「兄さん。これは、面白い企画ですねぇ。」

 

 「兄さん言うな。ヤメロ。気持ち悪い。」

 

 「ひどいなぁ〜じゃあ…あの子に倣って"リコくん”なんて呼べばいいんです?」

 

 「もっと気持ち悪い。ヤメロ。タヒね。」

 

 「しくしく…ひどいぃ……まあ、僕の妻!のお願いですから!そんな事言われてもお手伝いしますとも!」

 

 「チッ…まあ、いい。俺はお前を利用するだけだ。」

 

 「ええ。僕もです。Win-Winの関係で行きましょう?」

 

 「…腹立つ。」

 

 「えぇ…ひどい。ああ、そういえば…お金の面は気にせずに。僕個人からと御影からも出せます。」

 

 「御影からもか。良く出たなこんなイカれたプロジェクトに。」

 

 「まぁ…周りの幹部方は嫌がって居ましたが…僕の"勘”といえば社長がニコニコで了承されましたよ。」

 

 「猫かぶりめ。」

 

 「いやいや。御影先輩…社長には、僕塩対応なんです。でも、お気に入りなんで。」

 「それに…男の趣味はないんですが、宝物って呼ばれてるんです。先輩…秀才の皮を被った変態だから…。」

 

 「類は友を呼ぶだな。」

 

 「ヤメロください。アレと一緒にしないで。」

 

 「話がズレた。戻すぞ。」

 

 「はい。」

 

 「このプロジェクト、■■■■は5年後を目指している。」

 

 「その間の細かい計画は…まぁ、僕がやりましょう。やる気のある新卒が入ったら任せてもいいかもです。」

 

 「サッカー連合協会の承認は?」

 

 「それこそ、資金を出せばこっちのものだと思いますよ。」

 

 「銭ゲバが。」

 

 「都合が良いじゃないですか。バッシングがきてもまあ鎮火は楽勝でしょうし、妨害は僕の名前を出せばいけますよ。あの業界なら。」

 

 「はっ表舞台に出ないのにか?」

 

 「だからですよ。御影のお気に入りの飾りはとっても優秀なんです。」

 

 「・・・細かいことは任せる。」

 

 「はい。兄さんは選考内容を考えるのに集中してください。過激でも大丈夫。僕の勘が言ってます。」

 

 「良く頼りになる"勘”だな。」

 

 「ま。伊達に神社の息子でないので。」

 

 「さあ。念入りに準備をするぞ。この日本サッカーに革命的なストライカーを誕生させるために。」

 

 「ええ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 @人生転換コマンド@

 

 ▶芸能界での第二の刃を磨き中。

 

 ▶とある計画が開始されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 脳内操作が行われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 @しばらくお待ち下さい@

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はつねみく
 めも:ドラマ、MV出演
    糸師冴のお見送り 
    最後、ブルロ開始企画的なことを話す。BLは■で伏せ字にする。 

 サッカーしてない・・。

 サブキャラ説明

 弦(つる)さん:劇団員。好き嫌いが激しく気分屋。猫みたいな性格。かつ、ドMなので手が付けられない問題児。

 柊(ひいらぎ)さん:登場はしなかった見た目のみ好青年。ヤニカス、パチンカス、アル中…修羅場製造機№2と名高いただのクズ。
           しかし、演技力は一品なので厄介。

 天(あま)ちゃん:劇団天羽登場団員唯一のまとも枠。新人なのに幹事をやらせれたことがある。

 名もなきロリ容姿女優:演技の本質を理解しているが、再現の領域には達しない残念女優。厳乃上さんの目にはつまらなく映るそう。つばめから見ると感性豊かな人。

 高岡さん:バンドのボーカル担当。穏やかな見た目の裏腹にデスボが凄い。MCの才能があり、トーク担当。しかし、トーク以外はすっごく物静か。釈迦。

 お久しぶりです。(一年ぶりほど…?
 ブルーロックのアニメが始まりました!
 色々賛否両論ありますが…楽しく見てます!
 皆様はどう思いますか???コメント貰えて喋れると楽しかったり…。

 それではまた!
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