我は天使であり詩人である 作:草加スマイル
この街、国? では大昔モンスターが大暴れしていた時期があるらしい。その時の人たちはだいぶ参っていたらしく、日々ネズミのように怯えながら暮らしていた。
なんとか力を合わせてモンスターの軍勢を押し返していたところへ神様たちが降臨。昔の人たちに力を与えてモンスターを殲滅する助けをしたとのこと。
何でこんなどーでも良さそうな昔話をしたのかと言うと、僕もその神様からの力をもらっている。誰からというと当然ヘスティア様。
「あの……優しく、してくださいね」
「ち、ちょっと。そんな艶っぽく言わないでくれよ。変な雰囲気になっちゃうじゃないか……」
今僕は上裸でベッドの上に座っている。一緒にヘスティア様もいる。しかし残念なことにこれから僕がヘスティア様をファックするわけでもヘスティア様にファックされるわけでもない。ベッドの上にうつ伏せで横になる。
「ん?」
ヘスティア様が何かに気づいたような声を出して俺の背中をつーっとくすぐった。
「あうっ」
「だ、だから、その声はやめてくれって。それはそうと、ちゃんとシャワーは浴びてきたのかい? 」
言いながらヘスティア様は僕の背中をなぞった指を見せてきた。
そこには、べっとりと灰が付着していた。
「モンスターの遺灰だろう? ついているよ」
「あー、あー、あー……ちゃんと、帰りに身体洗ってきたんですけどね」
「うーん、そうかい? 服にでもついていたのかな? ちょっと待ってておくれ。今拭いてあげるからね」
「え、そんな、ヘスティア様にそんなことさせるわけには……」
「いいからいいから」
うーん……この灰は、まあ僕の垢みたいな物だからあんまり触らせたくないんだよね。汚いし。
ヘスティア様は濡れタオルを持ってきて僕の背中を丁寧に拭いてくれた。うーん、気がひける。でも幸せを感じる。ずっとこのまま時間が止まってくれればいいのにね。
「よし、綺麗になったよ! じゃあ、ステイタスの更新だ!」
「うううっ」
ヘスティア様は僕の背中に熱い液体を塗る。やはりくすぐったい。ピカーッ! なんか光ったと思うと、次にヘスティア様は一枚の紙を背中にペタッと貼り付けて剥がした。
「さあどうぞ」
そしてその紙を渡してくる。それにはこう書いてある。
【鎌堂マサシ】
【Lv.1】
力 :3→4
耐久:0
器用:2→3
敏捷:5→15
魔力:0
《魔法》
【】【】
《スキル》
【】
これが神様の恩恵であるステイタス表。基本的に全員オール0から始まって鍛えた項目が普通より早く成長する。
数字がしょぼいって? 仕方ないじゃん。自分で言うのもあれだけど僕強いよ? もうはじまりの街近辺のスライムじゃレベル上がらないんだよ。ダンジョンでスライムに会ったことはないけどさ。
「疑うわけじゃないけど、君もちゃんとモンスターと戦っているんだよね?」
「勿論ですとも。クラネル君に聞いてもいいですよ?」
「あ、いや、ごめんね。何でこんなにステイタスの伸びが悪いんだろ……まあ僕も君たちが初めての眷属だから、他がどう言う感じなのかは知らないんだけどさ」
「ヘスティア様の……初めて……」
「コラ! セクハラはダメだぞ!」
ヘスティア様は頬を膨らませながら僕の両頬を摘んで引っ張る。
「ごへんなはい」
「学級文庫って言え!」
「がっきゅううん……ヘフヒハはわほひもねはじゃないへふは」
ヘスティア様の工芸品のような手首を恐る恐る掴んで離させる。ああ、すべすべだ。ずっと握っていたい、というかこのまま流れで押し倒したい。でも離す。ヘスティア様はケラケラと笑う。可愛い。
「これに懲りたら反省するんだね! まあ、ちょっと知り合いの神にも聞いてみるよ。愛する我が子が伸び悩んでいるのは、解決してあげたいからね」
「ありがとうございます」
ただ単に敵が弱すぎるから、なんて、正直に言えたらなぁ。
女神様/貴女に心を/晒したい(鎌堂マサシ)
たまには詩人らしく俳句の一つも作らないとね。