忍なれども遊べや遊べ   作:全智一皆

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青春とは斯くも…なんだろう?

 

 

■  ■

 半蔵学園は生徒が沢山居るよ! あと何人か忍びが居るよ! 説明終わり!

 

「説明が短いよ!? もっと説明出来る事あるでしょ!?」

「いや良いだろ、別に。半蔵学園について説明しだしたら、それこそ時間が勿体無い」

 

 初めましての方は初めまして。というか初めましてでしかないか。

 吾輩は猿山と申す者。名前はないのかって? この世界観の都合上、俺に名前はありません。あるのは猿山という名字だけです、はい。

 このバカみたいにデカい学校―――半蔵学園に所属する生徒の一人であり、ごく普通な一般人である。

 ちなみに、俺の隣でツッコミを入れてくれたのは飛鳥という名の少女である。

 なんて言えばいいかな。結構小さい時から近所の付き合いで仲良くしてる……腐れ縁?

 

「幼馴染みって言おうよ、そこは! 腐れ縁ってあまり良い意味の言葉じゃないよ!」

「幼馴染み、ねぇ…半ばお前とお前の爺さんが強引に関わってきたから続いている様な関係が、果たして幼馴染みというラブコメあるあるの素晴らしい関係性と言えるのだろうか…猿山は訝しんだ」

「だって猿くん、いつも独りだったじゃん。自分から独りになってる癖して、つまらなそうな顔するし」

「カッコつけたいお年頃ってのがあるのよ、男には。はー、やっぱ飛鳥ちゃんには分からんのですよねぇ、そういうのが」

「えい」

「痛って!? お前、結構力入れてつつきやがったな!?」

 

 おのれ飛鳥め…未来ある青年の横腹を指銃の如き勢いでつつきやがって。

 お、いいんか? お前がそんな事をするなら俺もやり返すぞ、いいんか?

 

「いいよ? 猿くんにそんな度胸がないの知ってるから」

「お前って本当に口悪いよね。周りからはいい奴みたいな感じで見られてるけど、わりと毒舌だよね?」

「猿くんにだけだよ?」

「うわー、なんでだろ。女子に言われて嬉しい言葉ランキング上位に組み込むであろう台詞の筈なのに、俺全く嬉しくない」

「捻くれてるからじゃないかな?」

「息を吐く様に毒吐きやがって…」

 

 澄ました顔をする幼馴染み(毒舌家)。

 こんなんでも良い奴呼ばわりされるのだから、世の中不思議なもんである。

 度胸がないとか言ったな、飛鳥よ。だが、その認識は甘いぞ!

 

「ふっ」

「ひゃっ!?」

 

 耳に息を吹き掛けてやった。仕返しだ。

 油断大敵というやつだ、飛鳥さん。やられたらやり返す、常識っすね。

 そんなに睨まれても、俺は謝らんぞ。最初にやったのはお前だからな。

 

「やられたらやり返す…倍にはしない!」

「しないんだ…」

「だって、何かやらかしてお前の爺さんにぶち殺されたくねぇし」

 

 飛鳥の爺さんの名は半蔵と言い、俺と飛鳥が通う半蔵学園の創設者でもあるらしい。

 何だったら、忍びでもあるそうな。服部半蔵ってやつなのかな?

 まぁ、そんな爺さんを怒らせると怖いだろうから過ぎた悪戯はしない。

 怒られた事はないよ? けど、何かヤバそうな気がする。俺の勘がそう言ってる。

 

「じっちゃんは優しいよ? 怒られたことないもん、私」

「あんま信用ならないんだよなぁ」

 

 この子、普通に良い子だもの。俺に対しては口悪いけど、その心はめっちゃ優しい奴なのだ、飛鳥は。

 そりゃ怒られる事なんてあまりしないでしょうよ。俺は何度もやらかしてたけど。

 

「猿くん、遊ぶと限度忘れるもんね」

「遊ぶからね。楽しい事は心ゆくまで楽しみたい性分なのさ。という訳で、ほら道草道草」

「えぇ…私、これから用事が…」

「いいじゃんよー、ちょっとくらい。どうせあれでしょ? 葛城の姐さんとか辺りと何かするんでしょ? だったら俺に連れ回されたーって言っとけば大丈夫大丈夫」

 

 自分で言うのもなんだが、わりと問題起こしてる方だし。

 委員長辺りにもよく注意されてるから、だいたいのヘイトは俺に向くだろうよ。

 

「でも、それだと猿くんが…」

「いいって、別に。もう怒られ慣れてるし」

「それはそれでどうかと思う」

「“それはそれで、これはこれだ”。良い名言だよ、要するに割り切れって事さ。ここ最近、お前は詰め過ぎてるしな」

 

 俺がそう言うと、飛鳥は驚いた顔をした。

 え、気付かれないとでも思ってたんすか? 俺としてはそっちの方が驚きなんですけど。

 声にあんまし元気がないし、肩もちょっと下がってたしで、色々と気付かれる要素たくさん有りましたけど。

 

「屋上で飯を食べる。道草っても、やるのはそれだけだが」

「あ、もしかしてバッグの中に入ってるのって」

「お察しの通り、食事にございます。まぁ、とは言っても恵方巻と握り飯とサンドイッチしかないけど」

「結構あるね…? でもいっか! 私、猿くんの料理好きだし」

「そりゃ、嬉しいこって」

 

 笑顔を浮かべる飛鳥に、俺はそれで良いと内心で頷く。

 お前は笑っている方が良い。その方が、ずっとお前らしい。

 忍なんて重っ苦しい役目を担ってるお前も、其処に行くまでは普通の学生だ。

 だから、そうやって笑ってくれ。俺はお前を笑わせる様に努力する。

 でも、だからと言って悪口言うんじゃねぇぞ?

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