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これは自論だが、例え如何なる理由があろうとも悪意あるセクシャルハラスメントというのは弾劾すべきだと思っている。
例え女同士であろうと、だ。
まぁぶっちゃけた話、セクハラという行為に及んでいる時点で、そもそもの前提として悪意なんて満々だし欲求爆散してるだろとしか思ってない訳だが。
正当性を持たせてセクハラに及ぶなど論外である。要するに何が言いたいのかと言えば、我が半蔵学園が誇る学園一、いや天下一のセクハラ大魔神こと葛城の姐さんはさっさとムショにぶち込まれるべきであるという事だ。
「流石に横暴過ぎだろ!? アタイ何も悪い事してないじゃん!」
「セクハラが許容出来る悪事な訳がないだろバカかアンタは? 悪い事だよ、何だったら全身が罪で覆い隠されてるよセクハラ大魔神」
「そのセクハラ大魔神ってなんだよ! アタイはただ、その子の成長を確かめているのであってだな……」
「ハッ」
「鼻で笑われた…!?」
そりゃ笑うよ。あまりにも無理で馬鹿丸出しの言い訳過ぎて失笑もんだよ。
あぁ、そういばちゃんと説明してなかった。この人の名前は葛城。渾名は姐さん(勝手に決めただけ)。よく飛鳥とか委員長先輩にセクハラしてるセクハラ大魔神。けど自分がやられるのは嫌っていう面倒くせぇ奴だ。
「後輩からの罵倒が酷い!? そ、そんなに言われる事か!?」
「そんなに言われる事でしょうよ。世間一般的に考えて見ようぜ、先輩。通報されたら擁護出来ないレベルの事を、もう何度も繰り返してるんだから」
「ちゃんと相手は選んでるぜ?」
「その相手に
「えー? 良いじゃんかよー。別に飛鳥はお前のなんでも……ちょちょ、ごめんって。ごめんごめんごめんなさい! 謝りますからその振りかざした拳降ろしてください!?」
悪ノリも大概にしてほしいとは、まさにこの事である。
いや勿論、アイツがマジで嫌がっている訳ではない事ぐらいは分かっている。本気で嫌がってたりしたらこの人と交流続けてないだろうし。分かっちゃいるんだ。
けど、だとしてもセクハラよ? どう転んだって別に良い思いする事はしてないからね? それを許容するのはどうなんかなと、俺は思わざるを得ない訳ですよ。
「ったく……飛鳥の事になるとすーぐ熱くなりやがって」
「飛鳥に限らず、友達がセクハラ受けてたら熱くなるだろ。次に巫山戯た事抜かしたら本気でぶん殴るぞアンタ」
「もうさ、毎度の事思うけどアタイと皆との扱いの差なんなんだよ!? 飛鳥とか雲雀は勿論、斑鳩もそうだし、何なら無愛想な柳生にすら優しいのになんでアタイだけ!?」
「だからそのセクハラが原因だっつってんだろなんで分からねぇんだよ頭がお花畑なのか叩き割るぞ」
「過激にも程があんだろ!?」
「そんだけの事やってんだよアンタは!」
寧ろここまで言ってるのに理解が出来ない頭にびっくりだよ! そこらのおっさんでもまだ物分り良いぞ!?
変態に容赦しろなんて、それこそ無茶にも程がある。こういう相手には遠慮なんざしない方が良いんだ。元からそうしてるし。
「変態も変態、ド変態だよ。しかも自分はされるの苦手とか……おどれは何様じゃって話。そもそものモラルが欠けてるんだよね。それの理解からさせてやろうか?」
「普段に増して凶暴になってやがる…!? ちょ、誰かー! 誰か飛鳥呼んで来てくれー!」
「自業自得でしょ」
「まぁ、いつかはこうなると思ってた」
「寧ろ見逃されてた事が不思議で仕方ない」
「ドンマイ葛城さん。応援してるよ」
「良いぞもっとやれ猿山!」
「はぁ、はぁ……こういう葛城さんも、良い…!」
「おい今ヤベェやつ居たぞ」
「お前も猿山に説教されてこい」
残念ながら助け舟は無いらしい。まぁ、普段の行いよね。
別に悪い人ではないんだけどなぁ……寧ろ、性格的には好ましい筈なんだけど。変態の部分が際立ち過ぎて目に余るんだよな。
性格が完全に足引っ張ってんだよ。その変態さをどうにかしてくんねぇかな、マジで。
まぁ、
「猿くん、居るー?」
さぁやるぞと意気込んだ所で、当の本人たる飛鳥がやって来てしまった。
お前さぁ……タイミングよ。
「はぁぁぁぁ……」
「いきなりため息は酷くない!?」
「お前ってやつは、本当に……タイミングよ。もうちょっと、こう……はぁ」
「何も分からないっ! もっと具体的に言ってよ!? 私何かした!?」
「うっせぇバーカ! つーかお前も悪いんだからな! もっと嫌がれよお前!」
「な、何を!? 全然話に付いていけないんだけど!?」
「飛鳥ー! よく来てくれた!」
ほーら見ろ。蜘蛛の糸に縋らんばかりの表情を浮かべやがった。
その飛鳥は、自分の先輩が同級生の前で正座させられているのを見て驚愕していた。まぁ、そうなるよね。俺も逆の立場だったらそう……なってないな、うん。
「かつ姉、なんで正座させられてるのっ!?」
「セクハラ。説教。以上」
「あー……」
「ちょ、ウソだろ!? それで納得すんの!?」
どうやら飛鳥的にも思い当たる節があったらしい。いや、らしいどころじゃなくてあるんだけどな。だって主な被害者コイツだし。
だいたいセクハラの被害者はコイツか斑鳩パイセンなんだよな。たまに雲雀ちゃんにもやらかすし。
まぁ、雲雀ちゃんにやった場合は柳生ちゃんにボコボコにされてるけど。本当に懲りねぇよな、逆にスゲェ。
「嫌がれって、そういう事だったんだね。納得しちゃった」
「理解が早い、流石は被害者」
「えへへー」
「褒めてねぇよ? 全然褒めてないよ俺? 寧ろ心配してる方だよ?」
「んー、心配って言われてもなぁ。もう慣れちゃったって言うか、それがかつ姉って言うか…」
「あすかぁ…」
「で、でも! かつ姉の為人はちゃんと知ってるし、良い人なのは分かってるから! だから、猿くんもかつ姉の事許してあげて?」
「飛鳥ぁ…!」
「えぇ……」
「うわ、すっごい嫌そう! そんな顔顰める程か!?」
許す許さないとかではなく、単に常識的に考えろって話なんだよね、これ。まぁ、それが出来ないからこうなってる訳なんだけど。
この人、考えるより先に体が動くタイプだからなぁ。
「はぁ……じゃあ仕方ない。俺が提示する条件守ってくれたら良いよ」
「じょ、条件…? なんだ、その条件って。はっ! まさかこれを理由に乱ぼ」
「すんませんけど眼中に無いんすよね」
「ぐはっ…!」
「かつ姉が死んだ!?」
「この人でなし(ガチ)!」
ざまぁみろってんだ。
実際、俺としては無い。一片だって無い。ぶっちゃけ自分の好みとかよく分からんからアレだけど、この人はマジでない。
「真正面から堂々と言われるとアタイでも傷付くんだぞ!?」
「へぇー。まぁ、んなどうでもいい事は投げ捨てるとして」
「投げ捨てるなっ!? せめて隅に置けよ!」
「いや隅に置くのもどうかと思うよ!?」
「条件としちゃですね――――――取り敢えず1ヶ月くらいは飛鳥じゃなくて斑鳩パイセンだけにセクハラしといてください」
「……へ?」
なんだその阿呆面は―――失礼過ぎるだろ!?――――。
別におかしな事は言ってない筈なんだねぇ。と思っている俺の襟を飛鳥が引っ掴んできた。最近マジで容赦ないよね、お前。
「ちょ、猿くん!? なんでそこで斑鳩先輩っ!?」
「いや、あの人も最近は気張りっぱなしだし。解消がてらにセクハラでも与えときゃ良いかなという俺なりの気遣い。あと、姐さんがセクハラしときゃ俺への対応減るっしょ?」
「絶対それが本音だよね!? 斑鳩先輩に説教されたくないだけだよね!?」
「な、何故バレた…!?」
「逆になんでバレないと思ったの!?」
か、完璧な言い訳だと思ったのに……くっ、流石は俺の幼馴染。俺の事をよく分かってやがる!
だが残念だったな手遅れだ! ほら見ろ、いつの間にか葛城の姐さん居なくなってるぜ!
「よし。これでちょっとはあの人も気が休まるだろ」
「休まる訳がないよっ!? というか、斑鳩先輩を困らせてるのってだいたい猿くんだよ!? 諸悪の根源そのものだよ!?」
「諸悪の根源そのものて。それは言い過ぎじゃない?」
「え?」
「うわ心底不思議そうな顔しやがって。ナチュラルに思って普通に言いやがったなお前…」
俺が相手だと本当に口が悪いよねこの子。素を隠すつもりが欠片もないぞ。
皆、騙されるなよ。確かに人は良いし優しい奴だけど普通に毒舌だからな、コイツ。
まぁ、んな事はどうでもいいや。取り敢えず心の中でパイセンに合掌しとこう。南無南無ー。
“他ならぬ貴方の所為ですよね!?”
なんか幻聴が聞こえた気がする。無視しよ、無視。こりゃ亡霊の声に違いない。悪霊退散、悪霊退散。
「つか、なんで俺の事探してたの?」
「切り替えるの早すぎだよ…今日は何もないから、一緒に帰ろうと思って」
「あー、はいはい。じゃ帰るか、寄り道でコンビニ行こうぜ」
「えー、また? 前も行ったでしょ?」
「学生なら当たり前だろ。ほら、行こうぜ行こうぜ」
「もー…」
コンビニに寄るは学生の誉よな。