灰色の空と大地。そして、進撃する多数の魔獣群。
私と、その指揮下にある魔王軍の軍勢は今まさに、それらを相手にしていた。
「シフォンさま!! やはり間に合いません! このままでは……」
私の傍にいる、今は私の副官を努めている青年のネムラさんは、両腕に構えた魔導砲で魔獣を吹き飛ばしながら言う。
「万一に備えて避難指示は既に伝えてあるわ! それでも今は……私達の出来る限りはっ!
援軍も頼んだから、何とか最終防衛戦までは死守しなくてはっ!」
兵士のみんなも頑張って魔獣を撃退している。前線では剣、槍による小型、中型魔獣の牽制と撃破。後方の砲撃隊、魔術攻撃隊は大型魔獣を相手に集中砲火を与えて何とか相手にしている。
もちろん、私だって。
「半月っ……一閃斬!」
自らの魔力を込めた必殺の剣技を放つ。エネルギーを纏った、自らの剣よりも巨大な光の斬撃は目の前の魔獣を五、六体を巻き込み、まとめて屠る。……それでも。
「くっ、倒してもその後ろからすぐに続いて来るっ! 前線は後退、後方部隊も四撃程度魔獣群に攻撃を放った後にそれに続いて!
本当に……ギリギリだわ」
後ろを振り向くと、そこには魔界有数の大都市、アビスシティの影が見えていた。
(私ともあろうものが、もう街の傍までの後退を許すだなんて。だけどこの異常なまでの数は……!)
ここまでの魔獣の多さは、大量発生はあまりにも異常だった。ずっと押し止めるべく戦って、大分魔獣は減らしたはずなのに……それでもまだ百体を超える数が残っている。
その魔獣全てが、アビスシティへと向かっている。進行方向に街があるからなのか……もしくは。
(こんなにも多くの魔獣の群れ……見たことがないわ。まさか、本当に破壊神が──)
「!!」
瞬間、私の真上を一体の影が通り過ぎた。……まさか!!
その正体は翼を持つ大型魔獣、それも高速飛行型の魔獣。まっすぐに街の方へと向かって行く。
(速度もずっと早い! 軍勢にばかり集中して、上に気を配っていなかった私の不覚だわ!)
「──プディング!」
私は自分のワイバーン、プディングを呼び出して飛び乗り、そしてネムラさんに伝えた。
「ごめんなさい! 私はあの魔獣を食い止めに行くから……代わりに軍の指揮をお願い!」
「自分が……ですか? しかし……」
「大丈夫! 貴方は自分が思うよりも優秀ですもの。
大変だとは思うけど……頑張って!」
本当は心配だけれど、現状先行してしまった飛行型魔獣をいち早く追跡出来るのはプディングと私しかいない。
私は魔獣の追跡して飛ぶ。
街に到達して被害が出る前に──間に合えば良いけれど。