読みやすさのために、自コート内での発言には「」を使用し、相手コート内での発言には『』を使用します。ご了承を!
今回は、一瞬だけ日向視点→影山視点(三人称)→日向視点でお送りします。
────パァン!
「ぐっ……!」
コージーの正面に向かって放たれた強烈なスパイク。コージーはそれを受け止めきれずにボールを外へ弾いてしまう。相手の得点だ。
「クソっ……すまん!」
「どんまい、気にすんな。取られた分だけ、俺が取り返すから」
「っ、かっけぇなおい!頼むぜ翔陽!」
任せとけ。
雪ヶ丘中学校 V S 北川第一中学校
11 ‐ 16
◆
────パァン!
「しゃあ!」
「ナイスキー!」
北川第一のセッターが上がげたトスを、北川第一のスパイカーが決める。
「おい!今のもっと早く入れただろ!」
「……すまん」
「チッ」
北川第一のセッター、影山飛雄は苛立っていた。弱小相手に乱されるレシーバー、最善であるはずのセットアップにタイミングを合わせられないスパイカー、そしてなにより、相手チームのアウトサイドヒッター、日向翔陽。
(相手はリベロすらいない弱小校、そのうえメンバーのほとんどがバレー素人同然の実力。点差だって開いている……それなのに、なんだ……この拭えぬ不安感は……!)
影山が視界に捉えるのは相手校の背番号1、日向翔陽。バレーにおいてはとても不利な、下手すれば小学生と見間違えてしまいそうな体格だが、それを補って余りあるほど運動神経の良さが彼にはあった。それに加えて、圧倒的な基礎技術の高さ。サーブ、レセプション、ディグ、ブロック、スパイク、自分以外にスパイクを打てる選手がいないからやらないだけで、恐らく二段トスも難なくこなすだろう。そして、ブロックアウト*1をわざと狙うことができる程の冷静な判断力。
(何故これほどの選手が、名前も聞いたことないような弱小校にいる……!?)
点差は5点も開いている。しかし、気は抜けない。一瞬でも油断したら、一気に背中を掴まれてしまう気がする。それ程の気迫が、日向翔陽からは感じられる。
「影山、次サーブだ」
「……ああ」
味方の選手からボールを受け取り、エンドラインの外側に立つ。
ピッ!
審判からの合図をしかと聞き、トスを上げる。
(狙いは、一番以外……!)
影山から放たれる無回転のフローターサーブ。シンプルだが、素早くキレがあり、相手にとって嫌な位置に落ちていく、中学生にしてはとても洗練されたサーブだ。
『アウト!触るな!』
日向の声に反応し、レシーバーが身体を引っ込める。ボールはサイドラインを割った。アウトだ。
(クソっ、狙い過ぎたか……)
「チッ……」
「どんまどんまい!」
「気にすんなー!」
仲間からの励ましの言葉を背に、レセプション*2の構えにはいる。次のサーバーは日向だ。日向も影山と同じく、シンプルかつ強力なサーブを打ってくるので、北川第一のレシーバー達にも緊張感が走る。強力とは言っても、取れないほどでない。冷静になってボールの正面に入り込めれば、ボールは上がる。
「一本で切るぞ!」
「「「応!」」」
レシーバー達が雄々しく叫び、気合を入れ直している中、影山は一人、サーブの準備をする日向の動きに違和感を覚えていた。
(さっきよりエンドラインとの距離が離れている……なんでだ?)
ピッ!
日向がサーブの構えに入ると同時に、影山の違和感の正体が明らかになった。
(この体勢……ジャンプサーブ!?)
高く、前回転の掛かったサーブトス。四歩助走を使い高く飛び上がる日向。その一連の動作は、間違いなくジャンプサーブのためのものだった。
────パァン!
(来る……ッ!)
北川第一の選手たちが身構えた瞬間───
───ドンッ!
ボールは既に、地に着いていた。
「ッ……!」
見えなかった。先程までただのフローターサーブだったのが、いきなりスパイクサーブに切り替わる不意打ち的な所もあったが、仮にそれを抜きにしたとしても、取れているか分からなかった。それほど、とても強烈なサーブだった。
『おえーい!!!ナイッサー俺ぇ!』
『うおおおお!翔陽ヤベェ!!!ナイス!!!』
『こういうのノータッチエースっていうんだよね翔ちゃん!すげー!!』
(……そうだ、俺は今、弱小相手にノータッチエースを取られたんだ。……クソッ!)
その事実が、影山の苛立ちを焦りへと変える。
日向翔陽が見出した北川第一への勝機、コート上の王様影山飛雄の利用。
影山は今正に、日向の掌で踊らされている。
◆
「おえーい!!!ナイッサー俺ぇ」
「うおおおお!翔陽ヤベェ!!!うおおお!!」
「こういうのノータッチエースっていうんだよね翔ちゃん!すげー!!」
強豪相手にノータッチエース。めちゃくちゃ気持ちいい。だが今の一本は、フローターだったのをいきなりスパイクサーブに変えて相手を動揺させる、飛び道具的な強さを持ったサーブだった。実際のところ、俺のジャンプサーブは他のサーバー達にを見上げることが出来るレベルで、まだまだ伸び代がいっぱいだ。相手も次第に俺のサーブに対応してくるだろう。
「日向さんナイッサー!」
「もう一本!」
仲間からの鼓舞を受けながら、エンドラインを超える。
俺のサーブはじきに止められる。だから、まだ相手が俺のサーブに慣れていない今のうちにめっちゃ点取る!
「ふぅー……よし」
ピッ!
ホイッスルと同時に、トスを上げる。
あやっべ、流れた。
「ふぬっ……」
前に行き過ぎたトスに何とか合わせてミートする。
何とかカバーしたけど、完全にミスった。ショボサーブかました。
カスみたいな当たりのせいで、力なく飛んでいくボールだったがなんとかネットを越え、なんか結構いい感じの位置に落ちていった。
『前!前!』
ボールの着地点に相手選手が飛び込んでいくが、間に合わない。ボールは地面に落ちた。
ほっ、ラッキー。この流れは、マジで切らしちゃいけないやつだ。攻めれる時は攻め切らないと、勝てる試合も勝てなくなる。
そして実はこれ、サーブはミスったが結果としては二連続ノータッチエースだ。観客が少ないはずの会場が結構どよめいている。
「うおおお!ナイスサーブ翔陽!器用だなぁお前!」
そう言って肩を組んでくるコージー。なるほどこいつ、俺が今のサーブを狙って打ったのだと勘違いしているな。逆に俺が狙ってやったブロックアウトにはラッキーとか言ってたし、コージーお前……。
「次もこの調子で頼むぜ!翔陽!」
「おう、任せとけ」
それはそうと、褒められると気分がいい。次もおらが決めでける〜!
サーブのポジションに戻り、審判からの笛を待つ。
ピッ!
トスを上げる。いい感じ。
助走から踏切、飛び上がる。
ミートポイントをしっかり捉えて、力のかぎりに腕を振り下ろす。
────パァン!!!
完っ璧ィ!
『うぐっ……!』
我ながら完璧なサーブ、正面に入って来た選手の腕がボールに触れるが、大きく弾かれ、誰も居ない場所へ静かに落下していった。
「いよっしゃー!」
「ナァァァァァイス!!!翔ッ陽ッ!!!」
おお、コージーのテンションがバグってる。これは貴重だ。
「す、凄いよ翔ちゃん!1点差だよ!!!」
「へっへーん。言ったろ、取られた分だけ俺が取り返すって」
「日向さんかっけぇ……!」
ああいいね奇跡の一年ズ、その尊敬の眼差し。もっとその目で俺を見てくれ。
『あークッソ……!』
『ど、どんまいどんまい!』
『次!絶対切るぞ!』
相手のチームに焦りが見えて来ている。よし、このまま逆転……
──ピーッ!
……くっそ、タイムアウトか。いやまぁ、このタイミングでのタイムアウトはよくよく考えずとも当たり前のことではあるんだけど。
「みんな、タイムアウトだ。ベンチで一瞬休憩」
皆に呼び掛け、コートを出る。ベンチにかけてあったタオルで顔の汗を拭いつつ、スポーツドリンクを口に流し込む。んー、アミノ酸を感じる。美味い。
……来てる。この調子で行けば、勝てる。
このいい流れを切らさない為に、タイムアウト明けのサーブは絶対に決め切る。そんで同点に並んで、そんで追い抜かす。
「いやぁ、すげぇな翔陽!3点連続サービスエース!」
「まぁな」
「俺達、強豪相手にやり合えてるんだよね……!って、言ってもほぼ翔ちゃんのワンマンチームだけど……」
あの北川第一相手にこの寄せ集めチームで対等に戦えてるの、割と奇跡だよな。ま、それほど俺様が強いってことなんだよな!ハッハッハ!
────ピーッ!
タイムアウトの終了を報せるホイッスルが鳴った。試合再開だ。
「よっし、お前らぁ!気合い入れていくぞ!」
「「「おう!」」」
雪ヶ丘中学校 V S 北川第一中学校
15 ‐ 16
書いてて思ったけど普通に日向ヤバい。なんで北川第一と互角なの?おかしいだろ。パワーバランスの調整普通にミスった。
ちなみにこの世界線の日向は飯と風呂の時以外バレーボールに触っています。寝るときはボールを腹に抱えて丸まって寝ます。多分1日8時間くらいバレーしてる。
次回辺りに烏野ズ視点を入れたいです。
頑張って続き書いてるのでお気に入り評価感想いただけると喜びます。
ところで、ヒロインは誰がいい?
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皆のアイドル、潔子サン。
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すごくかわいい、谷地ちゃん。
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普通に犯罪、田中冴子。
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意識外からの刺客、灰原アリサ。