100連引いて、御坂出ませんでした泣
懺悔I:アビドス対策委員会
ユメ先輩、何時も気になってたんですが先輩がいつも持ってるそれって一体なんなんです?
随分とボロボロですけど…
ん~?
ふふ~ん、これはねぇ…
私の大切な人の、形見…みたいなものかな。
いえ、それが貴女にとってどういうものかは聞いてなくて…
私が聞きたかったのは用途の話です。
それにそんなに大事なものなら、管理はしっかりした方が良いですよ。
え~~~!?
うぅ~ん、ひどいよホシノちゃ~ん…
これでも毎日磨いてるのに…
バックルのように見えますけど、他のと違って大分薄いですよね…
カタログにも載ってなかったとなるともしかして新型…?
いや、だとしてもそんな高価なものを用意する余裕はないし…
なんでもね、このバックルは『翼』を与えてくれるんだって!
翼…ですか。
うん!
どこまでも高くどこまでも遠くの彼方まで連れていってくれるって言ってた!
つまり飛行用のモジュールという訳ですか…
まぁ今までのプロペラだと片手が塞がって取り回しづらいですから、有用と言えば有用ですね。
ホシノちゃん、夢がなぁ~い!
─────────────────────────
「……ユメ先輩…」
在りし日の懐かしい夢を目蓋の裏に置いてきて、小鳥遊ホシノは目を覚ます。こうして彼女が出てくる夢を見るのは昔は然程珍しい事ではなかった。
あの日からほぼ毎日のように、彼女はホシノの夢に現れ続けた。
最初のうちは恨み言を吐かれ、糾弾されるような悪夢…
中頃には今のような数々の思い出を振り返るようなものだったり、もしここにいてくれたらなんていう願望が込められたもの…
そして最近はあまり夢自体を見ることも少なくなっていった。
だからこそ、何故今になってまたそんな夢を見始めたのかは少し疑問だった…
もしかしたら、もうすぐ何かが変わる予兆だったりするのだろうかと身構えた気持ちになってしまう。
可愛い後輩の一人が最近発足された連邦捜査部なるところに救援を要請したこともあってそんな気がしてならないが、すぐに考えすぎだと頭を振る。
「…ありゃりゃ、こんな時間かぁ…
そろそろ準備しなきゃな~。」
備え付けの時計を確認したホシノは寝惚け眼を擦りながら登校準備を始める。
教材もバックも準備する必要はない、何故ならもうアビドスではまともな授業などとうの昔から出来なくなってしまったからだ。
何時も通りの格好に着替えるだけなのでそう長い時間は掛からずに支度を終える。
さて、もうそろそろ呼びにくる筈だ。
ホシノセンパーイ、オキテルー?
ソロソロデナイトシュウゴウジカンニオクレチャイマスヨー?
ほら来た。
予想通りとても真面目な後輩たちが未だ眠ってるだろうと思っている自分を起こしに部屋の前までやってくる。
折角いつもよりは多少早く起きたのだから少し驚かせてやろうという意味も込めて返事をする。
「ほいほ~い、今行くよ~。」
エ!?ホ、ホントニオキテル!?ドウイウコト!?
オ、オチツイテセリカチャン!
部屋の前でパニックになっている二人が可笑しくて少し噴き出してしまいそうになるが、このままだと部屋の中の自分が偽者なのではと勘違いしてドアを破壊して突入してこないか心配なので、早々に二人に顔を見せてやらなければ。
と、その前に日課を済ませてからにしようと思い、机の鍵付きの引き出しに鍵を挿し込み回して開けて中の物を取り出す。
それは先程の夢にも出てきた彼女が最期のその時まで肌身離さず持ち続けていたあの薄型のバックルだった。
酷く煤けてボロボロになってしまっているがそれでも少し輝いて見えるのは、毎日ホシノが一日と欠かさず磨き上げているからだ。
アルコール消毒液をスプレーで吹き掛けた後、専用のクロスを使って丁寧に磨く。
相変わらず煤けたままだが、それでも磨かれたそのバックルはカーテンの隙間から射し込む朝日の光を受けて煌めいている。
「これの磨き方…貴女より巧くなっちゃいましたよ、ユメ先輩。」
ホシノはそう呟くとバックルを引き出しに戻し、閉めて鍵を掛ける。
そしてようやくホシノは未だドアの前で半狂乱になってる二人を宥める為にそのドアを開ける。
「おは…おぉ、びっくりした~。二人ともなにやってんのさぁ~?」
そこにはアビドス高校一年の二人、黒見セリカと奥空アヤネが立っており、セリカに至っては青ざめた顔でドアに向けて自分の銃を発砲する数秒前という出で立ちだった。
「ホントにホシノ先輩…?
早起きが得意な偽者が入れ替わってるとかないわよね!?」
「それでバレちゃう偽者がいたら相当おバカさんだよね~…
信用がなくておじさんは悲しいよ~…
心配しなくても、ちょっと夢見が悪かっただけだから大丈夫だよ~?」
「それなら良いんですが…」
「さ、早く行こうよ~。
このままじゃ折角おじさんが早起きしたのに結局遅れちゃうからさ~。」
「ち、ちょっと待ってよもう!」
先に歩きだしたホシノを慌てて追いかける一年生の二人。
そのまま三人は何時も通り、アビドス高校への通学路を進んでいくのだった。
─────────────────────────
どうしてこうなった?
ゴーストタウンと化したアビドスの住宅街の真ん中で、エースの頭の中はその言葉で埋め尽くされていた。
いつの間にか先生とはぐれてしまい、しばらく探している最中にまさか…
「悪いけど…アンタのバックル、全部置いていってもらう!」
「大人しく従った方が身の為だと思うけど…?」
二人組の仮面ライダーに襲撃される羽目になってしまうとは夢にも思わなかった。
一人は青い犬、いや狼の意匠を象ったマスクの世にも珍しい女性のライダー…
そしてもう一人は白黒の熊、恐らくはパンダの意匠を象ったマスクの声からして若い青年のライダーだ。
二人ともエントリーフォームの状態であることと、エースの所持するバックルを奪おうとしていることから恐らく彼等は丸腰なのだろうということが推察できる。
全ての発端は数時間前…
.
.
.
.
「アビドスに出張…?今からか?」
「"うん、送ってくれた手紙を見るに相当切羽詰まった状況みたいだから。"」
ある日の早朝、シャーレにエースが出勤すると、携帯や財布にシッテムの箱などの必需品を手に外へ出ようとする先生と鉢合わせた。
なんでも、シャーレに寄せられた様々な依頼の中でもアビドスの学園は一際大きな窮地に立たされているらしい。
「"暴力団にも襲われて大変らしいから、出来ればエースにも来てほしいな。"」
「なら迷わないよう気を付けた方が良いな…
あそこはバカみたいに広い、もし迷子にでもなったりしたら最悪遭難だ。」
「"他の子にも同じことを言ってたけどそんなに広いんだ。
でもちゃんと地図だって持っていくし平気平気!"」
.
.
.
.
そんな会話をした数時間後には少し目を離した隙にフラフラとどこかへ消えてしまい、挙げ句にはこうして襲撃されているこの現状を思うと、エースも流石に余裕の笑みを浮かべてばかりはいられなかった。
「素直に渡す気がないならっ…!」
狼のライダーはそう言うと襲いかからんとこちらに向かって駆け出してくる。
速い…
変身して身体能力が上がったからというだけでは片付けられないスピードだ。
悠長に変身をする暇はなく、エースは生身のまま狼のライダーの徒手空拳を見切って躱し続ける。
移動のスピードには驚いたが、しかしそれだけだ。いくらパワーが変身で上乗せされていてもエースなら簡単にいなせてしまう。
『SET』 「変身!」キリリリリ…バァン!
『~♪ MAGNUM』
『READY FIGHT』
「ふっ!」バンッ!バンッ!
「ぐあっ…くぅっ…!」
そしていなしながらエースはマグナムバックルをセットして流れるように変身を完了。
マグナムシューターの銃撃を当て、狼のライダーを牽制する。
「当たりバックル…ソイツを僕に寄越せ!」
「!…駄目だ、カナト!」
牽制されて下手に動けなくなった狼のライダーの代わりに今度はパンダのライダーが向かってくる。
先程の攻防でもう実力差を理解した狼のライダーは制止するが、パンダのライダーは頭に血が登っているのか声には気付かなかった。
此方は狼のライダーよりも経験がないのか、向かってくるスピードも繰り出す拳撃も緩慢で容易に避けられる。
「ふっ、よっ、ほいっと!」
パシッ ガッ!
「ぐはぁっ…!」ドサァッ!
パンダのライダーが繰り出したパンチを避けた後、その伸ばしきった腕を掴んで捻りながら後ろに回る。
そして膝裏を蹴って無理矢理体勢を崩させて倒れ込んだその頭を押さえ付けて拘束する。
「くそっ!離せよこの野郎っ!」
「まぁ焦るなよ…聞きたいことを聞いたらちゃんと離してやるさ。」
「…あたし達に何を聞くことがあるの?」
どうやら話を聞く気になったようだ。
狼のライダーはある程度冷静みたいで安心する。
二人は恐らくこの周辺を根城にしている可能性が高い。
強力な武装を持っていない者にとって、地の利の有無は非常に重要だからだ。かの戦国時代でも圧倒的な兵力の差を地の利を活かした知恵でもって撃退した例が数多く存在していることからもその重要性が理解できるだろう。
そんな二人なら心当たりがあるかもしれない。
「お前ら、俺に遭うまでに他に人を見なかったか?
ここではぐれた知り合いがいてな…」
「…アンタ以外は見てない。」
「なんで俺のバックルを狙った?」
「…あたし達には、すぐにでも強力な力が必要なの。
その為にはしょうがなかった…」
「お前らはここら辺を根城にしている暴力団の一員なのか?」
「はぁ?そんなわけないでしょ!
誰があいつらなんかと…」
「なら!
お前らは、どこの所属のライダーだ?」
「……」
ここまで淀みなく質問に答えていた狼のライダーはそこで初めて答えに詰まる。所属する学園に報告されるのを危惧しているからだろうか?
他のライダーからバックルの強奪する行為は、下手をすれば学園間の関係に亀裂を生みかねない為、キヴォトスではどの学園でも例外なく厳罰の対象となる。そうなればライダーの資格を剥奪され、半永久的にキヴォトスから追放の可能性もあるのだから。
「あまり手荒なことはしたくない、正直に答えろ。」グッ
「ぐあぁっっ…!」
エースは答えを濁している相手を焚き付ける為に拘束しているライダーの腕を捻り上げる。
その痛みに耐え兼ねて声を上げる姿を見た狼のライダーは重々しく口を開く。
「あたし達の……所属は…」
「やめろっ!言うな!!」
パンダのライダーは制止するが、狼のライダーは拘束された仲間を助けるために言葉を紡いだ。
その口から出てきた学園の名前は、エースの予想通りだったのであった。
「あたし達の所属は…
アビドス高等学校よ…」
「やっぱりな…」
エースはその答えに満足したのか、パンダのライダーの拘束を解いて自由にする。
しかし彼はその場で項垂れたまま微動だにしなかった。
「これはあたしの独断でやったこと…だからアビドスは関係ない!
お願い、あたしはどうなってもいいからその子とアビドスには…
あたしの家族には手を出さないで…!」
狼のライダーは懇願する。
その言葉からはまるで自分の為ではなく他の大切な何かを守りたいのだという意思を感じさせた。どうやらコイツらの言っていることには嘘偽りはないようだ。
「俺はお前らの敵じゃない、むしろ助けに来たと言ったら…
その言葉を、お前達は信じるか?」
「…は?」
「どういう…こと?」
エースはマグナムバックルを外して変身を解除すると、そのままマグナムバックルをパンダのライダーに、そして懐から取り出したブーストバックルを狼のライダーに投げ渡す。
突然バックルを与えられて困惑している二人に向かって、エースは自分がここにいる理由を語る。
「俺は浮世エース、仮面ライダーギーツだ。
連邦捜査部シャーレ所属のライダーとしてここに来た。」
「…ってことは…」
「アヤネが送った救援要請が受理された…?
連邦生徒会が、あたし達のために動いたっていうの?」
「それは少し違うな…」
エースは狼のライダーの言葉の誤りをほんの少し訂正する。
何故ならこの件において、アビドスを助けるために動いたのは厳密に言えば連邦生徒会ではないからだ。
「お前らを本気で助けようとしてるのは連邦生徒会じゃない…
いつだって生徒の幸せを守る為だったら喜んで自分を投げ出すような、そんな一人の"大人"だからな。」
.
.
.
.
ピロン!
「あっ、皆さん!パトロール中のサエさん達から連絡が来ましたよ!」
「珍しいわね?
いつも何事もなく帰ってくるのに…」
「なにかあったんでしょうか?」
その言葉を聞いて委員会室に集まっていた対策委員会の面々は一斉にアヤネのもとに集まる。
アヤネはモモトークの画面を見易いように、モニターに投影する。
『皆に良い知らせ。
アヤネが送った救援要請が例の連邦捜査部に受理されたみたい。
今、合流したそこのライダーをアビドスへ連れていくところだから歓迎の準備をしてあげて。』
「救援要請受理…それって!」
「はい、シャーレの先生に私達の声が届いたんです!
これで弾薬や補給品の援助が受けられます!」
「わぁ、やりましたねアヤネちゃん!」
その報告を目にしたセリカとアヤネ、そして二年生の十六夜ノノミは一気に沸き立つ。
これまで様々なことに苦しめられてきたが、これでようやくその一つに終止符を打つことが出来るようになったのだ。
『それと、悪い知らせが一つ。』
しかし、浮き足立っていた三人はその文言を目にすると一気に現実に引き戻される。
悪い知らせとは一体なんなのだろうか?もしかしてシャーレが救援に答える代わりに、なにかしら法外な条件を提示してきたのだろうか?
だとすれば今度こそアビドスは終わりだ。
今のアビドスは提示されたどんな条件でも叶えることが難しい状況なのだから。
しかしそんな憂いは悪い知らせの内容を確認することで吹っ飛んでしまった。
『救援物資を持ってる先生が今、アビドスの自治区の中で迷子になっちゃってるから捜索して救助しないといけないみたい…』
「…………………………………………………?」
アヤネの頭の中に宇宙が広がった。
これこそ生命の神秘、宇宙アヤネの誕生である。
冗談はこれぐらいにしよう。
つまりいざアビドスを助けようと意気揚々と飛び出した先生は、アビドス自治区のその広大な土地に呑まれて迷子になってしまったということだろうか?
それはなんというか…
言葉を選ばず言わせて貰うなら…
それは…
「もしかしてシャーレの先生って…結構ポンコツ?」
「せ、セリカちゃん失礼ですよ!?」
「もしかしたら近くを通ってるかもしれません。
シロコちゃんに連絡してみますね?」
先程まで同じことが浮かんでいたのを完全に棚に上げたアヤネであった。
そんな二人を尻目にノノミはモモトークを使って、アビドスのもう一人の二年生である砂狼シロコに連絡を取る。
彼女は所謂スポーツ少女というやつで、この時間なら恐らくは自前のロードバイクでこちらに向かっている頃合だ。
所持している撮影用のドローンも使用すれば、例え広大なアビドスでも迷子の早期発見に繋がることだろう。
結局、先生が見つかったのはそれから数時間後のことだった。
先生を見つけたシロコによると、先生は一人で半べそをかきながらトボトボ歩いていたらしい。
先生は遠くからロードバイクに乗って近付いてくる少女の人影を見つけた瞬間、安心して座り込んでしまったとのことだった。
─────────────────────────
「さっきはごめん。
折角助けに来てくれたのに、その恩を仇で返すところだった…
あたしは仮面ライダーロポの我那覇サエ、んでこっちの仏頂面が…」
「墨田カナト…仮面ライダーダパーン…」
エースに襲い掛かってきたライダーの二人は必要事項を連絡した後、変身を解除して自己紹介する。サエの方はある程度心を開いてくれているように思えるが、青年…カナトの方は未だ警戒しているのかそれとも人見知りをする気質なのか、自己紹介は必要最低限で切ってしまう。
やはり話をするために締め上げて拘束したのが心象に良くなかったのだろうか?
「お前達にバックルを支給できてないのを見るに、アビドスの財政は相当逼迫してるみたいだな…」
「…そう、アビドスが抱える数ある問題の一つよ。
昔の学園が作った莫大な借金を未だに返済できてないの。
そんな状態なのに無理にバックルを用意させる訳にはいかないから、なんとか自腹でバックルを用意したんだけど…」
「…なにかあったのか?」
サエは苦虫を噛み潰したような顔になると、憎々しげに自身に降りかかった災厄について語りだした。
「あたしのバックルは奪われたのよ…
紫色の牛みたいな鋭い角を付けたライダーにね…!」
もし、シンケンジャーが風都探偵みたいに正統続編が存在しててアニメ化したら花織ことはは多分、CV石見舞菜香さんだと思う(小並感)