【悲報】魔球蔓延る野球が大人気な世界に生まれた俺、魔球が打てないwww   作:門崎タッタ

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新キャラの性別は女の子に決定しました。
アンケートにご協力して頂き、ありがとうございます……!
また、今回の話は視点が変わりまくるので、読みにくいかもしれないです。



【速報】魔球が打てないワイ、有望な投手を勧誘するwww

303:名無しの凡才

女の子や

 

304:名無しの野球人

キター!

 

305:名無しの野球人

まーた女の子かい

 

306:名無しの野球人

女の子は多ければ多いほどええからええ

 

307:名無しの野球人

それで、どんな子なんや。

 

308:名無しの野球人

怪我とかしとるんか?

 

309:名無しの野球人

性格が知りたいわ

 

310:名無しの野球人

こん!

 

311:名無しの野球人

怒涛の質問責めで草生える

 

312:名無しの野球人

勢いが凄い……

 

313:名無しの野球人

己の欲望に忠実やね

 

314:名無しの野球人

クールキャラであって欲しいいいいい

窓際の席で授業中は外の景色を見ていて欲しい

 

315:名無しの野球人

いーや、普段は飄々としてるけど、その裏ではしっとりしてる系の美少女がいい

 

316:名無しの野球人

>>314

>>315

まーたスレ民の妄想博覧会が始まってるよ

 

317:名無しの凡才

残念やったな、お前ら。

クールキャラでも飄々としているようなキャラでもない。

なんというか「女王様」って感じのキャラや。

他人に対して高圧的で、馴れ合いを嫌う一匹狼。

見た目は可愛いってよりも美人って感じやな。

 

318:名無しの野球人

性格が悪そう(小並感)

 

319:名無しの野球人

女王様なのに一匹狼なのか

 

320:名無しの野球人

孤高のプリンセスってコト!?

 

321:名無しの野球人

個人的にはこれもアリや

 

322:名無しの野球人

でも、そんな性格でプリンちゃんは塵芥の不良共に目をつけられないんか?

 

323:名無しの野球人

プリンちゃんwww

 

324:名無しの野球人

響きが可愛いね♡

 

325:名無しの凡才

>>322

実際、入学当初は目をつけられてたらしい。

当時の番長にボロいビルに呼び出されて、フクロにされかけたそうや。

けど、プリンちゃんはビルを崩落させる事で番長とその配下を一人残らず病院送りにしたんやと。

死人が一人も出なかった事が幸いやったけど、本来なら何人か死んでもおかしくない事故。

番長共は大怪我で寝たきり生活なのに、プリンちゃんは無傷。

これを契機にプリンちゃんに喧嘩を売る不良はいなくなって、今は塵芥の裏番みたいになっとる。

女子も男子も関係なく、不良共に恐れられているものの、一部の人からは大人気や。

ちなみに和服美人が表の番長な。

 

326:名無しの野球人

怖すぎん?

 

327:名無しの野球人

これが塵芥クオリティ

 

328:名無しの野球人

この学校で番長になった和服美人が一番ヤバい奴説が浮上しつつあるなw

 

329:名無しの野球人

イカれた奴らのインフレが始まっとるわ

 

330:名無しの野球人

ヤンキー漫画でもここまではせん

 

331:名無しの野球人

でも、これで少なくとも怪我で野球を辞めた説は無くなったな

塵芥の不良相手に大立ち回りできる子が、野球を辞めるレベルの怪我をしてるとは到底思えん

 

332:名無しの野球人

たし蟹

 

333:名無しの野球人

じゃあ、なんで野球を辞めたんやろ

 

334:名無しの野球人

家庭の事情とか?

 

335:名無しの野球人

単純に飽きたとかかも

 

336:名無しの野球人

そもそも勧誘が成功する目処はあるんか、ゴリチン

どうにも話が通じる相手には思えんけど

 

337:名無しの凡才

目処なんてないわw

和服美人やなのです先輩も勧誘してたみたいやが、取り付く島もなかったそうやからな!

でもまぁ、勢いがあれば何とかなるやろ。

ワイ、こう見えてコミュ力結構高いしw

野球ロボットの光莉ともコミュニケーション取れてたしw

 

338:名無しの野球人

>野球ロボットの光莉ともコミュニケーション取れてたしw

この一文があるだけで信頼度が段違いや

 

339:名無しの野球人

説得力があるな

 

340:名無しの野球人

成功する未来しか見えない

 

341:名無しの野球人

色々と拗らせてる上に面倒くさそうな女の子ランキングNo.1の天才ちゃんを懐柔した男、ゴリチン。

並大抵の厄介者には負けんと断言出来る

 

342:名無しの野球人

やったね、ゴリチン仲間が増えるよ!

 

343:名無しの天才

侮辱罪で訴えても許されるわよね、これ

 

344:名無しの野球人

天才ちゃんの扱いが酷い

 

345:名無しの凡才

とりま、行ってくるわ!

思い立ったが吉日や!

 

346:名無しの野球人

相変わらず、判断が早いなw

 

347:名無しの野球人

いってらー

 

348:名無しの野球人

今回ばかりは辞めた方がええと思うけどなぁ……

 

349:名無しの野球人

プリンちゃんが温厚な性格である事を願う

 

350:名無しの野球人

>>349

温厚な子が人を生き埋めにする事はない定期

 

◇

 

 周(あまね)十羽(とわ)。

 塵芥高校に在籍している不良で、この人の存在を知らない奴は居ないだろう。

 俺の一個上の先輩で、誰とも馴れ合わず、誰にも心を開かない。

 それでいて……圧倒的な腕っぷしの強さを持つ塵芥高校の裏番。

 高圧的な話し方と一際目立つ容姿を有する彼女は、入学してすぐ当時の番長に目をつけられた。

 崩れかけの廃ビルに呼び出されて、総勢30人ほどの集団に取り囲まれたのだ。

 そこで、彼女は大規模な崩落事故を起こして、当時の番長とその取り巻きを全員病院送りにした。

 その上、翌日には何事もなかったかのように学校に登校して、平然と授業を受けていたらしい。

 正に、別世界の人間。

 安易に関わってはいけないヤバい人だ。

 

「危ないっすよ、アキラくん。あの周さんを勧誘するのは……」

 

「大丈夫だよ、久菜ちゃん。サクッと誘って、ちょちょいと仲間にしてくるからさ」

 

 ……けれど、俺の友人、大川アキラはそんな女を野球部に勧誘しようとしている。

 しかも、たった一人で。

 

「せめて俺も連れて行ってくれよ。荒事になった時、アキラ一人じゃどうしようもないじゃんか」

 

「佐々海が思っているような事にはならないよ。それじゃあ、いってくる」

 

 淡々とそう告げると、アキラは歩き出す。

 周先輩が根城にしている屋上に向かって。

 

「佐々海くん……」

 

「ああ、分かってる」

 

 脇谷と目配せを交わす。

 言葉にしなくても、彼女の意図は伝わった。

 

「気づかれないようについていって、いざとなったら俺達がアキラを助けよう」

 

「はい」

 

 アキラは頭が良い。

 でも、どこか抜けている所があるし、喧嘩慣れもしていない。

 そのため「万が一」が起きたら、なすがままにされてしまうだろう。

 仮にそうなったら、俺は間違いなく後悔する。

 ……アキラは生まれて初めて出来た友達。

 絶対に失いたくない。

 もう一人にはなりたくない。

 だから、「万が一」の時は刺し違えてでも、友達を守ってみせる。

 そう俺は心に決めた。

 

「単刀直入に言います。野球部に入ってくれませんか、周先輩」

 

 俺と脇谷が屋上に到着した時には、勧誘が始まっていた。

 ニコリと笑うアキラを周先輩は無言で睨んでいる。

 艶やかで長い銀髪に切れ長の赤い瞳。

 極めて端正な容姿だけども、可愛らしいとは全く思わない。

 彼女は眼光が鋭い上に女性にしては背が高いため、威圧感があるのだ。

 

「嫌よ。何で私が野球部に入らなきゃいけないの?」

 

「優秀な投手が一人でも多く必要なんです。甲子園に出場するために」

 

「それはそっちの都合でしょう。もしかして貴方、会話が出来ない人なのかしら」

 

 噂に違わぬ高圧的な話し方の周先輩。

 それでも、アキラは動揺を見せない。

 ニコニコと笑って、言葉を紡ぐ。

 その姿はいつものアキラと何も変わらないが……どこか違和感を感じる。

 今のアキラは、俺たちが知るアキラと決定的に何かが違うのだ。

 

「勿体無いですよ。周先輩が持つ才能を腐らせておくのは。俺達と一緒に野球をやりましょう」

 

「絶対に嫌よ。それに、さっきから言ってるけど、貴方の都合で物を語らないでくれる?」

 

「それなら、勝負しましょうよ。俺が勝ったら野球部に入って下さい」

 

「……だから、私はっ」

 

「逃げるんですか、周先輩」

 

 周先輩の言葉をアキラが遮る。

 その瞬間、ピリッとした空気が屋上に流れた。

 ここで俺は違和感の正体に気がつく。

 アキラは……周先輩を煽っているのだ。

 今のアキラが浮かべている笑顔は友好的なものではなく、相手の神経を逆撫でするためのもの。

 その笑顔は俺が初めて見る笑顔。

 善意による笑顔ではなく、悪意による笑顔。

 ……でも、何のために?

 ここで周先輩を怒らせて何になるのだろうか。

 

「多分、勝負をするためっすよ。アキラくんが周先輩を煽っているのは」

 

「?」

 

「正面から誘っても、周先輩が野球部に入る可能性は低いっす。でも、勝負を仕掛けたら、周先輩は必ず乗ってくる筈っす」

 

 脇谷の発言を聞いても、イマイチ納得できない。

 何で、そう言い切れるのだろうか。

 周先輩には勝負を受けるメリットが何もないので、受ける道理がない……。

 

「分かったわ。その勝負、受けてあげる。その代わり、私が勝ったら私の命令に絶対服従ね」

 

「それは別に構いませんが。まだ、勝負の内容すら説明してませんよ?」

 

「どんな勝負だろうと、野球で私が負ける筈ないもの。説明なんて必要ないわ。明日、勝負しましょう」

 

「了解です。首を洗って待っていて下さいね」

 

「それはこっちのセリフ。本当に生意気な後輩ね、貴方……どんな命令をするか、今から考えておくから楽しみにしてなさい」

 

 周先輩は口元を歪めるが、それを一瞥すらせずにアキラは屋上を後にする。

 事の一部始終を見届けた俺と脇谷はアキラに見つからないように、そそくさと立ち去った。

 小走りで廊下を走りながら物思いに耽る。

 ……周先輩は勝負を受けた。

 

「やっぱり、アキラくんは凄いっす。あの周先輩も手玉に取るなんて……」

 

 頬をほんのりと赤く染めて、恍惚とした表情を浮かべている脇谷のいう通りに。

 ……何故、アキラは周先輩を煽った?

 ……何故、周先輩は勝負を受けた?

 ……何故、脇谷は周先輩が勝負を受ける事が分かった?

 多種多様な疑問がぐるぐると頭の中で駆け巡る。

 俺は学の無いバカだけど、バカなりに考えてみる。

 そして、最終的に導き出した答えは……。

 

「よく分かんないけど、やっぱりアキラは凄い奴で、そんなアキラの考えが分かる脇谷も凄い奴なんだな!」

 

 ……という単純明快な結論だった。

 

◇

 

「行った……わよね」

 

 屋上に人が居ないかチェックする。

 隅から隅まで。

 階段まで見て回って入念に。

 そうして、屋上に私一人しかいないことを確認すると、お気に入りのポジションに腰を据えて……。

 

「ど、どうしてこんな事になるのよ……私、何も悪い事をしてないのにぃ……」

 

 仮面を剥ぎ取って、本来の私を解放した。

 頭を抱えて、その場にうずくまる。

 私の名前は周(あまね)十羽(とわ)。

 喧嘩なんて出来ない至って平凡な女子高生だ。

 人より臆病でコミュ障で野球が好き。

 そんな私は今、ろくでなしの不良が集まる高校、塵芥高校で裏番にされている。

 不慮の事故で先輩達を病院送りにしたせいで。

 

 一年ほど前、私は塵芥高校に入学した。

 その理由は色々とある。

 私がシンプルに馬鹿だったり、中学の頃の同級生に会いたくなかったり……でも、それは長くなるので置いといて。

 とにかく、入学したくないのに、塵芥高校に入学する事を選んだのだ。

 先述した通り、塵芥高校は不良が集まるゴミ箱。

 私のような普通の少女が、普通に過ごしていたら間違いなく標的にされる。

 そこで、私は考えた。

 「不良に負けない強い自分」の仮面を被って生活しよう、と。

 幸いにも、私は中学の時に野球をしていたため、フィジカルには自信がある。

 荒事になっても、そこらのチンピラには負けないと思うので、大事なのは舐められない事。

 弱気な自分を隠すために、口調をキツめにする。

 オドオドしてると思われないように、如何なる時も険しい表情を維持する。

 その努力が実って……実りすぎて、私は当時の番長に目をつけられて、誰も寄りつかない古いビルに連れてかれた。

 そこで待っていたのは不良の大群。

 彼らが手に持っているのはバットやナイフ、凶器の数々。

 

「いっつもいつもスカしやがってよぉ、マジでムカつくぜ。その綺麗なツラをぐちゃぐちゃにしてやる!」

 

 怖過ぎる。

 番長の発言を耳にした私は恥も外聞も捨てて、ビル内で逃げ回った。

 その過程で傷一つ負わなかったのは奇跡に近い。

 無我夢中で逃げて逃げて逃げ回る。

 必死の思いでビルから飛び出した刹那、凄まじい音を立てて建物が崩れた。

 その様子をぼーっと眺めた後に私は家に帰った。

 あまりにも現実味が無さすぎて、今日の出来事は全て夢だと、そう思ったのだ。

 

「おい、気をつけろよ。あいつが番長を生き埋めにした周だ」

 

「なんつー野郎だ。30人も病院送りにしたのに平然としてやがる……」

 

 しかし、夢ではなかった。

 番長とその取り巻きが生き埋めになった事件は、事実を捻じ曲げられて学校中に広まり、私は塵芥高校内で恐れられる存在になった。

 私に楯突くと生き埋めにされるという噂まで出来て、いつの間にか裏の番長として扱われたのだ。

 その扱いは不本意であるが、メリットはある。

 番長達はしばらくの間寝たきり生活で、噂によれば私を恐れているらしいので襲撃される心配もない。

 望まぬ形であるけれど、不良に絡まれる事のない平穏な日常を手に入れた……筈だった。

 

「単刀直入に言います。野球部に入ってくれませんか、周先輩」

 

 でも、大川が現れた。

 私は野球が好きだけど、試合には出たくない。

 理由は長くなるので割愛するが、とにかく野球部には入りたくないのだ。

 何と言われても断固拒否するつもりだった。

 

「けど、まさか……勝負を挑んでくるなんてぇ……」

 

 勧誘とは違って、勝負は安易に断れない。

 私には裏番としての面子がある。

 不良でも何でもない野球部員の勝負を断ったなんて噂が流れたら、不良どもは私を軽んじる。

 噂ほどヤバい奴ではないのかもしれないと考えて、カチコミを仕掛けてくる奴が一人は現れる。

 そうなれば、私は終わりだ。

 仮面とメッキは呆気なく剥がれて、平穏な生活が終わり、虐げられる日々が始まる。

 それだけは絶対に嫌だ。

 だから、私は勝負を受けた。

 不本意ながら……本当に不本意ながら!

 

「……あいつ、私がハリボテの裏番だって気づいていたわ……それ故の舐め腐った言動と表情。私が勝負を受けるように仕向けたのよぉ……」

 

 私は啖呵を切った。

 少しでも強キャラ感を出そうと必死だったのだ。

 滑稽にも程がある。

 本当の私は弱キャラで陰キャなのに。

 

「……それにしても、何で大川は引き下がらないのよ!勝負に負けたら、不良30人を生き埋めにした可能性があるようなヤバい奴の命令の聞く事になるのよ……ちょっとはビビりなさいよぉ……」

 

 我ながらテンションの浮き沈みが激しい。

 半ば自暴自棄になりつつある。

 大川との勝負まで、24時間。

 

「どうしよう……本当のほんとにどうしようぅぅ……」

 

 勝負の内容はさっぱり分からないが、どんな勝負であろうと私は負ける。

 絶対に負ける。

 それだけは断言できた。





視点は掲示板→パーカーくん(佐々海)→プリンちゃん(周)の順番になります。
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