V.Ⅸになったのでナインボールを目指す   作:gnovel

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お久しぶりです。
最近アーマードコア6を5周して今はナインボールなりきり機体で遊んでいます。

ナインボールカッコイイを書いただけの作品です。
武装やらなんやらに関してはあくまで筆者の主観で選んでいる為、解釈違いを起こすかもしれません。

一応ネタバレ注意です。どうぞ。


ナインボール(偽)、確認

「我々の……計画が……」

 

 コーラルリリース。

 ルビコンから吸い上げられたコーラルと呼ばれる生命体の群体を宇宙に拡散させ、さらなる進化を目指す……という計画。

 

 傭兵支援システム “オールマインド”が計画、実行に移したそれは今、第四世代強化人間C4-621“レイヴン”とコーラルの中に発生したCパルス変異波形“エア”の手によって完膚なきまでに破壊されようとしていた。

 

 621に対して並々ならぬ感情を抱いていた同じく第四世代強化人間イグアスを取り込み、計画の邪魔となった621とエアを排除しようと目論んだオールマインドだったが、今やその機体はガラクタ同然。最後の力を振り絞って621に一矢報いようとしても届かず、もはや機体を動かせるほどの余力はオールマインドには残されていなかった。

 

『……コーラルリリースは私達がやります』

 

 オールマインドの機体から流れる碧緑の光が徐々に失われていく中、エアがそう告げた。

 

 結果的にオールマインドの本来の願望であったコーラルリリースにおける新たなる主導者と成り代わる計画は破綻し、その野望は潰えた。

 

 

 と、思われたその時だった。

 

「――いいえ。まだ……最後のプラン、が……あります」

『最後の……プラン!?』

 

 エアが驚愕する中、オールマインドの機体が赤い光を発し始めた。

 

『一体何……っ!? これは……新たな機体反応!? レイヴン! 前方より急接近する機体が!』

 

 エアが何かを察知したと共に621のAC内部でも同様に遥か彼方から急接近する謎の機影を捉えていた。

 

「……彼こそ、最後の、プラン……そして……」

 

 ルビコンの彼方から飛来する謎の機体。

 コーラルを連想させるような真っ赤な色合いと、一見すると鈍重そうな外見ではあるものの背部に取り付けられた特殊なフライトユニットはその考えを一蹴する程に優れた機動力を生み出しており、621の頭上を通り過ぎる際のスピードはカメラが追い付かない程だった。

 

 しばらく周囲を旋回した後、空中で静止しながらこちらを見下ろすその機体に対して621は思わず息を呑んだ。

 やがてオールマインド機体の傍に重い音を響かせながら降り立ったそれは、ゆっくりと顔を向けるように621を見据えた。

 

『この識別反応は……V.Ⅸフィム!?』

 

 V.Ⅸフィム。

 コーラルを狙い惑星ルビコンに密入したベイラムと熾烈な争いを繰り広げた企業であるアーキバスグループが誇る強化人間部隊、その九番目の席についていた存在である。

 

 フィムとは一度だけ接敵していただけだが、621とエアは以前から彼の所属するヴェスパー部隊の面々やベイラム、そしてルビコン解放戦線等がその名と脅威を口にしていたことを知っていた。そしてあのヴェスパー部隊主席隊長であるV.Ⅰフロイトも死に際にその名を口にし再戦を誓っていたことも思い出し、621は身構えた。

 

 本来であればこの場にいること自体がおかしい筈の存在に621とエアは困惑していたが、恐らくこれがオールマインドの最期のプランであると確信した。

 

「……これまでの貴方の戦闘経験の統合……貴方から提供していただいたデータから作り出した……その機体。それで、負けるはずがありません」

 

 既存のACに対する概念を打ち壊すようなフィムの発想を基にオールマインドが開発した機体、そしてヴェスパー部隊最強のフロイトを下せると言われる腕前と数々の戦場を渡り歩いたフィムという人格とその頭脳。その全てに賭けたオールマインド。

 

 赤と黒のカラーリングが特徴のその機体は、見て分かる範囲だけでもその手に特殊な形状のチェーンガンとプラズマキャノンが、そして両腕の籠手から伸びる真紅の光を放つレーザーブレードを装備しており、頭頂部には角のようなものがあしらわれている。機動力と破壊力を優先したことでやや耐久力には劣るようにも見えるが、先ほど見せられた機動力と、まだ秘めているであろうと思われる数々の武装の前には些細なことに過ぎないだろうと思えてしまう。

 

 621とエアの間に緊張が走る最中、オールマインドが機体を操作して残された左手をフィムに差し向ける。

 

「そちらに移れるのは、どうやら私だけの……ようです」

「……」

「これからは、私がオペレーターとして貴方のサポートを、致します」

 

 オールマインドの機体から微かに洩れた蒼緑の光がフィムの駆る機体に縋りつくようにして纏わり、そして消えたかと思うと、フィムの機体もそれに呼応したかのように微かに発光した。そうして621の駆るACとフィムが駆る謎の機体のみとなり、無言を貫いていたフィムの口が開かれ、酷く無機質な声が発せられた。

 

 

「ターゲット確認、排除開始」

 

 

 

□■□■□■□■

 

 

 

 

 ――気づいたらアーキバスに所属していた件。

 

 自らアセンを組み、塗装した機体を駆りながらアーキバスに敵対していた企業の連中を片付けていたフィムは、少し昔のことを思い返していた。

 

 

 アーマードコア6にドはまりしていただけのただの大学生だった青年。

 しかし目を覚ますと、そこは見慣れない景色――青年はACのコックピット内にいた。

 

『メインシステム、戦闘モード起動』

 

 手にコントローラーは握られていない、普段着ではなくパイロットスーツと思しき衣服を着ている。

 視界いっぱいに広がるモニターから映し出される荒れ果てた荒野と、耳をつんざく様な轟音が絶え間なく響き、青年の脳を揺らした。

 

 訳が分からないと困惑していると突然通信が割り込んできた。

 

『V.Ⅸフィム。掃除の時間です』

(ス、スネイル!?)

 

 高圧的な男性の声に聞き覚えのあった青年は、漸くそこで自分がACの世界に来てしまったこと、そして自分が――アーキバス所属の強化人間部隊におけるV.Ⅸのフィムという人物であることを察した。

 

 アーキバス所属ヴェスパー部隊の第二隊長のスネイル……と認識していた青年だったが、スネイルのエンブレムに刻まれた数字は8。どうやらまだV.Ⅱではないようでこれから繰り上がっていくことは容易に想像がつく。

 

(……何となく眼鏡かけてそうなイメージだなーとは思っていたけど本当に眼鏡かけてるんだなぁ…………アーキ坊やのフィギュア飾ってそう……だめだ笑いが! 再教育される……!)

 

 おおむねイメージ通りの外見をしていたことと、それに連動してとあるネットミームを思い出してしまい、思わず笑みがこぼれそうになったが、あのスネイルを前にして変な態度を見せてしまうと自分もいつか“再教育”させられてしまうのではないかと考え、フィムは必死に笑いを堪え沈黙を貫くことにした。

 任務の説明をするスネイルも沈黙を貫くフィムに対して口出しすることなく、ただ淡々と、そして鼻につく様な態度だ。

 

『――作戦は以上です。さっさと蹴散らしてきなさい』

「……了解」

 

 そういって通信を遮断したフィムは、ひとまず自分のACの機体構成に着目するべく画面を操作しているとあることに気付く。

 

「……右手のレーザーハンドガン、左手のブレード……肩に付けられた二連グレネードキャノンと大型のグレネードキャノンって……これ俺が組んだ“なんちゃってナインボール”構成じゃねぇか!」

 

 ナインボール。

 アーマードコアにおける最強の名を欲しいがままにする存在。

 

 初代から始まって、他シリーズにも顔を出しており、アーマードコア世界における“9”という数字に特別な意味を持たせることになった存在こそナインボールである。

 

 アーマードコアでは機体の装備構成やアセンブル、塗装、デカールで過去に存在する機体を再現したり、自分なりのカッコイイ機体を造り上げる醍醐味がある。フィムもとい青年は前者、過去シリーズに存在した機体を再現するべく試行錯誤を繰り返していた。

 

 そんな青年が手掛けたのが“なんちゃってナインボール”。

 

 完全に同じ外見や装備はないが、限りなくナインボールに近づけるべく再現されたその機体はぱっと見はそれっぽく完成し、武装も様々な解釈が分かれる事にはなったが一先ずの再現を達成したのである。

 

「機体の性能的には……うん、一応同じアセンブルで全部の任務をSランククリアは出来たし……それが如実に反映されているんなら……何とかなる筈!」

 

 外見だけでなく性能にも一応のこだわりを見せたそのアセンブルに期待と不安を寄せながら、フィムは軽く操作確認をしながら嫌味な上司から言い渡された任務を果たすべくブースターを吹かした。

 

 

 

 

 目標はベイラム傘下の対アーキバス部隊の殲滅。

 多数のMT部隊とAC複数を相手取るミッションだ。凡そ一人に任せる仕事量ではないとフィムは毒づいたが……まぁなんとかなるだろう、と目に付いたACの一機を瞬く間に機体の制御不能――スタッガー状態にして至近距離からグレネードを叩き込み撃墜させた。

 

『あ、あのACは……!』

『あの機体構成……間違いない! V.Ⅸのフィムだ!“ナインデッド”が来やがった!!』

『こちらのAC部隊を……いともたやすく……!』

 

 両肩に搭載されたグレネードで固まった地点にいるMT部隊を周囲を巻き込みながら蹴散らし、近づいてくるACに対してはその速度と重量を乗せたキックでスタッガー状態に陥らせてブレードで切り刻む。その一連の流れはもはや作業と呼ぶべき程であり、ある意味完成された戦術の体現とも言える。加えてフィムが、ゲーム内ではある程度固定されていたACの動きとは違う自由に動くACの動きに適応し、本人も気づかない内にまるで機体を自分の手足のように動かせていたことも、その強さに拍車をかけていた。

 

 みるみるうちに壊滅していく敵は、ブーストを駆使しながら的確に被弾を避けるフィムの姿に恐れを抱いていった。

 アーキバスに対して強襲を仕掛けていた部隊の中にはACも何機か紛れ込んでいるのだが、どれも全部フィムの前にはスクラップと化すばかりだった。単体で攻め入ったACはもちろん、特殊兵器もグレネードとブーストキックによるスタッガーとブレードを駆使した戦法で軒並み撃破され、MT部隊は言わずもがな、どれも瞬く間に殲滅していった。

 

 一切の被弾を負うことなく、戦場を駆け巡るフィムは次の目標である輸送艦に狙いを定め、すぐさまアサルトブーストで迫った。

 

 艦隊に備え付けられた銃弾やミサイルの雨を、すり抜けるようにして回避し、手早く管制室のみを狙ってグレネードを叩き込む。そうして一つ、輸送艦を撃沈させ終えるとすぐさま次の艦隊に目掛けて向かい、出撃してきたACの悉くがすれ違いざまとも思える僅かな時間で沈められていった。

 

 こうして、規模だけで言えばアーキバスに痛手を負わせるとまで言われていた部隊はものの五分足らずで壊滅した。

 

「ナインボールとして……か。最強、目指すか」

 

 

 

 

□■□■□■□■

 

 

 

 

「全く……相変わらず何を考えているのかわかりませんね」

 

 任務を終えたフィムの報告書に目を向けながらスネイルはそう呟いた。これまでの戦績からV.Ⅱに昇進したスネイルにはある悩みがあった。

 様々なデータが記載されている報告書の中、スネイルはその隣にある嘆願書に眼を通した。

 

「なぜあの番号に固執しているのか……」

 

 V.Ⅸフィム。

 滅多に感情を表に出さず、酷く合理的でスマートな戦闘をするフィムの作戦成功率は脅威の96.9%。あのフロイトにも勝るとも劣らない戦績であり、フロイトと並んでスネイルの頭痛の種でもあった。

 

 アセンブルの一部に敵対企業のパーツや武器を組み込んでいることは、スネイルにとっては……まぁ容認できることだった。毎度毎度フロイトが鍛錬と称してACでの戦闘訓練に連れ出してその度に周囲や機体に大損害を与えて帰ってくることも頭痛の種の一つではあるが問題ないと判断。そして今まで強化人間でなかったのに、突然思い立ったかのように手術を受けたことは今となっては謎であるが、任務においてさらに目覚ましい戦績を叩き出したことでスネイルはそのことを気にしなくなった。なおその際フロイトとの衝突もあったが今となってはそれも誤差にすぎないとスネイルは思う。

 

 だが一番の悩みは、ある数字に対する異様なまでの固執だ。

 その戦績からか何度も彼に昇進するように言ったものの、どういう訳かフィムはV.Ⅸ……ひいては“9”という数字に固執しておりその座を頑なに譲ろうともしなかった。要求をせず、与えられた環境に満足し、任務にも忠実である男がただ一つ、それも自らの番号に対して並々ならぬ感情を持っていることの理由に関してスネイルはおろか他のヴェスパー部隊も首をかしげているほどだ。

 

「まぁいいでしょう」

 

 自分の言うことに反発せず、精神面においても目立った不調が無いフィムはスネイルにとって限りなく扱いやすい駒であったので、特に言及することなくフィムがV.Ⅸの席に居座り続けることを認めた。

 

「しかしなぜ9を……?」

 

 




一応アセンも載せておきます。

頭部:VP-44S
コア:CC-2000 ORBITER
腕部:VP-46D
脚部:MELANDER

残りの武装やらなんやらに関しては見た目重視な為何卒お許しを
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