レイリーの言った言葉の通り、ロジャーはしつこく俺を仲間に勧誘してくる。
勧誘を断っても「お前が断ることを俺が断る」と言ってくるロジャーは、俺を仲間にすることを諦めていない。
ロジャーからの勧誘を断りながら無人島を観察してみると、この無人島には何かがありそうな気がした。
それが何なのかを確認しようと思って移動する俺に、ついてくるロジャーとレイリーの2人。
3人で一緒に行動することになり、無人島にある森に入っていくと大きな羊を発見。
鎧のような皮下脂肪を持つ成羊の巨大な羊。
羊肉には臭みがあるので、食べるのなら臭み抜きが必要になるだろう。
バジル、松の実、ニンニクを和えてオリーブオイルで撹拌して作るソース・ピストーで行う臭み抜きも悪くはない。
玉ねぎと舞茸のペーストで肉をマリネすれば、分解酵素で身を柔らかくすることもできるな。
俺がそんなことを考えていると、羊を見て「こいつは、スカーレット・レッドヒツジか」と言うレイリーに詳しく話を聞いてみると、スカーレット・レッドヒツジとやらは山岳地帯に生息する温厚な羊であるそうだ。
赤ワインやストロベリーを思わせる他の肉には無い独特な香りを持っているとも聞いた俺は、試しに食べてみたくなったが、無闇に殺して食べるのはあまり良いことではないので止めておく。
まあ、いずれ機会があれば、スカーレット・レッドヒツジを食べてみるとしよう。
それから更に無人島の奥深くまで入り込んでみると仕掛けられた罠等があったが、問題なく先に進み、到着した洞窟の奥には宝箱が置いてあった。
ロジャーが宝箱を開けると質の良い黄金で作られた様々な装飾品が入っていて、その中には王冠まで入っている。
思わぬ宝に驚きながらも喜んでいるロジャーとレイリーは、この宝箱を持っていくつもりらしい。
その後、宝箱を運んでから
ロジャーとレイリーに、この世界についての情報を聞いてみると、様々な情報を知ることができた。
まず、現在いる場所は東の海と呼ばれる場所であるようで、東西南北と海が分かれている。
ロジャーとレイリーは東西南北の海とは違う偉大なる航路と呼ばれるグランドラインという海に向かうつもりであるようで、仲間を集めている最中であるそうだ。
今回手に入れた宝を換金して、新しい船を買うことも考えているみたいだが、確かに現在の船でグランドラインに向かうのは自殺行為に等しいことだろう。
ちなみにこの世界で使われている通貨はベリーという名前であるようだ。
思っていた以上に様々なことを教えてくれたロジャーとレイリーに感謝した俺は、料理人としてしばらく2人についていくことを決めた。
それから東の海を旅した俺達は、黄金を換金して手に入れたベリーで立派な船を買い、仲間を増やしていく。
仲間が増える度に宴会を開くロジャーは、宴会が大好きなのかもしれない。
今日も新たな仲間が増えて宴会となり、泥抜きが済んでいたトマホーク・伊勢ロブスターを使った料理を作り、既に酒を飲んでいた面々に提供してみる。
海水、淡水両方に適応した非常に珍しい甲殻類であるトマホーク・伊勢ロブスターは、第一歩脚がハサミではなく鋭利な刃を備えた巨大な斧状となっているロブスターだ。
河口付近の砂の中に身を潜めて、通りかかった魚に歩脚のトマホークを振り下ろして捕食するという生態があるトマホーク・伊勢ロブスターの殻は極めて硬質で、甲冑の関節部に使われることもあるらしい。
一部の少数民族の文化で、戦の勝利祈願の儀式に捧げられるというトマホーク・伊勢ロブスターは、あらゆる食材の中でも解体、味付けが最も難しいとされているが、俺なら問題なく料理できた。
「複数の香草で、海老の味が繊細に引き立てられているな、ロジャー」
「軽く熱を加えた海老みそが身に絡めてあって風味も深まってるぜ、レイリー」
笑顔でトマホーク・伊勢ロブスターを食べた感想を言い合っているロジャーとレイリーは、出会った当初と比べたらだいぶ料理の味付けが理解できるようになっているみたいだ。
ロジャーとレイリーは並みの美食家よりも確かな舌を持っていたのだろう。
穏やかな食事の一時の最中、レイリーと並んでトマホーク・伊勢ロブスターを食べているロジャーから病の気配がした。
俺が生まれた惑星にある癒しの国ライフで手に入れた全ての病を癒す薬をロジャーに飲ませることに決めて、薬を飲むように促したが、ロジャーは薬を嫌がり飲まない。
天然物の貴重な薬を嫌がるロジャーに強引に飲ませることになったが俺の方が力が強かったので、無理矢理口を開かせて薬を飲ませることに成功。
全ての病を癒す薬の効果で、ロジャーから感じていた病の気配は完全に消え去る。
これでロジャーが病に倒れるということは、もうない筈だ。
それからも仲間を増やして旅を続けていると、料理人の島と呼ばれる島に辿り着く。
島でロジャーが俺を自慢したせいで、何故か島中の料理人と俺が料理対決をすることになり、全ての料理人を打ち負かした俺の弟子になりたいと言い出す料理人達。
凄まじい勢いで押し寄せる料理人達から逃げるように出航した船。
料理人の島から離れたところで、海中に食材を感じ取った俺は海に飛び込み、目当ての食材を樽一杯に捕獲する。
捕獲した食材は、ドラゴニック・超フィレサーモン、別名は龍鮭と呼ばれる魚だ。
空想上の生物である龍を思わせる長く美しい体を持つ龍鮭は、鮭の一種であり、繁殖期のみ数百匹以上の群れで回遊するらしい。
龍鮭の身質は牛フィレ肉を遥かに凌駕し、柔らかく美味であるそうで、食べた者に幸運を持たらすと、東の海の希少食材大辞典には書かれていたな。
食材の声を聞いたところによると、刃に対し、最も敏感な龍鮭の腹、長い龍鮭の広範囲な部位を1ミリもぶれずに一息で切り開く必要があるようだ。
その際、少しでももたつけば防御反応で水風船のように大爆発し、龍鮭の身は使い物にならなくなる。
出刃包丁では刃渡りが短く、柳葉包丁では繊細過ぎて皮や筋を断つ解体には不向きであり、龍鮭を捌くには長さと鋭さに剛さが共存した刃を使わなければいけない。
今の俺の手元にそんな刃は無いが、無ければ作れば良いだけだ。
瞬く間に俺の食欲のエネルギーで形成され具現化する包丁。
まるで業物の刀のような解体用包丁で、一息で切り裂いた龍鮭の腹。
解体に成功した龍鮭を使った料理を船員達に提供していくと、全員美味そうに食べていたな。
生魚が平気な船員には龍鮭の刺し身や炙り寿司に、カルパッチョ。
完全に火を通した方が良いって船員には龍鮭の塩焼きやムニエル。
酒のツマミが欲しい船員には、揚げたての龍鮭のフライを提供してみた。
ぷりぷりの身が舌にのせた途端に、とろっと溶けるように甘く広がり、溢れ出る脂にコクがある龍鮭は、様々な調理法で更に美味しさが引き立つ。
海が多い世界だけあって、素晴らしい海の幸が、この世界には沢山あるようだ。
こうして今日出会えた龍鮭という食材に、感謝をしておこう。
数多の冒険を経て仲間も集まり、ついにグランドラインへと向かうことになったロジャー海賊団。
グランドラインへの入り口となるリヴァースマウンテンに向かう前に、まずは腹ごしらえだ。
海に潜って捕まえてきたエレファントホンマグロ5匹を部位ごとに解体し、それぞれの部位を様々な料理に変えて、エレファントホンマグロの美味しさを引き出す。
食材の声によると、マグロに象のような長い鼻が生えた形をしているエレファントホンマグロで最も美味な部位は、発達したその鼻であるらしい。
5匹も捕獲したので鼻の奪い合いになることはないが、鼻が美味いというエレファントホンマグロは珍しい食材だな。
牛の舌のような食感で、噛む度に旨味が溢れてくるエレファントホンマグロの鼻は船員達にも大人気であり、直ぐに無くなった。
こうして毎日料理を作り、ロジャー海賊団の料理人として旅を続けていると、気が付けば長い付き合いになってきたロジャーとレイリーの2人は髭を生やしていて、青年からすっかり大人に変わっている。
「お前は全然歳取らねぇなシバ」と笑いながら言ってきたロジャーには立派な口髭があり、外見は海賊らしくなっているのかもしれない。
ロジャー海賊団と共に旅をしていると他の海賊とも戦うことになったが、奇妙な能力を持つ相手は基本的に悪魔の実を食べた能力者という存在であるようだ。
能力者の能力に対抗できる力として、ロジャーに3種類の覇気という技能を見せてもらったが、問題なくロジャーの覇気がコピーできたので、俺も覇気が使えるようになった。
三虎の兄貴ほどではないが俺も様々なものをコピーすることが可能であり、ロジャー並みの武装色に覇王色の覇気を纏うことができるようになる。
覇気によって俺の攻撃の威力が更に増したが、ロジャーは未だに成長しているので、定期的にロジャーの覇気を見せてもらってコピーを更新しておいた方が良さそうだ。
手加減しなければ殺してしまうかもしれないが、これで自然系の悪魔の実を食べた能力者が相手でも普通に倒すことができるだろう。
そんなこともあったが今日もロジャー海賊団の航海は続き、島から島へと船で移動を続ける。
すっかりロジャー海賊団の料理人になってしまった俺だが、仲間と航海の旅を続けるのも悪くない。
しばらく俺は、この惑星で、ロジャー海賊団の料理人であるシバとして過ごしてみるとしよう。
ONE PIECEの原作と違う点
ロジャー海賊団の料理人が四馬
ロジャーとレイリーが料理に詳しくなっていて舌が肥えている
ロジャーが不治の病にかかる時期が早かったが、四馬の持っていた薬で不治の病が発症する前に治った