「ッ、づゥッ……!」
背後から響く爆発音と共に、海上を進むモンドの船の甲板へ、派手な音を立てて墜落する。
辛うじて受け身こそ取れたものの、そこから体がどうにも動かない。
ただでさえ死ぬほど体力を削る『奥の手』に加え、剣ごと石化した右腕での全力疾走は、流石の俺でも限界を迎えるらしい。
「うわぁぁぁぁあああああああッ!?」
「なっ、何だ!? 稲妻の連中がまた撃ってきたのか!?」
そして、少し遅れて船内が騒ぎ出した。
つい先程まで砲弾の雨に晒され、そこから抜け出したところで爆発音と落下物だ。
たとえ俺が相手の立場に居ても、砲弾だと思ったことだろう。
「……ッ!? いや待て! 砲弾じゃない! 人だ!」
「人ぉ!?」
「何だって!? ……本当だ!」
「誰だ!? 幕府からの刺客か!?」
悲鳴や怒号が行き交う中、誰かが俺の存在に気付き、声を上げた。
その情報は次々と周囲へ伝播して行き、船員達が甲板に伏せる俺の周りを取り囲んでゆく。
「刀を持ってるぞ! 危険だ!」
「ッ!? いやでもなんかこれ、石化してないか!?」
「どっ、どうする!? 全員でやるか!?」
「相手は手負だ! いけるぞ!」
「ッ……待て……ぜぇ……俺だ……」
船員のうちの何人かが俺に攻撃を加えようとするが、その前に何とか頭巾と面頬をむしり取って顔を晒す。
「……ヨッ、ヨシノリさん!?」
「はぁッ!?」
「本物!?」
「おっ、おい! 誰かオーナー達を呼んで来い!!」
俺の顔を見て騒然となった船員達が、バタバタと動き出す。
そんな中で船員の一人が俺の左肩を担いで立ち上がらせ、樽を椅子がわりに座らせてくれた。
「ヨシノリ!」
目を閉じて息を整えていると、船首の方から誰かが駆けてくる。
顔を上げてそちらを見てみれば、そこに居たのは珍しく慌てた表情を浮かべた西風騎士団の主席錬金術師兼調査小隊長こと、アルベド君。
「大事は無いか!? その腕は!?」
「岩の元素力の、影響……ゲフッ、ゲフッ! ……一時的だ……問題ない……」
「……確かに、岩元素の反応があるね。それも、尋常じゃない強さの……」
アルベド君は俺の汗をハンカチで拭うと、石化した俺の腕を慎重に観察する。
「残念ながら、僕にはどうにも出来そうもない。徐々に別の元素で中和していくしか無いだろう」
「そうか……わかった……」
「皆もそろそろ中から出て来るだろう。出来る限り息を整えておいてくれ」
それに頷いて全身の力を抜き、息を整える事に注力する。
すると、数十秒ほどしてバタンと扉が開く音と、それに続いてドタドタと、大人数の足音が聞こえて来た。
「うわっ、本当に居たんですか!?」
「ほ、本当だね……」
「ね、言ったでしょ? ヨシノリさんはこっちに居るって」
「ご無事でしたか」
「当然よ。何故なら彼は幽夜浄土最強の称号を冠する、剣聖ヨシノリなのだから!」
「……はぁ……やっと帰れるわね……」
声から判断するに……占星術師、スクロース君、飲んだくれ詩人に、フィッシュル君とオズ、ロサリア嬢か?
成程、ギリギリだが研究者や護衛と言える辺りを連れてきたか。
代理団長殿が暴走して、騎士団の残存主力全員集合とか言う事態になっていなくてよかった。
まぁ、恐らくこの人が何とかしてくれたのだろうが。
「無事そうだな、ヨシノリさん」
「……ええ、何とか……無事でしたよ……」
声をかけられて顔を上げてみれば、燃えるような赤毛が特徴的な長身の男性。
アカツキワイナリーのオーナーこと、ディルックさんが立っていた。
「疲れているだろうところ悪いが、色々と話す事も、話してもらわなくちゃならない事もある。構わないな?」
「……ふぅ……はい、大丈夫です」
さて、それじゃあ情報交換と行くか。
こちらとて、話したい事があるのも、話してもらわなくちゃならない事があるのも同じなのだ。
はい、短いです。
元々この話自体は短い予定で、本当はここにおまけとでも称して色々と情報を載っけとこうと思ったのですが、読み飛ばせたほうがいいかなと思って見送った次第です。
と言うわけで、次回は本編ではない間話になります。
一応お品書きはこんな感じ。
・ヨシノリさんから見た各国の印象&各国から見たヨシノリさんの印象
・ヨシノリさんから見た各人物(一部除いた既出キャラ+今作で出番が無いキャラ)&各人物から見たヨシノリさん+今作における各人物の情報
・ヨシノリさんの歴史(年代別やらかし一覧)
・ヨシノリさんのモチーフ武器・オリジナル料理
ネタバレは絶対にしません(固い意志)
感想、評価求む!