個性【クロスオーバー】   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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新しい住人

「全く無茶をするねぇ」

 

「すみませんリカバリーガール」

 

 私は保健室で点滴を入れていた。

 

 一応増血薬を飲んで椅子に座っているが、背中が痒くて仕方がない。

 

 新しい皮膚を一気に作ったからだと思うけど···かさぶたが無性に痒くなるのと同じあれよ。

 

「リカバリーガール、襲撃犯は? 相澤先生や13号先生は?」

 

「今警察が来て捜査中だよ。相澤先生は大きな病院で治療中、13号先生の方はあんたと同じ背中の裂傷だから命に関わるようなもんじゃないよ」

 

「よ、よかったぁ···」

 

「点滴入れたら警察に家まで送ってもらいんしゃい」

 

 

 

 

 

 アジトに逃げ帰った死柄木達は廻流から受けた攻撃や、逃走間際にスナイプに狙撃されて両手両足を撃たれ、結構なダメージを受けていた。

 

「いってぇ···完敗だ。平和の象徴が弱っているって話は嘘だった。話が違うぞ先生」

 

『違わないよ』

 

 死柄木がモニターに向かって呟くが、モニターからの声ははっきりとそう言い切った。

 

『ただ見通しが甘かった。それだけだよ弔』

 

 モニターからもう1人の声が聞こえてくる。

 

『うむ、舐め過ぎだな。敵連合(ヴィラン連合)なんてチープな団体名で良かったわい。ところで、ワシと先生の共作の脳無はどうした? 回収しなかったのか黒霧』

 

「オールマイトによって吹き飛ばされ、探す時間もありませんでしたので」

 

『せっかくオールマイト並みのパワーにしたのに···』

 

『ドクター仕方がないさ、割り切ろう』

 

 死柄木が何かに気がついた感じで声を上げる。

 

「パワー···ガキの中に1人、脳無を幾度となく破壊した女が居た」

 

『···へぇ?』

 

 先生と呼ばれた闇の帝王オール・フォー・ワンは死柄木が言った女の生徒がワン・フォー・オールの継承者であると確信し、オールマイトにどちらの生徒が優れていくかを比べたいと思うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、雄英高校では緊急の職員会議が開かれていた。

 

 塚内警部が被害状況と検挙したヴィラン達や主犯と思わしき逃走したヴィランについての話をする。

 

「死柄木という名前と触れたものを粉々にする個性の個性登録を洗ってみましたが、該当無しです。ワープの黒霧というヴィランも同様です。無国籍かつ偽名、個性届を提出していない裏の人間ですね」

 

 スナイプ先生が

 

「何もわかってねぇってことだな。死柄木の銃創が治ったらまた動き出すぞ」

 

 と、反応する。

 

 オールマイトは対峙したときに死柄木の行動をもっともらしい稚拙な暴論や脳無を自慢していた言動、思い通りにならないと機嫌が悪くなる単純な思考から幼児的万能感の抜けきらない子供大人であると断定する。

 

 塚内警部は問題は検挙したヴィラン達がそんな子供大人に扇動されて事件を起こしたということ。

 

「ヒーロー飽和時代に抑圧された悪は無邪気な邪悪に魅かれるのかもしれない」

 

 と言う。

 

 それともう一つ問題は廻流の攻撃により12名のヴィランが生死を彷徨う重体に追い込まれたという点が挙げられた。

 

「防衛の為とはいえ、あれは明らかな過剰防衛であると言わざる得ません。脳無と言われたヴィランに対しても身体破壊を伴う攻撃を繰り返していたのも危うさを感じます」

 

「生徒達の話では手慣れていた感じがするとも言われていました。危険を顧みない精神はヒーロー向きでしょうが、匙加減を誤ればヴィランと同じです」

 

「気になるのはどこで殺しの技術を手に入れたか···彼女自身の本質、いや、何者かの指導があったと思うのが自然かと」

 

 塚内警部の言葉に校長が

 

「彼女には重点的にカウンセリングを実行していきたいと思います」

 

 と締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「復活だよー!」

 

「か、廻流さん!?」

 

「瞳!!」

 

 翌日教室に向かうと皆に心配された。

 

 ヴィランから攻撃を受けて分身がバラバラになって崩れる光景が皆の見た私の最後だったらしいので凄い心配され、三奈や透からは抱きつかれたりほっぺをつけられたりした。

 

 するとミイラみたいになった相澤先生も入ってきて復活早えと皆更に盛り上がる。

 

 しかし、相澤先生は淡々と

 

「俺の安否はどうでもいい、雄英体育祭が近づいている」

 

 そう言った。

 

 雄英高校襲撃事件が起こっても体育祭は行うらしい。

 

 雄英体育祭は昔のオリンピックと同じ日本を熱狂させる春の祭典になっており、ここでの成績によっては将来の進路も変わってくる大事な行事である。

 

 ヒーロー社会の威信もあり開催しないわけにはいかないらしい。

 

 開催まで残り2週間···相澤先生は励めと激励してくるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「···で、あんた誰なの?」

 

 放課後、私の後ろに先生達の様に立つ存在が居た。

 

『あらあら、元気なお嬢さんな事、私は胡蝶しのぶ。死んだと思ったんですけど···なんか呼ばれてしまったみたいね』

 

「命の危機に反応した? それとも個性が成長しているのか? 先生達は実は消えてはいない?」

 

『もしもーし、自己解決しないでもらえますかー』

 

「あ、ごめん。簡単に説明するとしのぶさんだっけ? 貴女から見たら異世界で、私の個性···特殊能力みたいなので魂が呼ばれたのだと思う」

 

『嘘は言ってないみたいですね。しかしこの世界には異型の者とかがいっぱいいるみたいですけど、鬼では無いのですね』

 

「鬼? ···まぁ家で世界観をすり合わせましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

『なるほど、個性というので大きく発展した世界ですか』

 

「しのぶさんの話だと大昔の話だね···知っている名前は無いかな」

 

『なるほど、私的には元の世界に帰りたいのですが···』

 

「うーん、それは難しいかな。私の個性だと異世界の死人を引き寄せるっぽいし」

 

『そういうものですか』

 

「そういうものです。暇だったら私に稽古をつけてくれない? しのぶさんの鬼退治じゃないけど、こっちも悪い人を捕縛したり倒したりするのに少しでも鍛えないといけないし」

 

『うーん、確かに働かざる者食うべからずという言葉もありますからね···少し教えましょうか』

 

 そう言うとしのぶさんは全集中の呼吸という技術を教えてくれた。

 

『辛い呼吸ですが、覚えれば身体能力が上がり、私の世界では強靭な鬼を退治するために必須技能でしたから覚えることはできるでしょう。はい、頑張れ頑張れ!』

 

「分身使っても滅茶苦茶難しいんだけど!」

 

『普通の剣士でも覚えるのに年単位かかりますからね。はい、吸って吐いて···』

 

 雄英体育祭までに間に合わなかったが、新しい技術を覚えさせられ始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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