『はい、頑張りましょうね!』
しのぶさんのトレーニングはとにかく肺を鍛える。
本体である私は山に籠もって修行中。
学校へは分身を行かせてとにかく鍛えていた。
上手く吸えてないと叩いてくるし、剣の稽古も木刀でバシバシ叩いてくる。
私が武装色使えなかったら痛いんだぞ!
『全集中の呼吸は常にやることで一番効果を発揮しますけど、一時的でも筋力を強化することに繋がります。私みたいに元から筋力が足りない訳では無い廻流さんなら強烈な一撃を食らわせることができるでしょう』
「鬼の首を斬るための技術だけど、私がやったら普通に傷害致死罪で捕まるからね」
『まぁそこは廻流さんの匙加減ということです。体育祭でしたっけ? それも近いのですからほら頑張れ頑張れ』
「うぎぎぎぎ」
というか山で酸素が薄いのもあるけど大岩を押すトレーニングが凄くキツい。
念とかチャクラを使わない素の筋力でやれって言ってくるし···
『これが終われば柔軟に素振り1万回もやりましょうか』
「う、うっす」
体育祭までの2週間、私は毎日ボロボロになるまで鍛錬するのだった。
なんか分身の方は放課後にカウンセリングを受けているが、そんなに私のメンタルは不安定なのかね?
そんな事を考えながらトレーニングを続けるのだった。
雄英体育祭当日。
分身に控室に行かせて、私は出番が来るまで屋台の物色をしていた。
「たこ焼き、お好み焼き、焼きそば〜!」
買い食いを楽しんでいると見慣れた人が他のヒーロー達とパトロールをしていた。
「おいっす! デステゴロさん! パトロールですか?」
「お? 廻流じゃねーか。開会式どうした? なんで私服なんだお前」
私の姿は白い安めのワンピースを着ており、体育祭参加者には到底思えなかった。
「分身に任せて物色中です。せっかくアルバイトで稼いでますのでお祭りは楽しまないと損でしょ!」
「お前なぁ」
すると横にいた植物っぽいヒーローと美人なお姉さんが声を掛ける。
「デステゴロさん雄英生の子と知り合いなんですか! 教えてくれてもいいじゃないですか!」
「Mt.レディ、お前教えてもサイドキック雇う資金力ないじゃん」
「う、うぅ···確かにそうですけど」
「デステゴロとはどういう関係なのだ?」
とシンリンカムイさんと言うヒーローがデステゴロさんに聞いてくる。
「俺が苦学生の支援活動しているのは知ってるだろ? コイツも両親が居ない苦学生でバイトをやってもらう代わりに援助してるんだよ。で、コイツの個性···クロスオーバーっていうんだが、その中に分身を作る能力があるから本体が学校に行っている間に分身に俺の事務仕事を手伝ってもらったりしてる感じだ」
「なにそれ超強個性じゃない! 羨ましい!」
「ちなみにMt.レディさんでしたっけ? 分身の経験は本体にフィードバックされます! なので学習能力が分身の数だけ倍々になってくんですよね〜」
「はー! ズルじゃん! 良いなぁ! 流石雄英の生徒! 個性強強じゃない!」
「分身の強度を聞いても良いか?」
「シンリンカムイさんでしたっけ? はい、分身は普通の人間の致命傷くらいのダメージを負ったら消えます。実験したんですけどトラックに撥ねられたくらいでは消えません。鍛えてるんで!」
「デステゴロ、彼女の事務能力ってどれくらいある?」
「市役所と警察署にヒーロー活動の日報や事件時の活動報告書の作成はできる。流石に被害が出た場合の損害手続きはやらせてないが」
Mt.レディが
「十分じゃない! 日常の書類業務の9割はそれなんだから···あ! デステゴロさんが最近パトロールの時間が増えたのってそれが理由ね!」
「まぁそうだ」
「いいなぁ~いいなぁ~」
「ちなみにお二人は事務所がこの近くで?」
シンリンカムイは事務所は無いらしく、最近は静岡県で活動しているらしい。
Mt.レディはバリバリ雄英高校近くでヒーロー事務所を構えているらしい。
「雄英体育祭で活躍した子を職場体験に誘ってコネを作る! 雄英高校との繋がりがあればその子や後輩をサイドキックとして雇いやすくなるからね!」
「職場体験かぁ···もし複数箇所選べるんだったらお二人の手伝いをしても良いですか?」
「え! 来てくれるの?」
「ええ、正直現場活動よりも事務仕事をまずは覚えてしっかりとした活動基盤を作れたらいいなぁと思っているので、若い先輩方とコネを作ったほうが後々活かせないかなって思いまして」
「俺は良いが、Mt.レディだと多分雑用押し付けられて終わりだぞ」
「おい! そこ変な事を吹き込まない! 大丈夫、私は頼れるお姉さんヒーローだから!」
「公共物破損及び器物破損でお前貧乏なくせに?」
「う、うぐ···デステゴロさん言わないでください」
そんなこんなで、ヒーロー達から名刺を貰い、事務所のあるMt.レディさんの方を体育祭後優先的に職場体験に行く約束をした。
もし2箇所以上大丈夫ならシンリンカムイさんの方にもお邪魔するつもりだ。
3人と買い食いをしながらパトロールに同行していると分身からそろそろ入場と連絡が入る。
私は分身と入れ替わって体操服に着替える。
そんな最中に轟君から私と緑谷君に対してなんか宣戦布告され、緑谷君が
「僕も本気で取りに行く」
と宣言。
なんかバチバチしているが、私は私の実力が出せれば良いなぁと思いながら入場するのだった。
「今時の学校ってこんなに大きいんですね」
「いや、こんなに大きいのはうちの高校だけだから」
「高等学校に女性が通えるとは良い時代になりましたね」
「いや、いつの時代の話?」
しのぶさんは私の分身に憑依してもらい、変化の術で生前と馴染み深い姿になっていた。(帯刀は勿論してないが)
それを補助する分身も1名、先程のヒーロー達と喋っている分身1名と2学年、3学年のステージを観るためにそれぞれ1名ずつの合計5体の分身が動いていた。
チャクラ総量は削られるけどまだ1年だから優勝も狙うが、今後の経験を得るための行動も心がける。
「あ、入ってきましたね」
「本当だ! 本体頑張れー」
プレゼント・マイク先生が実況しながら入場してくるクラスを紹介する。
まぁヴィランに襲撃された1-Aばかりが注目され、他がおまけ扱いの贔屓実況はどうかと思うが···
『宣誓、私達選手一同は···』
本体が入試成績1位だったから無難な選手宣誓を行い、競技が始まる。
ミッドナイト先生が主審として今回行う予選ステージの競技を説明する。
ちなみにこの体育祭では2回の予選と本戦ステージがあり、1回戦の予選ステージは1学年丸ごとを振るいにかける競技、2回戦は本当にランダム、本戦は毎年恒例トーナメントのタイマンバトルとなっていた。
ちなみに個性の使用は許可されているのでこれほどまでに盛り上がっていた。
『第一種目はこれ! 障害物競走』
11クラス総当たりでステージ外周の4キロのコースをいかに速く突破できるかと言う簡単な物。
まぁ多分外のギミックがめちゃめちゃなんだろうけど。
「本体勝てるかな」
「1位でなかったら修行の量を倍にしませんとね」
「あはは」