スタートと同時に皆狭い入口に密集する。
私は壁を走れるから良いけど、他の人はぎゅうぎゅうで大変そうである。
するとパキパキと凍りつく音がしたので壁を蹴って月歩に切り替えると、最前列にいた轟君が後方の人をまとめて足元を凍らせていた。
壁も冷気を伝って凍っている。
足をついていたらアウトだった。
あっぶな。
1-Aの皆や他のクラスのヒーロー科、個性を使い慣れている普通科、サポートアイテムで轟君の妨害を回避したサポート科等、思ったよりも最初の攻撃を回避していた。
「月歩だと空を駆けれるけど地面を走るよりもスピードがでないんだよねぇ」
地面に降りた私はシュタタと普通の走りに切り替える。
轟君は足元を凍らせてスケートの様に走り、それを空中飛行や機動力のある選手が追いかける形になる。
ちなみに私は現在7位ってところかな?
スタート位置が後ろなのが少し響いている。
少し走るとなんか入試に出てきた巨大ヴィランロボット(ロボインフェルノ)が大量に出てきた。
「流石にこれは危ないから全部退かすか」
武装色、念による強化、チャクラによる肉体強化の3重強化により腕が紫色に変色する。
「キーングパーンチ!」
振りかぶった拳が固まっていたヴィランロボットをぶち抜く。
目の前のロボットはパーツがバラバラになって吹き飛び、他のロボット達も拳圧で遠くに飛んでいく。
バラバラと脚の部分の残骸だけが残り、ロボットインフェルノの大群は綺麗に消え去っていった。
実況席ではプレゼント・マイクと無理矢理連れてこられた相澤先生が解説をする。
「お前の生徒どうなってるんだ! イレイザー(相澤先生のヒーロ名、正式名称はイレイザー·ヘッド)! 大量に居たロボット達を吹き飛ばしちまったぜ!」
「まぁアイツの怪力ならやれないことは無いな」
「さぁ、廻流の一撃により障害が無くなったぜ! 先頭との差は僅か!」
「次はザ·フォールか」
「落ちるのが嫌なら這いずりな! 綱渡りだ!」
先頭の轟や飛行可能な爆豪、常闇、機動力のある飯田、瀬呂が突っ込んで行くが、先程大暴れした廻流がロープを猛ダッシュしている。
「コイツはクレイジー! ロープの上を猛ダッシュ! 廻流は恐怖を感じないのか!?」
「アイツの体幹なら落ちないだろうな」
「あれは体幹の問題じゃねーだろ!」
次々に突破していき、先頭は轟、爆豪、廻流の3人に絞られた。
「いや~流石轟君と爆豪君だね」
「うっせえぞカスが! 筋肉女! 着いてくるんじゃねぇ!」
「ちっ! まだ引き離せねぇか」
『最終関門一面地雷原!! 怒りのアフガンだ!!』
プレゼント・マイク先生の実況が聞こえてきた。
地雷原がそこら中に張り巡らされているらしい。
「まぁこのフィールドなら私が有利だね」
私は速度を落とさずに駆け抜ける。
抜かせねぇと爆豪は飛行しながら、轟は後続に道を作るが、氷の道を作り起爆しないようにして走り抜けていく。
「雷遁の術ってね!」
私は足に雷遁で微量の電気を流してセンサーを誤作動させた地雷を爆豪と轟の邪魔をするように起爆していく。
「あはは、じゃあねー」
先頭を奪うとそのまま駆け抜けようとすると後方から大爆発が発生。
見聞色で何かが飛んできた事を確認し私は抜かされまいと起爆覚悟で剃で地雷原を爆破よりも先に突破し最後の直線に入る。
後ろから3人···轟君、爆豪君に緑谷君が追いかけてくるが、私の方が足は速く、ゴールの会場に1番乗り!
『ゴール! 1着はド派手なパフォーマンスを決めた廻流瞳だぁ!』
「ブイブイ」
とVサインを掲げる。
ジュルルとナタデココタピオカカルピスミックス1リットルというジュースを飲みながらモニターを観ていた分身の私が本体が1位通過したことをデステゴロさん達に伝える。
「イェーイ」
「おぉ、すげーな」
「え! ロボット大量破壊してたけどどうやったの? クロスオーバーって個性って怪力もあるの?」
「別に隠してないんで言うんですけど異世界の技術を覚えられる個性なんですよね。あの怪力は実はトレーニングで身につけた技術なんですよね。まぁそんな個性だって小学生の時の個性届けの担当の先生が認めてくれなかったんで機能の1つの分身の個性で届け出を出してましたけど」
「凄い個性だな。オールマイト並みのパンチじゃないか?」
「だと良いんですけど···いやーまいったまいった。本体はどこまで手札を見せるんでしょうね」
「手札って?」
Mt.レディさんが聞いてくるので軽く答える。
「例えば一見怪力に見えたロボットを吹き飛ばした一撃なんですけど、3つの技術の複合技なんですよね。クラスメイトには分身を見せてますけど、他のクラスの子には分身も見せてないからどこまで手札を見せるかなって」
「他にどんな事が出来るの?」
「火を噴いたり、水を出したり、土壁を作ったり色々できますよ。纏めて忍術って言ってますけど」
「忍術か! かっこいいね」
「あ、次の競技始まるみたいですけど休憩ですよね。待機室に入って良いですか?」
デステゴロさんのサイドキックだから関係者席に入っても問題ないだろってことになり、休憩室のモニターで見させてもらうことになった。
本体のやってることを解説しろよとも言われた。
「次の競技は騎馬戦、参加者はチームを組んで自由に騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と一緒だけど、各自に予選1回戦の入着順にポイントを割り振るわ!」
ミッドナイト先生の説明によると予選通過人数42名のうち、42位が5ポイント、41位が10ポイントと言う風に5ポイントずつ上がっていき、1位の人には1000万ポイントを与えると言われた。
ちなみに作られた騎馬の合計ポイントが1つのハチマキになるらしい。
まぁ1位の1000万ポイントのハチマキを奪い取れば勝利が確定する。
ハチマキは首か頭に巻かないといけなくて、手で引っ張れば簡単に取れるようにマジックテープ式になっていた。
チーム決めのターンになり、私は積極的に声をかけたが、1000万ポイントは誰からも狙われるからと三奈や透からも遠慮されボッチに。
ムカついたのでミッドナイト先生に騎馬自前で用意しても良いか聞く。
「騎馬を自前でって?」
「こうやります」
ドロンと分身が出現する。
「個性使っていいなら分身しての騎馬もありですよね!」
「うん! 面白いからOKにします!」
ということで分身3体のオール廻流という布陣で挑む。
「個性ありの残虐ファイト! ただし騎馬の崩し目的の悪質な攻撃は1発レッドカード! 退場処分よ」
ちなみに騎馬が崩れたりしたら直ぐに立て直さなければならないし、騎馬から離れて攻撃する場合、空中機動に限り10秒間以内に騎馬に戻ればOKと他にある程度ルールがある。
とりあえず私は私達で行くと決めたので防衛に徹して、取られたら即反撃する方針で固めるのだった。
見回りのヒーロー達の休憩室でその様子を観ながら私は相変わらずナタデココタピオカカルピスミックスジュースをストローでチュウチュウ吸っていた。
「この雄英体育祭って、ヒーローの気構え云々よりも、ヒーロー社会に出てからの生存戦略のシミュレーションをしているな」
と、デステゴロさんが言う。
続けて
「ヒーロー事務所が犇めく中でおまんま食っていくには時には他所の事務所を蹴落として活躍しなきゃならねぇってのが障害物競走だろ。で、今回の騎馬戦は商売敵とはいえど協力しなきゃならねぇ事案も腐る程ある」
と言い切り、Mt.レディがそれに反応し
「自分の勝利がチームの勝利になるから持ちつ持たれつの関係になるのかしら···サイドキックとの連携、他所の事務所との合同個性訓練···プロになれば当たり前の生きる術を今やらなくちゃならないんだから、そりゃ雄英高校が名門と言われますわ」
と言う。
「本体はそこんところ全く考えてないね。なまじ個人で万能だから周りと組めなくて苛ついたから分身して1人で騎馬作ってるし」
「俺等の話を聞いておいて良かったな廻流。万能な個性持ちほど他所のヒーローとの連携を疎かにしてキャパオーバーになって潰れるか殉職···場合によっては災害時に致命的なミスをする。あんまり他との連携って選択肢を切るとヒーロー社会で長生きはできねーぞ」
「気をつけます」
シンリンカムイは
「しかし、分身によるマンパワーの解決、あの怪力···確かに連携よりも自己解決した方が良いように思えてしまうのも分からなくはないがな」
「あー! シンリンカムイさん学生だからって甘いこと言ってる! 好感度稼ごうったってそうはいきませんよ!」
「Mt.レディ、お前···そういうところだぞ」
そうこう言い合いをしていると騎馬戦が始まるのだった。
原作との違い、騎馬戦のチームは2名以上4名以下ってなっていたが、主人公分身できるので変更。