「飯飯!」
あれだけ買い食いをしてもお腹が空くのだから身体って不思議。
昼食はデカ盛り丼を食べているが、周りに居た雄英生からドン引きされていた。
「そう言えばクラスのメンバーと逸れたけど···まぁええか」
私は食事をかきこみエネルギー補給を敢行する。
「なぁお前廻流瞳だろ?」
「ん?」
目の前には先程騎馬戦をしていた心操君という普通科唯一の本戦出場者が立っていた。
精神に影響する系の個性っぽいな。
まぁ私には効かないけど。
「今何かしたよね?」
「···効かねぇかヒーロー科ってこれも防ぐのかよ」
「私が特別なんだよ。何したの?」
「俺の個性は洗脳でな。返事をした相手を操る事ができるんだが···効かねぇか」
「いーの? 君のアドバンテージを捨てることになるかもしれないけど」
「実験したんだ。これくらい言わねぇと悪いだろ」
「なかなか良い心がけじゃん。そんなあなたには私の私のおにぎりをしんぜよう」
「いらねーよ」
「あらそう」
パクリとおにぎりを食べる。
「なんで防げたんだ?」
「正直に答えてくれたから私も正直に答えると、幻術の耐性が有るから···かな」
「幻術?」
「まだまだ私には個性があるってこと。やろうと思えば心操君みたいな事も出来るんだよねぇ···それの対抗策の技術も持ってるって感じかな···私スキルマニアだし」
「よくわからねぇが本戦に当たらない事を願うよ」
「でも良い個性だね。ヴィランを捕縛するのに良さそうじゃん。無力化のスペシャリストだ」
「···今までそんな事を言われたことはなかったな。いつもヴィラン向きの個性って言われてな」
「そう? 個性なんて使おうと思えばどんなのでも悪用できるし、有用にもなる。私は薬みたいなものだと思ってるよ。まぁ私は劇薬の部類だろうけど」
「廻流の個性は複合的過ぎてわからなかった。怪力かと思えば空を飛ぶし、土壁出すし分身するし、観音様を出すし」
「でもこれ全部個性由来ではあるけど技術なんだよね」
「技術?」
「そ、まあでも私の手札は人よりも多いけど、それだけ努力してきたってこと。心操君はもっと食べて鍛えないと駄目だよ。個性頼りではヒーローはやってけないからね」
私は食べ終わり、食器を片しに向かうのだった。
「なにしてるの皆」
「峰田さんと上鳴さんに騙されましたわ」
午後の部が始まるとなんか私以外の女子メンバーがチアコスをしていた。
そんなトラブルがあったものの、レクリエーションも終わり、最終種目のガチバトルが始まる。
ただ心操君に操られていた尾白君とB組の庄田君が出場を辞退し、人数の関係で1名繰り上がり、話し合いでB組の鉄哲君が出場することになった。
合計16名。
公正な抽選の結果、私の初戦は上鳴君に決まった。
上鳴君に勝てばサポート科の人か飯田君のどちらかに当たる。
ま、誰が来ても負ける気は無いけど!
「ルールの確認よ! 相手を場外に落とすか行動不能にする。もしくはまいったと言わせてもかちのガチンコバトル! 怪我上等! リカバリーガールが待機しているから道徳倫理は一旦捨てなさい」
と、ミッドナイト先生の宣言で行われる。
プレゼント・マイク先生が追加で、命に関わるようなのは糞だと言い、場合によってはセメントス先生がストップをかける場合もあると言われた。
そんで始まった1回戦、まずは緑谷君と心操君だが、最初は心操君の洗脳が決まったかに見えたが、土壇場で緑谷君が指を個性で暴発させて痛みで洗脳を解除して勝利。
続く轟君対瀬呂君は轟君が会場の半分を氷漬けにする広範囲攻撃で一瞬で決着。
そして私の番になった。
『1位1位と底しれぬ複合個性! 正直個性が複数個あるんじゃねえのか? 廻流瞳VSスパーキングキリングボーイ! 上鳴電気!』
「面と向かって喋るのは初めてだな廻流」
「なになに、心を乱そうとしてる感じ上鳴君?」
「いや、そういうんじゃなくて···もし良かったら体育祭後に飯でもいかね?」
「あー、ナンパか、そんな感じか···まあ良いよ反省会なら付き合ってあげる」
「悪いな、俺が一瞬で決めてやるよ!」
バチバチと放電準備を始めた。
「それでは試合開始!」
ミッドナイト先生の宣告で試合が始まった瞬間に一瞬で距離を詰める。
「死を恐れるなかれ、ゆっくりお休み」
バチンとクラップスタナー···猫騙しを上鳴君にぶつける。
人間の意識には波長があり、波が敏感な時ほど刺激に敏感になる。
緊張、速攻で決めようという決意、私がいきなり目の前に現れた恐怖、驚き···視線を私の言葉による口に誘導し、手を叩く動作を一瞬で決める。
見聞色の覇気で相手の心音を聞き、意識の波長をある程度予測できる私に殺せんせーが教えてくれた必殺技。
『ヌルフフフ、意表を付くのは大切ですよ廻流さん』
殺せんせーの声が聞こえた気がした。
膝から崩れ落ちた上鳴君は駆け寄られたミッドナイト先生に気絶による敗北を言い渡され、私が勝ち上がる結果になった。
「何をしたの! 瞳ちゃん!」
A組の皆が座っているところで透に何をしたのか聞かれた。
「クラップスタナー···猫騙しだよ」
「え? 猫騙し?」
「そう。猫騙しで相手の意識を奪った。これは個性が全く関係ない技術だよ」
やろうと思えば指パッチンでもできるが流石にそれは言わない。
「まあ個性を使わなくても戦える技術は持ってるんだよねぇ次も面白いことをしてあげるよ」
「今私、瞳ちゃんが対戦相手じゃなくて本当に良かったと思ったよ」
そんな私の次の対戦相手となる飯田君対サポート科の少女は飯田君騙されて、サポート科の生徒の発明品の説明に使われ、散々弄ばれた挙げ句、満足したらサポート科の少女が自ら場外に出て試合が終わった。
逆サイドの試合も行われているが、飯田君をどうやって倒すか考える。
飯田君は脚力が自慢だ。
エンスト覚悟の高速移動をされたら、流石の私でも瞬発勝負で負ける。
「となると次魅せるとするなら防御力かな」
なんか麗日さんと爆豪君の試合で観客のヒーローが爆豪君にブーイングしているけど、麗日さんの目が死んでおらず、逆転の一手として爆豪君が爆発させて破壊したフィールドの破片を浮かせて、それを空中から落とすことで気を引き、その間に爆豪君に触れることで浮かせようとしたが、爆豪君が破片を全て爆発で吹き飛ばして策を潰した。
まあ浮かせたところで爆豪君は爆発の勢いで空中戦ができるので負けが決まっているような試合ではあったが···。
2回戦が始まり、緑谷君対轟君の試合となり、緑谷君が指をバキバキに折りながら、轟君の猛攻を相殺していく。
轟君の弱点は氷だけ使うと体温が冷えて動きが緩慢になるところ···炎を使えば一発で解決するのになぜ使わないのか私にはわからない。
舐めプ?
それか手札を温存したいか···私も手札を全て切ってないからなんもいえないけど···。
「君の力じゃないか」
緑谷君がなんか叫ぶと、轟君が炎を使い始めた。
今まで冷却されていた空気が一気に熱を加えることで膨張し、強力な風が発生し、セメントス先生のストップが入った。
風によって緑谷君は吹き飛び場外、轟君が勝ち進むのだった。
私の番になり、飯田君と対決。
飯田君は先程の試合でフラストレーションを溜め込んでおり、私に対して手加減無しで行くと言われてしまった。
試合開始と同時に突っ込んでくる。
「武装色硬化!」
飯田君の蹴りを硬化した腕や足で全て防いでいく。
「なんて硬さだ!」
飯田君がボソリと呟く。
チャクラで軸を固定しているので絶対に動かない。
飯田君が服を掴んで引っ張っても、私はびくとも動かない。
「何キロあるんだ君は!」
「レディに体重を聞くのは失礼だよ」
覚悟を決めてエンスト覚悟のレシプロバーストというリミッター解除技を使ってきたが、突っ込んでくるタイミングに合わせてみぞおちに蹴りを入れた。
体をくの字にして飯田君は倒れ込んでしまい、飯田君の体操服を掴むと思いっきりぶん投げた。
飯田君は悶絶していて動くことができず、場外に投げ出されるのだった。