爆豪君と常闇君が逆サイドで勝ち進み、ベスト4が出揃った。
準決勝···最初の試合は私対轟君だ。
轟君が少しぼーっとしている。
「緑谷君に何か言われた?」
「廻流か···悪いな、試合に集中しねぇといけねぇのに」
「なに、轟君は今成長しようとしているんだから別に気にすることはないよ。私自身も何度も悩んだことがあったからね」
「そうなのか···」
「まあ何を悩んでいるか知らないけど、私は勝つけどね」
「試合開始!」
ミッドナイト先生の合図で轟君は氷の一撃を私にやってくるが、私は事前に印を結んでおき、火遁豪火球の術で氷を溶かしていく。
「幾つ手札を持ってるんだ!」
「私自身わからないな···まあ15年の集大成じゃない?」
轟君の呟きに、剃で一気に近づいて耳元で囁く。
「ちっ!」
轟君は腕を振るって氷を発射するが、動揺しているのか動きが怠慢である。
私は凍りつこうが武装色の覇気や念で内部までは凍らないと確信していたので轟君の腕を掴み、一気に投げ飛ばす。
轟君は氷の壁を作って場外に出るのを防ぐが、動きが止まった一瞬を飛び膝蹴りで腹部に当てる。
「かはっ!」
「流石に鍛えているね。これで倒れないとはなかなか···うーんやっぱり出力の調整が難しいな。先生達の技術は基本殺しばっかりだから」
「何を···言ってる」
「いやね、正直に言うと私は皆が羨ましいんだよ···親が居てさ···私は幼い時に親を亡くしてから個性による幽霊達に育てられた。爺さん婆さんもボケが入っていたから上手くコミュニケーションできないし···だから鍛えることしか楽しみがなかったんだよねぇ」
「皆がゲームや遊んでいる中、私は勉強と修行ばかり···まぁそれが楽しかったんだけど親からの愛ってのがわからないんだよねぇ」
「ねぇ轟君の親はエンデヴァーらしいじゃん? どんな親だったのかな?」
あ、地雷踏んだな。
「うるせぇ! アイツの名前を出すんじゃねぇ!」
氷の出力が上がる。
私は勿論氷漬け···まあ効かないけど。
バリバリと氷の中を破壊しながら進み、外に出る。
「悪いね、地雷踏んじゃったぽい! ごめん! 代わりに私の必殺技で貴方を倒す」
バチバチと腕から黒色の稲妻が出始める。
武装色の覇気が漏れ始めた。
念による強化とチャクラによる身体強化も入れる。
「キングパンチ」
一瞬で氷が全て吹き飛び、拳圧で爆風が吹き荒れる。
轟君が氷の壁を作って飛ばないようにこらえていたが、それすらも吹き飛ばして外壁に叩きつけた。
「轟君場外、廻流さんの勝利」
ミッドナイト先生がそう言うが、外壁もベコベコにひび割れており、直撃でなくてこの威力かよと観客含めて戦慄していた。
決勝戦は爆豪君で筋肉女ぶちのめしてやると意気込んでいるが、劣化百式観音でぶっ叩いた。
爆豪君は爆風と持ち前の戦闘センスで逃げ回るが、百式観音の九十九乃手による殴打で場外に吹き飛ばして勝利を収めた。
「て、てめえ筋肉女!」
爆豪君は大技発動前に吹き飛ばされて不完全燃焼でこちらに突っ込んできたが、審判のミッドナイト先生が個性を使って無力化して終わりとなった。
優勝が決まり、表彰式が始まる。
オールマイト先生がメダルを持って登場し、入賞した4名にメダルをかけていく。
私の番になり、ボソリと
「強大な個性は本当に1つの個性なのかな」
と質問されたので
「ええ、まあ全て(技術として)後天的な物ともいえますが」
と答えると凄い難しい顔をされた。
最後にオールマイトは閉会の挨拶を行う。
「この場の誰にもここに立つ可能性はあった! 御覧いただいた通りだ! 競い、高め合い、更に先へと登っていくその姿! 次世代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!」
「皆さんご唱和ください! せーの!」
皆プルスウルトラだと思ってたのに、オールマイトだけお疲れ様でしたと叫んで、なんとも締まらない終わり方をするのだった。
「やはり彼女が継承者と見て間違いないだろうね」
オール・フォー・ワンは特殊な病室でドクター相手にそう呟く。
「全盛期オールマイトの8割というところか? しかし複数の個性はなんじゃ?」
「継承する個性だぞ、オールマイトというバグで個性が変質した可能性がある」
「なるほどのぉ···」
「ドクターハイエンド脳無の製造を急いでくれないか。今の弔では彼女の暴力に潰されてしまうだろうからな」
「わかった。しかし、世界各地でテロが起こって強個性の死体が手に入るから素材には困らん。なるべく急ぐことにするわい」
「あとは弔に仲間を集めさせなければな···僕の代わりにするにはまだ悪が弱い」
「後継者の育成に関してもオールマイトに能力があったということじゃな」
「まぁそうだね。腹立たしい事にね。いつも彼は僕の邪魔をする。後継者を潰してオールマイトの顔が歪むのを早く見たいよ」