「廻流さん! 雄英高校の入試どうだった?」
雄英高校の入試が終わり、中学に登校すると色んな人達から入試の様子を聞かれた。
「流石雄英やね。滅茶苦茶金がかかってたよ! 試験場がなんと1つの町並みに広くてそれが複数個あるの! そしてロボット軍団が襲いかかってくる感じ」
「うわ、すげな。藤原高校ヒーロー科の入試は障害物競走だったぜ···流石雄英高校。めっちゃ金かけるな」
教室にクラスメイトだけでなく、他のクラスの人達も集まり、雄英高校の入試について聞いてくる。
それを私は黒板を借りて説明する。
皆もまだ受験が終わってない人も多いのに勉強そっちのけで私の話を聞いてくる。
「はいはい、一旦解散! お前らチャイム鳴るぞ」
「えー、先生今瞳ちゃんが雄英の入試問題を覚えてる範囲で教えてくれてるんだけど」
「先生、入試の問題の解説聞いてたほうが今は勉強になると思います!」
「···正直先生も今年の雄英高校の入試問題は滅茶苦茶気になる! でもあそこは偏差値79だぞ! そのレベルの問題は一般入試にはまず出ないから安心しろ」
「「「ブーブー」」」
「はい、解散解散!」
ホームルームが始まり、入試時期なので授業は無く、各自自習となる。
廻流は先生に呼ばれて校長室で校長先生、教頭先生、学年主任、担任の先生に雄英高校の入試はどうだったか色々聞かれる。
「座学の方は自己採点しましたけど、全教科95点以上なので大丈夫なハズです。実技ですが、対ロボット戦闘で破壊したロボットの点数が多いほど得点になるテストでしたが、50体近く倒しましたし、ビルより大きいロボットも破壊しましたので手応えはあります」
「「「「おぉー」」」」
と自信たっぷりに言う廻流の言葉に先生方は流石だと言う。
「教師として見てきた生徒の中で廻流さんはダントツに優れているのは間違いない。君が落ちるようなら縁故入学を疑うよ」
校長先生はそう断言する。
「我が校から初の雄英高校ヒーロー科への入学者···そしてゆくゆくはプロヒーローとして皆の導くヒーローになって欲しい」
「任せてください! オールマイトの後釜になれるくらい強くなりますから!」
「期待しているぞ」
先生方から激励されて、入試での疲れを癒しなさいと早帰りとなった。
「ふふふ〜ん」
廻流瞳は大食いである。
施設にいるお爺さんとお婆さんが育てていた畑を引き継いで、師匠達にアドバイスを受けながら作物を育てて、それを他の農家に渡して小遣いを稼いだり、作物を交換して食事を得ていた。
どうしても祖父母や両親が残してくれたお金は限られているので、やれることは自力でやらなければならず、家事は全て自分で行うし、修行で人よりも数倍体を使うので大食いになってしまっていた。
今日は近所の養鶏場のおっちゃんが廃棄する基準外の卵をくれたので、大きなオムライスを作っている。
片方のフライパンでチキンライスを作り、もう片方でオムレツ作って皿に乗っける。
「うん! 今日も良いでき!」
分身達は掃除をしたり、洗濯や風呂掃除をしている間に、食事を本体が食べる。
「本体、雄英高校合格したら住むところどうするの? と言うかこの家を売るの?」
「売るしかないでしょ。お金足りないし···お爺ちゃんとお婆ちゃんには悪いけど···貯金だと1年でショートするし」
「となるとアルバイトした方が良いよね。学生住み込みでバイトさせてくれるようなの無いかな」
「あー、卒業したら引っ越し業者のバイトしない? 事情を説明したら分身含めてある程度稼げると思うけど」
「よし、それでいこう!」
食事を終えた廻流は本棚から師匠達が残してくれた本を読んで修行を始める。
「今日は滝を歩いて登って筋トレして覇気のトレーニングしてマラソンかな···あ、薪割りもしないとか」
廻流は修行をしながら雄英高校から書類が来るのを待つのだった。
雄英高校の教師陣が入試合格者を決める話し合いをしていた。
「実技総合成績出ました」
廻流瞳の点数は敵ポイントが105点、救助ポイントが50ポイントで合計155ポイント···2位に約70点差を付けて圧倒的1位であった。
先生方は口々に総評を語りだす。
「今年は2名もお邪魔のロボインフェルノをぶっ飛ばした猛者が現れるとは」
「思わずYEAHって叫んじゃったぜ!」
「1位の子は動きが凄く洗練されていたのさ! 個性は分身となっているけど、ロボット達を倒した時に糸の様な何かを使っていたし、ロボインフェルノを倒した超パワーを考えると何かの複合個性とも言えなくないね!」
「···」
「オールマイト?」
黙っているオールマイトは廻流の映像を観て嫌な予感を感じていた。
1つの個性とは思えない多様性···それが宿敵と通じているからである。
オールマイトは校長の方を向くと、校長も頷いた。
反対意見も出なかったので廻流瞳は合格となり、次の生徒へと議題が変わる。
校長室にて校長とオールマイトが話す。
「複数の個性···オールマイト、君の宿敵であるオール・フォー・ワンの影を感じたのかな」
「···あの時確かに潰した感覚はあった。ただもしワン・フォー・オールと同じようにオール・フォー・ワンが芽吹いた種だった場合···見過ごす訳にはいきません」
「一応調べた彼女の背後関係は真っ白、ただオールマイトと決戦をする前にオール・フォー・ワンが何らかの関与をしていた可能性も捨てきれない」
「では···」
「彼女はこちらで監視するのさ。オール・フォー・ワンがもし生きていて、何かの策の駒だった場合、雄英なら直ぐに対応することができる」
「1年のヒーロー基礎学に私を主任講師としたのはそれもあってですか」
「ああ、正直完全に白とはボクは断言できない。生徒を疑うのはよろしくないことだけどね」
「わかりました。注意して彼女の事は見ましょう」
「廻流さん、郵便です」
「はーい」
入試から1週間と少し、雄英高校から手紙が届いた。
手紙を開いてみると映像投影機と書類が入っていた。
『私が投影された!』
「お、オールマイトだ!」
『今年から雄英高校で教師をやることになったオールマイトだ。廻流瞳くん、君は筆記、実技文句なしの合格···しかも入試成績は1位の首席合格だ! おめでとう! 雄英高校の先輩として教師として君の雄英高校でのヒーローアカデミアにエールを送る。頑張れ! そしてPlus Ultra! 行こう! 更に向こうへ!』
短い映像だったが、No.1ヒーローのオールマイトから自分が認識されたということがとても嬉しかった。
文字通りのヒーローであり、平和の象徴から名前を呼んでもらえた。
これほど嬉しい事は無い。
自然と涙が出てしまっていた。
「ふ、ふーぅ···とと、書類を確認しないと」
入学手続きの書類や必要な道具が書かれていた。
今が1月下旬、入学は4月···約2ヶ月時間がある。
自由登校期間なので、書類などを持って学校に向かい、皆や先生方に雄英に合格したことを伝えた。
教室ではお祭り騒ぎとなり、先生方も喜んでいたが、住む場所を決めたりするので、卒業式には出るが、基本静岡で物件探し等をしなければならないことを伝えた。
住民票を移したりとか諸々の手続きも色々ある。
その事を伝えると、先生達も協力してくれる事になり、親御さんが居ないし、施設の祖父母も認知症が進行してとても文字を書ける状態ではないので、先生方が親御さんの必要な書類を代筆し、家の売却や売却してから一時的に群馬で生活する時は担任の先生の自宅に泊まる様に言われたりと至れり尽くせりだった。
こうして、私の群馬での生活は終わるのだった。