静岡の雄英高校近くにあるヒーロー事務所引っ越し便のヒーロー宅配丸の前にアルバイト希望の少女が来ていた。
廻流瞳である。
「中学卒業して直ぐにアルバイトかい? 親御さんの許可は取ったのかい?」
「親はいません。死にました」
「···」
「雄英高校に合格したのですがお金が足りないのでどうか働かせてくれませんか! 個性で人の数倍働けます!」
宅配丸は個性欄の分身を見てからじゃああの棚を動かせるかと言います。
廻流は軽々と持ち上げるので合格と言い
「分身は何人になれる? パワーが分散するタイプか?」
「いえ、同じ質量、力の分身を作れます」
「それは上々···こっちは人手が全然足りていないしかきいれ時だ。いつから働ける?」
「今日からでも!」
「よし来た! ここの書類にサインして着替えたら部下の車に乗って現場に行ってくれ。部下が梱包をするからとにかくトラックまで運ぶ! いいね」
「はい!」
「リーダー、あの子凄いっすわ。分身して荷物をバンバン運んでいきますし、梱包教えたら直ぐに出来たんで即戦力ですわ」
宅配丸と社員兼サイドキックの青年が廻流の事を話す。
ちなみに廻流は別の部屋で休憩をしている。
「高校始まるまでこっち来てくれるなら大助かりですわ。1人が10人分の戦力になりますから」
「そうかそうか···日給とボーナスつけよ」
「分身は県またいでも維持できるらしいんで、別働隊にも乗っけていきます? どこの班も人足りてませんし」
「そうだな。その分給料出すとも伝えてくれ」
「わかりました」
廻流は即戦力として雄英高校が始まるまで引っ越しのバイトをして、ある程度まとまったお金を手に入れるのだった。
「ハッハッハッハッ」
雄英高校登校初日。
制服に身を包んだ廻流は日課のトレーニングを終え、朝食を食べてから、少し早めに学校に向かう。
廻流の借りているマンションは雄英高校まで徒歩30分の場所にあり、廻流が本気で走れば3分ほどで到着する。
「相変わらず大きいねえ」
雄英高校の正門から敷地内に入り、どの角度から見てもHに見える4本のビルが連絡通路で繋がっている本校舎に足を踏み入れる。
「えっと1-Aはっと···校舎も広すぎでしょ」
時間以内に見つけることができたのでクラスに入る。
「はいドーン」
ガラガラと3メートルくらいある引き戸を開けると、もう何人か席に座っていた。
「ありゃ、1番じゃなかったか。ちわーっす廻流瞳です。以後お見知り置きを」
と、座っている人たちに挨拶をする。
皆緊張しているっぽいので挨拶をして緊張を解す。
とりあえず私の座席に荷物を置く。
座席の位置は4列あるうちの廊下側の中央列前から2番目。
黒板が見えやすくて結構いい位置ではなかろうか?
横にはピンク色の肌の少女が座っていた。
「ちわー、貴方の名前を教えてくれない?」
「アタシ? アタシは芦戸三奈! よろしく!」
「改めて廻流瞳だよ! よろしく···どこの県出身なの? 私群馬なんだけど」
「アタシは千葉!」
と盛り上がっていると葉隠さんという透明な少女も加わり、3人で各々の中学校トークで盛り上がった。
そうこうしていると始業の時間が近くなったので自分の席に座ると、メガネの男の子とツンツン頭の男の子が揉め始めた。
そして緑髪の少年と麗らかそうな女の子が入ってきてわちゃわちゃしていると寝袋に入った男が教室の入口に近づいてきた。
そして皆の心は1つになった。
(((なんかいる!?)))
「はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」
「担任の相澤消太だ。よろしくね」
相澤先生がそう言うと、次に体操服を取り出し
「体操服着てグラウンドに出ろ」
と言われた。
男女それぞれ更衣室に向かい、服を着替える。
「ん?」
制服から体操服に着替えている最中に私になんか女子陣の視線が集まっている気がした。
「鬼や、肉体に鬼を宿してる」
「すっご···滅茶苦茶鍛えてるじゃん」
「ケロ···個性も肉体系なのかしら」
皆もまだ距離感が掴めてないので呟くだけだが、私の肉体になんか驚いていた。
「普通だと思うけどなぁ」
中学の同級生達は廻流の異常発達した肉体···筋肉の塊とも言える姿を誰も突っ込まなかった。
突っ込む勇気がなかった。
罰ゲームで突っ込もうとした男子が居たが、その時ゴミ拾いで空き缶を親指と人差し指で潰しているのを見られてから、罰ゲームの男子も友人達も誰も突っ込めなくなったというのがあった。
廻流はスマホを持ってないので、知らないが、中学のグループチャットでは廻流の個性が本当に分身なのかとよく議題に上がるくらいには凄い体をしている。
おかげで引き締まっているのに体重が60キロ超えているので、体重減らないなーと廻流は思っていたりする。
まぁそんなこんなでグラウンドに出ると、先生から個性把握テストをいきなりやると言われた。
「入学式は! ガイダンスは!?」
と声を上げる生徒も居たが、相澤先生は
「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出る時間ないよ」
と一蹴。
中学校でやっていた個性禁止の体力テスト8種目を個性ありでやるように言われた。
近くにいたツンツン頭の爆豪君が先生に呼ばれ、中学の時のソフトボール投げを何メートルか聞かれ、67mと答える。
次に個性を使ってソフトボール投げを行う。
すると手から爆発が起こり、空高くソフトボールは飛んでいった。
ボールに内蔵されているセンサーから飛距離を映し出したスマホを皆に見せる。
705.2m···これが個性の使ったテストか。
「まずは自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
と相澤先生が言い切る。
すると生徒達は面白そうとか個性を思いっきり使えるんだと喜ぶ。
ただそれが相澤先生のスイッチを押したのか
「面白そう···か。ヒーローになるための3年間そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい? よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」
と言われた。
廻流は殺せんせーの言葉を思い出していた。
『ヌルフフフ、理不尽というのはいきなりやってきます。それを対処できるかは廻流さんの積み上げてきた努力を手札に、それをいかにタイミングよく切るかが大切になってきます。あとはその場の流れを読むこと。物事の本質を見抜くことが大切です』
(···となると相澤先生の言葉から今できる自分の限界を見せることが大切ということ···かな? いや、先生視点だと個性をどこまで扱えているかの有用性の把握も目的になるか)
先生は続ける。
「自然災害、大事故、身勝手な敵···いつどこから来るかわからない厄災、世界は理不尽にまみれている。そう言うピンチを覆すのがヒーロー」
「これから三年間、雄英は全力で君に苦難を与え続けよう。プルス・ウルトラ、全力で乗り越えてこい」
と、激励した。
この個性把握テストはゼファー先生から教わった六式が凄く相性が良いことに気がつく。
50m走では剃で移動する
『ピピ、1秒75』
ゼファー先生曰く剃の一般的使用者の秒速が25mなのでそれよりも速い。
小さくガッツポーズをする。
「話ってなんですか根津校長」
「まぁまぁ座ってお茶でも飲みながら話さないかな!」
「いえ、座ると貴方話が長くなるので端的にお願いします」
「実は廻流瞳という生徒は複数の個性を持っている可能性が高い。もしくは個性を偽っていると思われるのさ!」
「···入試の映像を見ると俺も同じ事は思います」
「なぜ偽る必要があるのか···それはわからない。だからそれとなく彼女がなぜ偽るのかを調べてほしいのさ!」
「···わかりました」
(初っ端から飛ばしてきたな)
50m走を2秒切るタイムで駆け抜けたのはどう解釈しても分身の個性だけでは説明がつかない。
続く握力でも1トンとかわけのわからん記録を出している。
立ち幅とびも空中を駆ける感じで、50m超えの記録を出し、ソフトボール投げも500mを超えていた。
「っと、そろそろか」
廻流だけでなくもう一人、緑谷の方も見ないといけない。
個性の使い方が0か100で制御できていない。
正直俺は緑谷は入試の段階で落とすべきだと思っていた。
担任を持つ中でも彼の為にも除籍処分をしなければ、命がいくつあっても足りないと思える危うさがあるからだ。
「さて、どうする?」
緑谷君は相澤先生に個性を消され、1投目は平凡な記録、2投目は指をぶっ壊しながら大記録を出したが、なんか爆豪君がキレて、相澤先生に捕縛されてた。(うける)
残った競技も私は殆どを高水準でこなし、結果発表となる。
「んじゃ、パパッと結果発表」
と、相澤先生の掛け声でブォンと映像が映し出され、結果は1位。
「あ、ちなみに除籍はウソな」
相澤先生カミングアウト。
「君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
そう言い、最下位だった緑谷君は除籍を免れるのだった。
「それと、廻流ちょっと来い」
私はなんか呼ばれるのであった。