相澤先生に呼び出された私は体操服のまま、生徒指導室に呼ばれた。
「何かやらかしたかな? いや、変な事はしてないと思うんだけど···」
私は心底心配しながら失礼しますと教室に入る。
すると相澤先生が既にいた。
「単刀直入に言う。廻流、お前個性登録の個性と実際の個性違うだろ」
「ギクッ! ···え? あぁ···それですか」
「逆になんだと思ったんだよ」
「いや、私の本当の個性なんですけど···説明が難しくて···」
「良いから教えろ。こっちとしても指導ができねぇ」
「本当の個性は【クロスオーバー】異世界の死人と交信したり、異世界の技術を使うことができる個性らしいです」
「じゃあなんだ、さっきのとんでもない成績はどれも技術ってことか?」
「そうなります」
相澤先生的には複数の個性を持っているのではないかと疑っていたが、実際はれっきとした1つの個性であることに驚いていた。
「死人との交信は今はできていません。私が中学生に上がるときに彼らは消えてしまったので···」
「···とりあえずお前は追試だ。今日できることを全て確認したい」
「個別指導ってやつですか! やった! 是非お願いします! ···あ、あと相澤先生」
「なんだ?」
「金銭的に余裕がまったくない···というか学費と生活費を稼ぐためにアルバイトしたいのですが···」
「···親御さんが居ないんだったな。わかった。ただ雄英高校としてヒーロー科はアルバイトが原則禁止だ。お前の場合職場体験という形で強引にサイドキックという形でねじ込む事になる。それでも良いな」
「はい!」
ということになった。
今日は皆は先に解散となり、私はそのまま個性把握テストの延長で色々と調べられた。
「忍術に覇気に念···どれも1つだけで個性として成り立つな」
「いやぁ〜、私は才能無いって言われたんで死ぬ気で努力した成果なんですけどね!」
相澤先生に個性を消されても、技術なので普通に忍術も覇気も念も使える。
私の忍術は基本的な属性忍術プラス、必殺技となる螺旋丸と、分身と本体の位置を入れ替える分身転移の術を覚えている。
チャクラ総量が少ないので、少なくても威力が出せる技として螺旋丸は本当に助かる。
あとは土遁の土流壁とかが得意。
覇気は覇王色の才能は無いと言われ、武装色と見聞色と六式は一応できる。
ただ武装色は全身武装色はできるけど見聞色は極めれば短期間の未来視ができるらしいが、そこまではいってない。
最後に念は鍛えているが、発の方向性が、まだ決まってない。
どんなヒーローになりたいかっていうのが見えてこないので、イメージがわかないのだ。
「そもそもどんなヒーローが居るんでしょうか。テレビに良く映っていたビルドチャートの10位までくらいのヒーローは知ってるけど···」
そんな事を呟きながら個性を披露したが、相澤先生もやれることの多さに困惑気味である。
「一応私の師匠達が残した本がありますが読みますか?」
「見せろ」
と言うとアパートで家事をしている分身と入れ替わり、本を回収してからまた分身と入れ替わった。
ドサっと大量の本が置かれる。
「こちらになります」
「随分と多いな」
「私もまだ半分も習得できてませんがね···とりあえずこれとこれとこれを読めば私の技術の基礎を覚えられるかと」
「参考にする」
結局夕方まで拘束され、飯は学食で食べることにした。
「こ、この量が1コインだと!? や、安すぎる。流石雄英高校!」
デラックス定食なんかはカツ、フライドポテト、ハンバーグ、エビフライ、カキフライにポテトサラダと味噌汁、ご飯が大盛りだと2合も盛ってくれる。
それでも500円。
「ここが天国か!」
雄英高校の食堂は6時までやっているので、ここで食べて帰るって選択肢があるのがありがたい。
しかもランチラッシュ先生のおすすめ定食だと、余り物で美味しい物を作ってくれるのでありがたい。
でもそれだけだと正直まだ物足りないのでご飯の量を3合にしてもらい食べる。
これだけ食べられれば食費のやりくりがだいぶ楽になる。
バクバクと食べていると
「おや? 見ない顔だね! 新入生かな?」
と、先輩らしき人に声をかけられた。
「俺は通形ミリオ! 君の名前は!?」
「わ、私は廻流瞳です! えっと先輩ですよね?」
「うん! 俺は3年だよ! 相澤先生のクラスの子かな? 入学式には君の様な真っ赤な髪の女の子は居なかったと思うし」
「相澤先生に個性把握テストを受けさせられてました。私は追加で夕方まで個性把握テストの追試をやらされましたが」
「相澤先生だと除籍処分の人が出たりしなかったかい?」
「いえ、最初は最下位の人が除籍処分って言われましたが、嘘って最後に言ってましたよ」
「へぇ、じゃあ今年の1年はよほど見込みがあるんだね。去年は最終的にクラス丸々の除籍処分をされていたからね」
「そうなんですか···じゃあ今年はラッキーですね!」
「こうして出会ったのも何かの縁だ。何かあれば頼ってほしい」
「はい! 中間テストとか期末テストの過去問とかできれば借りれますか?」
「ああ! 構わないよ」
「やったー! ありがとうございます!」
通形先輩と連絡先を交換してこの日は終了した。
「おはよー」
「おはよう! 瞳ちゃん!」
「瞳おはよー」
「三奈に透もおはよー、いやぁ参った。追試受けたわ」
「でも凄い記録バンバン出しててすごかったね! というか筋肉凄すぎでしょ!」
「それ思ったわ! 瞳の筋肉ガチガチじゃん! 背中に鬼が宿ってたよ」
「いやー、お恥ずかしながら鍛えるくらいしか趣味が無いもので···」
「でもどんな個性なの? 純粋なパワー系には見えなかったし」
「ふふふ、なんと忍者の末裔なのだ!」
「「えぇー!」」
「冗談冗談、でも忍者っぽいことができるよ。火を吐いたり、土壁を作ったりもできる」
「ええ! 万能個性じゃん」
「羨ま!」
「まぁでも師匠達曰く、私には才能があまりないらしいから努力するしかないんだけどね」
「え? それで才能無いとか師匠何者?」
「えっとタコっぽいマッハ20で動く暗殺者と伝説の忍者と海軍の大将と伝説の格闘家?」
「それは嘘でしょー」
「これは本当なんだけどなぁ」
「えー?」
そんな事を話していると時間になり、座席に座り、ホームルームが始まる。
午前中は普通の授業、五教科を満遍なくやる。
ちなみに今日は英語、数学、国語、社会の授業だった。
初日はガイダンスとかかなーと思っていたが、最初に授業計画のプリントを渡されて、直ぐに授業が始まった。
殺せんせーのおかげで授業内容は予習をしていた範囲なので、復習感覚で授業を受けられる。
昼は食堂で学食を食べる。
三奈と透を誘って学食を食べたが、私の山盛りの食事を見て少し引いていた···悲しい。
そして午後からはヒーロー基礎学!
オールマイトが授業を受け持ってくれるらしい。
「わーたーしーがー! 普通にドアから来た!」
本物だとか昔のコスチュームだとか色々皆言っているが、私が感じたのは
(あれ? めちゃくちゃ弱ってない?)
見聞色とか念とかで相手の体の様子···心音とか血の流れとかがなんとなく分かる。
しかし、オールマイトは体中の血液の流れだったり、臓器とかが凄い違和感があった。
まるで病人である。
(ああ、私達の平和はこの人の犠牲の上で成り立っていたのか···犠牲の上に成り立つ平和···)
ふとゼファー先生の声が聞こえてきたような気がした。
『正義ってのはどうしても犠牲の上に成り立ってやがる。だがなそれを苦しいと思ってはいけねぇ。それを見せないで笑顔で頑張るのがヒーローってやつだ』
(···なら、楽をさせてあげないと)
ヒーローになって金持ちになりたいなぁとぼんやり思っていた私はオールマイトに師匠達の様な親近感を抱くのたった。
師匠達が誰かにとってのヒーローであったように···