前日譚のようななにか。

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ただの書き殴りみたいなもん。


闘争と言う名の

 俺の人生はクソだ。

 ガキの頃からそう思っていたし、今でもそう思う。

 一人で路地裏の残飯を漁ってたのが一番古い記憶なのだから、その後もお察しだ。

 北米エリアのとある大都市、その一角。掃き溜めたゴミが山を築いたかのようなスラムで俺は育った。

 治安は最悪と言っても問題はないだろう。

 酒と煙草、男と女、血と硝煙、暴力にクスリ、これらの言葉をグチャグチャに混ぜて煮込んだような場所だからだ。

 そんな犯罪の温床で子供一人が無事に育つのかといえば、実は意外と育ったりする。

 ガキはガキで徒党を組むからだ。

 一人ひとりでは無力な存在でも、数が揃えばそれなりの力になる。

 生きる為に群れを作る。そこに動物も人も関係無い。

 生きる為に。ただ、生きる為に。

 だが、それだけではやはり獣と変わりは無かった。

 自然と集まった俺達は、残飯を漁り、泥水を啜り、身を寄せて眠りにつく。

 しかしそれだけでは当然満たされる筈もなく、与えられる事がないのであれば、次に奪う事を覚えた。

 水や食料、衣類に寝床その他諸々、生きる為だと言い訳をしつつ。

 だがそうやって他者と関われば軋轢が生じる。

 奪われた者、羨む者、邪魔な者。利用する者。あらゆる外敵から身を守る為に暴力を手にする。

 生きる為に。

 殴る、蹴る、叩く、投げる、振るう、そして撃つ。

 暴力が暴力を呼び、その規模は拡大する。

 相容れない他者、交わることのない群れを打ち倒すまで。

 そしてそんな流れができれば、もう止まることはできない。

 更に大きな力によって潰されなければ、終わることはない。

 それが、人間が自ら鉄とコンクリートの檻の中に閉じ籠もってすら変えることのできない、大自然の掟だった。

 そして。

「――――」

 とうとうやってきた最後の時。

 何時からか、予感だけはしていた終わりの瞬間。

 分かっていても、避けられなかった終点。

 血と泥で彩られたボロボロの身体を地面に投げ出し、もはや立ち上がることすら出来ないまま、俺は曇天を見上げていた。

 何が悪かったのか、とか、どうしたら良かったのか、とか。そういったことも無くはないが、それよりも心の内を占めるのは、"まあ、こんなものだよな"という、納得だった。

 諦観もあるだろうが、因果応報、相応の報い、そう思う比重のほうが強かった。

 なるべくしてなった、それが全てだ。

 やはりどこまで行っても俺の人生はクソで、それを変えられなかった、変えようともしなかった俺も、やはりクソだったのだろう。

「――――」

 まともに焦点を合わせることすら難しくなっていく視界の中、灰色の空の下で鴉が飛んでいるのが映った。

 大空を自由に舞う黒い鳥。

 まあ、実情としてはそれ程自由という訳でも無いだろうが、それでも俺よりかは気持ちよく生きているのではないだろうか。

 ……もし"次"があるのなら、今度は(レイヴン)のように――。

 

 

☓☓☓

 

 

 ある通信記録より一部抜粋。

『こちらB班、生存者を発見。外傷多数の重傷。瀕死ではあるが欠損無し。延命処置後に回収する』

『了解。検体は十分数確保できた。そちらが戻り次第撤収作業を始める』

『了解した。残りはどうする? 一応、頭と胴体が無事なのは散見出来るが』

『大丈夫だ。回収しなくて問題無い。後のことは"消毒班"に任せればいい』

『手筈通りだな。……しかしこいつらも運が無い。今回のこいつらの抗争、うちで仕組んでたんだろ?』

『私語は慎め、と言いたいところだがまあいいだろう。そうだ。スラムの浄化計画の一部として、犯罪者やその予備軍を減らすのと検体確保の為に裏で煽ったのだ。真っ当な所で働けないスラムの住人なんぞ邪魔なだけだからな』

『おーおー、怖い怖い。こいつらだって同じ人間だろうに』

『では、代わりにお前が被検体になるか?』

『まさか、ゴメンだよ。俺達は同じ穴の狢だってのは分かっているさ。自分達の幸せのためなら他人を不幸にするのを厭わない外道だってことはな』

『なら良い。そろそろ処置も終わるだろう。さっさと戻れ』

『あいよ。そういえば、こいつらに施す実験ってなんだったか』

『強化人間計画さ。コーラルを用いた、な』




うちのC4-621は大体こんな感じ、みたいな。

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