植物が好きな男の子。少しシスコンなとこがある。
そんな彼の家庭環境は、どうやら少し複雑みたい。
時系列は失敗の中の正解のあとの物語。失敗の中の正解を読んでから読むと少し楽しいかも。
二作目です。楽しんで。
「おはようございます!」
そう挨拶をした。ここは隣町の警察署の前。ぼくは栗栖 創也。小学6年生。ひまわりが大好き。
「おや、ひとりかい?珍しいねぇ。姫乃ちゃんどした?」
この人は神無月 陽香さん。大体いつもここでぽけーっとしてるひと。
前まではたまにタバコを吸ってむせてる日もあったけど最近はめっきり見なくなった。心なしか身だしなみもきれいな気さえする。
姫乃っていうのはぼくのお姉ちゃん。いつもは一緒に行ってるんだけど...
あ、そうだ、質問に答えなきゃ。ぼくはそう思って言った。
「明日はお姉ちゃんの誕生日なので誕生日プレゼントを買いに来たんです。だから一人できました!」
「ちゃんと言ってきたのかい?」
「もちろんです!困ったときのために連絡手段もあります!」
「そっか。それなら安心だ。いなくなると虚しいからね...」
そう言ってる陽香さんはちょっと悲しそうだった。
「そいえばどこに行くんだい?お姉さんがついて行ってあげよう。君よりはこの辺り詳しいからね。」
「あ、お願いします!実はちょっと一人で行くの怖くて...」
「わかるよ。正直一人はいくつになってもさみしいもんよ。ちょっと待ってな。署長に話しつけてくるわ。」
「わかりました!」
ぼくの返事を聞くと陽香さんは少し笑ってから奥の方の部屋に行った。
そして、少ししたら、もこもこの銀色の毛のコートを着て、左腕には爪みたいなのがついた肘までの長さの毛皮の手袋をつけて出てきた。
「ごめーん!仕事入っちゃったわ。君一人で行ける?地図はもらってきたから〜」
そう言って渡された地図には様々な場所の名前が細かく書かれていて、通ってはいけない危険な道などもリストアップされていた。
「これ頼って一人でいってくれると助かるから私のためにも頑張りな!」
そう言ってぼくの背中を軽く叩いた。ぼくはなんか勇気をもらった感じがして、少し胸を張って買い物にでかけた。
買い物には色んな人がいた。でも毛皮のコートを着てる人なんて誰もいない。
そういえばそうだ。今は夏じゃないか。
どうして陽香さんはあんなにもこもこの毛皮のコートを着てたんだろう?そう疑問に思ったけれど、それよりも先に、お誕生日のケーキを買うのが先だと思った。お姉ちゃんはどんなケーキが好きかな。ショートケーキが好きかな?
お目当てのケーキを買って家にかえろうとすると、通知音がなった。
そこには「早くしなさい!」という文が書いてあった。お母さんからだ。
実はぼくの家にはお父さんがいない。昔津波でしんでしまった...らしい。死体も見つからなかったから遺品の靴が海の方で見つかったからそういう扱いなだけなんだけど。
ぼくがとっても小さな頃の話でぼくは覚えてないんだよね。どんな人だったんだろう。
そんなことを思いながら帰り道を歩いていた。途中、とっても大きな鳥が飛んだ気がした。
そして警察署に着いた。そこにはお姉ちゃんとお母さんが立ってた。
「時間をかけすぎ!どこ行ってたのよ!ケーキ一個にこんな時間かけるなんて!だからあなたは...」
「まぁまぁ母さん。今日は私に免じて許してくれない?私のケーキを買ってくれてるわけだし。」
「まったく...仕方ないわね。」
お母さんは厳しい。それもそのはずだ。お母さんはぼくを目の敵にしてる。理由は簡単だ。僕が養子だから。ぼくを引き取るといったのはお父さんで、ぼくはお父さんの親戚の子らしい。どうするか決める時はとってもモメたらしい。だから実はほんとのお父さんとお母さんは知らない。
お姉ちゃんはいつもぼくに当たるお母さんを止めてくれる。お母さんはお姉ちゃんにはすこし優しい。ぼくは体にある傷跡がバレないようにするので精一杯だ。心の傷も、バレませんように。
そんなこんなで家に帰ってきた。お姉ちゃんはもう成人してお仕事してる。これが意味するのはぼくとお姉ちゃんはとっても年が離れてるってこと。
ケーキはお姉ちゃんとお母さんの分だけ買ってきた。僕の分はなくて良い。お金の無駄だって言うに違いない。
お姉ちゃんには気分じゃなかったって伝えておいた。少し残念そうだったけど、ごめんね...
正直。ぼくはこんな世界からおさらばしたい。でも、そんなことしたら、きっとお姉ちゃんは悲しむ。だから見た目だけでも、元気に振る舞う。
それがぼくのやるべきことだと思うから。そう言いながら二階の自分の部屋に向かった。
朝、ウトウトしながら起きると、違和感に気づいた。
お母さんの声がしない。
ぼくは急いで一階に向かった。すると一枚の紙とずさんに置かれたお金を見つけた。
お金は大体5万円分ぐらいだった。紙には「好きな人ができたのでその人と暮らします」という文が書いてあった。きっとお姉ちゃんへの伝言だったんだろう。
相手の検討はついている。たまにやってきてはぼくをいじめていった男の人に違いない。
私はこれをお姉ちゃんに伝えるか悩んでいた。でも、悩んでいる間に、お姉ちゃんはやってきた。僕はとっさに紙を隠した。
「なに隠してるの?」
「な、なにも隠してないよ...」
「ふーん...」
そう言うとお姉ちゃんは隠してることしかないぼくの手を見て、ぼくよりも力強いその手で頑張って握ってた僕の握りこぶしを開いた。
そして紙の内容を見ると呆れたような顔をした。
「そんなことだろうと思ってたよ...」
お姉ちゃんは続けた。
「いつかはこうなると思ってたから...ちょっとまっててね。」
そう言うとお姉ちゃんは色んな人に電話をかけ始めた。
それを見ているだけだったぼくは、なんかそれが嫌になってお姉ちゃんに話しかけた。
「ぼくにできることってなにかない..?」
少し悩んでからお姉ちゃんは言った。
「後で隣町の交番まで行く時一緒についてきてくれる?」
ぼくは大きく首を縦に振った。なんで隣町までなのかは聞かなかった。そして外に出る準備を始めた。そしたらお姉ちゃんはまた色んな人に電話をかけ始めた。
準備が終わった頃。お姉ちゃんの方も電話をかけるのがおわったみたいだった。
「一応全員から了承をもらったよ。母さんはよっぽど信用されてなかったみたいだね。」
お姉ちゃんは苦笑しながらそう言った。
「行こっか。創也。」
「わかったよ。お姉ちゃん。」
そう言って僕ら二人は隣町の警察署まで歩き始めた。
隣町と僕の街の間に、小さなカラオケのお店がある。最近閉店されちゃったけど、それまではお姉ちゃんが内緒で連れてってくれた。お姉ちゃんの歌は動画みたいに上手いわけじゃなかったけど、とっても好きだった。
そんなことを思っていると、そのカラオケのシャッターが空いていることに気づいた。そして、その代わりに黄色い立入禁止テープが。
お姉ちゃんは聞いた。
「すいません。隣町の警察署の人ですよね。そうしてここに?」
「あぁ...それは...」
そう警官さんが話そうとしていると大きな声が響いた。
「まずい逃げる!」
するとさっきまで話していた警官さんは少し僕たちを守るように手を広げて銃をカラオケの方に向けた。僕たちは動揺しているだけだった。
すると手が翼のようになっていて、足が鳥みたいな大きな人が出てきた。
ぼくはとっさに逃げようとした。でも、足がすくんでしまった。
怖い。とても怖い。今まで見たなによりも怖い。
それは僕らの方を見ると不敵に笑った。そして、こっちへと飛んできた。
するとそれは足でぼくを掴もうとした。
でも、掴まれそうになった時、お姉ちゃんがぼくを突き飛ばした。
そして、お姉ちゃんが代わりに掴まれてしまった。動揺した。あのままだとお姉ちゃんは死んじゃう。
気づいたらぼくの横にはもこもこの銀色のコートに身を包んだ陽香さんがいた。
「くそっ!あそこまで飛ばれちゃ私じゃ届かない!」
悔しそうな顔の陽香さんがいた。ぼくはまだ、動揺していた。
あとちょっとの決意があれば。あとちょっとの勇気があれば。
お姉ちゃんを救えるかもしれない。
そんな考えがよぎった時、僕の右の手のひらの中にはひまわりの種があった。
これでどうにかできるわけが...いや、できる。
「陽香さん...」
「創也くんか...なに?」
「...もしぼくが...あれからお姉ちゃんを離せたら...陽香さんはお姉ちゃんを拾えますか?」
「あぁ...できる。でも、あれから姫乃ちゃんを離させる手段が...」
「...じゃぁ...お願いします。」
「え?」
ぼくは高く、高くとぼうとするそれに狙いを定めて銃を打つようなポーズを取った。
中指と薬指で強く握られたひまわりの種がぼくの腕に根を張っていく。
「まじ...か...そんな事あるかい...」
陽香さんの声が聞こえた。でもそれでも集中を切らさなかった。
ひまわりは太陽の方を向く。同じように、ぼくというひまわりはお姉ちゃんの方に向いていた。
お姉ちゃんは、ぼくの太陽。だから、守る。
決意を決めて、引き金を引くように指を曲げた。
恐ろしい速度で伸びていく長い長い茎が怪物を貫く。それは痛みでお姉ちゃんを離した。
「私が姫乃ちゃん拾えなかったら君の頑張りが無意味だからね!」
そう言って陽香さんがすごい速度で走った。そしてお姉ちゃんを拾った。
ぼくはそれに刺さったままの茎を、自身の腕へと巻き付けていく。それは徐々に僕に近づいてくる。
もう怖くない。ぼくは背中から根っこを進めて左手に剣のように鋭い茎を生やし、手の甲にはひまわりの花を咲かせた。
もがき苦しむそれにぼくは剣を向けて言った。
「来世ではぼくと同じように光合成ができると良いね。」
そしてぼくは、怪物を貫いた。
そんなことをすると、ぼくのそばにみんな駆け寄ってきた。
「君度胸あるねぇ!今すぐ勧誘したいぐらい!将来は異能対策課に来ない?推薦書書くよ!」
そんなことを陽香さんがいった。
「考えておきますね。」
僕はそう返した。そんな話をしているとお姉ちゃんがゆっくり歩いてきた。
「いま...のは?」
お姉ちゃんは困惑した表情で陽香さんに聞いた。
「今のは...異能。プラントっていうのに属する異能だと思うよ。」
僕とお姉ちゃんは一緒によくわかんないっていう顔をした。
「あぁ...これ以上の情報は私達に協力してもらうってことになるけど、いい?」
「こんな危険なことをさせるなんて私は...」
お姉ちゃんの言葉を遮ってぼくはいった。
「いいです。」
「とっても危険だよ?ほんと少しだけど死んじゃった人だって出てる。」
「お願いします。」
「創也...?」
なにか言いたそうな顔でぼくに訴えてくるお姉ちゃんにもわかるように、陽香さんに決意を言った。
「ぼくは、お姉ちゃんがいる限り死にません。お姉ちゃんを守るために、あなた達に協力します。」
「言い切ったねぇ...気に入ったよ!君は今日から異能対策課の見習いにしよう!上司や署長はなんとか納得させるわ!」
警官さんみんなが笑ったなか、一人だけ頭を抱えた。たぶんきっと、あの人が上司なんだろう。
そして、陽香さんは説明してくれた。プラントっていうのは植物に関連する不思議な力らしい。でも、僕のような能力は初めて見たっていうのも言われた。
顔が何故か真っ赤なお姉ちゃんは陽香さんに言った。
「あ、あの、例の件ってどうなりましたか?」
「あーあれね。市長説き伏せて納得させたわ。創也くんの便宜上の課だけ決めたら教えてくれって言われてるけど異能対策課でいいね!」
「何の話?」
ぼくは聞いた。
「住居をこっちで借りてるマンションに変えれないかっていう話されてたのよ。あんたの母から身を守るために...ね。」
よくお姉ちゃんが陽香さんと話してたのはこれだったみたい。
「ほんとは君等に夜逃げしてもらってこっちで守る算段だったんだけどね。君のお母さん勝手にどっかいったらしいじゃん?」
「駆け落ちの話ですか?」
「難しい言葉知ってんね...あぁ姫乃ちゃんは申し訳ないけどこっちで一緒に仕事見つかるまで警官の仕事してもらっていい?」
「大丈夫です。元からそのつもりでした。」
お姉ちゃんはそう言った。
「もしできればなんですが...私も異能対策課に入れませんか?」
「...それは後でさっきの話と一緒に署長と相談しようか。」
陽香さんは少し真剣な顔になった。
「ま、とりあえず君等の新しい家に案内するわ!他のやつとも仲良くしてやって!」
そんな感じで今日は終わった。
今日一日でぼくたちの日常は一変した。でも、なんだかこっちのが良いな。
楽しめたでしょうか。元は罰ゲームでしたが、まぁ...悪くないんじゃないでしょうか。
みなさんが楽しめたならそれで満足です。誤字などは教えていただけると幸いです。
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