乙女ゲー転生モノに出てくる性悪お花畑転生者女を曇らせてみたwww   作:見てアホ女がいるよ! かわいいね

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主人公が空気なのは済まないと思っている。
なのでゴリラと面白おぢさんでメスガキを理解らせます。
性癖を満たしてください。


メスガキ妹を理解らせるRTAはーじまーるよー

 極光が収まり、私と姉を隔てた奔流が無くなる。

 あとに残ったのは祈る姿で微動だにしない姉だった。

 

「姉上っ……無事ですか、姉う──」

 

 私が姉上の身体に触れた瞬間、姉の身体が砂のように崩れ落ちる。

 

「あ、ああ……あああああああアアアアアアアアッ!!!!」

 

 奇跡の代償か、姉の身体はまるで塵のように灰と化していた。

 

「姉上っ……なんでっ…姉上──ああああああああアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

 私は狂ったように姉だったものに縋り付き、それが飛び去らないように掻き集める。

 姉のそばに残ったのは白いベールと白い修道服。そして肌身話さず付けていたロケットだった。

 

 そして悲しむ暇も無く、ローデヴェイクにて異常は起こり続けた。

 

「敵の砲弾が跳ね返ってる……」

 

 絶え間なく城塞都市を破壊せんとした砲弾が、まるで反射したかのように敵軍の真ん中に多大な一撃を食らわせる。

 見ればローデヴェイクの城壁を取り囲むように薄い銀色の光沢を覗かせる透明な壁がそこにはあった。

 

「奇跡だ……」

「すごい、無敵じゃないか……」

「聖女様……!」

 

 私は理解した、理解してしまった。今まで死の淵に佇んでいた人が歓喜の声をあげていることに。

 義兄上はただ茫然としながら、傷一つ無い姿のまま膝立ちになって私と姉だったものを見ていることに。

 姉が生命を賭して残したものがどんなものなのかをまざまざと見せ付けられる。

 

 人々が歓喜の声に震える中、私はそれをまるで絵本の外から読んでいるような疎外感があった。

 

 奇跡なんて要らなかった。救いなんて要らなかった。勝利もこの生も私は要らなかったのだ。

 ただ、姉上だけでも生きていてくれたのなら私はそれで良かったのだ。

 それさえあれば蛮族に蹂躙され、身も心も凌辱され、苦難の中で殺されたとしても構わなかった。私はたった一つの光を守れたことを希望に死ねただろうから。

 

 ──姉は素晴らしくて、美しくて、気高くて……なにより特別だった。

 これが、聖者の死なのか?

 誰かのために懸命に祈り、家族の身を案じその生命をなげうった姿がこれか…?

 こんな風に塵と化すために姉は生きてきたのか?

 

「見ろ、敵が退いて行く……」

 

 姉上の最期の奇跡は、敵軍を諦めさせるには十分であった。あれ程までに恐ろしかった敵の蛮族がなすすべなくローデヴェイクから引き上げていく。

 

「勝った……勝ったんだ……!!」

「聖女様……!」

「良かった、ありがとうございますっ、ありがとうございます!!」

 

 勝利とは何だろう。

 私たちは勝つために何を浪費した。何を失った?

 姉を家臣を領土を多くを失って、得たものは空虚な勝利だけだ。

 

 蛮族(ウルス)が退いて数刻後、ローデヴェイクには千余の軍勢が向かってきた。

 

「義勇軍『雑草の騎士団(ナイト・オブ・ヴィード)』のヘクター・アーレンだ」

 

 筋骨隆々で2メートルばかりはある無精髭を生やした小汚い大男はそう言って自身の身元を明かす。

 

「義勇軍ですか…? 申し訳ありませんが、貴方は諸侯軍でも国軍でもないのですか?」

 

 ローデヴェイクの城壁の外で使者として義兄上はアーレン卿と名乗った大男に相対する。

 

「国軍はすり減って王都防衛のための兵力以外は供給できんからな、ここに居るのは恩赦で牢から出した元罪人と労役のために地方から王都に出稼ぎに来た徴用兵。知り合いの伯爵家から基幹要員として何人か……ってところだ」

 

 ローデヴェイクの援軍に来た兵としては余りにもお粗末にすぎる。よく見れば兵士も小汚く、兵士としてはガラの悪い連中ばかりに見える。

 

「簡潔に聞きてぇ、ここに居たはずの征西軍の別働隊はどこに行った」

「我々を取り囲んでいた総勢二万の軍勢は退きました。失礼ですが、我が国はそれほどに余裕がないと……?」

 

 義兄上は信じたくないとアーレン卿に問を投げかける。

 遅すぎる援軍に皮肉の一つでも投げかけようとしたが、その陣容は余りにもお粗末すぎる。たった千人程度の軍勢であの万軍に挑むとは正気ではない。

 どう見たってアーレン卿も使い捨ての兵力だとしか思えないからだ。

 

「征西軍は総勢十万。ウチ二万はローデヴェイクに張り付かせていたが、八万は王都包囲に参加している。王国騎士団、諸侯連合軍はたった一回の会戦で惨敗を喫した。諸侯は及び腰になり、敵方の調略のせいで兵力の供給も覚束ない状況だ」

 

 義兄上の顔が真っ青に染まる。きっと私も同じ顔をしてただろう。

 王都が包囲されるなど亡国寸前ではないかと。

 逆に言えばなんで滅んでないかと思いたい状況だ。

 

「包囲はまだ続いている。戦争はまだ終わっちゃいない……今度はそっちの番だ」

 

 アーレン卿は義兄上に話を促し、時折質問や考え込むような動作をして、一通り話が終わった後立ち上がる。

 

「そいつ等は退いてねぇ、今から追いかける」

「なっ……正気ですか!?」

「時間がねぇ、アンドルシュと郭文沢の軍勢が包囲に加われば王都の最期まで保っていた士気が砕け落ちかねない。──パルメッ!!」

 

 アーレン卿の判断は素早かった。軍中から一人の小男を呼び寄せると、その場で地図を広げさせる。

 

「はいはい、パルメさんですよ〜」

「パルメ、砲兵部隊が包囲に加わろうと勝負をかけている」

「えぇ〜それ本当なの?」

「俺ならそうする。アンドルシュと郭文沢はオイラト人じゃない。ゾルグ・ハンを見捨てて逃げれば待っているのは死だけだ。勝利の可能性にかけて、王都城門に穴を開けて士気を挫くのにかけるのは決して分の悪い賭けじゃない」

「そんなぁ〜」

 

 パルメと呼ばれた緊張感の無い小太りの小男はやる気なさげに語尾を伸ばしながら発言をする。

 

「アーレン卿、この男は?」

「クリストファー・パーマー、本名クリストフ・パルメ。異国出身の塩の密売人にして政治思想犯だ」

「とんでもない犯罪者じゃないか…!?」

「そんなぁ〜」

 

 義兄上の顔は引き攣っていた。たぶん私も引き攣っていただろう。

 パルメと呼ばれた男は品のない笑みを浮かべながら、口髭を擦る。

 

「パルメさんはね、みんなに生命を長らえるための大切な塩と苦境から救うための教えを授けていただけなのに〜」

「ついでに狂信者だ」

「お近づきになりたくない……」

 

 クリストファー・パーマー、あるいはクリストフ・パルメ。その名前は聞いたことがない。

 塩の密売となれば国家政策に対する重大な違反者だ。

 王国の判断としては肉壁になって死ねというものだったのだろう。しかし、幸か不幸かクリストフ・パルメは生き残っててアーレン卿に重用されている。

 この男は危険だと私の警鐘は鳴らしている。

 

「こいつの話は面白半分に聞いとけ、真面目に聞くと頭がおかしくなるからな」

「そんなぁ〜、我が軍神(ヘクトール)殿はひどいことをいうなぁ〜」

 

 そんな私の警戒心に気づいたかどうかはわからないが、パルメはニヤニヤと笑みを浮かべながら私に手を振る。

 

「僕を連れていってはくれないでしょうか?」

 

 そんな状況の中、義兄上はアーレン卿の軍に志願する。

 

「デュドネイ子爵の子弟、辺境伯家の後継となれば歓迎ではある。教育を受けた知識層は居て困ることはないからな」

「足手まといにはなりません、兵力も今なら多少は融通も利きます」

「馬は残っているか?」

「騎兵五十に歩兵百五十程です」

「歩兵は要らん。選別して騎兵五十に歩兵五十の計百にしてくれ。大掛かりの兵士を食わすほどの糧秣はこっちにもねぇんだ」

 

 千人を食わせるだけでも軍事行動は多大な兵糧を消費する。

 補給の備えを危険視しアーレン卿は受け入れる軍を百人を限界とした。

 

「私も行かせてくれ」

「は?」

 

 じっとしているわけには行かなかった。何かをしてないと心が押しつぶされそうだったから不意に声をあげただけのことだった。

 アーレン卿もまさか私が声をあげるとは思わなかったのか、困惑し怪訝な顔を浮かべる。

 

「……嬢ちゃん、歳はいくつだ?」

「──八年とすこしばかりだ」

「論外に決まってんだろ」

 

 確かに成人すらしていない身ではある。だが、私の能力は騎士にさえ劣るものではないのだ。その程度の自負は備えている。

 

「そういうことじゃねぇよ、俺は子供に地獄を見せてぇとは思わねぇんだ」

 

 しかし、アーレン卿は私の覚悟を一蹴する。

 

「戦場を華やかな舞台だと思ってんのなら大間違いだ。いかに効率よく敵を殺すか、いかに相手を苦しめるか。そういう場所だ。勝利のためならば殺戮すら認められる非道の世界が俺達の行く世界だ」

「わかっている」

「わかった気でいるだけだ。世の中にはわからなくても良いことだってある」

「私の戦いは終わってないんだっ!!」

 

 アーレン卿は私の言葉に眉を寄せ睨みつけるかのような表情を見せる。

 アーレン卿は良識のある人間なのだろう。真っ当な人間なのだろう。厳しい言葉の裏側には他人に対する思いやりがある。

 

「──私はっ、この悲劇の理由を滅ぼしてやりたいんだ!!」

 

 姉上を奪った原因を、姉上の死の理由を、倒すべき悪を討ち滅ぼす。

 そうでなければ意味がない。

 姉上の死には意味があったのだと、あの悲劇を無意味にしないためにも、二度と悲劇を起こさないためにも。

 

 こんな苦しい思いを誰かに押し付けるようなことを、その摂理を私は滅ぼしてやりたいんだ。

 

「あ゙ー……」

 

 アーレン卿は乱雑に自分の髪を掻きながら、参ったかのようにうめき声をあげる。

 

「貴方の負けだね〜軍神殿(ヘクトール)

「うるせぇ髭チャビン。俺ぁ口喧嘩はよえーんだよ」

 

 アーレン卿に茶々をいれるパルメとそれまでの威圧的な雰囲気を霧散させるアーレン卿。

 

「俺の指揮下に入るなら必ず守ってもらうことがある。一つは命令には絶対に従え、もう一つは余計なことはしないことだ」

「それは……当然のことでは?」

 

 軍事組織において上意下達は原則にして基本である。

 

「いいや、お前は俺に抗命したくなる。そして、そいつぁ人間として正しいことだ」

 

 自嘲するように、アーレン卿は冷笑する。

 

「戦争はクソで、それに参加する奴らは全員外道だ。そいつを忘れちゃあならん。それだけは、覚えておいてくれ」

 

 まるで、美しいものを穢さないように。アーレン卿は私を突き放した。

 

「まずは、飯の調達からだ……」

 

 その理由を私はまざまざと見せ付けられる。

 

「徴収だ。出せるだけ金品と飯を出せ」

 

 ドサッと、都市ローデヴェイクに入り父上の前に深く腰掛けたアーレン卿は威圧的な雰囲気を漂わせて宣する。

 

「話が急過ぎる、いきなり出せと言われようが……」

「なぁ、辺境伯。これはお願いじゃねぇんだ、命令だ。確かに俺の部隊は義勇軍だが、俺は王国から派遣された正規の騎士だぜ? 王国貴族なら王国の意に反するなんてそんなことしねぇよな?」

 

 アーレン卿は側にいるパルメに王弟直筆の任命状を掲げさせ、父を恫喝する。

 本来であれば通らない。父は辺境伯でアーレン卿は男爵家の子弟でしかない。戦時ということもあり騎士として任命されてるものの本来であればアーレン卿は木端貴族でしか無いのだ。

 それを王弟直筆の部隊長として任命する書状一つで黙らせている。要は王族の権威それ一つだけで自分の意志をゴリ押そうとしているのだ。

 

「そのようなことはない」

「なら良いんだ、協力してくれるな辺境伯。まずは俺等の腹を満たしてくれるだけの糧秣と幾らかの金品で構わねぇ」

「だが、我々としても余裕があるとは──」

「城塞都市を構える以上、平時においても籠城や災害に備えて3ヶ月分の常備はあるだろう」

 

 アーレン卿は鋭かった。

 

「兵士の数もすくねぇな。多くの将兵が死んだだろう……その分を差し引けばかなりの備蓄はあるんじゃねぇか」

「遺族のこともある」

「父親と息子が死んだんだろ? 食い扶持が一人ないし二人減ったな。余裕がある」

 

 怒りを滲ませ、父上は机を叩き立ち上がる。

 

「巫山戯るな貴様っ!! 人の心が無いのかっ!!」

「辺境伯、落ち着けよ。俺ぁ、必要な話をしてるんだぜ?」

「彼らは家族のために土地のために戦友のために命をなげうったのだぞ!! 彼らの残された遺族に報いないで、どうして死後の安寧を得られようというのかっ!!」

「知らねぇよ、そいつぁ辺境伯の仕事だろう? 俺の知ったことじゃあない」

 

 アーレン卿の言うことは横暴である。身を削りながら王国のために戦った辺境伯家に対してさらなる身を削れと言うのだ。

 反発しないはずがない。

 

「辺境伯。これは略奪じゃない、徴収だ。なぁ、俺は穏便に済まそうって言ってんだぞ。まさか、千余人の暴徒を解き放つことが利益だと思ってんのならとんだ阿呆だな」

「貴様っ……」

 

 そう、アーレン卿率いる『雑草の騎士団(ナイト・オブ・ヴィード)』はローデヴェイク市内に入っている。多くは都市の宿屋や空き家。もしくは広場にてテントを広げて暫しの休息を取らせている。

 この手配はパルメと義兄上の手腕で行われた。

 

「二つに一つだ。このまま俺等と争って自滅するか、快く供給に応じてくれるか。どっちが得かわかるよな」

「……辺境伯家を敵に回してただで済むと思っているのか、卿は」

 

 負け惜しみだろう。父上にとってアーレン卿と争って得することは何もない。それこそ蛮族に利する結果になることは目に見えている。

 そしてアーレン卿は父上の放った言葉に耐えられないかのように大声で笑う。

 

「そんな未来のこと、俺ぁ考える余裕はねぇな」

 

 思えばこの時から──いやもっと前からアーレン卿は覚悟してたのだろう。

 その道の先が破滅に向かって落下する崖の上と知りながら、それでも引き返すことなく突き進む人がいる。

 私はそういう人を知っている。一人はアーレン卿でもう一人は姉上だった。

 

「どうしてあのようなことを……」

 

 ローデヴェイクを出て、パルメと行軍の経路を確認していたアーレン卿に私は尋ねる。

 

「士気が崩壊するからだ」

「士気……ですか」

「軍と暴徒の違いは組織的行動の有無と言える。そいつには様々な要因があるが最も防ぐべきなのは兵士たちの士気を崩してしまうこと(モラル・ハザード)だ」

「モラル・ハザード……」

「人間は追い詰められると破れかぶれの行動に出る。覚えはないか?」

 

 その言葉にふと浮かんだのは義兄上とともに大砲を装備した蛮族の軍勢に立ち向かった兵士たちと大司教の姿だった。

 

「人を動かすのは3つある。一つは大義……自分が正しいと信じ、多くの者が価値観を同じくする独善。一つは名誉……自身が得られる虚栄心を満たすもの、あるいは死後の安寧を保証する信仰とも言える。まあ大義とセットみてぇなもんだな。最後、こいつが一番大事だ……利益」

「利益……信賞必罰ということですか?」

 

 失敗には罰を、功績には報奨を。軍の原則の一つだ。

 

「応、間違っちゃいねぇ……ただな、騎士団なんて名を打っちゃいるが、この軍は寄せ集めの民兵でしかねぇ……そして、俺の資金力で報奨が出せると思うか?」

「……まさか」

 

 いや、まさかそんな……だってこの男は王族からの任命状を貰ってるぐらい信用されてるはず……。

 

「指揮官クラスは多少なりとも学がある伯爵家の陪臣家系の次男三男だ。だがな、俺の軍の内実は元罪人の囚人と、地方から労役のために徴用された田舎者。そして貧民窟でたむろってた明日飯が食えるとわからない無職たちだ。──そいつ等が空手形なんて信用すると思うか?」

「ひぃぃぃぃぃ……」

 

 つまり、そういうことだ。

 『雑草の騎士団(ナイト・オブ・ヴィード)』は常に金品の供給を保証しなければ勝手に自壊して暴徒化する刹那主義の寄せ集めでしか無い、ということだ。

 アーレン卿が父上に言っていたのは脅しではない。ただの事実でしか無いことに私の口から悲鳴が漏れ出る。

 

「常に目の前に餌をチラつかせなければ走らない駄馬ばっか、ってことだ。走り続けなければ俺たちは死ぬ。生きるためには狂奔し続けるしか無い。それが『雑草の騎士団(ナイト・オブ・ヴィード)』だ。……これ、内緒だからマジで誰にも言うなよ?」

 

 私は眼の前が真っ暗になった。




こんなクソみたいな軍で100倍の戦力を撃退したゴリラがいるらしい(ネタバレ)
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