乙女ゲー転生モノに出てくる性悪お花畑転生者女を曇らせてみたwww   作:見てアホ女がいるよ! かわいいね

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ゴリラと聖女編が終わったので、
新章クソ女と王子編に入ります。
俺達の曇らせはこれからだ。


王都籠城編
心が汚ぇ貴族なのか?


「行けーッ!! 勝てーーーッ!!!!」

 

 目を見開き、喉の奥底から声を響かせる。

 

「差せーッ! 殺せーッ!! おらァ! そこだ叩け叩けッ!! いけ、いけいけいけいけいけーーーーッ!!!!」

 

 握りしめた紙束がくしゃりと音を立てて折れる。そんなことを気にせず、私は眼の前の光景に取り憑かれるように彼の名を叫ぶ。

 

「フランドルーーーッ!!!!」

 

 ウォルコット伯爵家産駒馬、フランドル。

 ウォルコット伯爵家が丹精込めて育てた青鹿毛の牡馬はウォルコット伯爵領が主催するレースにおいて三着という名誉に輝いた。

 

「俺の勝ちだ」

 

 なんで負けたのか、明日までに考えておいてください。というように見事に一着を的中させたゴリラはやれやれと指に挟んだ馬券を揺らしながら肩をすくめた。

 

「こんな、こんなことが許されていいの!? あんまりよ…。オェェェェ……」

 

 握りしめたフランドルを一着で予想した馬券がただの紙束と化し、気持ちの悪さにより、私はえずき始める。

 

「っぱ、ハリがちげぇよ。言っただろ、アルゲントゥムは来るってよ」

「こんなゴリラに目利きで負けるなんて……」

「マーシュも良い騎手だが、コーウェンは近衛騎兵随一の馬術の使い手だぞ。相手が悪ぃな」

 

 悪いか……! 贔屓の馬に一点賭けすることが悪いか……!

 

「ひ、ひひひ……フヒヒヒヒ! わ、私のフランドルは最強なのよ。つ、次よ……次こそ勝ってみせるわ……ふひひひひ……」

「お前、目が血走ってるぞ?」

 

 なにがアルゲントゥムだ! ただの芦毛の馬のくせに銀色なんていう小洒落た名前つけやがって……!

 こちとら競馬の本家本元のウォルコットぞ……。王族所有の馬だとしても容赦はせん……!

 

「競馬の元締めで一番儲けてんだろ? そもそも馬券なんて買う必要あるのか?」

「はーっ!? 貴様ーっ、私のフランドルを愚弄する気かぁっ!! これはね、私の夢なのよ!! フランドルは私の夢を乗せて走ってるのよ!!」

「……競馬は金儲けの手段とか言ってなかったか?」

「記憶にございません」

 

 人間は贅沢をして暮らしたいものである。

 そのために必要なのは金である、マネーとも言う。

 現代日本という世界を過ごした記憶のある私にとって、金儲けの手段はいくつがある。

 しかし、数多くの金儲けの手段の中から、私は競馬を選んだ。理由は簡単である。一番楽だからだ。

 

「貴族にとって馬はステータス! レース場を建てて馬を走らせるだけで金になる! 賭博によって射幸心を満たし、その元締めになって平民たちから根こそぎ金を貢がせてもらうわ!!」

「心が汚ぇ貴族なのか?」

「楽できるところは楽するのが人間よ」

 

 完璧な計画である。ゴリラの疑問に腹が立つが、所詮ゴリラの戯言である。無視しときゃなんとかなるものでしかない。

 

 そして、この計画は私の予期せぬ形で大成功を収めることになる。

 

 馬は貴族にとって重要な財産である。

 生き物なのだ。世話をしているだけで金がかかる維持費を考えれば平民なんかはおいそれと簡単には飼えないし、田舎の農村社会じゃ馬なんかは共有資産である。

 

 だからこそ、この競馬事業に参入するためにはある程度懐に余裕がある。もしくは軍備に金をかけている貴族であることがステータスとなっている。

 

 そして貴族というのは元々は辺境において力を持っていた地主層に当たるのだ。

 優れた名馬を持つということがそのまま貴族の評価に直結する。

 

 それに加えて副次的な効果があった。

 それすなわち騎手の存在である。馬術は貴族にとって基礎的な技能にあたる。競馬事業において優秀な騎手は貴族にとって優れた後継者、あるいは優れた家臣を持っていることの証左だ。

 他人に対して自身やそれに属するものが優秀だと喧伝しマウントを取ることは楽しいのである。

 

 結果、競馬は上級貴族の新しい社交の場となり政治の世界へとなった。

 

「惜しかったな、マーシュ」

「力及ばず、面目次第もありません」

「フランドルゥーーー!!!!」

 

 我がウォルコット家において最高の育成環境と素質を持つフランドルに駆け寄る私……。

 心の美しい女として動物に好かれる私……。

 フランドルに唾を吐かれる私……なんで?

 

「あ、またフランドルに唾吐かれてらぁ」

「嫌われてるんでしょうね、お嬢様は香水の匂いがキツイですから」

 

 蹴られないだけマシですよ。とマーシュは溜息をついた。

 

「そんなことないわよ!! 私は動物に好かれて──あだ、あだだだだだだっ゙!!?? ちょ、やめ……髪を食うなっ!! 引っ張るなぁっ!!」

「辞めなさいフランドル。腹を壊しますよ」

「そこっ!? 心配するところそこっ!? 私の美しいキューティクルはどうなるのよ!!」

「髪はまた生えてくんだろ」

 

 おかしい、こんなことは許されない……。

 どうして私のまわりの男たちは私を溺愛してくれないのよ!!

 いや、ゴリラに溺愛されるのは嫌ね……。マーシュぐらい顔が整ってたら吝かではないが、基本は伯爵家に仕える木端遺族だからATMとしては下の下なのよね。

 

「おい、フランドルなんか興奮してねぇか?」

「どぅ、どぅ……。落ち着けフランドル。どうしたんだい?」

 

 マーシュはフランドルの(たてがみ)を撫で落ち着かせる。

 ゴリラはジト目でこちらを見つめてきた。

 

「なによその目は、私なにもしてないわよ」

「……まぁ、そう…だが……」

 

 ゴリラは言葉を濁した。え、なに逆に怖いんだけど。こいつが言葉を濁すって何なの? いつもみたいに失礼な物言いはどこに行ったの!?

 

「あーなんだ、これから挨拶回りがあるんだろ? 身体でも洗って、着替えてきたらどうだ?」

「ゴリラ、あんた変なのでも食べた? なんで話逸らすの? なんか私に気を使ってない?」

 

 違ーう! こんなのゴリラじゃないッ!!

 ゴリラはもっと失礼で私に気を遣わずに自分のやりたいことを押し通すものなのにッ!

 

「強く生きろよ」

「なんで?」

 

 同情するならイケメンを紹介しろ。

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 華やいだ中庭にて行われる立食会(パーティ)。ワイングラスを傾け、優雅に喉を潤す私。

 

中々イケるじゃねぇか(なかなはひけるしゃふぇえか)

「物食べながら喋るのやめてくれない?」

 

 品がなく、口にものを詰め込む作業を行いながら私に語りかけるゴリラ。ここはお前の家の食堂じゃないんだが?

 なんで貴族の立食会(パーティ)にゴリラが混じってんだよ! 気品はどうなってんだ気品は!! くそったれ!!

 

「マーシュはどこなの?」

「ン……あっちで婚約者とお前の親父さんに連れられてるぞ」

 

 ゴクンと喉を鳴らし、ゴリラは私の父親がマーシュとその婚約者を紹介している姿を指差す。

 

「指ささない、品がないわよ。まったく……てか、なんで私はクソ親父に放って置かれてるの? おかしくない?」

 

 ネグレクトかな? ここが現代なら法廷で勝ってるのは私なのに。これだから中世は法整備が甘くて困る。

 

「──ある種の信頼の証じゃないかな」

「はっ……!? プリンスオーラッ!!」

 

 直感で理解する。王子のみに許された気品あるオーラと声色。振り向くとそこには第二王子デズモンドが居た。

 

「生まれたときから好きでした……」

「相変わらずウォルコット嬢は突拍子も無いね。冗談として受け取ろう」

 

 私は何時でも本気だが?

 

「すまねぇな、コイツ殿下と会うと馬鹿になるんだよ」

「ヘクター、君もそこそこ不敬だからね。いやまぁ許すけど」

 

 デズモンド殿下はやれやれとこめかみに指を添えながら嘆息する。

 

呵呵呵(かかか)ッ、随分と楽しげに話して居られるようですなぁ殿下」

「ゲッ、クソ爺」

 

 突如現れた老翁に王子は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 鋭い猛禽類のような目に特徴的な鷲鼻。鳩尾にまで長く伸びた顎髭を持つ白髪の古老が無遠慮気味にこちらの会話に混ざる。

 無礼者の総決算セールかなにかかな?

 

「酷い物言いですなぁ! 少しは年寄りを労って貰いたいものですなぁ」

「80超えた妖怪が何を言っているんだか……それに身体を労るなら貴族議会の席を御嫡孫に譲ってもよろしいのでは?」

「呵呵ッ倅が逝ってしまったものですからなぁ、アレはまだ未熟者故、議会と領主の二足の草鞋は厳しいでしょうなぁ。孫に甘い隠居老人としては議会のアレコレは手伝ってやりたいもの故」

「ゴリラ、アンタもなんか言いなさいよ」

「お肉とても美味しい」

 

 インテリジェンスな掛け合いをしている古老と王弟。

 お肉を食べることに必死なゴリラ。どうして差がついたのか…慢心、環境の違い……。

 

「皮肉の言い合いは止しましょう」

 

 2拍ほど手を叩き、侍従服をまとった中年の男が大仏のようなアルカイックスマイルを浮かべて話を遮る。

 

「競馬競技の立食会です。(まつりごと)の話は脇に置いておくべきでしょう。ウォルコット伯爵家の顔を潰すことはありますまい」

「ふむ、それもそうですなぁ。まっことマーウィン侍従長の言い分は正しい」

 

 王国第二王子デズモンド・プラティナム。

 貴族議会主戦派首魁オスニエル・ゴールドスタイン公爵。

 王国筆頭侍従長チェスター・マーウィン男爵。

 

「濃い…濃くない? なんか濃さで負けてない私達っ!?」

「そんなことはねぇから安心しろ」

「出来ないわよ、私はただの正統派美少女よ!」

 

 なんで大物ばかりが集まるんですかね。この美少女である私の美しさに引き寄せられてるのかもしれない。

 

「では、話題を変えて殿下の婚姻の話を……」

「あ、あー聞こえなーい。知らなーい」

「殿下には私が居るじゃないっ!!」

「「いや、それはない」」

 

 殿下と侍従長は声を揃えて否定した。なんで!?

 

「ウォルコット伯の一人娘ですからなぁ。伯爵家を潰してまで嫁がせる意味はありますまい。……というよりそうで無ければ儂の養女にして殿下にくれてやってもよかったのですぞ?」

「臣籍降下するとなれば公爵位にならなければ体裁が保てないでしょう。ウォルコットにとって益よりも負担が大き過ぎます」

「僕はイカれ女と結婚したくない」

 

 おかしい、愛はすべての障害を取り払うものではないのか!? 真実の愛はどこへいってしまったのか?

 

「けどよぉ、無理すれば不可能じゃねぇだろ殿下?」

 

 そんな中、私に援護射撃をするものが居た。そう、ゴリラだ。

 

「いや、確かに不可能ではないが……」

「フランカを取り込めば競馬の権益をそっくりそのまま王家のモノにできる。今後の競馬大会を国営でなおかつ王家の権威付けにできる利益はでけぇんじゃねぇか?」

「ふぅむ、確かにその側面でのみ見れば利益になるでしょうなぁ」

 

 嫌そうな顔を浮かべるデズモンド殿下に競馬権益を取り込むことを理由に婚姻を是とするゴリラ。唸るゴールドスタイン翁。

 状況が混沌としてきた。

 

「しかしウォルコットを潰すのは惜しい、議席が少なくなるからのぅ」

 

 視線をこちらに流しながら口角を吊り上げるゴールドスタイン公爵。

 

「魔剣の小倅、貴様の狙いは知らんが政は不得手と見えるなぁ」

 

 ちげぇ、こいつゴリラの方見てるわ。

 

「わかっている、俺はアンタらのやり方がどうにも迂遠にしか見えねぇ」

「合理を徹底して追求する姿は戦士の領分よ、父親に似たのぅ」

 

 ゴリラはゴールドスタイン公爵から顔を背け、唇を尖らせる。見るからに不機嫌な様子だ。随分と図星に見える。

 

「だが、儂は嫌いではないぞ。魔剣よりか可愛げがあるからのう」

「魔剣ってなに?」

 

 私の一番嫌いなことは、会話に置いていかれること。さも当然のように魔剣という言葉が一般常識化してる身内空間に亀裂をいれることを恐れない女。

 

 だからゴリラ。そんな微妙な顔をして私を見るな。

 

「『魔剣』はあのドゥエイン・アーレンの二つ名だよ」

「ふぅん、アンタの父親って物騒なのね」

「物騒じゃなきゃ木端とはいえ男爵家の乗っ取りなんざ出来るわけねぇよ」

 

 襟足を乱雑に掻きながらゴリラは返答する。

 

「担い手を破滅させる魔性の剣。切れすぎて主人すら食らう名剣。故に『魔剣』なのさ。事実ドゥエイン・アーレンを好んで用いた先代アーレン男爵は彼に家を乗っ取られた」

 

 デズモンド殿下は前髪を靡かせながらドゥエイン・アーレンを評する。

 優秀であり手駒として便利だが、使い続けると手痛いしっぺ返しを喰らう。それ故の異名と言うわけだ。

 

「ふぅん、ちなみに私に二つ名とかあるの?」

「下品姫」

「淫売令嬢」

「おもしれー女」

「喧嘩売られてるこれ?」

 

 上からデズモンド殿下、ゴールドスタイン公爵、ゴリラの順である。ゴリラが一番マシってバグかな? 修正まだー?

 

「他にも『卑銭令嬢』『馬姫』『鸚鵡(オウム)娘』『水頭』などがありますね」

「悪口のバーゲンセールかな?」

 

 マーウィン侍従長は淡々と私に名付けられた二つ名を読み上げる。

 

「そこはかとなくマイナスな二つ名しかなくない? 私ってひょっとして虐められてる?」

「えっ?」

 

 ゴリラ? なんだその反応は?

 まるで私が鈍感系主人公みたいなやつとでも思われてるような目をしているぞ?

 

「だってお前、女の友達いねーじゃん」

「知らないの? 友達ってのは同格の存在じゃないといけないのよ? なんで私が猿と群れなきゃいけないのかしら?」

「そういうとこだぞ」

 

 類人猿にはわからないか、この領域(レベル)の話は……。

 

「話が合わないのよねぇ…ほら私ってサバサバしてるから。やっぱり見識とか、低能たちと話を合わせるのって大変っていうかぁ……」

「さっきまで馬券握りしめてた奴が何いってんだ?」

「ゴリラおまえちょっと黙れ」

 

 すいません、後ろから背中刺すのやめてもらっていいですか?

 

「お前さぁ俺以外に友達作れよ……」

「すみません、友達ヅラするのやめてもらっていいですか?」

 

 何時(いつ)なったの? 私とお前が? 面白いことを言うなぁこのゴリラは。殺すのは最後にしてやろう。

 

「私が飼育員(サ◯シ)でお前はゴリラ(ピ◯チュウ)だろ?」

「俺は馬鹿だが、お前が良くわかんねぇ喩えしてるときは大体照れてるもんだってのはわかるからな?」

「照れてねーしッ!!!!」

 

 そういうの、万が一にも億が一にもありえないっていうか? しょうがないからゴリラの世話をしてやってるっていうか、まあ、懐かれたペットをそのまま飼ってるというかそんなやつだし? 別に絆されたとか、そういうのじゃないし? 私の好みってやっぱり線の細いイケメン系だから、その点ゴリラに惚れるとかそういうのないじゃん。まあ、確かに私のことをある程度肯定してくれるから気分がいいし、雑に扱って本音出せる相手だから気兼ねしなくて済むから話すのが楽っていうのもあるけど。でも好みじゃないし友達ってほど深い仲でもないっていうか?

 

「私達、そんな仲良くないですよね!!」

「いや、仲はいいと思うよ」

 

 第二王子は私の問をバッサリと切り捨てたのであった。

 

「いいんですか!? 私が他の男と仲良くしてて、不安にならないんですか?」

「え、いや全く。寧ろ二人の会話を見てると微笑ましいくらいかな」

「その考え、脳が破壊されているッ!!」

 

 王子はNTR好きだった…?

 馬鹿な……この完璧な美少女である私を独占しようとしないなんて……王子は既に脳が破壊されていたとしか考えられない。溺愛は何処へ?

 王子の考えが私にはわからない……。王子は人の心がわからない……。人の心ないんか?

 

「このねーちゃんおもしれーだろ?」

「うんっ! おもしれー女!!」

 

 そんでゴリラ。お前は何をやっている。

 

「ヘクターッ!! お前レアちゅあんに何を教えてるッ!!」

「おもしれー女かな」

 

 突如として顔を般若のように歪ませ、キレだすデズモンド殿下。そこにはキャッキャッとゴリラの側でピンクのドレスを纏った5、6歳の幼女がゴリラと手を繋いで私を指さしていた。

 

「ああ、これはいけません。レア様、その様に人に指差すのは宜しくありませんよ」

「いいよフランカだし減るもんじゃねぇよ」

 

 ゴリラお前なに勝手に私の価値を決めてるの?

 

「ゴーリラゴリラ、ウホホホホー♪」

「なにその馬鹿みたいな歌……」

「いい歌だろ、俺が考えたんだ」

「ひょっとして脳が溶けてらっしゃる?」

 

 気恥ずかし気に鼻の下を指で擦りながらゴリラは答える。

 幼女に何教えてんの?

 

「ひんっ、レアちゅぁんがアホみたいな歌を歌ってる。きゃわたんっ!!」

「王子のキャラ崩壊してるんだけど……」

「第二王子は身内のことになるとアレですからなぁ……」

 

 ゴールドスタイン公爵も流石に口を濁した。

 あいつ…兄貴がらみのことになると早口になるの気持ち悪いよな……、ということである。

 

「アーレン卿、レア様に妙な歌を教えてもらっては困ります……」

「いいじゃねぇか、誰かを不当に貶めるわけでもねぇんだ。可愛いもんだろ?」

「それに賛成だ、レアちゅぁんの可愛らしさは三国に響き渡る!!」

 

 デズモンドは断言するかのように胸を張りマーウィン侍従長に腕を振るいながら宣言した。

 

「見てくれヘクター。レアちゅぁんのクリクリした目を。僕の調べによるとこの目の形は兄上譲りだ。とても澄んだ瞳をしているだろう? それだけじゃない、髪色。これも兄上譲りだ。兄上とは20年暮らしてきた僕が言うんだ。間違いない、他にも笑うと笑窪ができてそれもまた非常にチャーミングなんだ。これもまた兄上──」

「お前、王太子殿下のことになると早口になるの気持ち悪いよな」

 

 私は吹き出した。みんな思っても言わなかったことを言いやがったからだ。

 ゴリラ…お前、消えるのか……?

 

「私もそう思います」

 

 そして真っ先に同意する侍従長のチェスター・マーウィン。お前はそれでいいのか?

 

「実は儂もそう思う」

 

 流れに乗ってゴールドスタイン公爵も暴露した。

 

「レアはおぢちゃん好きだよ!」

 

 ただ一人、現王太子の娘でありデズモンドの姪にあたるレアだけは持ち前の天真爛漫さを全面に出した好意を打ち出す。

 

「──僕はもう死んでも良い」

 

 キリッとしたイケメンフェイスをふにゃふにゃしながらデズモンドは答えた。

 

「キッショ」

 

 あ、やば。つい本音が出た。




近親にしか興奮できない気持ち悪い弟、略してキモウトです。
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