ガンダムビルド艦隊これくしょんビビッドアーミー 〜ビスマルクとプリンツ・オイゲンの奇妙な…〜   作:星龜

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新しい機体(ガンプラ)


 

控室に戻ってきた深海達―。

 

 

「ガンプラの改造パーツとかって、無いの?

この機体(ガンプラ)反応速度(レスポンス)が悪くてね…。」

と言う深海。

 

MKI(ミカイ)フレーム内蔵ガンプラの操作に慣れきってしまったからか、通常操作だと反応速度(レスポンス)が悪いと感じてしまうのだ。

 

「さすがに、そういうのは無いね…。

クローゼットの中にあるガンプラから、パーツを取るしかないね。」

と教えるミモザ。

 

「どれ…。」

と、クローゼットを開ける深海。

 

なぜか、ビスマルクとプリンツ・オイゲンも一緒に、クローゼットの中を覗きこむ。

 

すると、プリンツ・オイゲンがガンダム[ケストレル]を手にして

「何?

この貧相なガンプラ…?」

と言った。

 

「何だ?

ガンダム[ケストレル]を知らないのか?」

とサキに言われ、うなずくプリンツ・オイゲン。

 

「こいつは2010年から【電撃ホビーマガジン】で連載されていた小説【ADVANCE OF Ζ -刻に抗いし者-】の後半の主人公機で、オークランド研究所が開発した強化人間用のガンダムだ。

胴体と両足に内蔵されているジェネレーターと、それに直結した高出力の推進器を搭載した高機動型モビルスーツだが、元々強化人間用に開発されたから、一般のパイロットでは扱えないモビルスーツだ。」

と説明するサキ。

 

「その設定が再現されているの?」

と訊くビスマルクに

 

「えぇ。

だから、ビビッ島でガンダム[ケストレル]をフルスペックで使えるガンプラファイターはいないわ。」

と言うサキ。

 

「もう少し、話を聞かせて。

私、外伝作品については、あんまり知らないから…。」

と言う深海。

 

「このガンダム[ケストレル]の推進システムなんだけど、とくに胴体のジェネレーターと直結されているバックパックのスラスターは【機動戦士ガンダム0083】に登場する戦艦アルビオンに採用されていたレーザー推進システムを小型化したレーザーロケットが採用されているわ。

さらに、非ニュータイプパイロットの微弱な感応波にも対応できるよう開発された準サイコミュシステム

シャーマン・フレーム

が採用されているわ。

これは、ガンプラファイターの感応波を感知したコンピュータが、戦闘時の機体動作をサポートするの。

一種の思考コントロールシステム

ね。」

というサキの説明を聞いた深海は、不敵な笑みを浮かべた。

 

「レーザー推進システムはともかく、シャーマン・フレームは、私のMKIフレームと同じ物じゃない☆

気にいったわ☆

次からは、それを使うわ☆」

と、プリンツ・オイゲンからガンダム[ケストレル]を受け取る深海―。

 

 

1時間後―。

 

出撃する【デンマーク・ストレート】だったが…

 

 

「うぅぅおぉおぉ…ッ!!」

という深海の絶叫とともに、凄まじい速さで飛ぶガンダム[ケストレル]…。

 

せめて、まっすぐにでも飛ばそうと操縦桿を動かすが、ほんの少し動かしただけで、右に左に動いてしまう…。

 

(こ…この黒野 深海ともあろう者が、このようなことで…ッ!!

やはり、他人の作った機体(ガンプラ)は…

いや…

それは言い訳だ…ッ!!

たとえ、他人の作った機体(ガンプラ)でも、動かしているのは私だ…ッ!!

なんとしても…ッ!!)

と、機動を安定させようと必死になる深海だったが…

 

完全にガンダム[ケストレル]に翻弄されていた…。

 

 

ドム・トルーパー12機からなる、アリス陣営に所属するガンプラバトルチーム【ネオコンスコンフリート】が、メイコ陣営の発電所に向かって進撃していたら、レーダーが前方から接近してくる機影を捉えた。

 

《隊長、敵です!!〉

という報告を聞いたチームリーダーが、正面モニターに表示された敵機のデータを見て驚いた。

 

「な…何…!?

ガンダム[ケストレル]だぁ!?」

 

しかも、無改造のようだ。

 

原作の設定がある程度再現されるビビッ島のガンプラバトルにおいて、ガンダム[ケストレル]を無改造で使うなど、無謀にも程がある。

 

ガン([深海])ダム[ケストレル]は【ネオコンスコンフリート】の頭上を通り過ぎると、そのまま上昇していった…。

 

その後…

 

両手両足を大きく開いたまま、回転しながら墜落していった…。

 

その無様な姿を見て、嘲笑する【ネオコンスコンフリート】の面々…。

 

《隊長、どうしますか?〉

と訊いてくるメンバーに

 

「放っておけ☆」

とリーダーは言って、進撃を再開した―。

 

 

ぐぅッ!!

 

深海は、どうにか、直進させるくらいにはなったが、今度は直進を安定させるのに必死だった。

 

まもなく、レーダーが【ネオコンスコンフリート】の機影を捉えた。

 

「止まっている的をはずす私だと思うかッ!!」

と、一度【ネオコンスコンフリート】をやり過ごし、上昇して上から攻撃しようとして、操縦桿を動かしたら…

 

なっ…!?

 

体勢が崩れ…

 

両手両足を大きく開いたまま、回転しながら墜落していった…。

 

そんな…ッ!?

なぜだッ!!

なぜ、こんなことに…ッ!?

と、機を失速させるという失態に、さすがの深海も焦った。

 

正面モニターに映る、高速回転する景色も、深海の焦りを煽った。

 

(ダメだ…。

モニターを見たら、目が回りそうだ…。)

と思い、目を閉じる深海。

 

(回る…

回転…?)

と考えた時―

 

ふと、脳裏に

『押さば引け

引かば押せ

回れば回れ

流れに逆らうな』

という、女性の声が響いた―。

 

 

深海棲艦との戦争中―。

 

 

深海が鎮守府の提督になって間もない頃、武術教練の教官として、練習艦娘の鹿島が派遣されてきた。

 

武道場で鹿島から柔道の教練をうけたが…

 

(何…ッ!?)

 

鹿島に簡単に投げられ、畳の上に叩きつけられた…。

 

何度やっても、結果は同じだった。

 

鹿島に、まったく手も足も出なかった。

 

幼少の頃、家族と生き別れになった深海は、生きるために様々なサバイバル術や武術を身につけたが…

 

それらは、あくまで独学、我流であった。

 

正式な知識による武術の鍛錬を極めた者からすれば、深海の我流武術など、素人のケンカにすぎなかった。

 

「うふふっ☆

もう終わりですか、提督さん☆」

と言う鹿島を見上げる、畳の上に倒れている深海。

 

「なぜだ?

なぜ、俺はお前に勝てない?」

と、素直に訊く深海に

 

「力任せに来てもダメですよ?

『押さば引け

引かば押せ

回れば回れ

流れに逆らうな』

柔道の極意ですよ☆」

と答える鹿島―。

 

 

(押さば引け…

引かば押せ…

回れば回れ…

流れに逆らうな…)

という、鹿島から言われた言葉を思い浮かべる深海―。

 

すると…

 

ガンダム[ケストレル]のカメラアイが光り…

 

機体各部の姿勢制御スラスターを噴射し、体勢を整えた。

 

(何だ!?)

と、急に体勢が直ったことに驚く深海。

 

それよりも

(私…

何かした…?

 

そう…

 

突然の体勢の立て直りは、深海が姿勢制御操作をしたわけではなかったことだ。

 

その時、深海の脳裏にサキの言葉が響いた。

 

『非ニュータイプパイロットの微弱な感応波にも対応できるよう開発された準サイコミュシステム

シャーマン・フレーム

が採用されているわ。』

 

(そうか…☆

私が思い出した鹿島の言葉にシャーマン・フレームが反応したのね…☆)

と思う深海。

 

深海が思い出した鹿島の言葉

『押さば引け

引かば押せ

回れば回れ

流れに逆らうな』

をシャーマン・フレームが感知し、それを姿勢制御情報に変換したのだ。

 

(そうか…☆

流れに逆らうな…

コイツの流れに逆らうんじゃない…

コイツを私の流れに乗せる

んだ…ッ☆)

と、深海はガンダム[ケストレル]の操作のコツを完全につかんだ。

 

(よし…

いくぞッ!!

と、ガン([深海])ダム[ケストレル]は【ネオコンスコンフリート】に立ち向かっていった―。

 

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