ガンダムビルド艦隊これくしょんビビッドアーミー 〜ビスマルクとプリンツ・オイゲンの奇妙な…〜   作:星龜

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ただ強いだけのチャンピオン


 

クロ([ホワ])スボーンGサイフォスからの攻撃を回避するガン([深海])ダムクロセリアス。

 

〈すっごぉ〜いっ☆

それ、ガンダム[ケストレル]じゃん☆

それ使いこなすって、あなた、強化人間じゃないのぉ〜★》

というホワからの通信を聞いて

 

「少し静かにしたらどうなのよ…ッ!!」

とキレる深海。

 

〈何でぇ〜?

たとえ、ガンプラバトルやってる時でも、コミュニケーションは大事だよぉ〜?》

と、まったく深海の言うことに聞く耳を持たないホワ。

 

(クソッ…!!

アイツの声を聞いているとイライラする…ッ!!)

とキレる深海。

 

(しかし…)

と、ビームライフルを撃つガン([深海])ダムクロセリアスだったが、クロ([ホワ])スボーンGサイフォスは回避してみせる。

 

(腕は悪くないようだな…。)

と、深海はホワの技量を認める。

 

逆に、クロ([ホワ])スボーンGサイフォスの方が、攻撃を当てにきた。

 

使っている銃がピストルだからか、近距離から撃ってくるのだが、それゆえ、やや回避しづらい。

 

(!!)

 

ついに、回避不可能な射線がきた―!!

 

その攻撃を、ビームマドゥで防ぐガン([深海])ダムクロセリアス。

 

(なるほどな…。

どうやら、実力だけはあるみたいね…☆)

と、ホワの技量を認める深海―。

 

 

「ウソでしょ?

提督と互角に渡り合える人がいるなんて…!?」

と、ホワが深海と互角に渡り合っているのを見て、驚くビスマルク。

 

《あの人はホワ…。

この『悠久の地』に住んでいる人だよ。〉

と言うミモザ。

 

《この世界に住んでいる?〉

と訊くプリンツ・オイゲン。

 

《ここビビッ島では、毎年11月に

悠久の地大戦

というガンプラバトル大会があるんだけど…

その大会で決勝まで進んだ『ニュータイプ』には、悠久の地に住む権利があたえられる

のよ。〉

と言うミモザ。

 

「ここって

時の流れが無い世界

って言ってたわね…?

もしかして…!?」

と訊くビスマルクに

 

《うん。

あの人…

悠久の地の住人になって十数年は経っている

の。〉

と言うミモザ。

 

《時の流れが無いってことは…

年もとらないってこと…?

つまり、それって

不老不死

ってことなんじゃ…!?〉

と、興奮気味に訊いてくるプリンツ・オイゲン。

 

《そういう見方もできるね…。

でも、悠久の地の住人になったら最後

元の世界に戻ることはできない

のよ…。

八戦神のもとで、永遠にガンプラバトルを続ける…

ある意味、地獄よりも恐ろしい場所

だよ…。〉

というミモザの言葉を聞いて、絶句するビスマルクとプリンツ・オイゲン―。

 

 

ガン([深海])ダムクロセリアスとクロ([ホワ])スボーンGサイフォスとの空中戦は続く―。

 

 

〈いいわ☆

貴女のような強い人と出会えたのは、本当にひさしぶり☆

貴女の名前、教えて☆》

と訊いてくるホワに

 

「黒野 深」

と名乗る深海。

 

〈わかるわ、黒野…

貴女も私と同じで

勝つことの楽しさを知っている人

でしょ?》

と訊いてきたホワを訝しむ深海。

 

〈ガンプラバトルに限らず、何でもそう☆

勝つって楽しいよね☆》

と、両手に持つピストルを乱射するクロ([ホワ])スボーンGサイフォス。

 

ガン([深海])ダムクロセリアスも、回避できる攻撃は回避し、回避できない攻撃は、左腕に装備されているビームマドゥで防ぐ。

 

〈勝つって楽しい…

楽しいんだよ…!!

嬉しいんだよ…ッ!!》

と、次第にホワの言葉に激情が混じり始める…。

 

〈なのに…

どうして…

みんな私から離れていったの…ッ!!

というホワの叫びを聞いて

 

(やっぱりね…★)

と、あきれる深海。

 

 

十数年前―。

 

ビビッ島に、一人の天才美少女ガンプラファイターが現れた。

 

彼女の名はホワ。

 

【挿絵表示】

 

若干17歳にして、ビビッ島ガンプラバトル大会で優勝し、元世界チャンピオンのリンス*1の再来と、もてはやされた。

 

さらに、『ニュータイプ』に覚醒したことで、ホワの強さは揺るぎないものになったが…

 

しかし、G国ガンプラバトル大会に出場したホワは初戦敗退…。

 

『ニュータイプ』に覚醒したとはいえ

その能力はビビッ島内においてのみであり、島から一歩でも出れば『ニュータイプ』能力は失われる

のだ…。

 

 

それでも、ビビッ島内においては、ホワは無敵のチャンピオンだった。

 

ホワのガンプラバトルの信条は

勝つことを楽しむ

こと。

 

勝つ楽しさを求めるホワの強さに、当初は多くのファンがついたが…

 

次第に、ホワは

勝つ楽しみ

ではなく

自分だけが勝つ楽しさ

を求めるようになっていった…。

 

ファン達は、次々とホワから離れていった…。

 

 

ただ、強いだけの孤独なチャンピオンに、ビビッ島内に居場所は無かった…。

 

悠久の地大戦に参加したホワは『ニュータイプ』能力を遺憾なく発揮し、決勝戦まで勝ち進み…

 

その武勇を八戦神に認められ、悠久の地の住人となった。

 

悠久の地の住人となったら最後…

 

もう、元の世界には戻れない…。

 

しかし、居場所の無いビビッ島に未練は無かった。

 

 

こうして、ホワは悠久の地で、永遠に

勝つ楽しさ

を求め続けているのだ…。

 

 

くだらん★

と、ホワの発言を一蹴する深海。

 

〈な…何が…?》

と訊いてくるホワに

 

「何が『勝つ楽しさ』よ。

そんなの、誰だってそうなのよ。

それをお前は

自分だけの専売特許

だと思っていたから、周りの人たちが離れていったのよ!!」

と言う深海。

 

〈なっ…!?》

と、絶句するホワ。

 

「お前が本当に求めていたのは

勝つ楽しさ

ではなく

自分だけが勝つことの悦び

だったのよッ!!」

と言い放つ深海。

 

〈違うッ!!

私は、そんなことのために戦ってきたんじゃないッ!!

勝つことの楽しさを…

勝つって(たの)しいんだよッ!!

と、右手にビームサーベルを持って突進するクロ([ホワ])スボーンGサイフォス。

 

本音が出たわねッ☆

と、クロ([ホワ])スボーンGサイフォスの斬撃を、ビームマドゥから発振されたビームサーベルで受け止めるガン([深海])ダムクロセリアス。

 

勝つって愉しい

それこそが

お前が本当に求めていたものだァッ!!

と、右足を振り上げ、右足の爪先から発振したビームサーベルでクロ([ホワ])スボーンGサイフォスの左足と左腕を斬るガン([深海])ダムクロセリアス。

 

自分の欲望を正当化するような者についていく者など、いるものかッ!!

と、右肘から発振したビームサーベルで、クロ([ホワ])スボーンGサイフォスの首を斬るガン([深海])ダムクロセリアス。

 

違うッ!!

私は…

私は…ッ!!》

クロ([ホワ])スボーンGサイフォスは、残った右腕に持つビームサーベルでガン([深海])ダムクロセリアスに斬りかかるが、回避され、逆に、ガン([深海])ダムクロセリアスの右肘のビームサーベルで袈裟斬りにされた…。

 

(皮肉なものね…。

自分の欲望に忠実で、正当化する者ほど強いのよね…★)

と、深海は、爆散するクロスボーンGサイフォスを見て、そのように思うのだった…。

 

 

時間切れとなり、撤退していく、生き残った【デンマーク・ストレート】のメンバー達―。

 

 

「えっ?

あの女、チャンピオンだったの?」

と言う深海。

 

《はい。

十数年前の、ビビッ島ガンプラバトル大会のチャンピオンです。〉

と言うミモザ。

 

(どおりで強かったわけだわ★)

と感心する深海。

 

《ホワさんに勝つなんて、深さん、強すぎですよ☆〉

と、深海を称えるミモザ。

 

「違うわ。

あの女は、勝つ愉しさしか知らないような、ただ強いだけのガンプラファイターだったわ。」

と言う深海。

 

《勝つ愉しさ?〉

と訊くミモザ。

 

「あの女は、チャンピオンになったことで、自分の強さに酔いしれていたのよ。」

と言う深海。

 

《ふ〜ん…。

私のお母さんは、そんなことなかったけどねぇ…?〉

と言うミモザ。

 

「へぇ!?

ミモザの母親もチャンピオンだったの?」

と驚く深海。

 

《ビビッ島…というよりも、G国初にして唯一の世界チャンピオンだよ☆〉

と自慢するミモザ。

 

《でも、お母さんは勝つ愉しさなんて、言ったこと無かったね。

勝敗よりも、試合そのものが楽しいって言ってたよ☆〉

と言うミモザ。

 

「そうよ。

それが本当のチャンピオンよ☆」

と、深海は微笑んだ―。

 

*1
ミモザの母親。

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