ガンダムビルド艦隊これくしょんビビッドアーミー 〜ビスマルクとプリンツ・オイゲンの奇妙な…〜 作:星龜
〈すっごぉ〜いっ☆
それ、ガンダム[ケストレル]じゃん☆
それ使いこなすって、あなた、強化人間じゃないのぉ〜★》
というホワからの通信を聞いて
「少し静かにしたらどうなのよ…ッ!!」
とキレる深海。
〈何でぇ〜?
たとえ、ガンプラバトルやってる時でも、コミュニケーションは大事だよぉ〜?》
と、まったく深海の言うことに聞く耳を持たないホワ。
(クソッ…!!
アイツの声を聞いているとイライラする…ッ!!)
とキレる深海。
(しかし…)
と、ビームライフルを撃つ
(腕は悪くないようだな…。)
と、深海はホワの技量を認める。
逆に、
使っている銃がピストルだからか、近距離から撃ってくるのだが、それゆえ、やや回避しづらい。
(!!)
ついに、回避不可能な射線がきた―!!
その攻撃を、ビームマドゥで防ぐ
(なるほどな…。
どうやら、実力だけはあるみたいね…☆)
と、ホワの技量を認める深海―。
◇
「ウソでしょ?
提督と互角に渡り合える人がいるなんて…!?」
と、ホワが深海と互角に渡り合っているのを見て、驚くビスマルク。
《あの人はホワ…。
この『悠久の地』に住んでいる人だよ。〉
と言うミモザ。
《この世界に住んでいる?〉
と訊くプリンツ・オイゲン。
《ここビビッ島では、毎年11月に
悠久の地大戦
というガンプラバトル大会があるんだけど…
その大会で決勝まで進んだ『ニュータイプ』には、悠久の地に住む権利があたえられる
のよ。〉
と言うミモザ。
「ここって
時の流れが無い世界
って言ってたわね…?
もしかして…!?」
と訊くビスマルクに
《うん。
あの人…
悠久の地の住人になって十数年は経っている
の。〉
と言うミモザ。
《時の流れが無いってことは…
年もとらないってこと…?
つまり、それって
不老不死
ってことなんじゃ…!?〉
と、興奮気味に訊いてくるプリンツ・オイゲン。
《そういう見方もできるね…。
でも、悠久の地の住人になったら最後
元の世界に戻ることはできない
のよ…。
八戦神のもとで、永遠にガンプラバトルを続ける…
ある意味、地獄よりも恐ろしい場所
だよ…。〉
というミモザの言葉を聞いて、絶句するビスマルクとプリンツ・オイゲン―。
◇
〈いいわ☆
貴女のような強い人と出会えたのは、本当にひさしぶり☆
貴女の名前、教えて☆》
と訊いてくるホワに
「黒野 深」
と名乗る深海。
〈わかるわ、黒野…
貴女も私と同じで
勝つことの楽しさを知っている人
でしょ?》
と訊いてきたホワを訝しむ深海。
〈ガンプラバトルに限らず、何でもそう☆
勝つって楽しいよね☆》
と、両手に持つピストルを乱射する
〈勝つって楽しい…
楽しいんだよ…!!
嬉しいんだよ…ッ!!》
と、次第にホワの言葉に激情が混じり始める…。
〈なのに…
どうして…
みんな私から離れていったの…ッ!!》
というホワの叫びを聞いて
(やっぱりね…★)
と、あきれる深海。
▽
▽
▽
十数年前―。
ビビッ島に、一人の天才美少女ガンプラファイターが現れた。
彼女の名はホワ。
若干17歳にして、ビビッ島ガンプラバトル大会で優勝し、元世界チャンピオンのリンス*1の再来と、もてはやされた。
さらに、『ニュータイプ』に覚醒したことで、ホワの強さは揺るぎないものになったが…
しかし、G国ガンプラバトル大会に出場したホワは初戦敗退…。
『ニュータイプ』に覚醒したとはいえ
その能力はビビッ島内においてのみであり、島から一歩でも出れば『ニュータイプ』能力は失われる
のだ…。
それでも、ビビッ島内においては、ホワは無敵のチャンピオンだった。
ホワのガンプラバトルの信条は
勝つことを楽しむ
こと。
勝つ楽しさを求めるホワの強さに、当初は多くのファンがついたが…
次第に、ホワは
勝つ楽しみ
ではなく
自分だけが勝つ楽しさ
を求めるようになっていった…。
ファン達は、次々とホワから離れていった…。
ただ、強いだけの孤独なチャンピオンに、ビビッ島内に居場所は無かった…。
悠久の地大戦に参加したホワは『ニュータイプ』能力を遺憾なく発揮し、決勝戦まで勝ち進み…
その武勇を八戦神に認められ、悠久の地の住人となった。
悠久の地の住人となったら最後…
もう、元の世界には戻れない…。
しかし、居場所の無いビビッ島に未練は無かった。
こうして、ホワは悠久の地で、永遠に
勝つ楽しさ
を求め続けているのだ…。
▽
▽
▽
「くだらん★」
と、ホワの発言を一蹴する深海。
〈な…何が…?》
と訊いてくるホワに
「何が『勝つ楽しさ』よ。
そんなの、誰だってそうなのよ。
それをお前は
自分だけの専売特許
だと思っていたから、周りの人たちが離れていったのよ!!」
と言う深海。
〈なっ…!?》
と、絶句するホワ。
「お前が本当に求めていたのは
勝つ楽しさ
ではなく
自分だけが勝つことの悦び
だったのよッ!!」
と言い放つ深海。
〈違うッ!!
私は、そんなことのために戦ってきたんじゃないッ!!
勝つことの楽しさを…
勝つって
と、右手にビームサーベルを持って突進する
「本音が出たわねッ☆」
と、
「勝つって愉しい…
それこそが
お前が本当に求めていたものだァッ!!」
と、右足を振り上げ、右足の爪先から発振したビームサーベルで
「自分の欲望を正当化するような者についていく者など、いるものかッ!!」
と、右肘から発振したビームサーベルで、
〈違うッ!!
私は…
私は…ッ!!》
と
(皮肉なものね…。
自分の欲望に忠実で、正当化する者ほど強いのよね…★)
と、深海は、爆散するクロスボーンGサイフォスを見て、そのように思うのだった…。
◇
時間切れとなり、撤退していく、生き残った【デンマーク・ストレート】のメンバー達―。
「えっ?
あの女、チャンピオンだったの?」
と言う深海。
《はい。
十数年前の、ビビッ島ガンプラバトル大会のチャンピオンです。〉
と言うミモザ。
(どおりで強かったわけだわ★)
と感心する深海。
《ホワさんに勝つなんて、深さん、強すぎですよ☆〉
と、深海を称えるミモザ。
「違うわ。
あの女は、勝つ愉しさしか知らないような、ただ強いだけのガンプラファイターだったわ。」
と言う深海。
《勝つ愉しさ?〉
と訊くミモザ。
「あの女は、チャンピオンになったことで、自分の強さに酔いしれていたのよ。」
と言う深海。
《ふ〜ん…。
私のお母さんは、そんなことなかったけどねぇ…?〉
と言うミモザ。
「へぇ!?
ミモザの母親もチャンピオンだったの?」
と驚く深海。
《ビビッ島…というよりも、G国初にして唯一の世界チャンピオンだよ☆〉
と自慢するミモザ。
《でも、お母さんは勝つ愉しさなんて、言ったこと無かったね。
勝敗よりも、試合そのものが楽しいって言ってたよ☆〉
と言うミモザ。
「そうよ。
それが本当のチャンピオンよ☆」
と、深海は微笑んだ―。