このすばらしき幼馴染な騎士王に祝福を! 作:とある科学者A
そういや、このすば3期くるみたいですね。楽しみです。
___私には前世の記憶がある。
アニオタ男子として生き続け、トラックに引かれたという、ありきたりな記憶。
それを5歳の時に思い出した。
当時、それを幼なじみに話したら、病院に連れて行かれそうになったが。
さてと、そんなこんなで転生したわけだが、一つ問題があった。
それは。
「まさか、前世が男だった私が、マスターアルトリアになるなんて思いもしませんでした…」
そう、所謂憑依転生___マスターアルトリアと呼ばれる、アルトリア・ペンドラゴンの身体になったはいいが、なぜかいつまでも立っても性自認は男のままだったのだ。
普通、こういうのは生きていく内に精神が肉体に寄せられていき、徐々に女になっていく物だと思っていた…が、かれこれ18年程生きてきて、そんな気配は一切なし。
むしろ、ずっと性別に関しては違和感しかない状態で。そのくせ、体はというと、前世とはちがい、同性異性関わらず興奮できてしまっていた。
最初は性転換すら真面目に考えた。
しかしこの身体に成って、手術で性転換するのは、こう…なんか違う気がするのだ。
どうせなら、魔術とかで性転換したい。んでもって、好きな時にこの身体に戻りたいと言う欲にも似た強い願望があるのだ。
それで性転換しないというのだから、変な理由だと思う。だがそれ故に、未だにそのままの状態を受け入れていてしまっていた。
まぁ、あとついでに一つ…それ以外に理由を上げるとするならば…自身の性自認を理解してくれた上で、幼なじみとした下らない約束…『25までにすきな奴が一人もいなかったらお互い、結婚しよう』という約束もしてるからというのも一つにあった。
…そう、
つまり過去形。そこからわかる通りに、約束が果たさなくても良くなった。…いや、正しくは果たせなくなったのだ。
もう、この言い方で察しただろう。あぁ、そうだ。
あいつは、あの幼なじみは____カズマは。
一年前の今日、死んでしまった____。
アルトリア「・·・このすば・・・・・」
「___カズマ。来ましたよ」
___幼馴染の命日。私は佐藤家の墓前で手を合わせていた。
いつも月命日になると来てはいたが、今日、彼が死んでから一年がたつと思うと、寂しさが一際出てしまう。
「…貴方が死んでからもう一年。時が経つのは本当に…早い」
「えぇ…そうです、今私は貴方と男友達のように気安く、馬鹿やっていた時期が懐かしい」
「だからこそ…貴方がいない日常というのは。哀しくて、寂しくて…堪らないのです」
ポツリ…ポツリと溢れるように出てくる本音。
目には寂しさと涙がゆっくりと溜まっていく。
きっと、今の俺の顔というのは情け無い顔をしているとおもう。
「こんな時、貴方ならば『笑えよ』と言うんでしょうね」
思い浮かべるのは、昔の記憶。
私が泣いてたり、弱ったりしていると、いつも駆けつけて、励ますように馬鹿話をしてくれた。
それに釣られて俺も笑ってしまっていた、そんな思い出。
けど、今ではそれは、その光景は失われた。
だから…もし、
「___もうこんな時間になってしまいましたか…」
ここに来てから数時間経った。
気がつくと空は茜色になり、日は眠り始め、月は顔を出し、星が瞬き始めていた。
「黄昏…いや、この場合、正しくは誰そ彼時。逢魔が時…ですね」
空を見つめながら、呟いた言葉の由来を思い出す。
曰く、向こうにいるものが誰かかわからなくなる時間であり。
魔物が動き始め、現実と他界…あの世との境界が曖昧になるのだという。
故に死した彼に会えるとするならば、このような時間帯なのだろうなと思う。最も…もしこの時間帯に会えるとするならば、それは怪異…怪物と呼ばれる類であり、到底人と呼べぬ存在が多数な為、もし彼がいたとしても気がつくことができないであろうが…。
まぁ、そもそも彼の場合、化けて出ることはしないだろうが。
「___さてと…帰りますか」
___これ以上この場にいることは、彼の先祖に迷惑がかかる。
そう思い後片付けして、帰り支度をし始めた…その時だった。
『___カタカタカタカタ』
「ッ!?」
突如として乾いた物がぶつかるような音が鳴り響くと共に、全身に悪寒にも似た不気味な寒気が襲った。
___明らかな異常にして殺気。その場にいては危険だ。
俺はすぐさま頭に流れた直感に身を任せるようにして、すぐさま上空へと跳んで回避し、その勢いで自身がいた場所を見た。
そこにいたのは___。
『カタカタカタカタッ!』
まるで不気味な笑い声のように骨がぶつかる音を響かせる、武器を持った黒い骸骨達の姿であった。
「…ッ!?」
その時思わず、俺が疑問に思ったのも無理はない。
なんせ、この世界に転生して、わかった事なのだが___この世界は物怪や怪異、魔術といった超常的存在が殆どいない、かなりの少数派である。
その上、霊的存在となるとその少数派達の4割と更に少なくなる。
無論、こう言う表現している以上はいないわけではないのだが。
しかし…。
「まさか、実体を得ているなんて…」
そう、その中でも実体を得ていたのだ。この骸骨達は。
その証拠に、骸骨の攻撃を避けきれなかったのか、自身の着ていた制服が破れていた。
___一体何故、霊的存在が実体を持っているんだ!?
そんな現象に遭い、強く浮かんだ自分の疑問。だがそれは次の瞬間、更に衝撃的な別のことですぐさま、そちらへと意識を塗り替えられてしまう。
『カラタタタタ…魂ヲ喰ラウ中、コノ命ヨリ旨ソウナ匂イガシタテ、ナントナク来テミレバ!』
その声が聞こえたのは、骸骨達のいる奥。
そこにいたのは、落武者のような赤い骸骨に取り憑かれ、肌が青白くなりつつある妙齢の女性。…だがその女性は見知らぬ存在ではなかった。
その逆、見覚えしかない…かなり大切な存在であった。
「カズマの叔母様!」
「…、アー…ちゃん…逃げ__『カラタタタタ!ナンダァア?コノ女の知リ合イカァ?ダガ悲シキカナ。モウ数分トタタズ、幾ラデモ換エガ効ク、コノ我ガ食糧タル女ノ生命吸イ付クス。安心セヨ、ソノ後貴様モ後ヲ追セヨウ。アノ世ニナ!!カラタタタタ!』」
恐怖と絶望感を与える光景が広がると共に、下賤な笑い声が響き渡る。
普通なら恐怖に駆られ、怯え、逃げる場面だろう。
だが、そうはならなかった。
なぜなら___この身は騎士王の写し身であり…そして俺は相手の言葉に聞き捨てならない事を二つ聞いたのだ。
「…テメェ、今なんていった?」
『恐怖デ聞コエナカッタノカ、可哀想ニ。ナラモウ一度言オウ。スグサマコノ女ノ後「違う。その前だ。今、その人をなんて言った?」…アァ、ソンナコトカ。タダノ食料ダ。下賤ナ女。コノ世ニハ幾ラデモイル食料ダ』
___どうやら、間違いとかでは無いようだ
___こいつはその上で追加して許されない事を言った。
そう認識するやいなや、心臓は熱さを帯び、血は加速し、それに反比例して頭は透き通り始め、心は冷えゆく。
一方で周りでは、黒いモヤが少しずつ現れ、風は強くなり、空気は凍てつき始めていた。
「…そうか、その人を食料扱いにして、その上換えが効くと。そう言ったのか」
『何カ間違イデモ?コノ程度ノ輝キト生命力ナド幾ラデモイルダロウ?喜ブガ良イ。コノ世ノ生命ハ我ノ食料トシテ支配下ニ下ルノダカラナ!』
「そうか…ならば、粛清だな。」
わかりやすく一言で言おう。
俺はものすごいキレていた。
怒りで身体から魔力が漏れ始め、普段使う、アルトリアとしての口調が無くなり、心の内にて使う、本来の口調が表に出るくらいには、キレていた。
『…キ、キサマ!?マサカ…!?』
「お前は、間違いをいくつも犯した。
一つ、俺の恩人に手を出した。
二つ、その恩人を食料扱いだけでは飽き足らず、あまつさえ替えの効く存在だと言った。
三つ、先人達が眠るこの墓地にて騒ぎを起こし、安眠を汚した。
四つ、この世界を支配すると大言壮語を放った。
そして最後、五つ…この俺、『嵐の王』にして『騎士王の再来』、アルトリア・ペンドラゴンに挑んだことだ……!」
___そして数十秒後、手に鎌のようなものが現れるとともに、墓地に魔力と霊体を喰らい、全てを蹂躙する嵐が吹き荒れた。
数分後もしないうちに出た決着、その結果は…言うまでも無いだろう。
『___呪ッテヤル…呪ッてヤルウウウ!!』
「やれるもんならやってみろよ」
そう言って、右足を掴む赤い髑髏を左足で潰す。
とりあえず、これでもう被害者が出るようなことはないはずである。
「…っ!…そうだ…!カズマの叔母様は!」
急いで、この世界のマーリン*1に教わった魔術で身体見る*2と、傷一つなく無かったので、ほっと、安堵する。
「よかった…どうやら生命力を吸われたせいで、少し顔がやつれ、気絶しているだけみたいですね」
正直、彼女に何かあればあの世で親友にどう顔を合わせればいいかわからなかったと思う。
そう考えると、この場にいた事は幸運中の幸運である。
とりあえず、病院に連れて行くべきだろう。
そう考えた時だった。
「さてと、もうすぐ夜になります。このままだと、何が起こるかわかりませんし、早く連れて行かな…い…と…あれ…?」
___突如として一斉に眩暈、頭痛、嘔吐感、寒気、動悸、耳鳴り、手足の痺れ等の体調の異常が起こり始め、それにより平均感覚を失ってしまう。
まるで、あらかじめ
「…まさ…か」
嫌な予感がした。
すぐさま、掴まれた右足を見てみるとそこには…悍ましい痣が浮かび上がっていた。
まるで骸骨をイメージさせるかのような…そんな模様の痣が。
「…ッ、最…後の…最後でっ…!」
どうやらあの骸骨は、死ぬ間際に、最後の最後でとんでもない置き土産___自分が消滅した時に道連れにする呪いをしていったらしい。
しかも、呪いは自身の魔力と生命力を吸いながら、痣の広がり方と比例して、かなりの速度で増殖・進行していると来た。
そのせいで普段ならこの程度の呪いなんて解除できる筈なのに、解除する為の力、それすらできないのだ。
故に…このまま、いけば自分が死ぬだろう。
だが…。
「それは…駄目だ……!このま…ま!目の前…で…死ぬわけ…にはいかない…!」
このまま死ねば、カズマの叔母さんにトラウマを植え付けてしまう。
実際、それも狙いなのだろう。
殺そうと思えば、時間を置いて呪い殺すことも可能な筈。
だが、そうはせず、わざわざ今発動させた。
そんなの、目が覚めたら痩せ細り、白く冷たくなった子供の親友がいたと言う体験をさせようとしてる他、理由が見つからないのだ。
一瞬、吐血し掛けそうになったが、耐えて血を飲み込み、転移の魔術を発動させる。
行き先は___
マーリンがいる場所だ。
「___っ〜〜…!!ハァハァ…着きまし…た」
転移に成功した。
周りを見渡すと、淡い桜色の花が咲き乱れていた。
後はマーリンのところに行くだけである。
…ただ正直、マーリン自身はこの手の呪いを解くのはかなり苦手な為、行ったところで解けるか怪しい。むしろ解けない可能性の方が特段高いのだ。それでも…。
「___来たんだね…。アルトリア」
「…やっぱり
「そりゃあ、ね…。一番弟子にして、彼の力を受け継ぐものだからね。
転移してそうそう、悲痛そうな顔で出迎えてくれる、白髪の女性…マーリン。
「…マーリン「言わなくともわかってる。一か八か、一応、僕が君の呪いが解けるかどうか聞きに来たんだろ?」…話が早くて助かります。最も…その顔だと無理そうですね…」
私がそう言うと、マーリンの顔は悲痛そうな表情に悔しさが混じり、更に歪んだ。
「…全く情け無い話だ。この程度の呪い、僕が知る奴らなら、苦戦するだろうけど数時間で解けるし、僕も数日をかければ解けるんだ。けど、彼らはもういないし…君にはその余裕が無い。…僕も僕で…呪いを一瞬で解くための技術が殆ど無い。精々延命措置が限界だ。全く、君の師匠兼保護者を名乗って置いてほとほと呆れるよ」
手を見ると不甲斐なさでなのか、強く握り締め、血が滴り落ちていた。
「___ごめん。僕では君を呪いから救えやしない」
その言葉に、どれほどの感情の重みを乗せているのかはわからない。
けど___それでも確かに、決して軽くはないのはわかっていた。
マーリンとは、この世界に生を受けて三年、その時からの付き合いだ。
当時の俺は、日本の孤児院で生活をしていたのだが…記憶が無くとも中身がこんなんだからか、普通の人よりもかなり早く流暢に喋れたりして気味悪がられており、基本的には遠ざけられていた。
そんな時にあったのがマーリン。
彼は、Fate世界のアーサー王の力を持つ俺を見つけるなり、急いで私の元へと来て、身元を引き取てくれると、保護者代わり兼師匠となり、記憶がない俺に色んな事を教えてくれたのだ。
そんな人物が…
「…アルトリア」
「…はい…なんで…しょうか?」
「…最後に何か欲しいものか、して欲しいことはあるかい?」
歪んだ顔で俺に思い残したものがないかを聞いてくる彼女の言葉に少し目を閉じて考え、答えを出す。
「…では、二つほど…お願い…できます…か?」
「…言ってご覧」
「一つは…私を海外へと…旅立った…ことにしてください…。このままだと…知り合いみんなに…迷惑がかかるので…」
「…っ…わかった。僕が得意とする幻術でなんとかしてみよう」
「ありがとう…ございます。じゃあ…もう一つ…お願いです」
「…なんだい?」
「笑って…笑って私を
…基本的に、マーリンが保護者として俺と接する、接したい時は大体いつも女性の身体へとなっていた。
今回だってそう。私が来た時からずっと女性体なのだ。
それはマーリンが保護者として接するならば母親として接してあげようと、そうして守ってあげようとしていたから。
勿論、何度かそれで空回りしてることはあった。
それでも時には厳しく、時には優しく立派に私を育ててくれたのだ。
なら…せめて、死ぬ前に、今までその姿を見てきた自分なりに、彼の子供として返そうとおもったのだ。
大切な家族に、けど精一杯の気持ちの籠った言葉を。
家族には笑って欲しいから。
「…ッッ!…僕は君を…なのに最後の最後で『お母さん』なんてさ…。今までどうやっても言わなかった癖に…それは…狡いんだよ…」
「知らなかった…んですか?お母さん。私…狡いんですよ…?」
「…もう…君という奴は。わかった。
笑顔と泣き顔でくしゃくしゃとなりつつも、『全く仕方ない子だ』という少し困ったような表情で何かを唱え、発動させるマーリン。
その効果は空から雨のように降り注いだことですぐに明らかになった。
「花が…これは…彼岸花…?」
「…彼岸花、その花言葉は「悲しい思い出」「あきらめ」「独立」「思うはあなた一人」…そして、「転生」「また会う日を楽しみに」だ。今、魔術で降らせたんだ。…僕は君がどこかで転生しても。きっと見つけ出すから。例えどんな姿だったとしても、たとえ僕のことを知らなかったとしても。僕は君を見つけてみせるさ…絶対」
「ふふっ…重いなぁ…その気持ち」
降ってくる赤い彼岸花の花びらの中で吐き出された感情に少し困ってしまい、苦笑する。
それとともに、突如として、自身の生命の限界を感じる。
___どうやらここまでらしい。
そう思うと漠然とした恐怖と安心感が一斉にやってくるのだから不思議なものだ。
やはり一度死んだ身だとしても怖いものは怖いし、そばに看取ってくれる家族がいるというのはありがたいものなのだと強く感じた。
「…お母さん」
「言わなくても…わかってるさ。…さて。最期に、君が小さい頃に好きだった子守唄を歌ってあげようか。横になりなさい…私の膝に頭載せていいから……ねっ?」
「…ありがとう」
そうして、マーリンの顔が見えるように膝枕をし目を瞑ると、心地よい歌声が流れ始めた。
歌が聞こえるとともに少しずつ少しずつ力が抜けていく。
そうして、徐々に体温を失っていき。
遂には、心臓の音も緩やかに消えていく。
「___おやすみ。アルトリア」
そして、最後に少し悲しそうで寂しそうな声を耳にして、命の灯は消えゆく___。
こうして俺の人生は終わった。
けど、それは同時に再開を知らせる物語の始まりでもあったんだ。
これはかつての幼馴染と俺が出会う話であり。
新たな世界で冒険の日々を過ごす話だ___。
この主人公の特典どうする?
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マーリンでいこうじゃないか!
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エリス様で!