ハンドラー・ウォルター先生概念の幻覚   作:rantia92

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或るシャーレ。

 

早朝。連邦捜査部シャーレの個人オフィスに

男の姿はあった。

山積みになった申請書に埋もれ

なんら言葉を発するでもなく

粛々と、ペンを走らせる音だけが響く。

 

「先生。」

 

静寂を破ったのは、少女。

フォーマル的な黒のレディーススーツに

ミレニアム特有の白のジャケット。

結んだネクタイと同じ軽快な色調の青のラインの入った

ピストル・キャリバー・カービンを二丁。

冷酷な算術使いの異名を持つ高校二年生。

早瀬ユウカだ。

 

「…早瀬か。今日の当番とやらは、お前だったな。」

 

「えぇ、おはようございます。」

…相変わらず、とてつもない量の書類ですね。」

 

「あぁ。お陰で暇をする時間がなくて良い。」

 

スラスラと、変わらずペンを走らせながら

先生と呼ばれた男は自嘲するように返す。

 

「…私にも手伝わせてください。」

 

そう言われ、走らせていたペン先がピタ。と止まる。

書類に向けていた視線を、彼女。

ユウカに合わせる。

 

「…いや、これは俺がやるべき仕事だ。

一学生であるお前に頼むには、荷が重い。」

 

「ですが、先生。」

 

「ただでさえ、お前たちには前線に出る危険な任務をやらせている。

これ以上望む方が、酷というものだ。

それに…この程度の書類仕事なら今日一日で終わらせられる量だ。心配はいらない。」

 

「……そうですか。」

 

釈然としない、納得のいかないといった表情を浮かべるユウカ。

奉仕気質のある彼女のような人物には

彼、ハンドラー・ウォルターとは少々相性が悪いようだった。

 

「…だが」

 

「?」

 

「そうして、他の人間に率先して力添えをするところは

お前の良い所だ。伸ばしていけ、早瀬。」

 

短く、しかしはっきりと彼女に対してつぶやき

止めていたペン先を、再び動かし始めた。

 

「…そう思うのでしたら、素直にお手伝いさせていただければいいのですけれど。」

 

すこしふくれ面をしたユウカも、またそうつぶやく。

 

「言っただろう、これは俺の仕事だ。

学徒は、勉強に励む。そういうものだ。」

 

「それはそうですけど…

でも、あなたの役に立ちたいという生徒は、あなたが思っているよりも

随分多くいるんですよ?先生。」

 

「…」

 

腕を組み、少し思案する素振りを見せたのは、ハンドラーだ。

そして数拍あって

 

「…コーヒーを。」

 

「え?」

 

「コーヒーを…淹れてもらえる、か?」

 

「…!はい、先生!」

 

不器用な彼が思案した結果出したのは、軽い雑務を任せるという決断だった。

 

「お砂糖とミルクは?」

 

「必要ない、ブラックで頼む。」

 

「はい、わかりました。先生。」

 

振り返り、トタトタと気持ちよい足音を立てる後ろ姿のユウカは

ほんの少し機嫌がよさそうに見えた。




ACもブルアカもそんなに進めてない状態でやっているので
更新があるとしたらプレイした後になると思われる。
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