魔法少女キラキラファンタジー   作:MOPX

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少女達を阻む密林!! 鍵を握るのはK!?

 

「ねえ、ヒカリちゃん……こっちで道あってるのかな……?」

 

「んんー? やだなあナユタちゃん。私はナユタちゃんのガイド役だよ!! 地図だってヒメちゃんからもらったのがあるし!!」

 

にじんだ汗は湿気を帯びていてじんわりと不快感をもたらす。

足の柔らかな感触は、ぬかるんだ土に生えたコケによるものだ。

 

私とヒカリは密林地帯へと足を踏み入れていた。

 

目覚めた時にいた森よりも、もっと薄暗くて日の当たらない場所。

40センチはあろうかというトカゲ(?)が木の枝の上を走っているのが目に入った。

複雑に入り組んだ木々。

ジャングルという単語が頭をよぎる。

 

目的を目指すため、まずはこの浮島から出なくてはいけない。

話によれば浮島の端にあるという大橋から『下の島』へと移動できるらしい。

……雲をつかむような話だが、そもそも島が浮いてるのだからツッコむのも野暮だと思った。

 

そういうわけで、私達は大橋へと向かっていたはずなんだけど――。

 

「ヒカリちゃん、地図をみせてもらっていい……?」

 

「うん、どうぞ!!」

 

決してヒカリのガイドを疑っているわけではない。

念のための確認だ、あくまで。

 

「どれどれ……」

 

 

 

--------------------

☆しろ

 

 

→\→ ☆もり

→←→ K

 

←/↓\→ ☆おおはし

--------------------

 

 

 

「格ゲーの……コマンド表かよ……!!」

 

「かくげー? ナユタちゃん、急にどうしたの?」

 

「……? いや、つい口走ったけど……わかんない。でもこんなおおざっぱ地図で今まで進んでたの……?」

 

私が口走った謎の単語は置いといて、目にしたそれは地図というよりメモ書きに等しいものだった。

まず、方角がわからない。

 

脳裏には地図をもらったその瞬間。

ヒメのニコニコ笑顔が浮かんでいた。

「これさえあれば大丈夫ですわ~」と言っていたのを覚えている。

悪気はなかったのだろう、たぶん……。

 

 

「いやー、でも何となくわかるから。こう……すっと進んでくるっと回ってあっち行ってこっち行ってぐわーんみたいな!!」

 

「……。でも、この☆もりってところまでは来れたんだよね」

 

だとするなら、解読すべきは「→←→ K」の列だ。

矢印は進む方向を示しているのだろう。

(いったん戻ってるのが気になってしょうがないが、無視する)

 

Kとはいったい何のことだろう。

よもやキックのことではあるまいし。

 

「Kっていう場所があるんだよ、きっと!!」

 

「場所……確かに」

 

他の単語は『しろ』『おおはし』と場所を示すものだ。

☆マークこそついてないが、このKも途中の目印を示しているのだろう。

 

「こんなわかりにくい言葉じゃなくてもっとはっきり書いてくれたらいいのに……」

 

「まあまあ!! ヒメちゃんもうっかりしているところがあるから!! それに、何かわからないけどワクワクしてこない? K!!」

 

「するかな……K……?」

 

ヒカリはにこにこ笑顔で両手両足でKマークを作っている。

……まあ、こういうのも悪くないかもしれない。

 

どの道、歩くしかないわけだし……。

そう思って、再び一歩を踏み出した。

 

その瞬間だった。

 

 

「ほわああああぁぁぁぁ!!」

 

「ナユタちゃん!? ナユタちゃーーーーん!!」

 

足が強い力に引っ張られる。

転倒した私はずるずると密林の奥へ。

 

体が浮いたと思えば、そのまま逆さまに宙づりにされていたのだ。

 

「ああ!! ナユタちゃんがロープに足を引っ張られて捕まっちゃった!!」

 

「たすけて……」

 

「待ってて!! すぐに剣でロープを――」

 

 

――フッフッフ、カカッタナー!!

 

 

「……誰!!」「降ろして……」

 

密林に鳴り響く声。

逆さまでプラプラしながら思考を巡らせる。

 

人気のない場所。

私達にはそれなりの量の荷物。

ここで襲われれば、痕跡(こんせき)も残らないだろう。

 

(もの)()り。

 

こんな幻想じみた世界でも、当然存在するということか。

人間の、悪意――。

 

 

「カカッタナー悪いモンスター!! 今日が年貢のオサメ時ダヨー!!」

 

 

……。

 

飛び出してきたのは、緑色の髪の小さな少女だった。

耳をピクピクさせながら肩に道具を背負って弓を構えている。私に。

 

「ナユタちゃんはモンスターじゃないよ!! あなたがやったの!?」

 

「……?」

 

緑の少女が小首をかしげている。

とりあえず、気分が悪くなってきたから降ろしてほしい。

 

「アイヤー!! 間違えて魔法少女がかかってしまっタカ!! メンゴメンゴ!! この辺りのモンスターが最近強くなってきて……よかったらキョウリョクしてくれなイカ!!」

 

「ええ!? この辺りでもそうなんだ……!! やっぱり許せないよモンスター!!」

 

「降ろして……」

 

私が宙吊りのまま話が進んでいる。

こういうのって安全な場所でゆっくりするものじゃないかな……。

 

「モンスターの特徴を言うゾ……一つ目の頭がライオン!! 2つ目の頭がヤギ!! ヘビの尻尾を持っているデカいヤツだ!! この辺りで出没していると聞いて、私はそいつを探しているゾ!!」

 

「悪そうなやつだ……!! 私も手伝うよ!!」

 

「厳しい戦いになるが……覚悟はできてるカ!?」

 

「当たり前だよ!! 魔法少女は……みんなの日常を守るために戦うんだから!!」

 

「ソウカ!! では探索を続けよう!! オヌシ、名前は!?」

 

「ヒカリだよ!!」

 

「ワタシはココ!! さあ、ユクゾ!!」

 

「おおー!!」

 

 

 

 

 

「オロシテ……」

 

1分後、慌てて戻ってきた二人に私は救助された。

 

 

 

 

「イヤー、スマナイ!! すっかり忘れていた!! メンゴメンゴ!!」

 

「ごめんねナユタちゃん!! 私、目の前のことで頭がいっぱいになっちゃって……!!」

 

「あ……いいです……。私のことなんか……どうでもいいです……」

 

「ナユタちゃんのテンションがー!? ごめんってばー!!」

 

私達は今、密林の中にあった小屋の中にいる。

ココと名乗った少女はここ(・・)を拠点にしているらしく、連れ込まれた。

(ダジャレではない。念のため)

 

既に状況はだいたいわかったし、いまさら説明してもらうことはないんだけど……。

 

 

「イヤー、最近の魔法少女は不注意ネ!! 私うっかり撃ってしまうところだっだヨ!!」

 

緑髪少女が耳をぴーんと張って悪びれずに言う。

……たぶん初日にヒカリのエクスカリバーを食らっても無事だったみたいに、攻撃されても別に問題はなかったのだろう。

魔法少女の力は、モンスターにしか作用しない。

だから、気にする必要もなかったはずだが――。

 

 

「行こ……ヒカリちゃん」

 

「え? ナユタちゃん……?」

 

「私達は……世界を救う旅の真っ最中……こんなところで時間を無駄にできない……」

 

「そんな……でもそれじゃあココちゃんが」

 

何をムキになってるのだろう、私は。

旅なんて、もともとなし崩し的に始めたのに。

 

当の緑髪少女は「オヨヨー?」などと間の抜けた声。

 

……きっと私は、この少女のことが苦手なのだろう。

だって、私とは全く違う考え方で動いてるように思えたから。

 

要するに、怖かったのだ。

 

 

「私達は……早くKを探し出さないといけない……そうでしょ?」

 

「そうだけど……」

 

「ナヌ!! K!? おヌシたち、Kを探しておるのか!?」

 

なぜジジイ口調。

 

そんなツッコミをする暇もなく、緑髪少女――ココはすっと立ち上がる。

 

「おヌシ達……ここがどこかわかるか? ココがここ……うぷぷ!!」

 

「……。ここは小屋ですけど……はっ!!」

 

小屋――。

 

つまりKOYA。

 

ヒメが伝えたかったのはKとはこの場所のこと……?

 

 

「Kってここだったんだ!! すごい偶然だねナユタちゃん!!」

 

「いや……まだです……。小屋じゃなくボロ小屋だとすればここはB……」

 

「イヤ、マダダ!! 私の背負っているこれ……何をしているかわかるか!?」

 

背負っている物……?

どうみても弓矢だが……まさか。

 

「狩人だよ!! 狩人だよナユタちゃん!! ヒメちゃんの言ってたKは……狩人のKだったんだ!!」

 

「う……。ま、まだです。狩人はハンターとも言うはず……。ハンターならH。この人はHです」

 

「オホ。私がHかはオイトイテ……。最後に私の名前を言ってミロ!!」

 

名前……。

ココ……。

 

KOKO。

 

Cの可能性はないか?

そんな言い(ぶん)はもう通らないだろう。

目の前の少女の、あまりにも得意げなドヤ顔が「つづりはKで~す」と物語っているのだ!!

 

 

「そう……『KOYA』を拠点とし、『KARYUUDO』である、この私『KOKO』が……」

 

少女が高らかに宣言をする。

 

「魔法少女狩人のココ……人呼んでKなのでアル!!」

 

K、無駄にトリプルミーニングだった。

 

 

 

 

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