ワオンちゃんから語られたオドロキの真実。
私達人間は一度、滅んだんだって!!
……私も、このお話を聞いた時はショックだった。
私達魔法少女はモンスターに負けないようにって頑張ってるけど、ダメなこともあるんだって……。
でも、いま私達がここにいるってことは完全には滅びなかったってこと!!
これからもモンスターからみんなを守るため、頑張らなきゃ!!
……あれ?
『滅ぶ』って完全にいなくなっちゃうってことだよね?
じゃあそこから、どうやって巻き返したんだろう……?
うーん、頭がなんだか痛くなってきた。
熱もちょっとあるかも。
知恵熱ってやつかな……?
私はナユタちゃんと違って考えることが苦手だからなー。
なんて思ってたらふらふらしてきた。
でも私達は世界を守るために旅をしてるんだから、へばってはいられない!!
少しでも早く『世界の柱』へ向かわ……な……きゃ。
私が倒れたのは、次の街に着いてすぐのことだった。
●
「大丈夫、ヒカリちゃん……?」
ナユタちゃんが心配そうな顔をして上からのぞきこむ。
私は今、宿屋のベッドで横になっている。
「ウン、ダイジョブ!! コンナの、ヤクソウで、ゴシゴシスレば……ごほっごほっ!!」
「薬草じゃ風邪は治らないよ」の一言とともに布団がしっかりかぶせられる。
心配かけまいと思ったのに喉がかすれていつもの声が出せなかった。
こんなの魔法少女失格だよお……。
おでこに手を当てられる。
ナユタちゃんの手はひんやりとして気持ち良かった。
「まだ熱が高いね……今日は一日休もう」
「エェ!? デモデモ、ワタシタチはタビを……ゲホッ!! ゲホッ!!」
「思えばずっと移動してたし、ちょくちょく戦ってたから体力的にも無理があったのかも……。ごめんヒカリちゃん、私が言い出すべきだった。もっと休もうって」
「ソンナ……ダッテ……」
魔法少女はみんなのために戦うものだよ。
その言葉は喉から出てこなかった。
「とにかく今日は私が全部やるから、ヒカリちゃんは寝てて。コンロを借りてお
「……ナユタちゃん、ありがと」
何とか、お礼だけは喉から絞り出す。
扉を出る時にナユタちゃんは、ぼそりとつぶやいた。
「私は世界よりも、ヒカリの体調の方が大事だよ」
「……」
扉の閉まる音だけが聞こえる。
私の頭はぐちゃぐちゃと、いろんなことを考えてるような、何も考えてないような、そんな気分。
やっぱり私は、考えるのが苦手だ。
●
「ただいま」
その一言でぼんやりと目を覚ました。
まだちょっと頭がぐらぐらするかもしれない。
「だめだよ、しっかり寝てなきゃ。今から晩御飯の準備するから」
うーん、ナユタちゃん、優しい……。
思わず、甘えたくなってしまう。
ガイド役である私がナユタちゃんを導かないとなのに。
……。
「ねえ、ナユタちゃん」
思わず、声をかけていた。
頭は全然、働いていない。
私はいったい何をしゃべるつもりなんだろう。
「何? やってほしいことがあるなら……何でも言って。お粥……卵たっぷりだから」
「人間って、本当に滅びちゃったのかな?」
「……。ワオンの話? 本当に滅びてたら、私達はここにいないよ……。大袈裟に言ってるとか、ワオンがそういう目にあったってことだと思う」
ナユタちゃんの言ってることは正しいように思えた。
そもそもワオンちゃんも詳しく話してくれたわけじゃない。
ただ何となく、そんな気がしているとだけ私達に伝えた。
だから私達の旅の目的は変わらず、『世界の柱』を目指すこと。
モンスターが凶暴化している原因を突き止めて、世界の平和を守ること。
でも、何となくだけど。
私もワオンちゃんの言ってることは本当だと感じた。
「もしも人間が滅びたのなら、私達は――」
「ヒカリちゃん」
ナユタちゃんの声は、いつもよりひんやりとしていた。
「ヒカリちゃんは……そういうことを考えなくていいと思う。大丈夫、最後は私が何とかするから……」
「ナユタちゃん……?」
「ほら、早く寝なくちゃ」と、会話はそれきり終わってしまった。
ナユタちゃんの作ってくれたお粥は、あったかくておいしかった。
なぜだか懐かしいような、寂しいような不思議な気持ちになった。
その日の夜、ナユタちゃんは床で寝た。
ものすごい申し訳ない気持ちになったけど、自分まで風邪をひいたら看病できないからと離れたところで眠ったのだ。
お昼からずっとぼんやりしていたからだろうか。
私はなかなか寝付けなかった。
頭ではナユタちゃんの言ったことがぐるぐると頭に残っていた。
『私は世界よりも、ヒカリの体調の方が大事だよ』
その日の夜は、いつもより長かった。