魔法少女キラキラファンタジー   作:MOPX

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光の映すもの

 

叫んだ。

 

必死に、必死に、叫んだ。

 

ノドが痛くて張り裂けそうなくらい。

 

だってそれしかやり方を知らなかったから。

 

自分の想いを声に乗せれば、きっと届くはずと信じたから。

 

 

「ナユタちゃーーーーん!!」

 

 

私の体は黄色い光になっていく。

イヤな感じは全くしない。

きっと自分を助けてくれるんだろうとわかった。

 

それでも――。

 

 

目の前のナユタちゃんの、ちょっと悲しそうな顔だけが焼き付いて。

そのまま私の意識は飛んでいった。

 

 

 

 

「ここは……」

 

辺りを見渡せば、街のど真ん中。

周りの人たちがちょっとびっくりしていた。

 

私は「何でもないです!!」ってアピールをする。

とにかく今はナユタちゃんのところに戻る方法を考えないと。

……考えるのは苦手だけど。

 

「まずは状況を整理しなくちゃ……!! ナユタちゃんみたいにできるかはわからないけど……!!」

 

空は相変わらず真っ黒だ。

いいや、その黒さをもっと増している気がする。

何か良くないことが起きるのだけは私にもわかった。

 

そして、ナユタちゃんはそれを一人でどうにかしようとしている。

 

 

街の人達がざわついているのが、聞こえてきた。

 

「あれは……!!」

 

遠くの空には黒い渦。

私達が訪れた廃墟よりもっと向こうを中心として、何かがあった。

まるで台風にような渦が――。

 

あれ……?

台風ってなんだろう?

 

渦巻きは知っているけど……。

 

私はそれを知らないはずだった。

だから誰かに教えてもらったはずだ。

 

 

「ずいぶんと派手なことになってるねえ……世も末って感じさ。くわばらくわばら」

 

「あ!! あなたは……!!」

 

私の横にはいつの間にか琵琶を持った女の子!!

橙色のその楽器から心地の良い音色が奏でられた。

 

後ろには、レコードを大量に積んだリアカーだ。

 

 

「ワオンちゃん!! どうしてここに!?」

 

「いやあ、私もシジョーカクダイってやつを目指してね……着いてみればこの通りさ」

 

私達がこの街を出て数日で廃墟に着いたから、ワオンちゃんも割とすぐに自分のいた街から出たということ。

前向きになってくれたのは嬉しい……んだけど。

 

「どうしたんだい、その顔。……そういえばナユタのやつがいないね。どこにいるんだいこんな時に」

 

「実は……その……」

 

私はあんまり整理できないまま、勢いでしゃべった。

早くナユタちゃんを助けに行きゃなきゃだけど、ワオンちゃんを放っておくわけにもいかない。

事情を話せば私なんかより良い案を出してくれるかもしれないし。

 

話が終わった時、ワオンちゃんから「チッ」って音が聞こえた。

……まさか『舌打ち』じゃないよね?

私達、夢と希望を叶える魔法少女が舌打ちだなんてそんな――。

 

「あのバカ……。思わず舌打ちしちまったよ。ヒカリを守るってそういうことじゃないだろ……」

 

「あ、あの……?」

 

「あ~気にしないで。とにかくあんたはあのアホのところに行きな」

 

「あ、アホ……!?」

 

ナユタちゃんはいかに賢くて良い子か説明している時間は……さすがにない!!

 

 

「で、でも……!! 廃墟に行くまでって何日もかかったの!! 間に合うかな……!?」

 

「問題ないよ。リアカーを貸す。いいかい、ヒカリ。あんたの剣はこう……すごい勢いだろ? リアカーから後ろに思いっきりぶっ放せばどうなる?」

 

「……!! ロケット(・・・・)みたいになる!! いけるよ!! ナユタちゃんのところまでバビューンって!!」

 

「そう思い込んどきゃ大丈夫だよ」とワオンちゃんが頷く。

思い込むも何もそうとしかならないと思うけど……?

 

ワオンちゃんはもうリアカーを傾けてレコードを地面にばらまいていた。

ショギョームジョーというやつらしい。

 

リアカーへと乗り込んだ私は、あることに気づいてひょこっと身を乗り出す。

 

「……? ワオンちゃんは? いっしょに来てくれると心強いんだけど……」

 

「私はやることがあるからね。……あの黒い渦みたいなの、モンスターだろ? ナユタひとりでもダメ、あんたが助けにいっても、それだけじゃダメ……もう一手、いるのさ」

 

「そうなんだ。よくわからないけど……頑張って!!」

 

手をきゅっと握ってエールを送れば、ワオンちゃんは穏やかに手を振ってくれた。

ワオンちゃんが何をしようとしているかは、わからない。

けれど、きっと大事なことをしようとしてくれるのだと信じた。

だって、ワオンちゃんも魔法少女だから。

 

「さあ、行かなくちゃ……!!」

 

私は()をリアカーの上から掲げる。

ふと、思った。

 

私はいつからこの剣を持っているんだろうって。

……考えてみればこの世界で目を覚ましてから、ずっと持っていたのかも。

この世界で私をずっと守ってくれた剣。

 

もしかしたら、記憶を失くす前から大事なものだったのかもしれない。

 

だから――。

 

 

「ありがとうって……伝えなきゃいけないんだよね」

 

 

私の瞳は、一本の光の帯を映し出す。

後ろを向いているけど、この道はきっと未来に続いている。

そう信じて。

 

「待っててナユタちゃん!! 私が絶対助けにいくから!!」

 

 

 

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