魔法少女キラキラファンタジー   作:MOPX

39 / 39
魔法少女キラキラファンタジー

 

「どう、右手は?」

 

「うん……」

 

宿屋の一室。

私は目の前の少女の包帯を取った。

少女はグーパーを繰り返しながら、最後には笑顔で答えた。

 

「……うん!! これなら大丈夫そう!!」

 

「よかった……!!」

 

私は心の底から安堵を吐く。

あの戦いの後、自分はヒカリのケガの治癒(ちゆ)につとめた。

かつて、自分をヒカリが看病してくれたみたいに。

 

「目立った傷跡もないし……本当によかった……!!」

 

「もうナユタちゃんってば……そんなに喜ばなくても……」

 

「何を言ってるの……!? 体はひとつなんだから大切にしないと……!!」

 

「近いよナユタちゃん!! わかった!! わかったから!!」

 

よろしい、と私は引きさがる。

でも、当のヒカリはまだ言いたいことがあるようで――。

 

「体はひとつ……ってナユタちゃんの腕はもう……」

 

「……」

 

左腕は生えてきたりしない。

当然、私はあの日以来片手で生活している。

慣れない部分もあるけど、ちょっとずつできることを増やしていっている。

 

「必要なことだったんだよ。私が納得するために」

 

きっとそういうことだ。

私はどこまでいっても冷淡で、魔法の力なんて信じれなかった。

だから、代償を支払うという形でしか自分を納得させれなかったんだ。

 

私はあらためて、少女に問いかける。

 

 

「ヒカリ、これからも、よければだけど……」

 

「うん、いっしょに冒険しよう!! いろんなところを見て回って、いろんな人に会って……!!」

 

旅が終わった後に、私が出した結論。

それは、この世界がどういったものであるか、まだまだ確かめたいということ。

 

この世界がどうなっていくのか。

それを見届けていきたい。

私が残したものだなんて、それこそ傲慢(ごうまん)だったのだろう。

世界はもう既に、私の知らないところで回っている。

だから、それを確かめに行くんだ。

 

 

「これ、ヒカリにあげる」

 

「これって……!!」

 

あの時、折れてしまったヒカリの剣。

もう使えないね、なんて話しながら持ち帰ったものだけど、こっそり修理していた。

(片手だからちょっと大変だった)

新しいものを買うのも考えたけど、ヒカリにとって大事なものだったから。

 

「テープで巻いただけだけど……無理な使い方をしなければ大丈夫だと思う」

 

「……!! ありがとう、ナユタちゃん!! これ……私をずっと守ってくれた剣だから……!! とってもうれしい!!」

 

「そ、そんなに……?」

 

ちょっと恥ずかしくなってきたが、ヒカリが嬉しいなら何よりだった。

「実は私も……」とヒカリがかばんから何かをごそごそと取り出した。

 

出したのは、いつぞやのポンチョだった。

 

「これ、ナユタちゃんに……って!!」

 

「え!? いつの間に……」

 

片手はケガして使えなかったはずだが、どうやら前からほぼ完成していたらしい。

だから、勇気させ出ればいつでも渡すつもりだったのだとか。

 

私はそれを感謝を込めて隅々まで眺める。

やがて端の方にある刺繍(ししゅう)に気づいた。

 

紫色の糸で縫われたそれは――。

 

「もしかして……私の顔?」

 

「……!! わかってくれた!! あ~、よかった~。私作のナユタちゃんスペシャルポンチョ……。あ、でもでも、自分の顔が入ってるのってナユタちゃんは恥ずかしいかな……?」

 

「ううん、とっても嬉しい。大切に……絶対に大切にする」

 

「えへへ」と頬をかくヒカリ。

かぶってみればなかなか温かい。

……片手を隠すのにもちょうどいいかもしれない。

 

「ナユタちゃん……魔法使いみたいだから、ずっと似合いそうだなって」

 

「魔法使い……」

 

その単語に思わず笑ってしまう。

魔法少女が魔法使いだなんて、重複している気がしてならない。

それでも、何だか気に入ってしまったから――。

 

「魔法少女魔法使い……うん、いいかも。私はこれから魔法少女魔法使いのナユタ」

 

笑い声と共に、二人で宿を出る。

今日もどこかへ、二人で知らないところへと。

 

「それじゃあ、これからもよろしくね……ヒカリ」

 

「うん、よろしくね!! ……」

 

「どうしたの?」

 

「ナユタちゃんが呼び捨てなら、私もって。……いいかな?」

 

「うん、いいよ」

 

「えへへ、じゃあこれからもよろしくね……ナユタ!!」

 

 

 

今日も、明日もきっと旅は続いていく。

 

 

 

 

 

魔法少女キラキラファンタジー(魔法少女達は輝ける未知へ)

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。