魔法少女キラキラファンタジー   作:MOPX

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Sideヒカリ!! 二つの星空!!

 

その子と出会ったのは太陽がさんさんに輝いていた日だった。

 

ヒメちゃんに頼まれて伝説の魔法少女を探そうとしたけど途方に暮れた私は、とりあえず町のクエストを受けて森へ向かったんだ。

 

出会いはいつだって突然!!

 

 

ちょっと不思議で。

 

ちょっと物静かで。

 

とっても優しい女の子。

 

名前はナユタちゃん。

 

 

危ないところを助けてもらって(あれ、なんだか逆?)私達は知り合った。

そんな彼女が伝説の魔法少女だったのだから、さあビックリ!!

 

何だか乗り気じゃなかったナユタちゃんだけど、お話をしたら旅に出ることになった!!

……実は断られるんじゃないかって思ったけど、よかった。

 

ナユタちゃんの気持ちが、一番大切だと思っていたから。

 

 

「かくして、城下町で冒険の準備を整えた私達は、世界を救う旅へと出発するのだったー!! パチパチパチパチ!!」

 

「ヒカリちゃん、それは……いったい……?」

 

「ナレーションだよナレーション!! 魔法少女といえば……場の雰囲気を盛り上げるナレーション!! ほら、ナユタちゃんも!!」

 

「ぱ……ぱちぱち……」

 

そっちかあ~。

拍手で態勢を崩しそうになるナユタちゃんに慌てて駆け寄る。

背中にはどっしりと大きめのリュックサック。

もちろん私もだ。

荷物が多すぎても戦いにくいけど、次の街までは距離もあるし。

おやつはもう少し減らしてもよかったかもしれない。

 

 

「今日は初日だし、ある程度進んだらキャンプしよっか」

 

「キャンプ……? 野営(やえい)ってこと?」

 

「『やえー』は知らないけど……魔法のテントを張ればモンスターが近寄れなくなるんだよ!!」

 

説明を聞いてナユタちゃんは静かに下を向く。

こうやって考え込むことが、けっこう多いみたい。

 

考えている時のナユタちゃんの顔は……何というか、キリッとしてかっこいい。

 

「……わかった。もう少し……歩いてから……ぜえぜえ……」

 

「ナユタちゃん!? ゆっくりでいいから、ね!?」

 

体が沈んでいってるので支えてあげる。

ナユタちゃん、どうやら体力はないみたい。

 

「ほらほら。頑張ったら良いもの見せてあげるから」

 

「良いもの……? それって……?」

 

「ヒミツ~」

 

……少し意地悪かな?

でも楽しみは後で取っておくと更に楽しくなるから、ね。

 

 

 

 

城下町から離れた丘にきたところで陽が沈んできた。

今日はここまで。

荷物に入った魔法のテントを二人で組み立てる。

 

魔法のテントは組み立てた魔法少女の色に応じて発光する。

紫と黄のシマシマを描くテントにナユタちゃんも感動のあまり失神しかけていた。

 

二人で初めて作ったご飯は、大変だった。

(パエリアを作ろうとしたらよくわからないものになった)

それでも出来上がった時は嬉しいって気持ちが込みあげた。

腕前は……明日から頑張ればいいよね!!

 

そうこうしているうちに日が沈む。

「よし」と私はナユタちゃんの手を引いて丘を登った。

 

丘の上から見えたもの。

 

それは――。

 

 

「わあ……」「うーん、何度見てもきれい……」

 

遠くに見えてすっかりちっちゃくなった城下町。

桃色のベールが今日も変わらず町を包んでいる。

 

でもそれだけじゃない。

 

桃色のベールの中で、小さなキラキラがいっぱい。

 

宝石箱をひっくり返したみたいに、いろんな光が輝いて見える。

これは、町の人達ひとりひとりが持つ輝きだ。

 

私が持つ黄色や、ナユタちゃんの紫色みたいに、ひとりひとりが輝きを持っている。

そうした光は、たとえ離れていたって何となく感じ取ることができる。

 

地面を覆いつくすたくさんの光。

これが私の見せたかったもの。

 

「すごい……」

 

「ふふー!! ナユタちゃんも感動した? 地面に広がるキラキラを……ってアレ?」

 

ナユタちゃんは、空を見上げていた。

 

「あ……」

 

私は気づいた。

空にもたくさんのキラキラが広がっていたことを。

 

漆黒の空に、負けないくらい輝く星がいっぱい。

 

どうして今まで気づかなかったんだろうって不思議なくらい。

視界全部を覆いつくしていた。

 

「本当だ……空にもこんなキラキラがあったんだね……」

 

「うん……。……って、『空にも』? あっ!!」

 

ナユタちゃんが慌てて取り繕う。

別にいいのに。

 

「わわ……私、せっかくヒカリちゃんが町を紹介してくれたのに空を……」

 

「ううん、いいの。私も初めて知ったから。ナユタちゃんのおかげだね」

 

見上げてみる。

一番星、二番星、三番星……。

何だか三角形ができてるみたいで面白い。

 

ナユタちゃんによればこうして星を観察していれば、自分達がいる場所だとか、季節がどうとかの手がかりになるかもしれないらしい。

あいにく、細かいことは記憶がなくてわからないみたいだけど。

 

私達の記憶がなくなる前も、こうやって星を見上げてたのかな。

だとしたら、どんな場所でも、どんな時でも星空は私達を見守ってくれてるのかも。

 

「ナユタちゃんはいろんなことに詳しくてすごいなあ。夜に空を見上げるなんて思いつきもしなかったよ!!」

 

「そ、そう……? 割と普通だと思うけど……」

 

「いや~だって真っ暗なのってモンスターみたいで怖いし……」

 

「え? ヒカリちゃんでも怖いんだ、モンスター」

 

「うん。あのね、ナユタちゃん。私、ナユタちゃんといっしょに旅に出れてよかったと思ってる」

 

「……!! うん、私も……!!」

 

 

それから、二人で笑いあった。

 

二つの世界。

二つの星空。

 

上と下。

たくさんの光に挟まれて、こっそりお祈りする。

 

私達の旅もキラキラしてますように、なんて。

 

 

 

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