帰り道は血の匂いに誘われてきた魔物を片っ端から切り倒して、夕方前には集合場所である港町近くの大きな木に到着出来た。
よく見ると人影が3人分見える。
...あっちももう終わってたみたいだ。まぁ俺くらい水中に補正を受けてれば話は変わるかもだけど、そうでも無かったら数時間も海に潜っていたらとんでもなく体力を消耗するだろう。
ラフタリアちゃんも元気そうではあったが病み上がりなのは間違いないし、もしかしたら俺はかなりみんなを待たせたのかもしれない。
俺は急いで3人の方へ駆け出した。
「おーい!待ったかー?」
「コウヤ!...いやそれほど待っては...ってはぁ!?」
尚文が大声をあげる。
「ど、どうしたんだ?」
「どうしたってお前!!防具も服もボッロボロで血塗れで...!!」
「え?...あぁ...いやぁ、ちょっと死にかけて」
「死にかけてってお前な!.....いや。ひとまず無事ならいいが、一体何があったらそんな事になるんだ?」
「森の中で素材を集めつつレベリングしてたんだけど...あんまり経験値が美味しく無かったもんだからどんどん森の奥に入って、グリフィンの群れのナワバリに入って、そこの長と戦ってこの様って感じだな」
「グリフィンってお前...この世界じゃどうだか知らないがゲームとかだと物語終盤とか、ボスクラスだろ...よく勝てたな」
「海でのレベリングでは一撃必殺が大事だから攻撃力を優先的に高めてたんだけどな...あんなに攻撃を耐えられたのは初めてだったよ。致命傷与えても魔法放ってくるし...俺は紙耐久なんだから勘弁してほしかったなぁ」
「俺とは違ってここ一週間以上みっちり海でレベリングと強化をしていた鋼也ですらこれだけの怪我をしたと言うべきか、たった一週間で素人がグリフィンの長を殺せるようになったと言うべきか...」
「まぁ...後者だろうな」
「あらー。お姉さんコウヤちゃんに死なれるととっても困っちゃうわー。明日からはみっちり戦い方を教えてあげなくちゃねー」
ナディアさんがにっこりと笑いかけてくるが、その笑みには非常に黒い感情が混じっていた。
勝手に死んでんじゃねぇぞおい、やってもらう事いっぱいあるんだよって所だろう。
端的に怖い。もう怒らせないようにしよ...
「お、お手柔らかに...んん!そういや、そっちはどうだったんだ?」
「あぁ...俺は10レベルは上がったな。ラフタリアは11だ。まったく...俺の一週間は何だったんだろうな」
「10!?いくら海でも半日でそこまでは...」
「お姉さん頑張っちゃったわー」
ナディアさんが酒を飲みながらぐっと力こぶを作っていた。
可愛い...じゃなくて!
「どんな戦いをしたらそんなにレベルが上がるんだ...?」
「どんなって...ひたすらそこの女に引っ張られて、ここで浮いてろって言われたから言う通りにしてたら、雷の魔法だの銛だので魔物を虐殺しまくってたんだよ...確か水生の亜人なんだったか?泳ぐのが得意とは言ってたが、同じ人間とは思えんくらい泳力に差があったな...普通に魔物を泳いで追いかけてやがった」
「へ、へぇ...」
パワーレベリングとは言ったが、精々5レベルくらいの物だと思ってたのにとんでもない戦果を上げてやがった。
さてはナディアさんラフタリアちゃんの為に本気で狩りしたな...?
いや、ありがたい事この上ないけども。
「その間に色々と強化も弄ってたんだが...防御力がとんでもない事になってな。色んな盾も解放出来て、おまけにレベルキャップで解放出来てなかった盾も多数解放されて、凄まじい一日だったな」
「そりゃあ良かった」
いや、本当に良かった。今の尚文がレベル21だろ?武器の強化もフル稼働したら、俺は少ないながら防御のステータスも上がっている事を加味すると、防御特化の尚文は俺の攻撃力より若干下か、下手したら同程度の防御力になるかもしれない。
つまりはあのグリフィンにも通用する防御力という事だ。とんでもないな。
生半可な攻撃では尚文に傷一つ付けられないだろうな...
一応、試してみるか。
「なぁ尚文、良かったらなんだが...その上がった防御力、試してみないか?」
「どういう事だ?」
「今から俺が攻撃するから、尚文はそれを盾で受け止めてみてくれ。順番に威力を上げていくから、耐えられそうに無くなったら言ってくれ」
「へぇ...良いぜ。俺も気になってた所だ。今の俺の力も、お前の力も」
尚文がニヤリと笑う。
「...ご主人様?」
ラフタリアちゃんが尚文の服を少し掴む。若干不穏な空気を感じて不安がったのだろうか?
「心配するな。ちょっと今の俺のステータスを確かめるだけだ...お前も、なんならそこの女と組手でもして今の身体能力に慣れておけ。急激なレベリングで動きに違和感が生まれるかもしれん」
「わ、わかりました...!」
「分かったわー。それじゃあラフタリアちゃん、こっちに来て頂戴?」
ナディアさんがラフタリアちゃんを連れて離れていく...いや、思ったよりも離れるな。普通のトーンだと話し声が聞こえないくらいには離れてる。
「おい...あまり離れすぎるな!」
尚文がジロリとナディアさんを睨んで叫ぶ。
「分かってるわー。二人にラフタリアちゃんが巻き込まれたら困るから離れただけよー」
ナディアさんが返事する。
「ちっ...別に悪い奴じゃないし、特にラフタリアを気遣ってるのは分かるんだがなんか不愉快な奴だな」
尚文が機嫌悪そうに呟く。
「はは...まぁ飄々としててなかなか心の内を見せてくれないしなぁ」
「全く...お前も気を付けろよ。別にお前に悪意を持ってるって訳じゃ無いだろうが、なんかは企んでるぞあの女」
「承知の上だよ」
「あっそ!...じゃあ、早速俺の防御力とお前の攻撃力...競い合うとしようか」
尚文が、恐らく防御最強と思われる盾に変化させる。きらきらと鈍く乱反射して光る盾は、ダイヤモンドの持つ美しさを全て硬さに注ぎ込んだと思わせるような存在感を放っていた。
「今日手に入れた、金剛亀の盾だ...出来うる強化はしてる。それじゃ...来い!!」
尚文が盾を構える...さて、まずは何から行くべきか。
「俺は剣角竜の剣だ。今日グリフィンを倒した現状一番強い剣だぞ」
「はっ、上等!」
俺は剣を上段に構える。
「シッ...!!」
まずは全力で斬りつけてみた。
ガキィィィン!!と不快な音を立てて、尚文が衝撃で一歩だけ後ろに下がる。
「...通常攻撃じゃ傷一つ付けられなさそうだな」
「流石にな...そこまで差があったら困る」
尚文が再び盾を構える。
次は...スキルを放ってみるか。
「次はスキルだ」
「攻撃スキルか...この目で見るのは初めてだな」
「ライトニングソード!!」
俺はスキルの強化を解除して、雷撃の剣を放った。
「っづ...!!」
ギャリリと音が鳴って尚文が数歩後ずさる...
「くっ...流石に重いな」
「でもダメージは無しだな。流石は盾の勇者」
「これしか取り柄が無いもんでな!」
「次は、強化したスキルだ。尚文もスキルを使っていいぞ」
「分かった...エアストシールドⅢ!!」
尚文の前に巨大なエネルギーの盾が現れる。
俺はそれに向かって輝く剣を振り下ろした。
「エアストバッシュⅣ!!」
バキリとエアストシールドが砕け散り、盾に斬撃が到達する...が、尚文を吹き飛ばすには至らなかった。
「....っ。意外に、耐えられるもんだな」
「嘘だろ!今のスキルでノーダメージか!!」
「今のスキルが強力なのは分かった。昨日の俺だったらそのまま吹き飛ばされていただろうな...だが、まだまだやられる訳にはいかないぞ?」
「じゃあ...これが最後。エネルギーブースト込みの正真正銘俺の最大火力で行くぞ!」
「よし...!」
ここまで来ると全力をぶつけたくなってしまう。尚文の硬さは本当に尋常じゃない。生半可な攻撃じゃ尚文の防御力の底は見れないな...!
尚文のスキルのクールタイムを待って、互いに全力を注ぎこむ。
「グランドシールド!!エアストシールドⅢ!!シールドプリズンⅢ!!」
尚文の前の地面が壁のように立ち上がり、何かしらの力が注ぎ込まれて形を成した。原作では見なかったスキルだな...そんなに強くないのか、使い勝手が悪いのか...多分後者か?
そしてお馴染みのエアストシールドからのシールドプリズンで完全防御形態になった。
俺もエネルギーブラストで剣に力を溜めていく...
もちろん放つスキルは俺のお気に入りの水斬波だ。
俺が何故このスキルを好んでいるか。それは偏に自由度だ。
他のスキルは射程範囲や動きがある程度制限されるが、水斬波にはそれがない。
敵を追いかけて軌道を描く事も出来るし...こういう使い方だって出来るのだ。
俺は剣を引き絞るように片身を引いて、力を溜めていく...
そのまま、全力で剣先を突き出した。
「水斬波Ⅴ!!!」
俺の放った突きに合わせて水の斬撃は一直線に尚文の下に殺到し、地面とエネルギーの盾、盾の檻を一瞬で穿った。
「....っっっ!!!」
尚文の驚愕の声が聞こえる。そのまま、尚文の盾にウォータージェットが突き刺さる。
「ぐ...お...ぉぉおお!!!」
尚文が懸命に堪える呻き声を発して...吹き飛ばされた。
「ぐあっっ!!!」
尚文の盾が弾くように上に跳ね上がると同時に俺のスキルは効果時間が切れた。
そのまま尚文は数メートル後方に吹き飛ぶ。
「ぐぅっ...!」
ずざざと地面を転がった尚文は...しかし、しっかりと立ち上がった。
「...はっ!、ぎ...ギリギリだったが...耐えきったぞ」
「...参った。完敗だ。もう俺にこれ以上の手札は無いよ」
「そうか...やはり、鋼也の言う通りだったな。四聖の武器の性能は一緒で俺の盾は防御特化...ずっと元康や樹の言葉が引っかかってたんだが、これですっきりした」
「なら良かった...俺も、これで一安心だ」
あれを耐えれる尚文を傷つけられる存在が一体どれだけ居る...?
少なくとも物語の後半まで現れないんじゃないか?
それにしても本当に本当に硬かったな。やはりあれだろうか。尚文は盾の勇者の第一候補、完全防御特化になってしまうその性質...まさに盾の勇者に最もふさわしき男だ。だからこそ盾もその力を最大限振るう事が出来るのだろう。
対して俺はどうだろうか。剣の精霊は闇の剣士<シャドウセイント>状態の錬の方が性能を上げていた。そういった雰囲気が好きなのかもしれない...となると俺はそれに応えられているか?いや、むしろ逆を行ってる気がする...
最低限選ばれるだけの物は何かあるのかもしれないが、性能は引き出し切れていないのかもしれない。
まぁ、それならそれで、補うだけの強化をすればいいだけの話だ。
それにしても、もう尚文の事をメルロマルクの戦力の範囲内で気にする必要が無くなったのは大きい。
かなり肩の荷が下りた気分だ...これからはしばらく自分の強化にまい進出来る。
尚文の力になる為にも、生き残る為にも、もっと強くならなければ...
「イテテ...この世界に来て初めて血を流したな」
尚文がヒール軟膏を取り出して塗っていた。
「初めて!?...すごいなそれは」
驚きで大きな声を出してしまった。
「あぁ。勇者はこんなもんなのかと思ってたから、血塗れのお前が近づいてきた時はびっくりしたぞ」
「はは、俺は結構怪我もしてるかな」
「みたいだな...防具もボロボロだし、そろそろ買ったらどうだ?」
「適当な装備の尚文には言われたくないな。これでも数日後にはフル装備揃う予定でね...尚文も親父さんの所で防具作って貰ったらどうだ?素材を持ち込んでオーダーメイドにしてもらえば多少は安くなるけど」
「それは魅力的だが...今は金に余裕が無い。ラフタリアの装備の更新と雑費で手いっぱいだ。武器の解放を優先していると素材も売れる程余る事はあまりないしな...」
「そうだなぁ。俺も今日散財したから完全に金欠だ...一応、アイテムブックに魔物を倒すと金銭をドロップって項目もあるから解放したいんだけど、あまりにも必要数が膨大で手が届かないんだよな...」
「これか。本当にゲームみたいな世界だな...ゲーム程都合が良くないから現実だとわかっちゃいるが、勘違いしそうになる」
「確かに。俺も今日痛感したよ」
尚文と雑談していると、二人が戻ってきたようだった。
「ご主人様!」
ラフタリアちゃんが笑顔で尚文の方に近づいてくる。
ん?俺やナディアさんという知らない人間が居るから人見知りしてた午前中のラフタリアちゃんは何処に行ったんだ?
「私、ご主人様の剣として、一生懸命頑張ります!!だから...!これからもよろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げていた。
...何か吹き込まれたか?
俺は尚文と一緒にナディアさんを睨む。
ナディアさんはお酒を片手にニコニコしているだけだ。
「そ、そうか...まぁ、頑張れ」
尚文が若干気圧されながら返事する。
「はい!」
「はぁ。やる気満点なのは良いが...おい、後であの女を問い詰めておけよ」
「もちろん」
一体何を言ったんだか...まぁなんとなく察してはいるけど。
「それじゃ、いい時間だしそろそろ解散するか...なぁ鋼也。その、もしよかったら...今度は一緒に狩りに行こう。俺達に経験値は入らないが、波に備えて連携を図る必要もあるだろうし、コイツやそこの女のレベリングにはなる」
「...!もちろん。それじゃあまた!俺は装備が出来るまで城下町に滞在して、それからは国中を巡ってこようと思う...けど、波の数日前にはまた拠点を城下町に戻すから、その時に一緒に行こう!」
「あぁ。俺は基本的に城下町か、近所の村を拠点にするつもりだ...用事があったらどっちかに来てくれ。それじゃ、俺達は今日はリユート村に行くから...またな」
尚文が背を向けて歩き出した。慌てたようにラフタリアちゃんが追いかけて、振り返ってナディアさんに手を振る。
「お互い色々と大変だろうけど...頑張ろうな!!」
俺は尚文に声をかけた。尚文は無言で手を上げて去って行った。
「....さて、ナディアさん。ラフタリアちゃんに何を吹き込んだんですか?」
「んー?なんの事かしら?」
「とぼけても無駄ですよ。あの変わりようは絶対何かありましたよね。大体察してますけど」
「そうね...ちゃんと答えるわ。ラフタリアちゃんに私の正体を教えたの...あっ、だからもうこれからはサディナで良いわよ?隠す必要もなくなったし!」
「あんたねぇ...」
まぁ別にダメって訳じゃ無いんだけど、一応今回は隠すって約束だったからな。
それを無断で破られるのはあまり面白くはない。
「ごめんなさい。でも、ラフタリアちゃんはなんとなく察してたみたいだったし...もうあの子は自分の居場所を見つけていたから。少しでも生き残ってもらう為に、発破をかけたのよ」
「ちなみに何を言ったんですか?」
「私の正体と、証拠に獣人の姿を見せて...私はコウヤちゃんの下でルロロナ村の皆を少しでも多く集めて村を復興させてみせるから、ラフタリアちゃんはナオフミちゃんの、盾の勇者様の下で頑張って、強くなって、いつかそのお手伝いをして頂戴...ってね?」
「なるほど...はぁ。そうですね。目的意識がある方がラフタリアちゃんの為にもなるかもしれません....けど、良いんですか?折角正体まで明かしたならラフタリアちゃんの傍に居なくても」
「本当は居たいわよ?でも、ナオフミちゃんの隣は波で傷ついたあの子が見つけた大切な居場所だから...そこに私が割って入る訳にはいかないもの。奴隷にされて、何度か売られ買われ...どれだけ辛い目にあったのか、考えるだけでとても辛くなるわ...でも、そんなラフタリアちゃんが頑張ってるんだから、前を向こうと懸命に足掻いているんだから...私にはもう、応援する事しかできないじゃない。幸いにも、ナオフミちゃんは信頼できる人だと分かったし、あの子を任せられるわ」
ナディア...いや、サディナさんが寂し気に呟く。
「それに、コウヤちゃんとの約束はしっかり守らなきゃいけないものねー」
「それはパーティを組むって言う?」
「えぇ。コウヤちゃんは約束通りラフタリアちゃんが元気に過ごしている所を見せてくれた。だから私はコウヤちゃんに訓練を付けてレベル上げも手伝ってあげる...後は、私の働き次第よね」
「働き次第?」
「えぇ。私はさっき言った通り奴隷になってしまったルロロナ村の皆を取り戻して村を復興させたい...その為にはお金も地位も、何もかも必要よ。本来はゼルトブルで戦闘奴隷でもやりながらお金を稼ごうかと思ってたんだけどねー。剣の勇者様って肩書があれば、お金だって集められるし、人脈も、地位も手に入る...だから私はコウヤちゃんの、剣の勇者様の仲間として力を貸すわ」
「その報酬として俺はルロロナ村の皆を買い戻すと...」
「えぇ。絶対に後悔はさせないわ」
サディナさんが真剣な顔で俺に手を差し出してくる。
...願ったり叶ったりだ。
作中でもかなりの強キャラであったサディナさんに手ほどきを受けながら、俺の冒険の手伝いをしてくれるという。
奴隷についても尚文のワンマンチームの稼ぎで買い集めるよりも勇者二人体制の方が良いだろう。
多分俺の方が尚文よりもルロロナ村人集めに早期から着手出来るし、俺の戦力増強という意味でも悪くない手だ。
ただ、これは明確に原作の流れを乱す行為。ズレは次第に大きくなりいつかは原作知識も意味をなさなくなるかもしれない...まぁ、こっちは今更でもあるかもだけど。
それでも縋りたくなる魅力が原作知識にはあった。
...が、俺にはこの手を拒む事は出来なかった。どう考えてもメリットの方がデカいし、何よりこの条件ならばサディナさんは本当に俺の仲間になってくれる。
別にオミットさん達が悪いと思うつもりは無い。俺の下を去った理由には心底納得したし、その行く末を俺は応援している...けど、やっぱり悔しかった。
人間関係ってのは極端な話損得勘定だ。メリットが無い人間と付き合うのは非常に難しい...その点、サディナさんの求めるメリットは俺にとってかなり提供しやすい物だ。
今のメルロマルク内ではしばらく難しいかもしれないが、それこそゼルトブルやフォーブレイに行けば俺は剣の神なのだ。ただ存在するだけで地位がある。信頼がある。
それに、俺だってそれに胡坐をかかず人々の信頼を稼げるように頑張るつもりだ。
そうなれば自然と色々な物が集まって来るだろう。
サディナさんは信頼に値する仲間になってくれるに違いない。
「...よろしくお願いします。サディナさん」
俺はがっしりとその手を握った。
「えぇ」
握手を終えると、サディナさんは酒を掲げた。
「さて!正式なパーティ結成のお祝いに飲みましょー!」
「ちょっと...!昨日散々飲んだんですけど...」
「祝い酒よー?飲むでしょ?」
「....あぁもう分かりましたよ!パーティ結成に乾杯!!」
俺はサディナさんから酒を奪うと滝飲みした。
「あらー、いい飲みっぷりね!カンパーイ!!」
サディナさんは俺から酒を奪い返してラッパ飲みする...
ごくごくと喉を鳴らすサディナさんを俺は見つめる...
「あの...もうラフタリアちゃんに正体を隠す必要も無くなったんですし、獣人姿に戻っても良いんですよ?」
「ぷはっ、そうねー。それでも良いんだけど、あの状態はちょっとずつ魔力を使うのよねー。本来の私はこっちだから...それに、こっちの方がコウヤちゃんの反応が面白いのよねー」
クスクスと笑われる。
「ぐ...この!」
俺は恥ずかしさを隠すために酒を飲み込む。
「あらー。今日はたくさん飲むわよー!」「おー!」
俺はまた大量の酒を飲んだ。
俺はいずれ、波の脅威でもなく、尖兵達でもなく、アルコール中毒によって死ぬのかもしれない。
そう思いながら心地よい酔いに身を任せた。
当然次の日心底後悔した。