誤字も多いので誤字報告めちゃくちゃ助かってます!
今後もご指摘の程お願いします!!
感想もとてもやる気貰ってます!ありがとうございます!
サディナさんと正式にチームを結成してから、三日。
俺が召喚されてからは2週間と少しが経過している。
俺は稽古を付けて貰ったり、海でレベリングついでに海中の財宝をサルベージしたりなどで忙しい日々を送っていた。
「...っぷは!」
水面に顔を出して、荷物置きに利用している船に回収した財宝を入れる。
「なかなか悪くない成果ねー」
「はい。この分なら、俺の装備と武器の代金を差し引いてもかなりのお金が余りそうですね!」
ちなみに海中のサディナさんは予想以上にとんでもなかった。凄まじい勢いで魔物は狩られるし、凄まじい勢いでレベルが上がっていく...強めに資質向上かけたのに物ともせず動き回っていた。
今はレベル41となり、いよいよレベリングも落ち着いてきたので今は奴隷になったルロロナ村の人達を買い戻すための資金集めに集中している。
他にも買い戻した後の奴隷の衣食住、装備等も必要になるのだ。
ある程度は武器のドロップなんかでどうにか出来るかもしれないが、限度があるし、体に合う武器や防具がドロップするとは限らない。本当にお金はいくらあっても足りないくらいだ。
「そろそろお金に換えて来ましょうか」
「はい」
今日は早めに切り上げて、城下町に戻る事にする。
財宝を売って、余った素材やドロップの武器防具も売って、装備の代金を支払って、魔物商の所でルロロナ村の奴隷を取りよせる。後は、強化用の鉱石なんかのアイテムの補充と...ギルドに行ってみるか。
ちょっと立場が微妙な俺がクエストを受けられるのかは疑問だが、もしも受けられたらいい資金源になる。
勇者としての名声を売るのにもうってつけだろう。
波まで後二週間。やる事はいくらでもあるが...一つ一つこなしていくだけだ。
──────────────────ー
荷車を改造し、街道で見かける馬車なんかを参考にして木工技能フル稼働でなんとか形に漕ぎつけた馬車のキャビンに荷物を積み込む...
我ながら良くこれほどの物が作れたものだ。
まぁそこまで大きい訳じゃないが、一応上に布も敷いて雨風にも対応出来るようにしてある。
多少はサイズも大きくしたので、今回用意した荷物を全て入れても人一人は中に入れそうだ。
「まぁ...俺が引くよな」
「がんばってー」
「はーい」
馬車を人間が引いている様は若干シュールだが、馬や魔物なんか用意できていないので仕方ない。
手に入ったお金によっては馬を買うのも良いかもしれない。
ガラガラと音を立ててキャビンを引っ張っていく。
もしかして俺、荷台を引っ張る魔物を手に入れるまでずっとこうしなきゃいけないのか?
..............
城下町について、若干引かれた目で見られる。
ヒソヒソと陰口を叩かれているのもわかる...うぅ。なんでこんな辱めを受けなくちゃならないんだ。
さっき名声を高めるって思ってたばっかなのに、これはどうなんだろうか...
とはいえサディナさんに引っ張らせるのもそれはそれで悪評が立ちそうだ。
割り切るしかないな。
諸々の消耗品や鉱石の類を補充した俺は武器屋に到着した。
「それじゃあ、俺はどれをどこに売りに行けば良いか親父さんに聞いてくるので荷物の監視をお願いします」
「分かったわー」
ひらひらと手を振って来るので俺はそれに手を振り返して親父さんの店に入った。
「らっしゃい!...お、剣のあんちゃん!丁度良かったな、昨日完成した所だぜ」
「ほんとですか!?」
「あぁ。余った素材の売却も合わせて...防具はちょいとおまけして銀貨1150枚だな。悪いな、なかなか素材が良かったもんで楽しかったからついつい奮発しちまってよ...その分、性能はお墨付きだぜ?」
「な、なるほど...うーん...」
言われた金額より相当値上がりしてやがる。金貨12枚か...しかも剣抜きで。まぁ、その分性能が良いって言ってるんだし必要経費と割り切ろう。装備が良いに越したことは無い。
「一応あんちゃんなら払えると踏んだのはあるが...約束の値段を違えて急に値段を跳ね上げたのはこっちだからな。支払いはしばらく待ってやれるが払えるか?無理だってならまぁ...しゃーねぇ。俺が悪かったからな」
「それなんですけど...ちょっと来てもらっていいですか?」
「あ?別に構わねぇが...」
俺は親父さんを店の外に連れ出す。
「あらー?その人がコウヤちゃんの言ってた親父さんかしら?」
「おぉ...こりゃえらい別嬪さんだな...ったく、あんちゃんも隅に置けないな!」
親父さんにバシンと背中を叩かれる。
「ありがとねー」
「はは、断じてそういう関係じゃないので」
「そうか?そりゃ悪かったな...んで?連れ出した理由はこれか?」
「はい。海底から財宝をサルベージして来たんですけど、俺達にはこれを売る伝手は無いもんで...どこに行けば良いですかね?」
「へぇ。確かにこりゃあお宝だな...うーん。貴族街の方に貴金属を取り扱う店はあるが、今はあんまりお勧めしないな」
「なんでです?」
「俺らみてぇな下々の民はそこまでじゃ無いんだが、貴族達の間ではあんちゃんあんまり良く見られて無いようでな。買い叩かれるかもしれないぜ?」
「そ、そうですか...うーん。相場も分からないですしね...困ったな」
それにしても、俺って貴族に嫌われてるのか。
まぁ理由は察せるな。盾の悪魔をひたすらに貶めて楽しもうという所に邪魔に入った俺は不快な存在だろう。
後はビッチやらの根回しもありえるか?
「金を持ってそうで、貴族と関係を持ってる信頼できそうな奴でも居りゃ良いんだが...」
一人当てが見つかった。いや、見つかってしまったと言うべきか...
「心当たりがありますね...この後向かおうと思ってました」
「そうか!そりゃあ丁度良かったな。そんで?また素材は俺が受け取れば良いのか?」
「今回は価格交渉しないのでお願いしてもらっていいですか?欲しい素材があったら多少渡しても構わないので...後武器と防具も」
「へいへい...って、こりゃかなりの業物だな」
親父さんが雑多に詰め込まれた武器の中から一つを取り出す。
「あぁ。グリフォンの長が落とした剣ですね...」
「鑑賞用としても戦闘用としても価値が高いな。どちらで売ってもかなりの高額になりそうだ」
「はえー...」
そこまで絶賛するような物だったのか。一応コピーはしているけど、グリフォンシリーズ終盤の剣の方が性能が高そうだったからスルーしてた。
「...この剣と、ついでにそこの素材諸々俺に預けてくれ。欲しい素材や武器防具は俺があんちゃんに金払って買い取るし、残りはまた適当に売却しといてやる。グリフォンの剣だけで少なくとも金貨9枚はいくし、他の素材も前回よりさらに希少で優秀だからな...少なく見積もっても金貨20枚は越すな。だから俺に防具の代金払わなくていいし、もちろん差額は返すぜ...どうだ?」
「そりゃ親父さんが売却してくれるならこっちとしては願ったり叶ったりですけど」
「そうか!じゃあ商売成立って事で!」
「それじゃあお願いします!」
「あいよ!...ったく。自分から言い出した事とはいえ、剣のあんちゃんと盾のあんちゃんのせいで変な伝手が出来ちまったぜ。素材商と武具屋の奴等、俺の事卸売業者かなんかと思ってやがる...まぁ、お陰で新たな稼ぎと鍛冶素材の伝手が出来たから良いけどよ」
「はは...」
親父さんが次々と荷台から荷物を取り出すのでそれを俺も手伝う。
サディナさんはお宝の監視に回って貰ってるのでそのままだ。
手伝ってもらって目を離した隙に取られたらシャレにならない。
全て運び終わると、親父さんが店の奥から剣と防具を持ってきた。
「剣のあんちゃんの依頼は面白かったぜ。海の魔物の素材なんかなかなか扱わないからよ...しばらくはそれで大丈夫だろうが、またお願いしたいもんだな。特に防具はオーダーメイドだから素材さえ集めてくれりゃこっから更に性能を上げる事も出来る...まぁ相応に金はかかるがな」
ドシンとカウンターに置かれる。
「これが...」
防具は鎧というよりは、インナースーツといった趣だ。黒の長袖ピチピチインナーにタイトな長ズボン。それらには赤い線が走っており、なんらかの力の流れを感じる。ついでに陸での事を考えてか、それらに合う上着も備え付けられていた。
良かった...流石にインナースーツだけで外を徘徊は勘弁したかったし。
そして肩や腕、手、胸や足などにつける軽装防具が横に並べられている。ベルトには金具と小さなバックが取り付けられており、色々と小物を入れておくのに役に立ちそうだ。
「この布生地が厄介でよ...かなり苦戦して色んな伝手を借りて何とか形にしたんだ...こう見えて刺突にも斬撃にもかなり強くてな、実験用の布は何しても傷一つつかなかった」
「おぉ...!」
ちょっと自分が着ると思うと気恥ずかしいが、単体でならかなりカッコいいんじゃないか!?
俺は鑑定スキルを発動してみる。
水凄の布鎧
防御力上昇(中) 敏捷上昇(小) 泳力補正(大) 水中活動補正(中) 斬撃耐性(大) 刺突耐性(中) 衝撃耐性(小) 攻撃力上昇(中)
魔力防御加工 自動修復機能 エアウェイク加工
大量に効果が記載されている...これは金貨12枚払う価値がありそうだ...
「す...すごい」
「満足してもらえたようで何よりだ...で、剣なんだがな」
「はい」
この分なら剣にもかなりの期待が出来るな!懐は相当痛いかもしれないが、これと同レベルの恩恵があるのならいつかは取り返せるはずだ。
「まぁ、防具を最初に言ってた値段の3倍近くで売っちまったからな...最低限の加工費と作業費だけ渡してくれりゃコピーしてくれて構わねぇ。その代わりこの剣はこっちで売らせてもらうがな」
「え...良いんですか?」
「おう!いい仕事も出来たし特別だぜ!...それに、買い取りの事言い出したらそもそもこの前コピーした剣全部買ってもらう事になるしな。お詫びも兼ねてこれで良いか?一応それでもあんちゃんの持ってきたもんの総額は上回らねぇはずだ」
完全に買い取りのつもりだったから予想外の出来事に困惑した。
「あ、ありがとうございます!」
「あいよ!ただし次からは買い取って貰うぜ...まぁそんな事は良いんだ。これはグラムシーサーペントの王鱗とクロロ鋼を超高熱で溶かして作った合金を鍛えた剣だ。ここしばらくで一番の出来だと自負してるぜ」
親父さんが剣を鞘から取り出す。黒銀の刀身が紫に鈍く輝いていた。剣の付け根には碧い宝玉のようなものも取り付けられている。
「ほらよ、渾身の一振りだ。しっかり使ってくれよ?」
「...はい!」
カウンターに置かれたので俺はぺこりと頭を下げてから触れた。
海帝の剣(未覚醒) 0/45 C
能力未開放...装備ボーナス、スキル「グラムジャッジメント」 攻撃力10
専用効果、水属性攻撃補正(中) 斬撃補正(中) 水属性攻撃消費軽減(小) 水耐性(大)
す...すごい事しか書いてない。
なんかスキルも凄そうだし、専用効果が凄まじい。
水属性攻撃ってのにスキルも含まれるのなら法外級の武器な気がするが...
「す、すごい剣ですね...これ。今の俺には不釣り合いかもしれません」
「今はそうかもしれないが、あんちゃんたった一週間ちょっとでこのレベルの魔物を狩れるくらい成長しただろ?防具もそうだが、生半可なもんじゃ戦いについていけないと思ってな...」
俺は剣と防具を抱きしめる...
こんなにすごいものを作ってくれるなんて思ってなかった。
「俺...頑張ります!この剣と防具で、頑張って見せます!!」
ついつい興奮して叫んでしまった。
「おう!精々世界を救ってくれよな、勇者様」
親父さんが背中をバシンと叩く。
「ほら、早速着て来いよ」
「はい!」
俺は試着室を借りて今の防具を脱ぐ...思えばたった一週間で随分と無茶させたもんだ。
元の皮の鎧はもはや見る影も無く、ドロップで誤魔化していた装備も傷だらけになっている。
それらを脱いで新品の鎧に袖を通す。
驚く程にぴったりとフィットして体に馴染む。重さも全然感じない...が、その存在感が、ステータスがこの鎧の力を物語る。
「着終わりました」
「へぇ...随分見違えるじゃねぇか。一流の冒険者と見比べても遜色無いな。雰囲気はまだまだ緩いが」
「余計なお世話ですよ!...全く、ほんとうにありがとうございました!」
「良いって良いって!ほら、あの嬢ちゃん待たせてんだろ?早く行ったらどうだ?」
「でも...」
「男は女を待たせるもんじゃねぇ...な?」
「...分かりました。それじゃ!」
「おう!素材と武器防具のお釣りは次来た時に渡してやる!」
「はい!」
俺は親父さんに手を振って店を出た。
「...あらー。随分と見違えちゃったわ。勇者様の貫禄が出て来たんじゃない?」
サディナさんが素直に驚いたような顔で俺に話しかけて来る。
「だったら良いんですが...ちょっと着られてる感もあるんですけど、大丈夫ですかね?」
「えぇ。とっても似合ってるわ」
「あはは...」
ちょっと嬉しくなってしまって頭を掻く。
「さて、と。コウヤちゃんの装備も揃った事だしこれを売りに行きましょうか。当てはあるんでしょー?」
「はい!それじゃあ行きましょう」
俺は再び馬車を引っ張る...
魔物商のテントの場所はもう覚えた。裏道以外にも馬車なんかが通れる道がある事は分かってる。
まぁ、そうじゃなかったら奴隷の移送や貴族の買い付けなんかに不都合が起こるだろうしな...
俺はその方向へと歩いて行った...
────────────────────────────ー
あっという間に魔物商のテントに到着する...俺はサディナさんと一緒に宝を入れた木箱を持ってテントの中に入った。
「おや...これはこれは剣の勇者様!よくぞお越しくださいました」
魔物商がニヤリといやらしい笑みを浮かべて来る。
「ここがラフタリアちゃんが売られてた奴隷商の...」
サディナさんが少し不快そうな顔をしていた。
「サディナさん」
「分かってるわー」
「それで、本日はどのようなご用件で?」
「はい。奴隷を購入したいのと...少々専門外でしょうけど、お願いしたい事がありまして」
「ほう!まさか剣の勇者様も奴隷をお求めに!?なるほどなるほど...そちらのお連れさんは随分とお美しい。なるほど。英雄色を好むと言います...なかなかの好色家ですな?」
「ち、ちち違います!!普通に戦力として奴隷が欲しいだけです!!」
「えぇえぇ。分かっておりますとも...」
にやにやと笑って来る魔物商は絶対に分かっていない。
「それで?専門外の依頼というのは?」
「はい...これなんですが」
俺は木箱を開けて宝を見せる。
「ほぅ...少々汚れてはいますがこれはなかなかの逸品!どこで見つけたので?」
「海底にありました」
「なるほど...勇者様でしかたどり着けぬ領域にあったと。流石は勇者様でございます!ハイ」
「それで...これを売りたいんですけど俺には伝手が無いんでお願いしたいんです。もちろん仲介手数料は支払います」
「なるほど...確かに、今の剣の勇者様には少々難しいかもしれませんな。しかし本当に良いのですかな?剣の勇者様には優秀な伝手があったように思うのですが」
「無いって言いませんでしたか?」
「ふむ...物証を残すような事は出来ないと...なるほどなるほど。かしこまりました!とはいえ、こちらも専門は奴隷商と魔物商...多少の損はお覚悟下さいね?」
あぁもう全然信用してくれねぇ!なんだよ物証を残せない伝手って!どんだけ機密性高いんだそれは!!
「充分な資金さえ手に入れば問題はありません。なるべく早く換金する事を優先でお願いします」
「分かりました。私もそれなりの伝手を持っております。明日には換金しておきます...それでは本題に入りましょう、ハイ」
魔物商がテクテクと店の奥へと入っていく。
すえた匂いが漂って来る...周囲に広がる死んだ目、目、目...
その陰鬱な雰囲気と澱んだ空気は否応なしに俺の気力を削いでいく...
「こちらなど如何でしょうか!最近入荷したおすすめの奴隷でして、フォクス種と人間の混血ですが、フォクスの血を濃く受け継いでおり愛玩用にぴったりかと!!」
銀髪に狐耳と尻尾を生やした女の子が薄い服で自分の体をアピールしながらニコリと若干引きつった笑みを浮かべる。恐らく貴族なんかに売る為に無理矢理笑わせているのだろう。
...愛玩用と言うだけあってかなり身綺麗にされているようだ。
まぁ、良く見れば体中が震えている辺り扱いは察してしまうが...
可哀想だと思う感情は当然湧いてくるが、奴隷なら誰でも良い訳じゃ無い。そんな奴隷全員解放だなんて夢物語語るつもりは無いし、そんな余裕も一切無い。
村の人々を集めるのだって資金はいくらあっても足りないのだ。
奴隷だから、可哀想だからなんて選定理由では選んであげられない。
「悪いんですが、あなたのオススメを聞く気はありません」
「ほう?それは大変失礼いたしました...それでは、どのような奴隷をお求めで?」
「この国で亜人との友好を謳った村がありましたよね。セーアエット領のルロロナ村です」
「先日の波で奴隷狩りの被害にあった村ですかな?我々の店にも何人か売られてきましたな」
「その村出身の奴隷が欲しいんです。偽物かどうかはこの人が判別出来るので変な事は考えないでくださいね」
「もちろんですハイ!...なるほどルロロナ村...残念ながらほとんど売れてしまっておりますな。取り寄せでならば対応できる者が一人おりますが...いかがいたしますかな?」
「じゃあその人でお願いします」
「かしこまりました!それでは明日にはこちらの店に連れて来ておいておきますので、その時にこれらを換金した金銭はお支払いさせていただきます」
「手数料は一割でお願いします。いいですか?」
「おや、そんなに頂けるので?」
「これからももしかしたら頼むかもしれませんが、どのみち大口の取引はできませんから...多めの金額を払って補います。その代わり裏切りは許しません。俺が売ったという事も言わないで下さい...良いですね?」
ただでさえ裏切り防止の為に多めに金を払うんだ。更に値段下げられたらたまったもんじゃない。
「かしこまりましたです、ハイ。流石は勇者様、危機管理に余念がないご様子で...!」
「それじゃあ、明日のいつ頃までに用意できますか?」
「そうですな。こういった換金にはそれなりに時間がかかりますからな。明日の昼頃には全て用意しておきましょう」
「分かりました。それじゃあお願いします...それと、これからはルロロナ村出身の奴隷が売りに出たら買い付けておいて下さい。本当に出身の奴隷なら全部買うので」
「ほう!かしこまりました...!村とは言えどそれなりの人数がおります。それだけの大口の取引でしたらこちらも全力で取り組ませていただきましょう!亜人奴隷は飽きられたら売られる傾向にありますからな。今は在庫がなくても時間さえあればそれなりの数が集まるでしょうな」
「よろしくお願いします...あ、明日まで馬車をここに置いてって良いですかね?一応邪魔にならない場所に置いてはいるんですけど」
俺はそれだけ言うと魔物商に背を向けた。
「ご自由にどうぞ。それでは、またのご利用を...!」
頭を下に下げてはいるがにやにやと嫌らしい笑みを貼り付けている様が目に浮かぶようだ。
俺は陰鬱な雰囲気を振り払うようにテントを出た...
「...ありがとうねコウヤちゃん。まずは一人、誰かは分からないけれど助けられるわ」
サディナさんが真剣な顔でお礼を言って来る。
「はい。あの人はかなりのやり手ですし、一族総出で世界中に支店を持ってるはずです。多分これが一番村人達を集めやすいと思います」
「本当にありがとう。くれたものに応えるだけの物は示して見せるわ」
「何言ってるんですか。俺はちょっと動いただけですよ。資金集めをしてくれたのはサディナさんですし、俺の稼ぎは自分の装備やら消耗品で消えたようなもんですから...むしろ俺が色々返さないといけないくらいですよ」
「いいえ。いくらお金を積んだって私じゃあの人を動かす事は出来なかったでしょうね。剣の勇者だからこそ、あの人は取引を受けたのよ...だから、ありがとう」
「...はいはい分かりましたよ。素直にお礼は受け取っておきます!でも、本当に良いんですよ。サディナさんが居てくれるだけで、ありがたいですから...」
「あらー。それはどういう意味かしら?もしかして...あの人の言うみたいにお姉さんいけない事に使われちゃうのかしらー?」
「信頼出来る仲間って意味ですよ!!ほんと勘弁して下さいよ!!そんなに俺ってスケベに見えますかね!!」
「冗談よー、もう」
「全く...」
「まぁいやらしい目線は向けられてるけどねー」
「うげ!」
そうか。良く言うよな。女の人は向けられる視線に敏感だって!しかもただでさえ勘の鋭いサディナさんだ。もろバレだよな!!
でもしょうがないじゃん!!だったら獣人の姿になってくれよ!!それかもっと着こんでくれよ!!
こちとら最近ようやっとお顔を見て話せるようになって来たんだっての!!
「さ、明日のお昼までまだまだ時間があるわよー?何をするのかしら?」
その顔で明らかにこっちをからかっているのだと理解できた。
「もうやだこの人...それじゃあ、夜まで文字を教えてください。俺も早く魔法文字が読めるようになりたいので...それが終わったらギルドに行ってみましょう」
「えっと...文字が読めないの?」
「生憎異世界出身なもので」
「分かったわー。それじゃあどこか座れる場所に行きましょー。今日中に読めるようにしてあげるわー」
フラフラと掴みどころのない態度で笑うサディナさんを追いかけながら、俺はため息をついた。