剣の勇者の成り代わり   作:min-can

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剣盾会議

「おかえりなさい、コウヤちゃん」

 

「ただいま戻りました」

 

「あらー?その人が新しいお仲間さんかしら?」

 

「えぇ、それじゃあ紹介します。今日から俺達のパーティに参加するオミット=エーデルハイムさんです。色々あって、完全に俺達の味方なのが分かってるから事前に言ってたみたいに警戒しなくても大丈夫。仲良くしてください」

 

「ご紹介に預かりました。オミット=エーデルハイムと申します。コウヤ様の配下...いえ、敬虔なる信徒の皆様。どうかあなた方の末席にこの私を加えて頂けると幸いでございます...これからは私もコウヤ様の事を支えられるよう、コウヤ様の忠臣である皆さまと比べ矮小な我が身ではございますが、粉骨砕身!身命を賭してお供させていただきます」

 

 オミットさんが見事なお辞儀をする。

 

「おー!なんか難しくてよく分かんないけど、よろしくなー!!」

 

「えぇ、よろしくおねがいいたします」

 

 それから皆も自己紹介をして、とりあえず仲間として加入してもらう事が決定した。

 

「ニーナちゃん。知らない男の人は怖いかもしれないけど、この人はニーナちゃんに酷い事はしないし、万が一があっても何かある前に絶対俺が助けるから心配しないでね?」

 

「あ、はい...わかりました」

 

「ん?...まぁ、良かった」

 

 なんか思ったよりも抵抗が少ない気がするな...もうちょい拒絶するかと思ったけど、まぁニーナちゃんも心身ともに成長してきたって事なのかな?

 

「それにしても、奴隷になってまでコウヤちゃんに信頼してもらおうだなんてすごい忠誠心ねー。お姉さん驚いちゃうわ」

 

「私は愚かにも一度コウヤ様を裏切ってしまった身。この程度の事で信頼していただけるとは思いませんが、少しでも認めていただけるよう精一杯努めさせていただいております」

 

「ふーん...にしても、おっちゃんは俺達の事見下したりしないんだな!目が全然ちげぇ」

 

「ちょっとキール君、いきなりおっちゃんはちょっと...」

 

「いえいえ!是非おっちゃんとでもおじさんとでもお好きにお呼びください...なんなら下僕でも奴隷でも路傍の石でも構いませんとも!」

 

「いや構うでしょ」

 

「お気になさらずに。今までコウヤ様をお支えになられた尊敬すべき方々ですから...信徒の一人として認めていただけただけで感無量でございます」

 

「あぁ...そう...」

 

 なんか疲れるなこの人...一か月前のあの姿は何だったんだ。

 

「じゃあおっさん!おっさん何が得意なんだ?俺はシュババって近づいて剣で戦うのが得意だぜ!」

 

「剣を...!!すばらしいですキール様!!私は魔法を得意としております...火と水の魔法の他、回復魔法も得意ですよ」

 

「あぁそういえば...最初の頃適性は火と水って言ってなかったっけ?」

 

「覚えていていただけたのですね!!!流石は神ィ!!」

 

 声デカ...唾飛んで来たし。

 

「えぇ。私の適性は火と水なのですが、冒険者としての生活の傍らで教会の治療院での奉仕活動も行っておりまして...元々火と水程でもないにしても適性があった事も相まって回復魔法の習熟度はそれらにも全く劣らないと自負しております」

 

「そうなんすか...」

 

 まじで万能だったんだなこの人...なんか、最初のあのパーティ実は結構バランス良かったんじゃないか?

 ボルドーさんが前衛で俺が中衛、フィートさんが罠と弓で中衛から後衛、オミットさ...もうオミットでいいや。オミットが魔法で後衛の役割を全部こなせる。割とまとまってるな。

 まぁどうでもいいけど。

 

「それじゃあ、交流は後でいくらでも出来るし...クエストを受注したら出発するから馬車に乗ってね」

 

「御者は是非私めにお任せくださいませ」

 

「じゃあ、頼む」

 

「はっ!この命に代えても!!」

 

「代えなくて良いんで...」

 

 どう扱うべきか分かんなくなって来たなこの人。

 

 ────────────────────────────────────────

 

 本当は城下町に宿泊する予定だったけど、これ以上厄介事に巻き込まれたら困るので無理矢理出発した。近隣の村で宿泊する事になるかな。

 

 オミットさんは俺に報告してから、魔法を使って教皇へと定時報告を送っていた。なんでも俺達が転移スキルのせいですぐ行方不明になるから、これ以上影を俺達に割いて居られない状態になっていたようだ。

 こうして堂々とスパイを一人送り込んで報告させることで動向を監視する予定だったらしいけど...俺が内容を確認してから送ってるからな、やろうと思えば嘘の情報を詰め込み放題だ。

 

 これだけ優秀な人が仲間になってくれたのは本当に嬉しいんだけど...だけど...

 

「終わりました!!これからもこの時間に報告を送るので、是非私と共に確認をお願いいたします!!」

 

「あぁ...よろしく」

 

 あの落ち着いて、頼りになりそうだったオミットさんはどこに行ったのやら。常にハイテンションで若干怖い。

 ウィンディアちゃんやニーナちゃんもドン引きしてるし...

 

 そんなこんなで今まで通り、クエストの場所へと向かいながらレベリングと名声を稼ぐべく困っている人を助ける日々を送っていた所で尚文と約束していた日になった。

 集合場所は皆が動けないときに潜伏していた洞窟だ。

 

 ───────────────────────────────────────────────────

 

 オミットさんに馬車を運転してもらう事で、馬車の中に居る偽装をしながら転移する事が可能になった。

 そこまで警戒する必要があるかは分からないけれど、まぁしすぎて困る事は無いだろう。

 いつも昼すぎから海に転移していたから、朝っぱらの今転移して、もし尚文も同じ時間に消えた事が報告されたら違和感を持たれる可能性は無きにしも非ず...

 

 転移が完了すると、目の前に尚文、ラフタリアちゃん。

 そして...

 

 金髪の幼女がそこには居た。なんかちょっとくせっ毛な気もするけど、多分誤差だな!

 俺は上手いこと正解を引き当てられたらしい。

 

「びっくりした...鋼也!いきなり出て来るなよ」

 

「転移スキルにいきなりもクソも無いような...まぁ、久しぶり尚文!元気そうでなりより」

 

「あぁ、お陰様でな...一回くらいはお前からの襲撃があるかと身構えてたんだが、誰かさんがサボってるお陰で快適に過ごせたさ」

 

「今は襲わなくていいって言われたからな」

 

「今は...ね。まぁいい。この半月、お互いに積もる話もあるだろうし、さっさと中に入ってくれ」

 

「ごしゅじんさまー。この人達だーれ?」

 

 仮称フィーロちゃんが俺達を興味深そうに見ている。

 

「剣の勇者の鋼也とその御一行様だ。まぁ...一言で言えば味方だな」

 

「へー。フィーロはねー、フィーロ!」

 

「フィーロちゃんね...よろしく」

 

「うん!」

 

 ちゃんと名前もフィーロだったみたいだ...いやぁ良かった。最悪別のフィロリアルでもと思ってたけどフィーロであるに越したことは無かったからな。

 

「フィーロ、あまり離れすぎなければ外で他の奴らと遊んでていいぞ」

 

「はーい!それじゃあみんなフィーロとあそぼ!」

 

 フィーロちゃんの声を受けてキール君達が俺の方を見て来る。俺が頷くと嬉しそうにフィーロちゃんと一緒に駆けだした。

 

「それじゃあお姉さんはみんなの事見ておくわね」

 

「お願いします。終わったら迎えに行きますね」

 

「おねがいするわー。みんな待ってー。お姉さんも混ぜてちょうだーい」

 

 サディナさんが向こうに行ったメンバーの引率を買って出てくれた...サディナさんが居れば安心だな。

 

「ラフタリアも行って良いんだぞ?」

 

「いえ、私はナオフミ様と剣の勇者様のお話を聞いておきたいと思います」

 

「そうか?ならまぁ、好きにしてくれ」

 

「はい!」

 

 ラフタリアちゃんは残る事にしたようだけど...意外な事にニーナちゃんも残るようだ。

 

「ここに居てもあんまりおもしろい事は無いと思うけど、皆と遊ばなくて良いの?最近は遊ぶ時間もあんまり取れてなかったし...」

 

「ううん、勇者様の所が...良い!」

 

 ムンと気合を入れるように両手をぎゅっとしてこちらを見つめて来る。

 

「そう?それじゃあここで一緒に会議に参加しようか」

 

「うん!」

 

「随分懐かれてるな鋼也...にしても、あの小さかった牛子がなぁ...ラフタリアの時も随分驚いたが、他の奴等とラフタリア達の違いはなんだ?」

 

「確か精神的な所が大きかったと思うけど、詳しくは俺も分からないかな」

 

「ふーん。早く一人前になりたいとか、そういう願望があると成長しやすくなるのか?確かにラフタリアは責任感が強いし分かるが...」

 

「後はサディナさん曰く単純に種族的な所もあるみたい。ルスタイ種の人達は結構大きくなりやすいみたいだから」

 

「へー。まぁそんな事はどうでもいいか、それより今後の事を考えないとな」

 

「尚文が言い出した癖に...それじゃあ、早速俺からかな」

 

 俺は尚文に今までの事を時系列で説明した。

 

「ふーむ...案外上手くいったみたいだな。付け焼刃にしてはだが」

 

「向こうも完全に真に受けては無いだろうけど、そうしておいた方が扱いやすいだろうし段々勘違いしてくれるんじゃないかな?」

 

「それもこれからのお前の立ち回りにかかってるわけだな。貴族共と話す機会もあるだろうし、抜かりなくやれよ」

 

「頑張るよ」

 

「そんで、村の奴等もほとんど集まって来てる訳だな...やっぱりあの奴隷商はやり手だな。後は貴族共が囲ってる連中だけか」

 

「うん。それも5人は教皇が確保してるから、後メルロマルクの貴族やらが囲ってるのが3人くらいになるかな。それ以外の子達は...」

 

 俺は自分で言っておきながら気まずくなって黙ってしまった。

 ラフタリアちゃんやニーナちゃんの前で言う事じゃ無かったな。

 

「んん!まぁ、何はともあれ村の奴隷については鋼也の努力のお陰でほとんど集まりつつあるんだ。後は三勇教の奴等に確保させた奴らをどうやって安全に脱出させるかだな」

 

「あぁ。一応プランはある。とは言っても一筋縄ではいかなそうだけど...」

 

「具体的には?」

 

「奴隷紋は二人の主によって縛られてるから、片方に何かあると分かるともう片方が奴隷紋を発動させてしまう...だから、多分奴隷紋の機能するギリギリかつ真反対の位置に待機するはずなんだ。殺してしまえば奴隷紋から契約者が消えてバレるし、気絶させたりして待機位置から動かしたりしても多分警報が鳴ると思う」

 

「この世界の魔法ってそんなに便利なのか?」

 

「魔法って言うよりは魔道具かな。条件はある程度複雑に設定出来たと思う」

 

「厄介だな。聞いてる限りどうしようもなく思えるが?」

 

「次の波のボスから解放される武器がこの状況にピッタリなんだ」

 

「何?...いい加減お前の情報源とやらが気になって来るな」

 

「はは...もうちょっと待ってよ。村の子達をみんな救えたら...その時は俺も決心をつけるから」

 

「厄ネタ感満載だがいい加減気になって仕方ないからな。約束だぞ?」

 

「うん...まぁ、例の武器について一言で言えばかなり万能な暗殺型武器って所かな」

 

「穏やかじゃないな」

 

「まぁね。壁抜けに魂の知覚...及び魂への干渉が出来る。これらを使えば、殺したり傷つけたりする事なく...つまり魔道具の条件に引っかかる事なく無力化する事が可能だと思う。いや、無力化じゃないな。殺す事にはなる...正確には一生起き上がれなくなるって事」

 

「壁抜けに...お前の言い分から考えて、魂でも抜き取って抜け殻にするって事か?えげつないな...というか出来るのか?」

 

「...俺はやるよ。碌な死に方しないのは覚悟の上だ。俺は今の仲間の皆が大好きで、皆には笑顔で居て欲しい...自分の都合で人を殺すのは酷い事だと思うけど、勇者としてこの世界に居る以上避けては通れない。だから...やってみせる」

 

「...分かった。俺には出来ない...お前にしか出来ない事だ。任せる...ただまぁ、抱えきれないと思ったら俺に押し付けちまえ。それくらいしかしてやれない俺を恨んで良い」

 

「まさか、まかり間違っても尚文を恨んだりはしないってば」

 

「いや、お前みたいに戦う力があれば...少なくとも半分は抱えてやれたんだ。盾だから...俺には防御しか能が無いから...って悪い、愚痴っぽくなったな」

 

「ナオフミ様!そんな風に言わないで下さい...!」

 

 ラフタリアちゃんがバンと机に手を叩きつけて立ち上がった。

 

「ナオフミ様は一番困難な事をなさっているのです。仲間を...誰かを守れるその素晴らしい力を...どうか卑下しないでください。私を守ってくれた、支えてくれたナオフミ様の事をそんな風に言うのはナオフミ様自身でも許しません!」

 

「あ、あぁ...すまん。そんな風に思ってくれてるのに悪かった...な?」

 

「あ...す、すみません!話の邪魔をしてしまって!」

 

 ラフタリアちゃんが驚く俺達の顔に気付いたのか顔を赤くして縮こまってしまった。

 

「はは...まぁ、ラフタリアちゃんじゃないけど俺もそう思うよ。痛感してる。誰かを守るのってすごく難しいって...だから、もっと自分の力を誇っていいと思うぞ?」

 

「...わかったわかった!もうしないからこの話は終わりだ!さっさと元の話題に戻すぞ!」

 

「照れたか?」

 

「鋼也お前...後で覚えとけよ」

 

「怖いって」

 

「はぁ...まぁいい。次は俺達の現状か...と言っても俺達は決めてた通りあまり派手に動くわけにもいかなかったからな。ある程度装備で誤魔化しながらレベリングして、それも最低限落ち着いたから今はフィーロに馬車を引かせて行商の旅の途中だ。多少は善行も積むようにしてるぞ...まぁ基本金稼ぎ優先にしてるが」

 

「うんうん。最近は神鳥の薬売りの噂が聞こえて来てるよ」

 

「剣の勇者様には負けるがな...というか、そういや聞きそびれたがお前はフィロリアルがあぁなる事を分かってたのか?」

 

「あぁって...天使の姿?」

 

「天使...?まぁ天使か。あぁ、あの人形態の事だ」

 

「一応知ってたかな」

 

「知ってたなら一言欲しかったな。野宿してたら見知らぬ子供にしがみつかれてた俺の驚きをどうしてくれる」

 

「ごめんごめん。驚いてくれるかと思って」

 

「お前...ハァ。後はまぁ、レベリングが進んで俺もポータルスキルが使えるようになったくらいか?」

 

「結構な期間リユート村周辺に居たらしいけどそこまでレベル上がったのか?」

 

「フィーロにしがみついて森を走れば短時間でかなり奥まで行けるからな。おまけに影?だったかもあの速度には付いてこれないから案外困らなかったぞ?」

 

「あー。前一緒に狩りした辺りか。それならすぐに着くな」

 

「あぁ。勇者補正もあるんだろうがフィーロのスピードがかなり高くて助かってる...正直今の面子ならこの国から逃げるのも難しくなさそうだ。街道で何回か裁き?とかいう魔法撃たれたけど痛くもかゆくも無かったし」

 

「まぁ...正直三勇教を正面から潰したり逃げたりする分には、もはや障害はないもんな」

 

「それが出来ないからこうなってる訳だが...そういえば向こうもそろそろ痺れを切らすんじゃないかと睨んでるんだがどうだ?」

 

「うん。まだ何も言われてないからあくまで予想だけど、最有力候補は次の波かな」

 

「勇者全員同じ場所に強制転移だからな。まぁ狙うならそこだろ」

 

「うん...まぁそういう状況になったら、他の勇者二人...というか元康は女性関連で凶暴化してるから間違いなく襲い掛かると思う。俺はなんとか戦況をかき乱してみるよ」

 

「あいつ凶暴化してるのか」

 

「うん。俺の時はサディナさんとニーナちゃんが美人だからよこせって襲い掛かって来た。ラフタリアちゃんとフィーロちゃんを見れば間違いなく同じように襲い掛かるかな」

 

「めんどくせー...フィーロは鳥になれば良いとして、ラフタリアには変装でもさせるか?」

 

「してもバレそうな気はするけどな...今のあいつはそういう怖さがある」

 

「女狂いの勇者か...そういや槍の勇者が女を強引に奪ったみたいな噂を聞いた気がするな」

 

「マジで?...いや、今のあいつなら気に入った女の人が居ればなりふり構わず力を振るう可能性は充分考えられるか」

 

「まぁ元康の悪評が立つ分には今は良いんじゃないか?いずれ対処するのは当然として、他の勇者がヘマすれば三勇教の連中にとってのお前の価値が上がる訳だしな」

 

「まぁそう考える事もできるか...一応調べて出来そうだったら元康の後始末してみるよ。被害者の相談受けたりとか」

 

「それが良いんじゃないか?ついでにバッタリ会ったら股間でも潰しとけよ」

 

「今のあいつ相当固いぞ?スキルは使わなかったけど全力で顔面に剣叩きつけても起き上がりそうだったし、スキルで状態異常漬けにしてようやく倒れたからな」

 

「狂っててもしっかり強化は積んでる訳ね...あのキチガイみたいな奴等に殺されない可能性が高い事を喜ぶべきか、厄介になった事を悔やむべきか...」

 

「実はちょっと悔やんでる...まぁ、世界が終わる可能性を考えれば石橋を叩くくらいで丁度いいとは思うんだけど」

 

「はぁ...樹もまだ会って無いから知らないけど、どうせ狂ってるんだろうなぁ。勇者半分気狂いとかとんだハードモードだな」

 

「ハハ...」

 

「笑えねぇよ...まぁいい、とりあえず次の波で一発大きな襲撃があると思って過ごしておく。最悪スキルで転移して逃げればいいしな。なるべく伏せておきたい手札ではあるが」

 

「ちなみに波の影響下では転移出来ないぞ?」

 

「...マジ?」

 

「屋内、領域系の魔法の範囲内、波の発生地...後は今度起こるちょっと前に説明するけど活性化地では転移出来ないから」

 

「ちっ...最悪転移でどうとでも出来ると思ってたが思いの他対処法があるんだな」

 

「うん...」

 

「分かった。フィーロに頑張ってもらうか」

 

「うん。俺も精一杯フォローするから頑張って逃げてくれ...あぁでも今回の波のボスの盾は絶対手に入れて欲しいから...分かった。波のボスの素材を分けてやるから欲しけりゃ逃げるなって俺が脅すからそれに従う感じの雰囲気でやっていこう」

 

「そんで俺が盾に素材を吸収した瞬間から一斉攻撃か...まぁ来ると分かってりゃなんとかなるか?」

 

 尚文が立ち上がって伸びをした。

 

「よし...今回はこんなもんだろう。次に会う時は波になるか?」

 

「うん。まぁ案外どこかでバッタリすれ違うかもしれないけど」

 

「そうだな...その時は神鳥の薬売りとして対応させてもらおう」

 

「それじゃあちょっと名残惜しいけど、みんなを迎えに行こうか」

 

「あぁ...無事俺が襲撃を乗り切れたら二日後にまたここで集合しよう」

 

 次の集合の約束をして、俺達は皆を迎えに行った。

 みんな楽しく遊んでいたようだ。

 

「おっ兄ちゃん達!話終わったのかー?」

 

「ニーナ、そっちの話面白かった?こっちに来ればよかったのに」

 

「うーん...でも、勇者様が居たから」

 

「あんたのそれには呆れるわ...ま、あんたがそれで満足ならそれでいいけど」

 

「えへへ」

 

「はぁ...」

 

「ごしゅじんさまー!フィーロお友達いっぱいできたよ!えっとねーキール君にウィンディアちゃんにサディナお姉ちゃん!ガエリオンはドラゴンだからきらーい!」

 

「そ...そうか。長い付き合いになる。これからも仲良くな」

 

「うん!えっとねーニーナちゃん...だった?今度は一緒に遊ぼ!ラフタリアお姉ちゃんも!」

 

「う、うん」

 

「えぇ、皆で遊べるといいですね」

 

 平和で楽しそうな光景を見て、なんか急にこみ上げて来るものがあった。

 

「なんかいいな...こういうの」

 

「あぁ。お前が作った光景だ...さっきの意趣返しじゃないが、誇っていいんじゃないか?」

 

「俺達だよ。ラフタリアちゃん達の事はもちろん、今こうして俺やみんなが生きてるのは尚文のお陰なんだから」

 

「あのクソ転生者の件か?それこそお互い様...って、何を互いに褒め合ってるんだか」

 

「ははっ、違いない」

 

 尚文と呆れながら笑っていると、ラフタリアちゃんがこっちに来た。

 

「そうだ、剣の勇者様!改めて村の皆の事ありがとうございます!最後に残った子達の件、ナオフミ様と一緒に全力で協力させていただきます」

 

「いいよいいよ。もう俺も他人事じゃないし、皆でこうやって遊んで笑い合えるようになるよう頑張るよ」

 

「はい!...それで、その。これだけお世話になっているのに少し他人行儀かなと思うので...」

 

 ラフタリアちゃんが少し顔を赤らめながらもじもじとしている。

 くっ...流石はメインヒロイン...!耐性が無ければ一撃で死んでたな。

 

「これから、コウヤさんとお呼びしても良いですか?」

 

「え...?あぁ、もちろん。好きに呼んでくれて構わないよ」

 

「ありがとうございます!...それじゃあコウヤさん、これからもキール君達の事をよろしくお願いしますね!」

 

「もちろん...ラフタリアちゃんも尚文の事ちゃんと世話してあげてね」

 

「お前はおかんか」

 

「はい!」

 

「ラフタリアも同意するな!俺がお前の面倒見てるんだよ...ったく、最近結構小言言われる事も多いんだよなぁ」

 

「まぁまぁ、それだけ信頼されてるって事でしょ?」

 

「だと良いが...どっちかと言うと理想の勇者像みたいなのを押し付けるような感じなんだが?」

 

「ほうほう...いいねぇ」

 

「どこが。つか、その気色悪い目をやめろ」

 

「ごめんごめん」

 

「はぁ...そんじゃあラフタリア!フィーロ!そろそろ行くぞ!」

 

「俺達もそろそろ集合の時間だから戻ろうか」

 

 互いの仲間同士で集合して、向かい合いながら転移スキルを発動する。

 

「それじゃあな鋼也。うまくやれよ」

 

「そっちこそ...またな尚文!」

 

 転移スキルによって視界がぐるりと入れ替わった。

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