剣の勇者の成り代わり   作:min-can

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出立の準備

 王城から逃げるように去って、宿に戻るべくしばらく城下町を歩いた。

 

 ...んん?なんか妙な視線が多い気がするな。

 なんか嫌な感じだ。別に悪意を向けられてるって訳じゃないんだけど、一体なんだろうか?

 

 首を傾げながら歩いていく。今日ここを発ったらしばらく寄り付かないつもりなので、ついでに剣の素材に出来そうな物が売ってる店があったら立ち寄るようにした。

 

 一応歓迎してはくれるんだが、昨日よりも妙によそよそしいというか、なんとも言い難い不思議な感じだ...まぁ金を払えば品物は渡してくれるから良いんだけど。

 特に海鮮系を中心に集めた。水中での技能に補正がかかる剣が目当てだ。

 海でのレベリングは地上の経験値を奪っているシステムエクスペリエンスの魔の手が届いていないから非常に効率がいい。これから満足いくレベルに上がるまでは海辺での生活になるだろうな...

 三人はちゃんと同意してくれるだろうか...というかしてもらわないと困るが。この一か月でどれだけレベルを上げられるかで俺の安全度が段違いになる。最悪尚文と二人で追っ手から逃げながら戦う事になるかもしれないのだ。尚文は仲間を集わないとレベリングが出来ないだろうから、俺だけでもレベルを上げておく必要があるだろう...

 

 そうだ、武器屋で尚文に手紙を残しておこう...しばらく会えそうにないとか、あまり急激に強くなったように見せると焦って行動してくるかもしれないから弱く見えるように注意しておけ、とか仲間は奴隷を買ったらいいんじゃないか、とか序盤の尚文でも出来そうな金稼ぎの方法とか...色々書いておきたい事はある。

 流石に俺からの置手紙を見て、なにくそ奴隷なんか買ってやるか!と反骨精神を出すことは無いと思いたい。

 ...そんで、確実にラフタリアを買ってもらう為にも奴隷商の所で尚文がラフタリアを購入しやすいように、いくらか金を払って値段を下げてもらうのも良いかもしれない。

 ラフタリア以外の横の二人を買う可能性もあるからな...流石に値段が安ければ他には目移りしないだろう。

 

 くそ、今日以降はしばらくここに戻るつもりが無いからやりたい事がいっぱいだな...一応仲間達には戻るまで宿で待っててと伝言してもらったから、ある程度の事はやっていくか。

 

 ──────────────────────ー

 

 まずは親父さんの店に到着した。

 

「こんにちわ」

 

「らっしゃい!....って、剣のあんちゃんか...お前、聞いたぜ?」

 

 気前よく挨拶してくれると思ったが、そんな雰囲気じゃなかった。

 なんなんだ?さっきから色々と雰囲気がおかしい気がする

 

「えっと...何をですか?」

 

「強姦魔を擁護するような事言ったらしいじゃねぇか」

 

「えぇ...」

 

 あのクズ全然不問にしてねぇじゃねぇか...あの時間と俺の謝罪は一体なんだったんだ...?

 あれか?不問にはしたが盾の勇者の味方をすることがどういう事かは分からせねばならんとかそんな事か?

 いや、それよりもビッチの独断の方がしっくりくる気がする。

 ...それにしても、この速度で噂を流せるならそりゃ尚文の寃罪なんか一晩で全国に回るわなと感心してしまう。

 

「いや、被害者の女の証言には腑に落ちない点がいくつもあって...その後来た尚文の態度からも何かしら裏があるんじゃないかと思ってそれを言っただけですよ...親父さんにはあいつが強姦やらかすような奴に見えたんですか?」

 

「あ?そりゃあ...まぁ確かに、ちょっと腕組まれただけでデレデレしてたしな。あんまりそんな事しそうな奴じゃ無かったかもしれんが...」

 

「親父さんも分かってるんでしょ?これは盾の勇者を貶めようとする陰謀です」

 

「ほう?まぁ、そう言われると腑に落ちる点もあるが...まぁいい、それは盾のあんちゃん本人に聞いて判断する。これでも人を見る目はあるつもりなんでな」

 

「そうですか...」

 

「まぁあんちゃんも嘘は言ってねぇみたいだし、正直俺もあの女はちょっと怪しいと思ってた節はあったからな。一応、信じておいてやるよ」

 

「ありがとうございます...?」

 

「なんで疑問形なんだよ」

 

「いや、なんかちょっと変だなと思って」

 

「あ?まぁそうか...そんで?今日はなんの用だ?まさか昨日の今日で防具が壊れた訳でも無いんだろ?」

 

「あぁ...ちょっと店の奥を借りてもいいですか?後書く物も」

 

「別に構わねぇが...何に使うんだ?」

 

「尚文に置手紙です。俺はしばらく城下町を離れるつもりなんで、多分会えないと思うから」

 

「ほぉん?まぁ、盾のあんちゃんが来たら渡しておいてやるよ」

 

「あ、できれば渡すのは今日から一週間くらい経ってからにしてもらえますか?」

 

「なんでそんな中途半端な期間待つんだ?」

 

「まぁいいじゃないですか。お礼はしますから」

 

「お礼ってなら商品を買ってもらいたいもんだがな...まぁ貰えるもんは貰っとくか」

 

 俺は親父さんに銅貨を渡して奥に通してもらう。

 書きたい事を一通り日本語で書いておいた。

 

「それじゃあお願いしますね」

 

「あいよ...確かに承ったぜ」

 

 俺は武器屋を出た。

 よし、これで用事はまず一つ終わったな...

 

 次は奴隷商の所か...ちょっと気分は乗らないが行くしか無いな。

 俺は奴隷商のテントを探すために歩き始めた。

 

 ──────────────────────ー

 

 確か奴隷商のテントは裏路地をしばらく歩いた先にあるはず...影に監視されている可能性が高い今の俺が一人でそういった場所に立ち寄るのは危険があるかもしれないが、まだ殺されるような段階にはないと信じたい。

 

 というか多分殺すなら、もう殺せそうなタイミングがいくらかあった。

 そしてレベルも低く、知識も多くないと思われている俺にはまだ利用価値があるはずだ。

 俺達三勇者に盾の勇者を殺させてこそ意味があるのだから。ここで斬り捨てるには早計すぎるだろう...まぁ、そんな早計な奴らの集まりではあるかもしれないけど。

 

 俺は裏路地で座り込んでいるおじいさんに銅貨を10枚渡した。

 

「魔物商のテントを探してるんですけど、どこにありますかね?」

 

「へへっ、この道を引き返して、あそこの宿を右に曲がってしばらく直進すれば着くさ...」

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

 俺は来た道を引き返した...そうしてしばらく歩いていた所、サーカスのテントが見えて来た。

 

「これが...」

 

「そうでございます。ようこそ魔物商のテントへ、剣の勇者様」

 

「うわっ!...びっくりした」

 

 気が付くと横に奴隷商の男が居た。

 

「フフフ、脅かしてしまって申し訳ありません。剣の勇者様が私の店を探して居ると噂を耳にしまして、これは是非盛大に歓迎せねばと参った次第です、はい」

 

 奴隷商がニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。

 

「それで、本日はどのような商品をお探しでしょうか?魔物ですかな?卵ですかな?それとも...」

 

「今日は買い物をしに来た訳じゃないです。交渉に来ました」

 

「ほう?一体どんな交渉を...?」

 

 俺は銀貨30枚を魔物商に渡す。

 

「これは?」

 

「後数日もすれば、ここにパニック障害持ちのラクーン種の亜人の女の子の奴隷が売られてくると思います。特定の人物が現れた時だけその子の値段から不自然では無い程度にこの金額内で差し引いてください。また、他のお客には売らないで下さい。おつりは...依頼料という事で」

 

「ほう?ずいぶんと面白い事をおっしゃる...剣の勇者様は未来が見えるのですかな?」

 

「...そうですね。俺には未来が見えるんです。なのでお願いします」

 

「なるほどなるほど...にわかには信じられませんが、嘘はついていらっしゃらないご様子。ちなみに...もしもその奴隷がこちらに来なかった場合はこの金は全て頂いてもよろしいので?」

 

「構いませんけど、その奴隷を手放したり他の奴隷商に引き渡すのは推奨しません。必ずここで、売っておいてください。じゃないとあなたは手に入れるはずの莫大な富を失う事になります。そんな銀貨数十枚程度どうでもよくなるくらいね...」

 

「ほう?恐ろしいですな...クク、かしこまりました。私お金には嘘をつきません。そのような奴隷が現れた場合には必ずここのテントで商品とさせていただきましょう...それで?特定の人物というのはどなたなのですかな?」

 

「盾の勇者です」

 

「なんと!これは面白い...ここで盾の勇者様ですか!」

 

「あいつは強姦魔のレッテルを張られて仲間が作れない。そして自然と奴隷という道具に惹かれていく...あいつはこれからあなたに多大な恩恵を与えるでしょうね。勇者の能力を使えば魔物が特殊な成長をしたり、奴隷もより価値を高める事になる。それを買った店にはどんな利益があるか、わからないあなたじゃないでしょう?他にも色々と利点はありますけど、まぁわざわざ言う必要は無さそうですかね?」

 

「フフ...良いでしょう。取引成立といきましょうか。それで、剣の勇者様はお買い物をしていかれないので?今の話を聞いたところ剣の勇者様も同じような事を出来るようですが?」

 

「俺は...やめときます。奴隷にはちょっと拒否感があるんで。それをためらわない勇者は切羽詰まった盾の勇者だけでしょうね」

 

 奴隷を使役するつもりは今は無い。一応奴隷の成長補正とか馬鹿にならないらしいから選択肢の一つではあるんだが、こうあまり受け付ける物でも無い。ここからでも腐ったような死の匂いを漂ってくるのだ。

 できれば中に入りたくもない。

 

「そうですか、フフフ...なるほどなるほど。剣の勇者様もあるいは良きお客になると思いましたがそういう事でしたら仕方ありませんな。また次の機会にいたしましょう...それでは失礼いたします」

 

 魔物商は怪しげにお辞儀しながら俺の前から去って行った。

 

「ふぅ...」

 

 緊張した。あの人原作では大活躍だけど、普通に闇の世界の住人だからな...人間の命を道具として扱う事に躊躇いが無い。そんな人と一緒に居ると流石に緊張が解けなかった。

 それにしても...これで城下町でやらないといけない事は大体終わったかな?

 宿に戻って三人に旅に出る事を伝えないとな...!

 

 俺は路地裏が怖いので急いで大通りへと駆け出した。

 

 ───────────────────────────────

 

 宿が近づいてきた時、仲間の3人がむこうから駆けてくるのが見えた。

 随分とタイミングが良いな...もしかして待ってたのだろうか?

 

 俺はにこやかに声をかけようと思ったが、どうも向こうはその気が無いようだった。

 緊迫した表情でオミットさんが俺に近づいてくる。

 

「コウヤ様!!」

 

「あっはい...どうかしましたか?」

 

「聞きましたよ!犯罪者を庇うような発言をしたと...!!」

 

「やっぱりか...」

 

 なんとなくそんな気はしていたが、やっぱり知られていたらしい。これで知られてなかったら穏便に旅に出かけて情報を受け取らないよう出来たのだが...

 

「どうしてそのような事を...!盾の勇者が同郷の者だからですか!?」

 

「いや、俺はあいつが無罪だなんて言ってないですよ。ただ、あの場で証拠不足な中尚文に罪を着せるのはおかしいんじゃないかってそう思って言っただけです」

 

「そ...そうなのですか?」

 

「はい。正直何かしらの陰謀があるのは明白でしょうね...特にこの国は盾の勇者が嫌いですし」

 

「そ、そうでしたか...なるほど、流石はコウヤ様です。納得いたしました。すみません興奮してしまって」

 

「いえ...ちなみに、その話はどこで聞いたんですか?」

 

「...もう町中に広まっていますね。私は宿の食事処で聞きました」

 

「そ、そうですか。町中ですか...はぁ」

 

 まぁ仕方がない。今すぐ命を狙われてないだけ儲け物だ。

 多分監視は強められてるだろうけど...

 

「それじゃあ、すぐに旅に出ましょうか。どこかおすすめの狩場とかありますか?個人的には海に狩りに行きたいのでそれまでの道中だと嬉しいんですけど...」

 

「あー、その事なんですがコウヤ様...」

 

 フィートさんが言い辛そうに手を上げる。

 

「はい?」

 

「俺、このパーティを抜けさせてもらっていいですか?」

 

「....え?」

 

「いや、勇者様の仲間ってのは魅力的ですが何もコウヤ様である必要はありませんし...実は弓の勇者様の所の奴から誘いを受けてまして、正直これだけ噂が広まってるコウヤ様の下に居ても大変そうと言いますか...すみません」

 

「あ、あー...」

 

 そっか。確かにそうだ...勇者の仲間になりたいってなら別に俺じゃなくてもいい。それこそ、そもそも樹や元康の方が優秀だと思われていて、こんな序盤で俺は大きく躓いた訳だから乗り換えは当然だろう。

 誘いも受けてるなら断る理由は無いだろうな...

 原作でも仲間はころころと入れ替わっていたはずだ。

 残念だけどここは穏便にお別れするしかないだろう。

 けどなんか普通にショックだなぁおい!折角仲良くやれそうと思ってたのにここに来てか...

 でもまぁ、これも俺の行いが原因だ。無理に引き留めても良くないしな...

 

「....そうですか、わかりました。樹の所で頑張ってください」

 

「ありがとうございます...なんか、すみません。冒険頑張ってください」

 

「待たないか!!貴様コウヤ様を裏切るというのか!?」

 

「裏切るってなんすか...俺はただ、パーティを離脱して別のパーティに加わるってだけですよ。冒険者じゃ良くある事でしょ?...それに、元々迷ってたんです。剣の勇者様か弓の勇者様か...弓の勇者様はめんどくさそうな奴が居たんでこっちにしましたけど、コウヤ様がこうなった以上外聞が悪い剣の勇者様から弓の勇者様に乗り換える事の何が悪いっていうんですか?」

 

「勇者様の仲間に選ばれたというのに不義理だと言っているのだ!!」

 

「選んだのは俺達ですよね...というか、さっきから好き勝手言ってくれちゃってますけどお二人もだいぶ心揺れ動いてましたよね。本当に剣の勇者様についていって大丈夫なのだろうかって」

 

「なっ...そんな事は...!!」

 

「大体、コウヤ様は快く送り出してくれたってのになんの権利があってあんたが俺を引き留めるって言うんですか?」

 

「それは...」

 

 オミットさんの勢いがどんどんしぼんでいく...

 

「別にコウヤ様が嫌だって訳じゃないんです。でも、俺には俺の目標がある...それをより確実に叶えられそうな場所に移るってだけです。だから、すみません。俺は行きます...」

 

「はい。樹によろしく伝えてください」

 

「分かりました...それじゃあ、また機会があったら」

 

 フィートさんはそれだけ言うと城の方へと歩いて行った。

 ....ふぅ。

 そっか...そっかぁ。

 そうだな。仕方ない...よな。

 

「コウヤ様。正直に言うと...俺も迷っている。このままで良いのだろうかと」

 

「ボルドーさん...」

 

「なっ!貴様まで...!」

 

「少し黙ってろ!...俺達冒険者にとって世間体ってのは、コウヤ様が思っている以上に大事だ。ギルドの依頼は組合からの信頼の有無で大きく変わって来る...信頼が落ちればまともな依頼にはありつけない。だからこそ勇者様方の仲間になるべく王からの要請には飛びついたし、悪い噂が流れるようなら身を隠すか離れるかしなくちゃならない。分かりますな?」

 

「.....はい」

 

「コウヤ様なら...剣の勇者様ならいずれはこんな悪評なんか吹き飛ばしてくれるのかもしれない。でも、そうじゃないかもしれない...臆病な俺達を赦してくれないか?俺達は悪評という重りをつけて生きていける程強くないのだ。今ならただの冒険者として元の生活に戻れる」

 

「ボルドーさん...そうですか...」

 

 俺は目を伏せる。

 納得できる話だ。全部理由は一つ、剣の勇者であるというその一点で保たれていた俺の価値が下がった。

 価値の低い物に執着出来るの人ってのは、それを愛しているか独自の価値観でそれを評価しているからだ。

 普通は別の価値あるものに目を移す。

 

「.....分かりました。このパーティはここで解散しましょう」

 

「なっ!!お待ちください!私は...!」

 

「ダメですよ。仲間は大切にしないと...ボルドーさんと一緒に頑張ってください」

 

「コウヤ様...」

 

「お二人とも...もし、もしですよ?俺が名声を取り戻したら...もう一度仲間になってくれますか?」

 

 俺は手をぎゅっと握りながら問いかける。

 

「そのような不義理はできませんな。その頃には剣の勇者様の傍には他のもっと素晴らしい仲間が居るでしょう」

 

「...そうですか...わかり、ました」

 

 俺は目を瞑り、頬を叩いた。

 

「ボルドーさん!剣の振り方を、戦い方を教えてくれてありがとうございました」

 

「...何を。ほんの少し力添えしただけだ」

 

「オミットさん!お水ありがとうございました!後本も選んでくれたり、魔法の事教えてくれたり、俺の事励ましてくれたり...ありがとうございました」

 

「...いえ、当然の事です」

 

「俺、頑張ります。二人がきっと後悔するくらい...!」

 

「...あぁ」「わかり...ました」

 

「それじゃあ!」

 

 俺は返事も聞かずに二人の横を通り過ぎて走り出した。

 

 くそっ...!なんだこれ...!!

 めちゃくちゃ悔しい!めちゃくちゃ悲しい!!

 

 別にたった一日ちょっとしか一緒に居ないのに!なんならちょっと邪魔かもとか思ってたのに!!

 なんだよちくしょう...!!

 

 俺は宿に戻ると荷物を全て回収して速攻飛び出した。

 

 ...............

 

「あぁぁあああ!!!」

 

 俺は城門を抜けて襲い掛かって来るバルーンを力任せに剣を振るって破裂させていく。

 

「くそっ...!!くそっ...!!」

 

 全滅すれば走り出して次の獲物を狙う。

 

「なんだよ世間体って!!俺を...!選んだんじゃねぇのか!!それをこんなに簡単に!!くそっ!!」

 

 型も基本もあったもんじゃない。ただただ子供のチャンバラのように剣を振るい続ける。

 

「はぁ...はぁ...」

 

 しばらく暴れているとようやく熱が冷めて来た...

 

「はぁ...これで俺も一人か」

 

 まぁ居なくなったものはしょうがない。

 俺の行動が原因で、残念な事に俺はそれを後悔していない。

 だったら、これも受け入れてしかるべき事態だ。

 なぁに、これで行動しやすくなった。銀貨もかなり使ってしまったから数人分の宿代を取るのは少し厳しかったかもしれないしな。

 だから逆に丁度良かったのだ。うん、これで良かったんだ。

 もしかしたら三勇教絡みで怪我させたり、死んでしまう可能性もあるんだしな。流石は冒険者としての嗅覚と言った所か...?

 

「....確かルロロナ村は南の方面だったはず。どうせ北東方面以外のどの方向に行っても海なら距離が近くて波の魔物の残党が残ってるルロロナ村の方が剣の解放には適しているかもしれないし、原作の場所を見に行かないってのもあれだしな...行くかぁ」

 

 つい昨日まで皆が居たので気が付かなかったが、急に一人になると心細くなる。ついつい独り言を言ってしまう程度には静かで寂しい。

 

 俺はそんな気持ちを封じ込める為にも、全力で駆け出した。

 

 

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