キヴォトスに“男子生徒”は珍しい。 作:匿名
ミレニアムサイエンススクール生活記録⬛︎ページ
ここは科学と数学…複数の可能性を持つそれを特化した学園ミレニアムサイエンススクール。
俺の名は“タチバナ”。ある“経緯”から素顔を隠しこの学園に所属している。
俺は今、食堂で昼飯を食っているところだ。
「何か悩み事かな?タチバナ」
『…白石』
この人は白石ウタハさん。“前の世界”で無敵バリアを作ってくれた人だ。“黒服から得た知識”で機械いじりのスキルが前より洗練できるようになった。数週間前リサイクルショップで購入した部品で試作品の小型ロボットを造ったことがあった。
それをウタハさんに見られてゲーム開発部なんかより私の部活に入らないか!?と勧誘されたことがあった。まあしつこかったから手伝いをするなら構わないと言ってしまいエンジニア部に足を踏み入れることが多い。
そのせいか一般生徒には俺をエンジニア部の部員と誤解されている。見返りとして俺のバリア装置をメンテナンスをしてもらったり、また依頼として俺の装備を造ってもらったりしている。
『何、作成する作りたいゲームが思い浮かばなくて悩んでいるところだよ』
「ほう、つまりイメージが固まらないと」
『そうなんだよ、アクションゲームを作っているんだが迫力が無くてな・・・』
「キミが作っているのはアクションゲームだったね、この前テストプレイしたものはまあ面白かったよ」
ウタハさんにまだ未完成ながらデモ版をプレイしてくれた事がある
【ゲーム開発部:部室】
『ようこそいらっしゃい、ここは俺の部室ゲーム開発部だ』
「お邪魔します、と…いい部室だね」
部室にはゲーム機、大型パソコンやゲーム関連のモノ・・・本棚にはそしてそれらと関係が無い機械工学、天文学などさまざまな本がずっしりある。
『まあ、部員はお前のところと同じ一人なんだけどな』
「これはキミのゲームかい?」
『ああ、これはまだ未完成でなアクションゲームのジャンルで『スピリングストライカー』だ。今はプレイできる段階まで進んでいる』
「ほぉ、プレイしてもいいかい?」
『まあ、いいけど・・・」
「あの迫力は私的には良かったよ、2Dのドット絵とはいえ面白かったよ」
疑似3D描画を手法を使ったアクションゲーム。最近のゲームのフル3DCG系よりドット絵のゲームのジャンルが好きな方だ。
『あれはあれで足りないモノが多すぎる』
断然迫力が足りない。なんかこう誰かをハマらせるモノが欲しいと。
『白石、何かこのゲームに対して何か面白そうな要素とかあるか?』
「ふーむ、私はゲームをやる機会はそんなに多くは・・・あ」
ウタハに耳元を当てられる・・・“こしょこしょ”
ウタハの助言を借りて、ゲーム開発を進んだ・・・マジで期間に間に合わせないと実績なしで廃部確定だからからな。
開発を進めているといつの間にか一ヶ月という時間が進んでいた。
『・・・ミレニアムプライス?』
ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムで最大級の品評コンテストだ。
前の世界で見たことがあるな…俺にとっては当分前の記憶だからあまり覚えていない。
『このゲームを出せば、賞をとれば実績は残せるじゃね?』
そうと決まり作業スピードを大幅に上げた・・・もう二度とワンオペでゲーム制作はやらない・・・これをきっかけで部員を増やそう・・・俺はそう決めるのであった。
『で、できた・・・』
「▇▇▇▇▇?」
小型ロボットがうなずく。
『ああ、これがミレニアムのゲーム開発部が作り上げた作品だ」
ゲーム開発部の初の自作ゲーム『スピリングストライカーver1』が完成した・・・といっても短編ゲームなのだかクオリティは高いほうだと自信はある。そして…ミレニアムプライスへ“この作品”を応募をしたのであった。
『ふう…記録はここまでにして、今回もオーパーツは見つからなかったな』
俺は日課のオーパーツ巡りとキヴォトスにある特異現象を調べていた。デカクラマトンについてはまだ分からないが黒服から聞いた話、アビドスにもデカクラマトン関連のビナーが存在すると聞いたことがある。何度かカイザーがそれらと対立したことがあるらしい。先代達のアビドス生徒会もアレが出現した事を知っていて、ビナーの調査記録があったとされていたらしいが紛失したらしい。
多分ユメ先輩がうっかり無くしたのだろう。あの時、分校へ引っ越すときに大事な書類を無くしたとか言っていたしな。幸い、酷いことにはならなかったがまさか無くした書類がビナーの報告書だったとは・・・。
ぷるるるるるるるる
あ、ユウカだ。
着信が来たのは後輩である早瀬ユウカ。俺から見ると計算
が得意で太ももが太い女である。
『はいはい、こちらゲーム開発部の責任者兼部長のタチバナです。ごよう』
「タチバナ先輩!今どこにいるのですか!」
『あ、ああ今は・・・』
「ミレニアムプライスの結果発表を見てください!先輩の作品が受賞されていますよ!」
『・・・マジ?』
なんと実績なしのゲーム開発部の作品が受賞されたようだ。上位の二位である。『面白い』『迫力があって良い』『このドット絵がめっちゃ好き』『もっとないんですか?』というコメントが沢山来ていた。自身が作った創作の感想をされると正直嬉しいモノだ。
これを機にゲーム開 発部の廃部は免れた。もっとも上位二位の賞を取った部活を廃部させるわけにはいかないからだ。
実績はついたけど、部員が増えなかった。
『部員が増えねえ・・・なんでだぁ〜!?』
それから一年後・・・俺、タチバナは三年生となり先輩となった。
「あ、あの・・・ここはゲーム開発部で、ですか?」
部室のドアが開く、“赤毛の生徒”が入ってきた外見から見ると一年生のようだ。
『そうだけど…キミは?』
スピリングストライカーは後に幻のゲームと化してしまう。