お嬢様のお気に入りのプリンが少し……いや、かなりおかしいんです!   作:生牡蠣

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色々忙しいけど僅かな時間を見つけてコツコツ書いてたから初投稿です。
長くなったので分割で投稿するよ~



※恥ずかしながらプリンがかえんほうしゃ使える事を知らず、感想欄でご指摘を受けて初めて知りました。
とりあえず整合性は取れるように次話を少し改変を加えたのでこれで大丈夫…なはず。


お嬢様、通常プリンは”かえんほうしゃ”を使う事は出来ません

「………はい?」

 

イーブイの着ぐるみを着た女の子の発言に、マージェは思わず疑問の声を上げてしまう。

それもそうだろう。先程まで(比較的)平和にピクニックをしていた矢先、突然自己紹介もなく第三者が現れて「バトルしようぜっ!」と声を掛けられたら、虚をつかれるに決まっている。

もし、この言葉に即座に反応出来るとすれば。よっぽどのポケモンバトルジャンキーくらいであろう。

 

 

 

 

 

「なるほど……受けて立ちますわっ!」

 

――――そして、お嬢様は後者だったようだ。

 

 

「……いやいやいやお嬢様ッ!?なんで即答してるのですか!?」

 

そんなお嬢様の言葉に私は思わずツッコミを入れる。

さっきまで『こんな言葉に反応できるのはバトルジャンキーくらいだぜ。キリッ!』とか考えてたのに予想外の所からパンチ飛んで来たのだ。そうも言いたくなる。

 

そんなマージェの反応に対し、お嬢様は得意げに言葉を続けた。

 

「ふふっ、マージェは知らないのかしら。世界にはこういった格言がありますのよ―――」

 

 

 

 

「―――――目と目が あったら ポケモン勝負ッ!!!」

 

 

「確かにッ!ありますけどぉ!!」

 

マージェは謎の頭痛に頭を抑えつつそう叫ぶしかなかった。

確かにお嬢様の言った言葉はこの世界においてほとんどの場合は共通認識と言えるのだ。

この世界ではポケットモンスターを従わせ、互いのポケモンを戦わせてより高みを目指す者達の事を基本的にポケモントレーナーと呼ぶ。

トレーナー達の目的は互いに同じ、ポケモンバトルだ。だからこそ、最初に言葉なんていらない。目が合っただけで十分なのだ。自己紹介なんて後でいい、なんなら、バトルをすればそれだけで通じ合える。それがポケモントレーナーなのだから。

 

………冗談みたいな話だろう? だが、事実だ(無情)

こんなバーサーカーみたいな理論が通ってしまうのがポケモントレーナーという人種。ほとんどの地方で通じる常識なのだ。

わざわざ勝負の前に話しかけるなんて、パルデアくらいでしかやらないだろう。

………あれっ、これはパルデアがおかしいのか…?

 

「そもそもお嬢様っ!貴方はポケモントレーナーではございませんっ!!」

 

「あらマージェ、トレーナーでないならポケモンバトルをしてはいけないなんてルールはありませんことよ。それに、お父様のご友人様方もトレーナーではありませんがバトルを嗜んでおられる方も多いではありません事?」

 

「それは………」

 

お嬢様の言い分に、マージェは何も言えなくなってしまう。

そう、これもお嬢様の言う通りだ。トレーナーでなくてもポケモンバトルを嗜んでいる者も少なくはない。たんぱんこぞう、ミニスカート、かいぱんやろう…年齢や職業、人種を問わずにポケモンバトルを楽しみに生活している人々がいるのだ。…もちろん、ジェントルマンといった富裕層も道楽や手持ちポケモンの運動目的で行っている場合も多いのであった。

 

「し、しかしお嬢様ッ、貴方様はポケモンバトルは未経験でしょう?いきなり外のトレーナーと勝負するよりまずは屋敷の者たちで練習をした方が…」

 

「えーっ!あなたもポケモン勝負やった事ないの~?私も今日が初めてのバトルだからお揃いだね~♪」

 

「まぁ!つまり私は貴方の記念すべきデビュー戦の相手というわけですわね。光栄ですわぁ~♪」

 

マージェの縋るような声も(無意識で)無視して話を進める幼女2人。

…あぁ、これ何言っても駄目なやつだ。マージェは遠い目をしながら色々と諦めた。

 

「………分かりました、では私は審判をさせていただきます」

 

この2人と止める事は出来そうにない。ならばせめて怪我などがないよう自分が監督すべきだ。そう判断したマージェは2人の間に移動する。

 

「は~い、審判よろしくお願いしま~す。というわけで早速…出番だよ、ブイ太郎!」

 

「ブゥ!」

 

 

そう言いながら手に持っていたモンスターボールを投げるイーブイの着ぐるみを着た少女……長いからイーブイ少女でいいか。

そんな彼女のボールから繰り出されたのは、まるで炎の様に真っ赤な身体で首回りや尻尾にフサフサの体毛を持った4足歩行のポケモンであった。

 

「…ブースター、ですか」

 

そのポケモン――ブースターを認識したマージェは目を細める。

あの少女は今日がポケモンバトルのデビュー戦と言っていたので、コラッタやハネッコといった初心者向けのポケモンを繰り出してくるものだと思っていた。仮に違うポケモンが出てきたとしても、せいぜい進化前であまりクセの強くないポケモンを出して来るだろうという想定もしていた。

だが、少女が繰り出してきたのはブースター。イーブイというポケモンが進化したポケモンである。

もちろん初心者がすでに進化したポケモンを使うこと自体はあり得なくはない。だが、進化後のポケモンを従える事はおろか、ゲットするのにも相応の苦労が伴う為マージェは意外だと感じたのであった。

 

「まぁ、ブースターですわね!私、図鑑で写真は拝見した事はありましたが、実際の姿を見るのは初めてです!可愛らしいですわぁ~」

 

「ふっふ~ん♪ この前お姉ちゃんから“ほのおのいし”を貰って進化させたんだぁ~。せっかく進化して強くなったんだし、ポケモンバトルしないわけにはいかないよね~♪」

 

「ブゥ~♪」

 

イーブイ少女の言葉に同調するように鳴くブースター。

なるほど、確かに進化前のイーブイはゲットの難易度は高くはないし、進化についても道具さえ揃える事が出来れば進化可能なポケモンだ。

元々イーブイをゲットしており、家族から進化の石をプレゼントして貰ったのならば初心者が進化後のポケモンを持っていても不思議ではないだろう。

しかし…進化後のポケモンかぁ……

 

(ポケモンバトル初心者のお像様には少し……いや、かなり厳しいなぁ…)

 

マージェは思わずそう思った。

進化したポケモンというのは、それに見合った大きな力を持つ個体が多い。それはブースターも例外ではなく、俗に強者と呼ばれているトレーナーも手持ちに入れている強いポケモンだ。

それに加えて…

 

「ふふっ、私のポケモンも可愛さでは負けていませんわよ。さぁ、出番ですわよプーちゃんッ!」

 

「…ぽよっ?」

 

お嬢様の号令に対し、ピンクの生物は首(…?)を傾げる事で答えた。

……うん、予想はしていたけど、やっぱりコイツだよなぁ…お嬢様のポケモンなんて、コイツしかいないもんなぁ…。マージェは思わず何とも言えない表情を浮かべる。

この生物がプリンかどうかという疑問はさておき、こんな呑気そうな顔をした生物がブースター相手に太刀打ち出来るわけがないとマージェは思っていた。

それもそうだろう。マージェはこのプリンもどきを毎日のように見ているが、とてもポケモンバトルをしている姿を想像できないのだから。

毎日飯を食ってるか遊んでいるか寝ているかのぐーたらな生き物がポケモンバトルで大立ち回りしている姿を想像しろと言う方が無理というものである。……カビゴン?あれは例外だ。デカくて重い生物が強いのは自然の摂理、あの身体でのしかかるだけで並大抵の生物は無傷じゃいられないだろう。あんなバケモンとこのちんまい生物を比べるんじゃない。

 

マージェは別にこの謎生物の事はそんなに心配していない。だが、初めてのポケモンバトルで惨敗をしてしまっては流石にお嬢様も落ち込んでしまうだろう。

せっかく身体が良くなったのに、今度は精神面でダメージを負ってまた具合が悪くなりましたでは笑えない冗談すぎるのだ。

……ちょっと心配しすぎな気もするが、相手は今まで病弱で屋敷からもあまり出た事のない女の子。用心に越したことはないだろう。

少し…ほんの少しだけバトルっぽい事を経験させてあげて、後は適当な理由を付けて中断しよう。マージェは心の中でそう考えていた。

 

「プーちゃん、今からポケモンバトルを行いますの。えぇ、これは公式戦じゃありませんからお遊びの様なもの。ですが私の名に懸けて、デビュー戦勝利を飾りますわぁ!ですから、協力してくださいましっ!」

 

「? ……はぁい!」

 

お嬢様の説明で今からやる事をなんとなく察したのか、ピンクの生物はお嬢様の前へと躍り出て、ブースターと対峙する。

 

「ん~?……あなたのプリン、何だかちょっと…他の子と違くない~?私の知ってるプリンと少し違う様な…」

 

ピンクの生物を近くで認識したイーブイ少女はそう言いながら首をかしげる。

流石にお嬢様と違ってある程度外の世界を見て、プリンというポケモンについても少なからず知識がある少女なのだろう。どうやら少女もマージェと同じ感覚を持った様だ。

 

(おぉ…おぉ!少女よ、貴方もあの生物をプリンではないと疑う御人なのか…!それはそれは、お目が高い。いや~実は最初話しかけられた時から他の人とは違う特別なものを感じておりましたよ~!いやいや、あっぱれあっぱれ!!)

 

マージェは心の中でそう叫んだ。見ての通りテンションが引くほど高い。

だが、マージェはこれまで自分以外に件の生物をプリンではないのではないかと疑っている人物達に会えてないのだ。こんなに喜ぶのも無理はないだろう。どうか暖かい目で見て欲しい。

 

 

 

「うふふっ、人間と同じようにポケモンにだって個体差がありますわよ。それに、ちょっと見た目が違ってたとしてもプーちゃんは可愛いから問題ありませんわっ!」

 

「そっか~」

 

しかし、お嬢様の一声にイーブイ少女も謎生物の事を「ほなプリンか…」と納得した。

 

 

(……………………あっ、はい)

 

マージェは再び心の中で呟く。見ての通り、すっごいテンションが低い。

ずっと求めていた同士が目の前で消えたのだ。先程のハイテンションとは打って変わって気持ちが“スンッ…”と落ち込むのも無理はないだろう。…寒暖差激しいなおい。

 

「え~…じゃあ使用ポケモンは互いに1体。公式戦ではないので細かいルールは省きますが、危険だと感じた時点で止めさせていただきますので予めご了承ください」

 

これ以上考えたらショックで寝込みそうだと感じたマージェは何とか気持ちを切り替え、審判に徹する事を心に決めた。……死んだミガルーサの様な目をしているのはきっと気のせいだろう。

 

「よろしくってよ!」

 

「は~い♪」

 

そんなマージェの心情など微塵も察していないであろう少女2人は元気よく返事をした。……まぁ、当事者2人がせっかく楽しみにしている様だし、大人の立場としては盛り上げた方が良いだろう。

マージェは己を何とか奮い立たせ、開始の合図を出した。

 

 

「それでは……試合、始めッ!」

 

 




所謂繋ぎの回だから内容ほぼねぇなこれ…
じ、次回はちゃんとバトルするから…(震え声)

放置しすぎてエアライダーにZA、ぽこあまで発売されてしまった…更新頑張らなければ。

次回は数時間後に投稿予定。


ここまでご拝読ありがとうございました。
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