蛮族な結月ゆかりと弦巻マキがルビコン3で暴れるやつ   作:その辺の残骸

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イスニア首都郊外にて

 

 宇宙の蛮族(副業、傭兵及び非合法商人)な四人の少女達は、イスニアでの住まいに向かっていた。

 車の運転手はお気に入りのウサ耳パーカーを羽織ったゆかりが務め、高架のハイウェイを走り抜けている。

 

 

「ふーん、ベイラムもアーキバスも相変わらずヒトの扱いが雑やなぁ」

 

 和風な意匠の可愛らしいワンピースに身を包んだ、助手席の茜が神妙な表情で腕を組む。

 

 先ほどカーラジオで流れた両企業を批判するニュースの話だ。

 ベイラムとアーキバスはルビコン3における抗争に多くの兵士を投じながら、結局はコーラルを手にすることなく多大な損失を被った。

 

 両企業にとってMTなどの主力機動兵器を操縦する兵員の補充は急務の一つであった。

 そのためにも好待遇を謳い、大々的に新兵を募ったのだが、実際の待遇は劣悪そのもの。

 

 ルビコン3での失敗により失墜した名声を回復した宇宙海賊掃討キャンペーンの裏で、双方が特攻同然の作戦に新兵を投入する非人道的な戦略を採ったことが主に批判されていた。

 

「連中の体質はそう簡単には変わりませんよ」

 

 傭兵として企業のやり方を熟知するゆかりは苦笑しながらハンドルを切り、高速道路を降りた。

 持ち込んだバイクに跨ったライダースーツ姿のマキが追従している。

 黒く艶やかなレザーを張り付けた魅力的なナイスバディが、前傾姿勢のライディングスタイルで豊満なヒップを恥じることなく突き出していた。

 

 

 先進的な建築のビル群や華美な建築様式の宮殿といったイスニア首都の景色から一転して、郊外の別荘地は緑に覆われた長閑な場所だ。

 

「ゆかりさんとマキさんのおかげで素敵な別荘を借りることができましたよ」

 

 可愛らしく両手を合わせながら葵は言った。二人がベイラムのクルーザー相手に"臨時収入"をせしめたおかげで旅行の予算が増えたのだ。

 

「あの別荘や」

「了解です。むむむ、見た目だけでも立派な別荘だと判りますね」

 

 茜の指示に従い、ゆかりは車を走らせた。

 

 

 ゆかり達の車に続き、別荘の駐車場にバイクを停めたマキはライダースーツのジッパーを下げ、突き出るような豊満な胸の谷間を露わにして涼を取る。

 

「お待たせ~♪」

 

 手を振りながら陽気な笑顔でやってきたマキの巨大な乳房に圧倒され、思わず茜は「うおっ」と声を漏らす。

 黒レザーのスーツはぴっちりと体に張り付いており、厚さ0.01mmのナノスキンスーツに比べれば厚みはあるが、それでも裸同然にラインが出ている。

 

「もしかしてマキさん、その下にブラつけてないんか?」

「うん! 暑苦しいからバイクに乗る時は下着は上も下も付けないよ」

「マジか!」

 

 ふと沸いた疑問をぶつける茜に明るく肯定するマキ。

 艶光るレザーの下はすっぽんぽんという事実に、なんだか圧倒される茜であった。

 

 一方、車のトランクから荷物を降ろし始める葵とゆかり。

 

「そんなに持てるんかいな葵?」

「平気だよお姉ちゃん――――ほらっ!」

 

 ゆかり達には負けるが、琴葉姉妹も見た目より遥かに筋力がある。四人は大荷物を軽々と担ぎ、別荘に入った。

 

 

「流石は茜さんですね。本当に良い別荘です」

「ふふふ、せやろ? 当分ここで過ごすんやから住み心地は大事やで」

 

 別荘の中を軽く見て回ってから、上品な調度品に囲まれたリビングでお茶にすることに。

 

「すぐ着替えてくるね!」

 

 その前にマキはライダースーツから私服に着替えるべく部屋に向かった。

 

 ジッパーを下まで降ろしてするりと脱げば、むわりと籠った熱気を纏った美少女の裸体が露わになる。

 綺麗な筋肉のついた肢体に、そのままステージに立てそうな派手な私服を身に着ける。胸元が開いたシャツブラウス、赤いネクタイとインナー。そしてミニスカートだ。

 

 

 お茶請けは葵の大好物チョコミントアイスだった。 

 

「うーん美味しい♪」

「こうしているとルビコンでの日々が嘘のようです」

 

 戦火に見舞われた地を跋扈することの多い傭兵蛮族ゆかりとマキにとっては、アイスクリームのような甘味は貴重だ。

 

 ルビコン3でのミールワームとレーション中心の食生活も慣れれば悪いものでもなく、殺伐とした感情が沸き上がり無慈悲な戦士の心を培えた。だが、やはり文明的な食事は無上なのだ。

 

 

「それで、面白そうな仕事の話があったらウチが仲介するってことでええか」

「頼むね、茜ちゃん」

「報酬の分け前はいつも通りで」

「OK、任されたで」

 

 茜はイスニアが誇る、職人技と天然木による高級家具を始めとした商品を仕入れる傍ら、ゆかり達の傭兵仕事を探すことも請け負った。

 

 コームはたんまりとあるが、体が鈍るといけないし、時には刺激が欲しい。

 茜としても仲介料が美味しいし、葵は組み上げたエインセルとキルドレのテストができる。

 この場にいる誰にとっても悪い話ではないのだ。

 

「前のコロニーみたいに変な騒ぎに巻き込まれないといいなぁ」

 

 不意に嫌な予感がして、マキは口走る。

 

「あはは、ないない! 確かにウチらはキナ臭いのを嗅ぎつけての商売でこの星に来たけど、実際革命だのクーデターだのが近いうちに起こる可能性は、ほぼないっちゅうのが専門家連中の見立てやからな! 心配し過ぎやでマキさん!」

「そうだよね! ごめん茜ちゃん、変なこと言っちゃった!」

 

 

 そこでゆかりがティーカップを置き、マキに微笑みかけた。

 

「そんなことよりマキさん。明日はアリーナで軽くフリー試合に出ませんか?」

「いいね! 久しぶりに対戦もしよっか!」

 

 ここ、イスニアでは傭兵に依頼を斡旋する大きな組織はなく、国営アリーナにおけるAC同士の戦闘興行が主な稼ぎ口だ。

 

 以前訪れた観光コロニーでは宇宙海賊のせいでアリーナでの試合を楽しめなかった。今回こそは、という意気込みの蛮族二人であった。

 

 

 ちなみにゆかりとマキのACはコトノハ丸から降ろし、予備のパーツと武装ごと傭兵向けのレンタルガレージに運び込んである。

 平和な惑星でもこうした裏稼業向けのサービスは幅を利かせているものなのだ。

 

「やるからには負けませんよ!」

「望むところ!」

 

 好戦的な笑みを交わし合う紫髪と金髪の少女蛮族。コンビを組む間柄だが、二人は同時にライバルでもある。

 

「機体の調整がしたいので私も一緒に行きますね」

「ならウチも着いていくで!」

 

 琴葉姉妹が申し出たことで、明日は四人揃ってアリーナに出向くことに。

 

 イスニアでの日々は穏やかで、楽しく、愉快にスタートを切ろうとしていた。

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