蛮族な結月ゆかりと弦巻マキがルビコン3で暴れるやつ   作:その辺の残骸

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スペシャルマッチⅡ

 

 カウントダウンに従って客席のボルテージは高まり続け、試合開始と同時に弾けた。大歓声の中、ブースターを全開にして対戦相手に突っ込む二機のアーマードコア。

 

 長くイスニア国営アリーナのトップに立ち続けているレオヘッドのフレームはベイラム製MELANDERで構成され、コアのみRaDが開発したCC-2000 ORBITERに近い形状と性能を備えたイスニア企業製パーツに換装されている。武装はリニアライフル、パルスブレード、ミサイル、そしてグレネードキャノン。

 

 最初の《大破壊》の後、人類が地下に都市を築いた時代に用いられた原初のアーマードコアから続くスタイルをレオヘッドは踏襲していた。

 

 咄嗟に急速後退してリニアライフルを装甲で弾き、四脚ACグッドライフが跳び上がる。

 

 脚部を変形させ、滞空しながらプラズマライフルを撃ち下ろしているノイアーキスのグッドライフは自社製フレームパーツのみを用いていた。

 

 従来以上にAIを活用して合理的に設計された、という触れ込みのフレームは大本であるアーキバスのACパーツに性能、外観ともに酷似しており、独自性が弱い。

 

 その需要はアーキバスの純正品を購入できない場合の代替という面が強い。AC関連の技術にはベイラム、アーキバスなどの企業に遅れを取っているのが現状だった。

 

 なお、グッドライフはAC名のみでパイロット名は伏せられてる。プライバシー保護という名目だ。

 

 

 

 グッドライフの戦闘能力は本物であり、空爆戦術を的確に行使してトップランカーにダメージを与えていた。

 

 身を隠す遮蔽物のないホールで炸裂する紫色のプラズマに焙られながら、白灰色のトップランカーは反撃のチャンスを掴んだ。

 

 あえてレオヘッドは滞空を続けるグッドライフに突っ込み、アサルトブースト。

 

 旋回をかけてプラズマミサイルを振り切る。そのままグッドライフの真後ろを取る。

 

 レオヘッドはすぐさまサイドブースターを吹かし、黄色の四脚の背面で回頭するとチャージしたリニアライフルを叩き込んだ。

 

 続けざまにミサイルを撃ち込み、ブレードのレンジに捉えるべく突進するが、斬撃は慌てて急降下したグッドライフを掠めるだけだった。

 

 滞空モードに変型した脚部に被弾して、グッドライフがバランスを崩した瞬間、イスニアのヒーローの反撃に客席は沸いた。

 

 一方、黄色い服を着た連中は悪態をついている。

 

「ほー流石トップランカーやなぁ。華麗な反撃やで」

 

 VIP席で観戦する茜はレオヘッドの技量に感心した。

 

「あはは黄色のやつ、撃たれただけでめっちゃ狼狽えてるで葵」

 

 そして指差して笑いながら水色の髪の妹に呼び掛けた。

 

 モニターではレオヘッドが怒涛の巻き返しを見せており地上に叩き落されたグッドライフは左右に蛇行しながら応戦しているが、その動きは悪い。

 

 先ほども炸裂したグレネードキャノンの爆風に煽られ派手にスピンしていた。

 

「違うよお姉ちゃん。ノイアーキスは最初から勝つ気がないんだ」

 

 葵に言われてはっとなる茜。

 

 客席にいる黄色い服の反王政派は今にも暴れ出さん勢いになっている。イスニアの各地でも同じことが起きているのだろう。

 

「なるほどなぁ――――頼むで、ゆかりさん、マキさん」

 

 この場が丸く収まるかどうかは二人の蛮族美少女にかかっているのだ。

 

 

 

 ミサイルでプラズマミサイルを迎撃し、派手に咲いたプラズマ爆発でまた会場が沸く。

 

「ふんっ端からまともに勝負する気はないか」

 

 スピーカーで試合会場に中継された客席の歓声を浴びながら、トップランカー、ヴィクター・マーシャルは予想通りの展開に顔を顰めた。

 

 木星戦争に傭兵として参戦し、ベイラムの歩く地獄の異名で知られる英雄の指揮下で戦ったこともある、壮年のパイロットは露骨になった対戦相手の意図に顔を顰める。

 

 いかなる相手であれ全力で挑み勝利を収めてきたヴィクターは、決して手を抜かないのが信条だ。

 

 支えてくれるファンのためにもそれを曲げずに今日まで戦ってきた。

 

(だが、今日だけは)

 

 王家を侮辱をする不届き者達を操るノイアーキスの思惑に乗せられるわけにはいかない。

 

 上手く相手の本気を引き出し、その上で自分が敗北する。あるいは引き分けに持ち込む。そのための戦術を練っていると、突然ホールに非常警報が鳴り響く。

 

『警告! 警告! 第三試合会場に侵入者! 警告! 警告!』

 

 自動音声が鳴り響くなか、レオヘッドが入場してきたゲートが開放され、二機のACが乱入してきた。どちらも見た事のない、象徴性の高いフォルムの機体だ。

 

 一機は青い装甲の忍者を思わせる超軽量級AC。だが、武装はハンドガンとブレード、いや刀だ。

 

 もう一機はアンダーバレルにグレネードランチャーを装着したマシンガンとシールドを装備した騎士のような気品あるシルエットの白いAC。しかし重厚な装甲に覆われた長い腕は歪だった。

 

 困惑する観客たちを余所に二機のACはそれぞれの手持ち火器でレオヘッドとグッドライフを攻撃し、背中合わせの位置に追い込む。

 

 その機動の巧みさだけで、乱入してきたパイロットの高い技量が察せる。

 

『乱入してくるとは、とんでもない奴らだ。ここは一つ共闘といこう、グッドライフ』

 

 それがアリーナの支配人であるベネディクトの差し金だとすぐに察したヴィクターはグッドライフそして観客に呼び掛け、白い騎士のようなACを相手取る。

 

『アリーナはこのレオヘッドが守るっ! 賊よ、覚悟せよ!』

 

 パルスブレードを抜刀したレオヘッドに応じるように騎士もシールドに内蔵された青いレーザーブレードを抜き、鍔迫り合いを始めた。

 

「うぉ! 真っ向勝負してくれるなんて、素敵なおじ様!」

 

 ヴィクセンとレオヘッドは拮抗している。金髪ロングヘアの美少女蛮族、弦巻マキは闘志を漲らせつつフットペダルを踏み込んだ。

 

「てやぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 ヴィクセンの背部ブースターノズルが可動。推力を偏向させての最大噴射で勢いをつけ、拮抗状態を打ち破る。

 

 しかしブレードの切っ先が掠る前にクイックブーストを吹かしてレオヘッドは離脱。くるりとターンすることでマシンガンの掃射から逃れ、グレネードキャノンを構えて発射。

 

 さらにキャノンの反動で後退しつつも飛び上がり、ミサイルとリニアガンでトップアタックを仕掛ける。流れるような連撃の最中も当然のように激しい機動を行っていた。

 

 トップランカーの洗礼を浴びながら、マキのヴィクセンは盾を構えマシンガンの発砲を続ける。一気に踏み切ってブーストジャンプした時、マキの赤いナノスキンに覆われた巨乳が上下にぶるんと弾み、興奮を代弁した。

 

 見応えのある戦闘を繰り広げるレオヘッドに対して、グッドライフは無様だった。

 

 

「ほらほら、ちゃんと戦わないとぶっ殺しますよ、あはっ!」

 

 結局忍者の扮装は解き、いつものナノスキンスーツ姿で陽炎を駆りながら、ゆかりは狂暴な笑顔をぶつけた。

 

 レオヘッドのような素晴らしいファイターを愚弄するノイアーキスの所業に紫髪の美少女蛮族はご立腹であった。

 

 アクロバットめいた挙動によってかかるGを全身に受けながら、四肢にしっかりと力を込めて機体の運動性を最大限引き出している。

 

 超軽量の機体特性を活かし、陽炎は驚くほどの跳躍を繰り返して敵の頭上を取る。殺意を乗せた太刀筋で刀を振るい、グッドライフがそれを必死で避ける。

 

 それを逃すゆかりではなく背中を向けた相手に刀を振り回して追いかけ回す。その様は忍者というより殺人鬼だ。

 

 

 生命の危機を感じたグッドライフのパイロットはついに本社からの指示に反して応戦してしまった。

 

 チャージしたプラズマライフルが青い忍者ACを呑み込むが、しかし装甲を超高温で熱されながらも健在であった。

 

「ふぅっ! やっとやる気を出しましたか!」

 

 コクピット内の温度上昇で掻いた汗を拭いつつ、ゆかりは続くプラズマの火線を躱し、吼えた。

 

 観客達は揃ってレオヘッドとグッドライフを応援し始めた。ゆかり達はミッションの第一段階を達成したのである。

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