蛮族な結月ゆかりと弦巻マキがルビコン3で暴れるやつ   作:その辺の残骸

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イスニアの嵐Ⅰ

 

 イスニア南部、一際巨大な社屋を誇示するノイアーキスの本社ビル最上階。

 円卓に座る四人の男女には窓から一望できる街並みを見下ろす暇はなかった。

 

 四人のCEOからなる社の最高意思決定機構は、実際には全ての方針を決定するAIの提案を承認するだけの存在だった。

 

 アーキバス・グループのAI工学部門を追われた技術者だった彼らは、各自の端末をタップして矢継ぎ早に出される提案の実行を許可していた。

 

 文面には殆ど目を通していない。自分たちが手掛けた子供であるAIを全幅の信頼――言い換えれば依存しているからだ。

 

 ノイアーキスの目覚ましい成功と発展は最終判断を人間に委ねる承認という安全装置を麻痺させ、有名無実に変えていった。

 

(絶対不可侵宙域におけるオブジェクトF掌握プランの修正。リスクが高いような気がする――――本当にこの計画を承認して良いのだろうか?)

 

 最も若いCEOは表示された文面を読み、一瞬だけ疑問を抱いた。

 しかし、それだけでだった。もはや反射的な行動として承認ボタンをタップしてしまう。

 後にイスニアの嵐と呼ばれることになる動乱における最大の戦闘の切っ掛けとなる提案がたった今承認された。

 

 

 別荘の中庭に着陸しようとしている揚陸艇が巻き起こす風が、少女達のスカートを靡かせた。

 

「うお」

「きゃっ」

 

 茜と葵はテニスウェアの裾を抑えていた。

 ピンクと水色の長い髪が風に煽られてる。

 

 一方、ゆかりは両手を腰に、マキは片手を腰に当てたポーズで堂々と風を受けていた。

 

「私達向きの闘争の匂いがしてきましたね」

 

 ゆかりは増してきた予感に好戦的に微笑む。

 

 アウトローなお仕事をしているとはいえ、自分達は一応民間人である。

 軍艦がやってくるとあれば、ちょっとした武装集団をACで蹴散らすような簡単な依頼ではないだろう。

 

「テンション上がってきちゃった♪」

 

 マキも待ち受ける戦いに胸を躍らせる。

 

 美貌にキメ顔で格好付けている蛮族女二人組だが、風を真っ向から受けてスカートが盛大に捲れ上がっている。

 運動で汗を吸ったフンドシが食い込む臀部が後ろからは丸見えである。

 

 紫髪の金髪の蛮族な美少女は背が高く、脚が驚くほど長い、魅力的なスタイルの持ち主。

 並んだゆかりとマキのお尻の筋肉は鍛え上げられており、優美な曲線を豊かに描いている。

 

 そんな二人の尻が気合で引き締まるのは全く同時であった。

 

 揚陸艇が着陸すると後部ハッチが開き、イスニア軍の華やかな軍服姿の女性士官が手招きする。

 

「片付いたら改めて勝負しようね」

「望むところです」

 

 琴葉姉妹に先じてタラップを昇りながらの蛮族な長身筋肉美少女同士の会話。

 

 ゆかりは女性士官の前に進み出ると進言した。

 

「そちらとしても一刻を争う事態だとお見受けします。ここで着替えてしまってよろしいですか?」

 

 士官に許可を得て、一行は着替えを敢行する。

 

「ちょっと恥ずかしいけど我慢やな」

「うん」

 

「えーとスーツどこに仕舞ったんだっけ……あった!」

 

 テニスウェアのあちこちを探り、金髪の蛮族は赤と白のサランラップめいた質感の物体を取り出した。

 

 限界まで圧縮して畳み、隠し持っていたナノスキンスーツである。

 この携帯性もナノスキン製の高性能防護服の強みだ。

 

 ゆかりは紫と黒。マキは赤と白。茜は黒。葵は白。

 荒事慣れした少女達は素肌に鎧う超極薄の強化防護スーツに着替えていく。

 

「気合入れるにはいいけどフンドシって脱ぐのが手間なんだよねー」

 

 あっという間にテニスウェアを脱いだマキとゆかりはフンドシだけの凛々しい恰好に。

 紫髪と金髪の美少女が露わにした腹筋は戦う女の体であることを黙して示している。

 きつく締め込んだ白い布地が映えるカッコいい肉体美は瑞々しい曲線美と調和したもの。

 

 女性士官は狂暴な顔つきの筋肉質美少女であるゆかりとマキの大胆なフンドシ姿に目が離せなかった。

 

「状況説明お願いできますか」

 

「はっはい!」

 

 テニスウェアを脱ぎ、白いアンダースコートだけのあられもない格好で茜がイスニア軍の女性士官に訊く。

 

 不意に茜の背後で空気が抜ける音が響いた。

 

「これでよし。やはりナノスキンスーツを着ると気が引き締まりますね」

 

 ゆかりが裸体に紫と黒の艶やかなナノスキンスーツを張り付けた音だ。

 サランラップのような保護被膜が張り付いた肢体は締め付けられ、より美しく強調されている。長く伸びた横髪を掻き上げてるゆかり。

 

 几帳面なようで意外と適当で、足元には脱いだテニスウェアやほのかに汗臭いフンドシが転がっていた。

 紫髪の蛮族少女の大きなお尻は紫色にテカるナノマシンに覆われ、一際扇情的な見た目になっている。

 胸が平坦な代わりとばかりにゆかりの臀部は女性らしい綺麗な形とボリュームに育っていた。

 

 その隣で同じくナノスキンスーツを着込んだマキがストレッチしている。突き出るロケット型のバストは豊満で、ストレッチで身動ぎするだけで揺れ弾む。

 

 脱いだ衣服はきちんと畳んであり、フンドシが一番上だ。

 

 状況説明を受けた茜は葵と一緒にナノスキンスーツの着用スイッチを押す。余裕のあるサイズだったスーツがみるみるうちに縮んでフィットしていく。

 琴葉姉妹の髪は四肢の装甲から放出されたスーツ内側の空気で靡く。少女特有の甘く華やかな香りがした。

 二秒と経たないうちに素肌にナノスキンスーツが纏わりついた。胸もお腹もお尻も、琴葉姉妹の瑞々しい肢体のラインが剥き出しになっている。

 

 

 それぞれの仕事のために艦内の通路を進む。

 

 ゆかりとマキ、それに葵がエインセルとキルドレを待たせてある格納庫に向かう。茜は別方向に歩む。

 

(もどかしいけど、ウチの仕事は戦闘が終わってからや。頼むで葵)

 

 別れる前に葵にアイコンタクトする。水色の髪のメカニック少女は笑顔で頷いた。

 

 ボディペイントのような黒色のナノスキンスーツでブーツの靴音を鳴らしながら、茜は艦のCICに入った。

 雇い主として作戦の一部始終を見届ける。そして、ゆかりとマキが適正な報酬を受け取れるよう交渉することがピンク色の髪のお姉ちゃんの仕事だ。

 

 

 葵が手掛けてイスニアに持ち込んだ二機のアーマードコア、"エインセル"と"キルドレ"は実弾を装填し、ジェネレータをアイドリングさせて待機。

 それだけではなく、長距離航行用の大型ブースターまでもが装着されている。

 

 白、青、赤。トリコロールカラーが眩しいエインセルにゆかりが乗り込む。

 キャットウォークから長い脚を伸ばしてコクピットのステップに足をかけながら、今一度マキと葵の後ろ姿を見送る紫髪の冷静沈着クールキャラ風蛮族であった。

 

 網膜と声帯による認証を行い、システムを通常モードへ。左右のコントロールスティックを握り、両脚を開いてシートに腰掛けている。

 Cストリング状のハードスキン装甲が目立つ魅惑的なポーズだ。

 

「狭くない?」

「大丈夫です」

 

 マキの愛機、深紅のキルドレには葵が同乗する。

 重量級コアのため、コクピットには余裕がある。

 メインシートの後ろある緊急用の予備シートを広げて、葵はそこにお尻を下ろして体をベルトで固定していた。

 

「準備終わりました」

 

 水色の髪のメカニック少女が金髪の女蛮族に報告する。

 マキは頷いて通信ウインドウに映るゆかりに向き直る。

 

「こっちの支度も完了したよ、ゆかりん」

 

『了解しました。では改めてブリーフィングをお願いします』

 

 茜がいるCICに促し、作戦の最終確認に移る。

 イスニア中部にある大規模な発電所が襲撃を受けており、ゆかりとマキは苦戦する守備隊を支援するように要請された。

 敵の意図は不明だが、内部への侵入を試みている。反応炉の破壊が目的であれば成功した際の被害は図り知れない。

 

『AC戦ですか。退屈しなさそうですね』

 

『腕が鳴るぅ!』

 

 襲撃者は戦力的には数機のACのみだが、手練れとのこと。

 現在交戦中のMTを中心とする守備隊がゆかり達の到着まで持ちこたえられるか分からず、内部での破壊工作に対処するために超一流メカニックである葵が同行する。

 

 ブースターを背負った二機のACがカタパルトに運ばれていく。

 

 艷やかな笑みと共に全身に力を漲らせ、静かに戦いに備えるゆかり。

 マキは明るい笑顔に凶暴さを滲ませる。陽気な金髪美少女だが、本質は煮え滾る闘争心の塊だ。

 

『それじゃグッドラックやで三人とも』

 

『任せてください』

『葵ちゃんのこともしっかり守るからね!』

『ゆかりさんとマキさんが一緒だから何も怖いことはないよ』

 

 二機のACが発艦姿勢を取る。

 

 六基の推進器とその燃料を満載したプロペラントタンクで構成された大型ブースターが可変排気ノズルを収縮させる。初期点火から一瞬で加速。

 歯を食いしばり、シートに押し付けられるほどの重圧に抗う少女たち。

 

 カタパルト射出の速度も加え、エインセルとキルドレは蒼天に飛び立ち、翔けていく。戦場へと。

 

 

 

 

 

 

 

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