蛮族な結月ゆかりと弦巻マキがルビコン3で暴れるやつ   作:その辺の残骸

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イスニアの嵐Ⅲ

 

 発電所襲撃事件から数日後。イスニア王国を取り巻くきな臭い事態は一気に動いた。

 その渦中には依然、蛮族な少女たちの姿がある。

 

 スライドドアが開き、水色髪のメカニック少女が入室する。シャワーを浴びて、さっぱりしたばかりの琴葉葵である。

 

 これからしばらくはお風呂が使えないという状況で、誰が最後のひと風呂を浴びるかという話になったのだが、議論するまでもなく葵はその権利を譲られた。

 

「もう終わったんですか?」

 

 ソファーに座ってライブ中継を眺めるゆかりに聞いた。

 本日未明、イスニア王国のある都市の駅を武装集団が占拠。人質を取り、立て籠もっている。

 

 既にメディア各社のカメラが入り、緊迫の光景が生中継されていた。

 

 クッションを抱き抱えたゆかりが肩越しに振り向く。

 

 葵はハーフトップにショートパンツの部屋着姿。引き締まった白いお腹を出す服装である。必然、おヘソも見えていた。

 

 一方、ゆかりはお気に入りのウサ耳パーカーに淡い紫色のキャミワンピース。薄手で涼しい衣服だ。

 丈は脚の付け根を隠せる程度。足捌きの良さだけ考えた裾の長さだった。

 

「ええ」

 

 まず、ゆかりは肯定した。

 

「襲撃が用意周到だった割に占拠した後の想定は甘かったみたいです。あっさり警察の特殊部隊に制圧されましたよ」

 

 中継映像が開放された人質を映し出した。全員無事とのこと。

 逮捕されたテロリストは異様な格好だった。目に悪い色調の黄色の上着を都市迷彩服に羽織っているのである。

 

「やっぱり反体制派…ノイアーキス絡みだったんですね」

 

 中継映像に大きな動きがあった。拘束された黄色いテロリストの一人が暴れて何事か叫ぼうとするが、警官に抑え込まれる。

 

「ちょっと調べてみたんですけど、他にもイスニアのあちこちで似たようなことが起きてますね」

 

 脇に置いていたスマートパッドを手に取ると、ゆかりは水色髪の少女に見せるため、集めた情報をホログラムで空間投影。

 

「ありがとうございます、ゆかりさん」

「流石、読むのが速いですね」

 

 葵はアングラな速報を含めたニュースに素早く目を通した。所要時間は僅か二秒。

 各地で発生しているテロは軍と警察が鎮圧しており、被害は殆どないとのこと。

 

「被害が出ていないのは良いことですけど、変ですね」

 

 どのテロも異なる特定の状況を想定したものに思えてならない葵だった。まるで優れた立案者が誤った情報を渡され、それに沿って計画を立てたような――――

 

「連中のことや、どうせ作戦もAIに全部任せたんやろ」

 

 葵から見て左前方。床にマットを敷いてストレッチに勤しむピンク髪の海賊商人が指摘する。茜はTシャツ、膝丈のレギンスを履いている。

 

「けど、そんなことあり得るのかな? 開発者が自分で運用しているならあくまで補助用の戦略AIだって分かってるはずなのに」

 

 ノイアーキス社の暴挙の数々を見てきた葵だが、根本的に理性的な娘なので、こうした疑問を抱く。

 

「世の中な、楽して稼げるようになると、びっくりするくらい鈍くなって自分の頭で考えなくなる奴が多いんや。

 それに比べて葵は本当に賢い子やで。ウチの誇りや」

 

「もう、急にやめてよお姉ちゃん。恥ずかしいよ」

 

 隙あらば葵への褒めが入るシスコンな商人少女であった。

 

「とにかく、地上のことは心配なさそうだね」

 

 茜の右隣で一緒にストレッチしているマキが言った。

 

 長い脚を水平に開き、余裕で股割りしている。蛮族な金髪少女の関節は強靭かつ柔軟であった。

 四人の中で最も露出が多く、刺激的な格好をしている。

 

 灰色のスポーツブラと股座のカットが深いショーツ。

 白色の縁取りに黒文字でブランドロゴが入った高価なインナーである。

 

 ジーンズを履いていたのだが、体を解す邪魔になるので脱いでマットの横に置いていた。

 

 運動しやすいように長い髪を纏めて結んだ、彼女にしては珍しい髪型のマキが寝そべり、たわわな双丘がマットに押し付けられる。

 

 葵は息を呑んだ。マキの豊かなお尻を見つめている。

 

 水平開脚で元々布面積が少ない灰色の生地が食い込み、Tバックになってしまっている。

 かなり危険な露出具合である。布に隠れていなければならない後ろの窄まりが見えてしまいそうで、ハラハラする。

 

 危険なポーズの金髪蛮族はそんなこと気にも留めず。

 

「ふー……!」

 

 マキのお尻が深呼吸に合わせて引き締まる。大臀筋が鍛えられており、力強くもプリッとした質感。

 明るく健康的な色気を発散している。

 

 金髪碧眼の長身。豊かなお胸とお尻を兼ね備えた八頭身のカラダはハイパーモデル級の弦巻マキである。

 一切肉体改造を施していない天然のパーフェクトボディとあらば、その価値は計り知れない。

 

 葵はなんだか赤面してしまい、ゆかりの艷やかな紫髪を見て、気持ちを落ち着けようとする。 

 

「少しお尻が大きくなったんじゃないですかマキさん?」

 

「やっぱ分かる〜? 最近はお尻の筋肉を重点的にトレーニングしてるんだ。ゆかりんのヒップとの差は2cmまで縮まったよ」

 

「ほほう」

 

 腰を浮かせて、紫髪の相棒に臀部を突き上げる煽情的な姿勢でマキは会話する。

 

「〜〜〜ッ!?」

 

 親しい関係だからできる明け透けなやり取りに水色髪の純情なメカニック少女は一人で悶絶した。

 

 お調子者な紫髪のお姉さんのナノスキンスーツが張り付いたお尻を連想していた。

 

 一般に豊満とされるサイズのマキを超える巨大な尻なのだが、綺麗に引き締まった曲線を描いている。

 質量を支えるだけの筋肉を鍛え上げ、常に意識して美しいスタイルで歩くことでしか生み出せないカタチ。

 

 仕事柄、色付きサランラップみたいなナノスキンスーツで活動することが多いゆかりの後ろ姿を見ると、颯爽たる歩みで揺れる臀部に見惚れてしまう。

 

「問題はむしろこっちやな」

 

 運動を終え、立ち上がった姉の声で我に返る葵であった。

 

 鹵獲されたステルス仕様のACを証拠として突き付けられる前にノイアーキスは動いていた。

 

 地上のテロは陽動でしかない。

 

 宇宙ではイスニアとノイアーキスの艦隊が睨み合っているのだ。いかなる勢力との交戦も意図していない、とノイアーキス本社は声明を出している。それが建前でしかなく、イスニア軍と交戦する構えであるのは誰の目にも明らかであった。

 

 今のところ、両軍の戦力は拮抗している。しかし、早ければ十六時間で戦力比はノイアーキスに傾く。

 

 恒星系外から増援が向かって来ているのだ。節操なく金をばら撒き、傭兵から海賊まで兵隊を集めて回っていた。

 

 惑星サフィーロの諸国家が集団的自衛の原則に基づき、イスニア側で参戦する可能性を一切考慮していない、大胆な軍事行動である。

 

「さーて、そろそろわたし達も動く頃合いかな」

 

 マキが立ち上がり、ショーツの食い込みを直す。

 

「観光するはずだったのに、こんなことになってホンマに――――」

 

 商売のついでにイスニアに滞在しようと提案したのは茜である。だから、厄介な事態に蛮族な二人を巻き込んだことに負い目を感じている。

 

「ストップですよ茜さん。私たちとしては、やり甲斐のある状況なんですから」

 

 宇宙を流離う歴戦の戦士の顔でゆかりが言った。

 

「そうそう! 艦隊相手なんて久しぶりだからワクワクしてるよ」

 

 ゆかりとマキはイスニアより、ノイアーキスの増援を撃滅する依頼を請けていた。艦隊を二人で叩き潰すという正気ではないミッションだ。

 

「ほんま、いつも頼りにさせてもらってます」

 

 こうして、少女達は戦闘準備を始めた。ナノスキンスーツに着替えていく。

 

 実のところ、ここは輸送船コトノハ丸の居住ブロックなのだ。既に別荘を引き払っており、大急ぎで惑星サフィーロから避難する民間船の群れに混じっている。

 

 サフィーロに蜻蛉返りして、ノイアーキス艦隊の側面に回り込む作戦だった。

 

「よしっと」

 

 肌に染み込むように密着した深紅のナノスキンの感触に気合の声を漏らす。

 

 荒事はいつでも大歓迎なマキである。相手が大企業で悪党とあれば尚更。金髪ロングヘアの秀でた肢体の身動ぎでド派手に弾む巨乳。

 

「ふふん」

 

 紫髪のド貧乳な蛮族、ゆかりも負けじとマキのおっきなバストの揺れに張り合って胸を反らす。

 引き締まった肢体に相応しい平らな胸は揺れず虚しい。

 

 ナノスキンスーツに着替え少女たちはそれぞれの持ち場へ。

 

 ほのかに赤みかがった黒のナノスキンスーツの茜、青みがかった白いナノスキンスーツの葵は艦橋に。操船を直接行えるよう改造した艦長席に腰掛ける。

 

 葵はオペレーター席につく。今回はコトノハ丸も戦闘に参加するので、電子戦と火器管制を担当する。

 

 琴葉姉妹は緊張した面持ち。第一級の戦闘態勢だ。

 

 ゆかり達だけに命懸けの仕事は任せられない。

 それにイスニアは良い国だと思うし、ノイアーキスの所業には怒りを覚える。だから戦うのだ。

 

 これからの数十時間、戦闘が決着するまで、シートから離れることはない。

 お風呂はおろかトイレにも行かない。ナノスキンスーツの機能で汗も排泄物も処理する。

 

(スーツにするのはやっぱ恥ずかしいなぁ)

(できるだけ使いたくないけど)

 

 隙間なく張り付いている股間の装甲板に視線を落として、姉妹はほのかに赤を赤らめる。

 船のトイレで済ませるのが基本であり、ナノスキンスーツの排泄物処理機能を使うのは余程の緊急事態だけなのだ。   

 

 ちなみに紫髪と金髪の女蛮族は琴葉姉妹の逆だ。スーツを着ている間は殆どトイレを使わない。

 傭兵なので長時間に渡る戦闘を行ったり、野外でサバイバルすることも多いからだ。

 

 純粋に己を戦うための存在に変えられる二人の事は凛々しく思うし、憧れている。

 戦場に立ったときのゆかりとマキの顔を思い描き、不要な感情を振り払う。

 

「本船は微速を維持。艦載機発進後に転進、イスニア艦隊の援護に入るで!」

「了解!」

 

 勇ましい声がブリッジに木霊した。

 

 

 避難船団から離れたコトノハ丸は二機の戦闘艇を両舷から解き放ち、ワイヤーで牽引しながら航行していた。

 

 後部甲板に堂々と立つ長身の少女が二人。 

 

 対照的な胸部である。黒と紫、赤と白。それぞれのカラーのナノスキンスーツを張り付けた結月ゆかりと弦巻マキだ。

 

 超極薄被膜のスーツに合わせたスマートなデザインのヘルメットを被り、百二十時間分の酸素を充填している。

 

「突貫工事で造ったって葵ちゃんは言ってたけど」

「急造品にはとても見えませんよね」

 

 合図もなく、ゆかりが宇宙空間に躍り出る。続いて、マキが踏み出した。

 巨尻と言われるボリュームの自分よりもさらに大きなゆかりのお尻に微笑み、宙を漂う。

 

 やがて二人は別れ、四肢の装甲からのジェット噴射で推力を得て、戦闘艇に向かって進む。

 

 戦闘艇は二機とも白灰色一色で塗られていた。メインブースターは長大な機関部とプロペラントタンクを備えており、後ろに向かって伸びている。

 

 ワイヤー伝いに接近し、メスのような鋭い機首を通り過ぎていく。

 中枢をカバーする装甲でもある機首は前方にスライドしており、機関部に接続されたACの姿がある。 

 

 コクピットを開放する。しなやかな肢体の蛮族少女たちは意を決してACに乗り込んだ。

 

 シートに腰掛け、ゆかりは両脚をフットペダルに置いた。脚を開いた格好のため、股間を覆う黒いプレート――Cストリング状の扇情的なデザインの最終装甲が目立つ。

 

「お待たせしましたエインセル」

 

 機体に呼びかけてゆかりが操縦桿を握れば、メインシステムが立ち上がる。

 

 コンソールを叩き、ゆかりは機首ユニットを再接続する。視界が切り替わり、戦闘艇のカメラからの映像に。

 

 艦隊を相手取るエインセルとキルドレのために、葵はコトノハ丸の資材を組み合わせて強化パーツを仕立ててくれた。

 それは、ACに重装戦闘艇を纏わせたような代物であった。

 

 ワイヤーが切り離される。戦闘艇のブースターが初期点火して、機体が僅かに加速を始める。

 輸送船を追い越すと、本格的な加速が開始され、フォーロン・ダイナミクス製艦船用ブースターがオレンジ色の炎を放つ。

 

『ゆかりさんもマキさんも大漁を!』

 

 茜に送り出され、二機は猛然とプラズマを噴き、出撃した。

 

 

 

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