蛮族な結月ゆかりと弦巻マキがルビコン3で暴れるやつ   作:その辺の残骸

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死闘!双子の巨神機!

 

 アルカディウス姉妹が駆る特務機体カタフラクトを撃破したゆかりとマキは組み上げ中のACやパーツが散乱する整備スペースに到着した。

 

 辿り着くためには地下通路を進むより時間を要した。施設内はかなり入り組んでいる。

 

 情報通り、補給コンテナに物資が満載されており、ベルゼルガとオーデルブレイカーはリペアキットで完全に修復され、弾薬にありつくことができた。

 

 補給作業と機体チェックの間、パイロットであるゆかりとマキも小休止する。

 

 マキはナノスキンスーツの前を開いた格好になった。パックに入ったジュースで水分補給している。

 

 このスーツは汗まで処理してくれるため、マキの肌は清潔そのもので、剥き卵のようにつるんとしている。

 スーツの機能上、わざわざ前を開いて、素肌を晒す必要はない。

 

 しかし、感覚的には落ち着かなかった。

 サランラップ並みの極薄さとはいえ強烈な密着による圧迫感があるので、マキは前を開けていた。

 

「んっ…これでよしっと♪」

 

 マキは豊かな胸の谷間に飲み物のパックを挟んでいた。

 フリーになった手でコクピットのコンソールを弄り、最終チェックを終えた。

 

 ゆかりが休息する姿はそれ以上に大胆だった。

 

 上半身裸になり、筋肉で引き締まった、洗練された女体を露わにしている。

 しかし、その胸は平坦だ。しなやかで戦闘的な肢体の美と相まって装甲板を連想させる。

 

 ゆかりは整備施設の端末から取得した情報ログを読み苦笑しつつ、アーキバスから奪ったレーションを齧り、星外から持ち込まれた貴重な天然水で流し込んでいる。

 

 水分を大量に取っても後で後悔せずに済むのが、ゆかりとマキの裸身に密着しているナノスキンスーツの利点だった。

 

「ゆかりん、何のログを読んでるの?」

 

 スーツの前を閉じ、再び巨乳をナノスキンの乳袋に包んだマキが笑顔で聞く。

 

「ACを戦力化しようという試みのログですよ。機構の連中はACの操縦を覚えようと躍起になっていたようです。苦労が偲ばれますね」

 

 ゆかりも笑顔をマキに返した。戦力を失った封鎖機構はACの残骸からパーツを集めて機体を組み上げたり、鹵獲した機体を代替戦力に用いようとしていたのだ。

 "寄せ集め"と見下しているACに縋る彼らの様がゆかりには愉快だった。

 

「まあ結局間に合わなかったみたいですけどね」

 

 ゆかりもナノスキンで上半身を覆ってパイロットとしての装いを整えた。

 

 不意に世界そのものが揺れたと錯覚するほどの大きな振動が響き渡った。

 

「――――この階層に上がってきたようですね」

 

 ゆかりは真剣な表情になっていた。どこか落ち着かない様子でシートに座り直す。

 豊かなお尻が圧迫から解放され、直後、再びシートに押し付けられ、魅惑的に潰れた。

 

「ベストコンディションに整えられる時間があって良かった~」

 

 マキは能天気なものだ。

 大きく伸びをして「よし、もうひと頑張りだ!」と明るく気合を入れる。

 その動きだけで、大きく突き出た豊満なバストが弾んでいた。

 

 振動の原因は封鎖機構が退避を決断した理由であるC兵器だ。最下層から搭載兵装を用いて天井をぶち抜き、上昇している。

 

 ベイラムが求めている技研の遺産は自立起動し、あらゆる脅威を排除するために稼働していた。

 

 二人には知る由もないが、封鎖機構が掌握しきれなかった施設の管理AIが、C兵器を起動したのはカタフラクトとゆかり達の戦闘が原因だった。

 戦闘中にゆかりとマキを最大級の脅威と判断した管理AIが最深部に眠るC兵器を遣わせたのだ。

 

 ベイラムの追加依頼は、現場の維持だ。つまり、今こちらに向かってきているC兵器は任務の妨げとなる敵だ。

 二人ともこのC兵器こそが依頼主が欲するものだと察しているが、安全を確保するにはどうしても戦う必要があった。

 

 反応が二つ。時速千kmを超える常識外の巡航速度で施設の長大な通路を進み、直角にカーブしながらゆかり達に接近している。

 逃げることは不可能であり、仮に逃げ切ったとしてもベイラムの部隊が餌食になってしまうのは明白であった。

 

「ベルゼルガが先行します」

「OK! ゆかりん!」

 

 ゆかりは静かに告げて、ベルゼルガを発進させた。補給の弾薬で腹を満たしたオーデルブレイカーがその背後にぴったりと続く。

 

 戦場に選んだのは広大な区画だった。マップでは兵器試験場となっている。

 位置としては侵入に使った地下駐機場に近づいている。

 

 並び立つとゆかりとマキはまるで自分達が古代の剣闘士になったように思えた。

 

 戦うべき敵は二人が区画に侵入した直後に"出現"した。

 赤い残光、コーラルの輝きを禍々しく引きながら、二機の大型機動兵器が現れたのだ。

 瞬間移動と錯覚するが、それは実際にはACと比較にならないほどの高出力、高持続力のQBだった。

 

 並び立った二機のC兵器は人型で漆黒の装甲を備えている。サイズはACの二倍強ほどだ。

 頭部には花弁を連想させる複眼センサ・ユニットが深紅に輝き、自分達を目覚めさせた不心得者を睨んでいる。

 

 その神話の巨神(タイタン)めいた姿の荘厳さに比べれば、旧式パーツで組まれたACであるベルゼルガとオーデルブレイカーなど不格好なマシンに過ぎない。

 

 おまけに深紅の輝きを球形に纏い、神威さえ示している。

 

 武装や各部のユニットは二機で共通している。双子の巨神機であった。

 あのカタフラクトといい今日はやけに双子に縁があるなとマキは思った。

 

 だが、この双子はまるで可愛くない。

 

 雷鳴のような加速音。二機の姿が掻き消えた。

 

「ゆかりん、とりあえずここは"見"の姿勢で行こう!」

「了解です! マキさん!」

 

 マキの判断は直感によるものだった。

 ゆかりはスーツの下の手に汗を滲ませながら、相棒に従い、ベルゼルガを操る。

 

 二機のACは極限の加速による激しい回避機動を取っていた。

 巨神機がそれぞれ、ベルゼルガとオーデルブレイカーをロックオンして攻撃を開始する。

 

 二機の動作は完全に同期しており、右腕の大型キャノンから赤い奔流が解き放った。

 

 ゆかりとマキはABとQBを組み合わせ、双子巨神機の放つ業火を回避した。

 

 ほんの僅かな粒子の飛沫がACの装甲を融解させると、二人とも顔を顰めた。

 

 即座に射撃武器を解き放って報復するが、二機とも超出力のQBでそれを容易く回避するか、あるいは深紅の輝きで受け止めた。

 巨神機の攻撃を避けるには三次元的な激しい機動を取らせる必要があり、その点でRaD謹製のジャンクACの頑丈さは大きな助けになってくれた。

 

「うぉぉぉぉぉぉっと! そんな攻撃ではゆかりさんは倒せません!」

 

 スキンタイトスーツが裸同然に縁取るゆかりの胸は薄いので全く揺れなかった。

 

「こりゃ、ちょっとどころじゃないくらいヤバいかもだね!」

 

 一方、マキのナノスキンに包まれた巨乳は、上下左右に跳び跳ね、オーデルブレイカーのコクピットかかっているGの壮絶さを物語る。

 

 双子の巨神機の性能はACの数倍、いや十数倍はある、アッパーバージョンに感じられる。

 

 粒子状のコーラルをパルスアーマーのように纏い、無敵の防御力を発揮。さらに粒子装甲は時間経過で元の強度に戻るようだった。

 

 同じくコーラルを利用したキャノンとブレードで攻撃してくる。

 さらにミサイルの代わりとして粒子を収束させて放ってくる。

 

 どれもこれもが直撃せずともACに大ダメージを与え、ACSを麻痺させるだけの衝撃力がある。

 

 ベルゼルガが壁を蹴って、敵のコーラルキャノンの射線から離れた。そして狙いを定めた巨神機の片割れに突き進む。

 ワンテンポ遅れてコーラルキャノンが放たれる。

 

 巨神機は赤い閃光で薙ぎ払うようにしてベルゼルガを追い、壁を貫き、完全に消滅させていた。

 

「ちっ! これではぶった切るのは無理ですね!」

 

 ライフルを撃ちながらパルスブレードで巨人機を斬りつけようとしたゆかりだったが、追いすがるコーラルの輝きに断念し、ABで上空に避退。

 

 仰角がついたところで、急降下とQBをかけコーラルエネルギー放出の下をくぐって抜けた。

 

 赤い残光を残し、巨人機の姿が掻き消え、出現。ゆかりはこれを予測していた。

 

「それは読めていましたよっと!」

 

 唇を舐めながらトリガーを引く。

 

 ミドルレンジで重ショットガンの偏差射撃が命中するが、炎のように揺らぐコーラル粒子装甲が散弾を全て阻む。

 被弾箇所の粒子装甲はすぐに密度を取り戻す。敵機の装甲は未だかすり傷一つも負っていない。

 一気に粒子装甲を剥がさねば、ダメージを与えることはできない。

 

 マキの操るオーデルブレイカーはガトリングガンの掃射とミサイルで敵の攻撃ポジションをどうにかベストから逸らしている。

 

「やっぱりレーザーキャノンは怖いみたいだね♪ キミの弱点、一つ見つけたよ!」

 

 オーデルブレイカーはレーザーキャノンをチャージしながら戦闘機動を取っている。

 警戒していた巨神機は放たれたレーザーをQBで避けてから、長大な深紅のエネルギーブレードで十字に斬りつけてきた。

 マキはオーデルブレイカーを華麗にターンさせ、コーラルによる絶対切断の刃を躱している。

 

 まだ区画や施設全体の倒壊は起きていないが、施設の壁や支柱を完全消滅させる威力の攻撃が続けば時間の問題だ。

 

 性能面でいえば、全くもって勝ち目はない。

 

 アイスワームのような地中移動能力と絶対無敵の防御能力は有していないが、この巨神機は確かに戦略級の兵器だ。

 

 戦略、戦術的な機動力の極致にあり、短時間で再生する強固な粒子装甲と惑星封鎖機構の特務機体さえ一撃で消滅させる兵装を無尽蔵に使用可能。 

 コーラルを破滅の炎として纏う、終末の日の巨人であった。

 

 しかしながらゆかりとマキは戦意をまるで失っておらず、汗を滲ませながらも微笑みを失っていない。

 彼女達は勝つつもりなのだ。こうしたACの性能を凌駕する機動兵器と交戦したのは、一度や二度ではない。

 

 ゆかりとマキは母星で粒子装甲と規格外の加速能力を持つ類似の特殊兵器と交戦し、複数機を撃破している。

 

 類型的に敵の性能を分析できるというアドバンテージがあった。

 ゆかりは観測データから敵粒子装甲の強度を割り出し、敵機の上にゲージで表示。マキのオーデルブレイカーと共有していた。

 

 防御面はアイスワームほどではない。

 

 粒子装甲は二人の乗るACが火力を一点に集中すれば破れないこともない強度だった。また、レーザーキャノンに対しては比較的軽減効果が薄く、敵はそれを過剰に恐れるような挙動をしていた。

 

 赤い光条をQBでぎりぎり避け、装甲に負ったダメージはリペアで帳消しにして、ベルゼルガは重ショットガンを敵機粒子装甲に接射。

 完全な破壊力を発揮した散弾がコーラル粒子装甲をぶち抜き、機体を損傷させた。

 

 巨神機はすぐさまブレードを振って、粒子装甲を破る不遜を冒した蒼き狂戦士(ベルゼルガ)に神罰を与える。

 

「そろそろそのモーションも飽きてきましたよ」

 

 上空でベルゼルガを躍らせ、ゆかりは攻撃を一切のダメージを受けずに回避した。

 位置エネルギーと運動エネルギーを交換することで得た速力によるものだが、その結果は巨神機の制御AIをわずかに混乱させた。

 

 漆黒の巨神機の制御AIは旧世代ACパイロットの戦闘データを抽出し、組み込んだものに過ぎない。

 機械化された記憶が操る、パターン化されたマシーンであり、二機とも同じデータが用いられている。

 

 その動きを見切ったゆかりとマキの被弾率は著しく下がり、逆に巨人機の被弾率は大きく増している。

 

 二機がゆかりとマキのコンビネーションを妨害する動きに固執しているのも二人に優位に働いていた。

 最初から連携する気など欠片もなく、スタンドプレーで撃墜する気だからだ。一方で巨神機の挙動はその頑迷な戦術選択である程度割り出せる。

 

 勝機を悟り、ゆかりとマキは全力を解放した。

 

 全てを真っ黒に焼き尽くす、秩序を破壊する鳥の力がルビコンに舞い降りる。

 黒と赤。二つの鴉の翼が双子の神に終わりを告げるべく羽ばたく。

 

「そこぉ! もう逃げられませんよ!」

 

 ベルゼルガはライフルの連射から、ハンガーシフトで重ショットガンを放つ。

 赤い軌跡を残す、瞬間移動めいたQBで動く敵機の粒子装甲の一点に当て続けている。

 

 反撃のために巨神機が立ち止まった瞬間。

 神速の踏み込みで間合いに捉え、パルスブレードで粒子装甲を切り裂く。

 

「二撃目は装甲を抉るために!」

 

 ゆかりは自分の動きを言葉にした。

 その通りになり、パルスブレードで装甲だけでなく、駆動系を痛めつけられた巨神機はスタッガーに陥った。

 

 流れるようにハンガーシフト、パイルバンカーが巨神機の心臓たるジェネレータを狙って放たれる。

 狙いを過たず、心臓を穿った杭を引き抜く。

 

「これで終わりです。所詮、機械は機械に過ぎないということです」

 

 ベルゼルガはアサルトアーマーを至近距離から巨神機に叩きつけ、殲滅した。

 荘厳な漆黒の装甲は全損し内部のメカニズムが露わになってしまう。

 

「いよいよ勝負の時だよ、オーデルブレイカー!」

 

 マキは白い装甲の乗機に呼びかける。

 

 真っ向からガトリングガンとミサイルで巨神機に挑みかかっていた。

 巨神機のブレード、粒子誘導弾を最低限の被弾で避け、最後に飛んできたコーラル粒子砲にはパルスアーマーで対抗する。

 コーラルエネルギーを逸らすように機体を滑らせつつ、敵の瞬間移動後の地点を読んで粒子装甲に全弾命中させていた。

 

 被弾しながら巨神機はオーデルブレイカーを中心に周回するようにフェイントを交えて動く。

 それでもマキの砲火から逃れることはできなかった。

 

「今だ、駆けろ! オーデルブレイカー!」

 

 ブーストキックにより、粒子装甲が砕け散ると、レーザーキャノンのフルチャージ接射でジェネレーターを射抜く。

 

「ばーん! ハート貰っちゃったね!」

 

 指で巨神機を撃ち、マキは悪戯っぽく笑っていた。

 

 そこから、二機のACはさらに素早く動いた。

 躯を晒す巨神機に背を向け、侵入に用いた地下通路を目指して全力でアサルトブーストする。

 

 巨神機のコーラルジェネレーターが弾け飛び、炎と嵐が解き放たれる。

 地上で太陽が炸裂したような熱と衝撃波に煽られながら、ベルゼルガとオーデルブレイカーは外を目指す。

 

 ジェネレーターのエネルギーはブースターに最優先で回している。戦闘時以上の加速度による苦痛を堪えながら、ゆかりとマキは機体を操る。

 通路を曲がる時でさえ、トップスピードをキープしていた。

 

 衝撃波により、二機のACは地下通路を吹き飛ぶように進んでいた。

 

「アラートが五月蠅いですよ!」

「この状況で脱出なんてできるわけないよ!」

 

 ゆかりとマキは機体のCOMに悪態をつきながら、地下通路を飛び出した。

 そのまま飛行して市街地を飛び去って行く。制御不能寸前の機体でどうにか、上空から雪原に滑り落ちた。

 

 激しい衝撃でコクピットが揺さぶられる。

 

「いたっ!」

 

 ゆかりはシートから放り出され、紫のナノスキンが張り付き、裸同様のラインを描くお尻を突き出すような姿勢。

 

「目が回る~~!」

 

 マキは大の字に体を広げて呻く。大股開きのせいで、Cストリング状の股間装甲をアピールするような恰好だった。

 

 疲労と痛みが引くと、すぐさまコクピットハッチを解放した。

 ナノスキンを素肌に張り付けた裸同然の姿で、蛮族美少女達は外に飛び出した。

 

「マキさん!」

「ゆかりん!」

「「私達、生きてる!」」

 

 喜びを分かち合うべく、二人は抱き合い、ナノスキン越しに柔肌と体温を感じ合う。

 

 独立研究都市の方向に向き直ると、そこでは巨神機の爆発によって起こったコーラルの奔流が赤い光の柱を形成していた。

 破滅的だが、神秘的でさえある光景だ。

 

 壮絶な光景に本能的な危険を感じてか、二人の並んだお尻が同時に引き締まった。

 

 それからしばらくして、ベイラムの主力部隊はついさっきまで研究施設だった場所にクレーターを残した独立都市に到着して絶句した。

 

 ゆかりとマキは腕を組んで堂々とベイラムを出迎え、早速報酬を要求した。

 

 結局、ベイラムはこの公示依頼によって何かを得ることはなかった。

 研究の中心だった施設の最深部は巨神機が破壊していた。それは最初からプログラムされた動作のようだった。

 

 封鎖機構の兵士は死ぬか、強固な拠点に退却していた。

 

 爆発の直前。一機の超大型ヘリが封鎖機構勢力圏の反対側に飛び去るのをベイラム部隊が目撃していたが、それを追うことはできず有益な捕虜は得られなかった。

 

 ゆかりとマキが臨んだ公示依頼は惑星封鎖機構部隊の殲滅であり、対価に見合った報酬を払う義務がベイラムにあった。

 現場保持の任務は失敗というのが両者の認識であったが、高額の前金は支払う必要があった。

 

 振り込まれた多額の報酬。さらにオールマインドが連絡を寄越し、傭兵活動確認による本格的な支援開始を通達。

 ゆかりとマキは目を輝かせ、大いに喜び、ドーザーから仕入れたコーラルの恵みをキメて浮かれ騒いだ。

 

 濃縮されたコーラルで完全に酔いが回った二人の美少女はその晩、ナノスキンスーツを脱いだ完全な真っ裸で焚火の前で踊り狂っていた。

 何か啓蒙に満ちた叫びをルビコンの星空に解き放ってもいた。

 

 

 翌日の昼頃、ゆかりとマキは、雪の上で大の字に寝転んでいた。素っ裸でナノスキンスーツは傍に転がっていた。

 偶々その惨状をアーキバスのMT部隊は目撃してしまった。

 

 二人の蛮族は不埒なカメラで裸体をズームアップされたことに怒り狂った。

 

「こらぁぁぁぁ! 誰の許可取ってゆかりさんのパーフェクトボディを撮影してるんですか!」

「もう最悪! すっぽんぽんになってる映像を売り払われたらお嫁に行けなくなっちゃうよぉ!」

 

 ナノスキンスーツを手に、全裸のままACに搭乗。MTを中身ごと直ちにスクラップに変えた。

 超音速の強襲であったため、MTパイロットは何が起こったか分からないまま絶命していた。

 

 普段はボディペイント同然のナノスキンスーツでうろつき廻っているというのに、まことに理不尽な二人組である。

 

――――その後の情勢はアーキバスの勝利へと傾いていき、傭兵の仕事は減じてしまった。

 

 再び、結月ゆかりと弦巻マキという二羽の鴉が大きな仕事に臨んだのは、恒星間入植船ザイレムが飛び立ち、ルビコンの運命が決まる刻であった。

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