蛮族な結月ゆかりと弦巻マキがルビコン3で暴れるやつ   作:その辺の残骸

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惑星サフィーロ軌道上

 

 改造商船コトノハ丸のアーキバス製メインノズルが青いプラズマ炎を噴く。

 この船は海賊商人(ローグトレーダー)琴葉姉妹が宇宙を飛び回る脚であり、出撃を前にしたアーマードコア二機を格納庫に抱えていた。

 

 ブリッジで姉妹揃ってオペレーションを進めている。

 姉の茜はピンク色、妹の葵は水色の髪をしているが、染めているわけでも、遺伝子操作でもない。極めて稀な天然の髪色だった。

 

 可愛らしい双子の美少女が身に着けてるのは、くっきりと肢体が浮き出る、ナノマシンによる耐極限環境個人装備『ナノスキンスーツ』だ。

 

「葵、そろそろ二人を起こしたってな」

「了解だよ、お姉ちゃん」

 

 操艦席を兼ねたキャプテンシートに腰掛けている姉の指示に従い、葵はコンソールを操作する。操艦システムの合理化は、最低一名の乗員での運航を可能としていた。

 

 船の格納庫に近い一室。葵の操作によって二基の密閉型筐体が起き上がった。それぞれが人間一人を収められるサイズだ。

 

 排気口から蒸気が排出され、カバーが開く。

 

 ぺたぺたという裸足の足音が二人分。中から歩み出てきたのは、横髪を長く伸ばした紫髪と、金髪ストレートロングの美少女。どちらも背が高く、鍛え抜かれた筋肉質な肢体をしており、一糸纏わぬ姿で見事な肉体美を曝け出している。

 

 紫髪の方は胸が驚くほど平坦、対して金髪の方は驚くほど豊満。対照的な胸部をしていたが、二人の臀部は極めて肉感的で魅力的だ。

 

「うーん、完っ璧に整いました! 今のゆかりさんはいわば完全無敵パーフェクトゆかりさんです!」

「密閉式のパーソナルサウナっていうのも落ち着くね! 私気に入っちゃった!」

 

 生まれたままの姿をまったく恥じない宇宙の蛮族にして傭兵、結月ゆかりと弦巻マキである。

 この大仰な装置は単なる一人用スチームサウナであり、ミッション前に体の調子を整えるために利用していた。

 

 エアシャワーで体を乾かしてから、続くロッカールームで戦闘装備を身に着ける。

 ゆかりは紫と黒のナノスキンスーツ、マキは赤と白のナノスキンスーツだ。首元のスイッチを入れると空気が抜けて、体にぴったりと張り付き、胸、腹筋、臀部の形がくっきりと浮き出る。

 

「よーし、楽しい旅行前のお仕事頑張ろう!」

 

 拳を突き上げ、陽気に気合を入れる弦巻マキ。赤いナノスキンに包まれた豊かなバストがぶるんと弾んだ。

 

 女性美を伴う筋肉美をぴっちりスーツで際立たせた少女達は意気揚々とした足取りで格納庫へ。

 

 ゆかり達がやってくると、ACを整備していたドローンポッド達が退く。二人は無重力空間に舞い上がり、ハッチを解放してそれぞれの乗機に乗り込んだ。

 

 ジェネレーターを起動させて各部をチェック。スムーズな動作で全てのプロセスを終え、通信ウィンド越しにサムズアップを交わすゆかりとマキ。

 

『カタパルト開きます、発進はゆかりさんからでお願いしますね』

『了解です』

 

 葵が発艦管制を担う。水色髪の可愛らしい妹はメカニック以外にもレーダー要員などを兼任して、姉の操船をサポートしていた。

 

 トリコロールカラー、ヒロイックなフォルムのAC『エインセル』が射出機に固定される。その後ろで待機する赤い重量二脚『キルドレ』。

 

『結月ゆかり、エインセル、発進します!』

『弦巻マキ、キルドレ! ぎゅんぎゅん行くよー!』

 

 硝煙燻る故郷での幼少期、数少ない娯楽であった古い時代のロボットアニメめいたセリフを吐き、発艦するゆかりとマキ。二つの閃光が螺旋を描き、編隊を組む。

 

『続いてカーゴを射出するから、二人ともしっかり護衛頼むで』

 

 発艦したAC二機に続き、納品する兵器を収めた巨大なカーゴが複数射出された。

 

『レーダー同期開始、戦術データリンク、問題なし』

 

 葵は茜に報告しつつレーダーとセンサーを注視。コトノハ丸は茜の操縦で速度を保ち、巡航する。

 

 カーゴを護衛しながら、ゆかりは進路上に見えた白亜の船体を拡大表示してマキと共有した。

 

『あれがサフィーロ名物の『フラガラッハ』ですね』

『うわぁー、本当におっきい船だね』

 

 フラガラッハ。それは惑星サフィーロ静止軌道にて沈黙する巨大戦艦だ。

 

 人類の宇宙進出を加速させた地球規模の災厄《大破壊》以前の技術で建造され、その名だけが旧時代のデータベースに僅かに残る巨艦は静止軌道に繋ぎ留められ、星間協定により全勢力が不干渉を保っている。

 

 フラガラッハは傘を水平にしたような形状で、船体後部に畳まれた多数のブレード状構造物が目を曳く、異形の宇宙艦である。

 艦の艤装は、ゆかり達の出身惑星における特殊兵器の粒子装甲制御機構に酷似している。

 

 太陽系を離れて新天地を目指し、惑星サフィーロに辿り着いた入植者達は、超攻撃的な社会を形成し略奪者と化した移民船団などの脅威に晒され続けた。

 

 そして最大の脅威となったのが、この自律艦フラガラッハであった。

 最終的には片道切符の決死隊が内部に突入、制御プログラムの一部を書き換え、静止軌道上にて沈静化された。

 

 最低限の自動防衛システムは未だ健在であり、連鎖的な攻撃システムの再起動が起こる危険性が残っている。

 そのため、防衛圏外ではサフィーロ有志連合軍による無人機が飛び交い、フラガラッハとの接触を目論む者を警戒していた。

 

《大破壊》以前に建造された、この手の全自動兵器は宇宙に旅立った人類の前に時に姿を現し、災いをもたらしている。

 

 惑星封鎖機構は、これらの兵器の対処も担っておりその性質上絶大な権限と強大な軍事力の保持を認められている。機構の存在は人類の星間文明を存続させる確かな力であった。

 

『二人ともフラガラッハに近寄り過ぎんようにな。侵入禁止圏内に入ったらどんなVIPだろうがお構いなしで攻撃されるで』

『判っていますとも』

 

 茜は笑いながら警告する。決して冗談ではない。

 現在では、全体的に安定した政情と豊かな自然環境から多数の大企業が支社や大規模工場を置き、宇宙船の往来も盛んな惑星サフィーロだが、フラガラッハ周辺の宙域はいかなる組織であっても絶対侵入禁止とされている。

 

 

 美しい惑星も、行き交う宇宙船の光も、不気味な沈黙を保つ殺戮の巨艦も眺め続ければ飽きがくる。

 残ったのは退屈な加速だ。マキはカーゴの中身に思いを馳せた。

 

 納入する兵器そのものは特筆すべき点の無い代物だが、それを向ける相手が問題だった。

 同じイスニアの国民である。イスニア王国は建国以来、はじめての大きな分断に直面していた。

 南部における運動が武装蜂起に発展する、最悪の事態に対する備えなのだ。

 

 サフィーロ入植以来、王政国家という形で穏やかに纏まり、外敵に打ち勝って発展してきたのがイスニアという国家だった。

 だが、南部に星外企業『ノイアーキス』が本社を移転、シェアを大きく伸ばすのと時を同じくして、急進的な反王政民主化運動が盛んになった。ここ数年間の話だ。

 

 アーキバスAI技術部門の一部が研究中止命令に反発して独立したという経緯を持つノイアーキスは、AI技術を用いた商品開発、プロモーション、経営合理化、オフも含めた社員のマネジメント等々、徹底したAI活用によって目覚ましい発展を遂げた企業である。

 

 ノイアーキスと互いを憎悪し合う関係にあるアーキバスから大々的に支援を取り付けることも可能であったが、イスニアは企業の内政干渉を危惧していた。

 そこに平和な惑星の裏で進む、キナ臭い事態を嗅ぎつけた茜が営業を掛け、取引成立に至ったのである。

 

 二機のACはカーゴを引き連れて惑星サフィーロの軌道に侵入した。

 遠くに光が見える。極秘裏の受け渡しとなるため、イスニア国防軍側も少数だ。暗号鍵認証により、彼我の素性を確かめ合った。

 

「コード承認。カーゴを送ります」

 

 ゆかりはコクピットのコンソールを操作してカーゴを推進させた。

 宇宙空間を滑るように流れていくカーゴ群を見送りつつ、腰を軽く浮かせて座り直す。

 

「んっ」

 

 ナノスキンの紫が張り付く、豊かな尻が圧迫から解放されたのも束の間、再びシートに押し付けられて、むにゅりと魅惑的に潰れた。

 

 空間作業用MTが受け取ったカーゴを輸送船に運び込む。

 積み込みを完了した輸送船は即座に離脱し始め、エインセルとキルドレもサイドブースターを噴かして反転、母艦に戻る。

 

 

『お疲れさんや二人とも。これよりコトノハ丸は進路をイスニア国際宇宙港に取るで!』

 

 シートから跳び上がり宣言する茜。その勢いによって、黒いナノスキンスーツに包まれた可愛らしいお尻が弾んだ。全体的に細い印象の琴葉姉妹だが、お尻はむっちりと肉感的だ。

 

『地上に下りたらパーっと遊びましょう!』

『新しいギター欲しいな~♪』

『ちょうど首都で星間企業技術見本市をやっているんですよね。お姉ちゃん、行っていい?』

『あはは、本当葵はメカ一筋やな。勿論OKやで!』

『いいですね、見本市。良さそうなモノがないか私もチェックしておきましょう』

 

 通信画面越しに少女達は仲良くかしましく盛り上がっていた。

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