大洗学園の学園艦の一室
「ええええええええぇ!」
叫び声が響き渡った。
声の主は、大江涼。彼は、生徒会の書記である。
なぜ、彼が叫び声を上げたのか読者諸君は謎に思うだろう。
無論、彼が叫んだのには理由がある。
この部屋では、学園の理事長、文部省の担当者、そして大江ら生徒会により、学園艦の今後について協議していたのだ。
その中で文部省の担当者が大洗学園を廃校にすることを検討していると発言したのだ。
目下、国家財政は累積赤字が蓄積し、経済への圧迫も懸念されている状態である。そのような状況で、
「税金の無駄遣い」を無くすよう圧力がかかるのは必然で言える。
学園艦も多くが建造から数十年が経過し、新造も改修も莫大な費用が掛かる。
まして、安全保障面でも緊迫し、社会保障も高齢化の影響があるため、歳出削減が求められる状況だ。
<ここから難しいお話>
2年前、政権与党で革新勢力の雄、社会国民党は学園艦の全艦廃止と一部学園廃止(残りは陸上に移転)を打ち出した。
しかし、与党といえど、下院で僅かに過半数を上回っているだけで、残りはネオリベ系改革派の自由党、保守系の保守党と少数政党
が連合を組んでおり、上院も自由党または保守党系の議員が多数を占めている状況である。いわゆる、ねじれ国会だ。
自由党は学園艦の維持管理を担う重工業産業とのパイプがあり、学園艦の廃止に伴う打撃を予想されるという理由、
保守党は事が性急すぎるという理由で反対しており、長時間の審議を経て結局、
学園の財政、学業・部活動などの活動実績の2つの基準を2つとも満たさない学園艦を廃校、片方が満たさない場合は
統合か、陸上に移転するということになった。
<以上ここまで>
要するに学園艦は金がかかるから、財政が厳しいか実績がなければ廃校か移転か統合かすることになるのだ。
実際、昨年はドイツと日本の共同出資で運営されていた青師団学園は同じく日独共同出資の黒森峰高校に吸収合併され、
BC自由とマジノ学園も合併、、
ワッフルとボンブル、ヨーグルトは合併し、陸上移転し、再出発をする。
バイキング水産も継続高校との合併も検討されていると聞く。
大洗は現状では理事長も尽力もあり、財政はギリギリ大丈夫だが、いかんせん実績がない。
部活動もそこそこいいところもあるが、それでも全国大会クラスまでのレベルはないし、
学業でも東京大学や医学部の合格者を量産するわけでもない。
しかも、学園艦事態も艦齢30年以上が経過し、大規模な改修も必要である。
このまま、大洗は無くなるのか・・・。
その時、一人の少女が口を開いた。
「じゃあ、戦車道でもしようか。」
一同は唖然とした。
しかし、彼女、大洗の生徒会長 角谷杏は続けた。
「20年前まで戦車道していたんでしょ?今から復活させて大会で優勝すればいいでしょ?」
担当者は思わず「そ、そうですね・・・。」と答えた。
角谷は
「よし、それでいいね!じゃあ、大会の後で。」
と言い、協議は結論が出ないまま終わった。
協議の後、生徒会広報の河嶋が
「会長、戦車道で優勝する公算は・・・?」
と尋ねると。
「まあ、これからのお楽しみってことで。」
と角谷。
「大丈夫かね・・・。」
と大江。
次の日
角谷は、いつもは見ない書類を見ていた。
内容は、20年前に休止した戦車道についてだ。
戦車の種類、細かい仕様、予備の部品などが記載されている。
どうやら、20年前にあった戦車の約半分は既に売り払っているようだ。
戦車道復活のために残しているようで、戦車道を行う最低限度の数はあるようだ。
部品も多いようだ。
ただ、戦車はあまり強くないものが大半なのだが。
しかも、弾薬・燃料はない。あっても劣化して使い物にならないのだが。
そこで、角谷は内線であるところに電話した。
プルルル・・・、プルルル・・・。
「私だ。・・・角谷君か、丁度よかった。今会議で予算が出たところだ。よし、わかった。早速手配しよう。」ピッ。
理事長は、理事会で戦車道復活のために緊急で予算を組み、理事を緊急招集し、通したのだ。
次は、戦車を見つけることだ。
今把握しているのはⅣ号戦車1両のみ。
どの書類にも保管場所が明記されていない。かつての保管場所にもないと河嶋、小山から報告があった。
戦車道の最初の授業で探すことにした。