それぞれの道は延びて行き、やがて運命は廻りだす 作:タク-F
育美が部隊を設立して最初に方針の共有が始まった。集まった5人の紹介を始める。
「しゅうご〜う! コレより部隊顔合わせ兼今後の方針を通達しま〜す!」
「まずは私が発掘した逸材の貴女達に感謝を。貴女達は結社もしくは所属先で何らかの問題が起こり苦しい思いをしてきた事は把握してます。そんな貴女達に私が求める事はただ一つ。結社の最善化。貴女達に戦闘力の高さを求めることはありません。ただ、自衛の為に実力があれば出来る事は増えるでしょう」
「結社の……最適化…………ですか? 貴女は何を……見据えているのですか?」
発言をしたのは育美が転生後に結社のコネで発見・スカウトした少女【アルトリア】。アーサー王の子孫でありながら生まれた女性であり、遺伝子や才能の繋ぎにされる未来を悟り実家を飛び出し結社に身を寄せていた。
「というか……寧ろ私達は反逆者では?」
同じくスカウトされた少年【セタンタ】クー・フーリンの子孫でありながら槍術の才能が無く、ルーン文字の扱いに長けてしまった。しかし一族は未だ槍術こそ至高の為に迫害を受けていた。その上で拉致という形で結社へ捨てられ切り捨てられた過去を持つ。
「あ〜〜……まぁ現在の結社が正義ならそうだね。でも逆に聞くけど大幹部の顔を見た事はあるかもしれない。けど結社の局長の姿を見た人はいますか?」
「「「「「ッ! 言われてみれば」」」」」
「この結社の上層部は一枚岩ではありません。いずれ内部分裂・崩壊が発生します。畳み掛けるように外部勢力から干渉を受けた時結社の未来は……」
「私達はどのように働けば良いのでありますか?」
育美はいずれ来る未来を原作知識を活用して伝える。そして仮にも自分の居場所であるこの組織に少なからず情を抱いていた。
「今まで私は不穏分子を粛清・殺害してきたけどもうそれはできない。私はある目的の為にチフォージュ・シャトー……稀代の錬金術師の元に向かう事になるから。貴女達は私が離れた後にこの結社において純粋に研究がしたい者・欲望のままに力を振るいたい者を把握して欲しい。そして前者をチフォージュ・シャトー等にて受け入れる為に……ね?」
「…………有り体に言えば一度滅ぼすと?」
「肯定するよ。そしてその理由を語る事は構わないけど他言禁止ね。サンジェルマン様達にも知られてはいけない……そんな秘密だから」
「…………組織のNo.2もですか? それを何故貴女が……」
「私の能力の1つで識った。端的に言えば局長……アダムは
「!? それって……」
「語れるのはここまで。そしてこれが結社最適化の理由。理解して貰えたかな?」
「…………証明方法は?」
「5年以内に結社は戦争を起こす。バラルの呪詛を解く為に。でも私はソレが何を意味するか識っている。その気があれば封印の地……月遺跡にて自分の目で確かめると良いよ。私の個人ラボには月遺跡内部直通の術式を構築してあるから」
「ソレは後回しで構いません。いえ……貴女は何を目指して……」
「フィーネの過ちから派生する被害を抑える事、そしてその影響で起きるタイムパラドックスを防ぐ事。その為に私は信頼出来る部下が欲しかった。もし貴女達が私を信じて命を預けてくれるなら貴女達が陽の元で過ごせる世界を作る。ソレが私の覚悟だから!」
育美は覚悟を示した。5人は明かされた情報を整理しつつ各々の答えを出した。
「我が命……貴女を主君としこの身を捧げる事を誓います」
「同じく!」「だぜ!」「であります!」「はい!」
「ありがとう皆。ならまずはサンジェルマン様に引き渡した少女……日本の対ノイズ兵器元使用者の天羽奏の治療と……セタンタには悪いけどご先祖様の槍と似たモノを使って作った兵器を彼女に与えて。名をファウスト・ギア……ゲイ・ボルグの模造品から作った改造兵器ね。恐らくサンジェルマン様はこの試作品の情報を元に錬金術師の為の兵器を作る、もしくは完成へと至る筈だから」
「天羽奏……フィーネの玩具を使う少女ですか。彼女の扱いは如何がなさるつもりで?」
「2年でギアを実戦で使えるレベルまで引き上げて。あと恐らく彼女の元の身体に残る毒素・薬品はフィーネへ突き立てる牙になるから回収したらこのカートリッジに保管して私に渡してくれたら助かるかな。その後は私達の関知しない事として放流で良いよ。だから彼女に伝えるならこうだね
【私達がお前の命を繋いだのは私達の目的の為。かの者を……お前の家族の本当の仇を討ちたいなら協力しろ。そうすれば奴の首はお前にくれてやる】
ってね?」
そうして育美は妖しい笑みを浮かべて奏の扱いを決めた。この秘密兵器でフィーネに一泡吹かせる……その為に奏を生存させたのだから。
「ちなみに育美さんはこの後どのような予定で?」
「ん〜〜……まずは局長にダメ元での確認。で、どうせ進言はポシャるからかねてより向かう予定だったチフォージュ・シャトーかな。そこでレイラインマップのスキャン装置を完成させるから貴女達は私からのデータをサンジェルマン様に渡して。そうするとどっちの事態に転がるか私が判断出来る。何ならシャトーの方も細工しないといけないし……」
「このリーダーは頭おかしい癖にセーフティと対策の構築がエグい。この人と駆け引きとかしたくねぇぜ……」
「………………という事でお話に来ました局長?」
「何なのかな……話は。早く入って欲しいモノだよ……本題にね?」
有言実行と言わんばかりに局長執務室へ突撃した育美は局長である【アダム・ヴァイスハウプト】と対峙していた。
「ただの確認ですよ。局長……貴方さては
「………………冗談なのかな……その言葉は。早い方が良いよ……発言を撤回するならね」
「いいえ。局長が無能で怠惰で無関心でロクデナシのヒトデナシなのは明白です。何なら熱意も誇りもないガラクタですね」
「巫山戯ているのかな……さっきから。死にたいのかな? 今すぐに」
「そんな馬鹿な事は考えてませんよ? ただ私にはわかるんですよ……
ゴォォ!
育美の発言の直後アダムから巨大な火球が放たれたがこのやり取りを以て育美は自身の仮説を確信した。
「ソレが局長の答えですか。所詮は神々に捨てられたガラクタ人形ですね。納得の浅慮ですよ?」
育美は最後の捨て台詞を残し本部を出た。次の目的地であるチフォージュ・シャトーへ向けて……
アダムとの邂逅ではテレポート・ジェムを使って逃亡しています。(少なくとも現状では組織としての和解ルートが作れませんでした……)
次はチフォージュ・シャトーへ向かいます!