それぞれの道は延びて行き、やがて運命は廻りだす 作:タク-F
確かに斬り伏せた。手応えとその場に残る血痕が出血量は致死量を上回るのは明白だった。しかし同時に聞こえてしまった声と内容がオレに警鐘を告げる。
「今すぐにその首を刎ねる!」
矛先を先程向けていた心臓から首へと変えて振り下ろした。言い得ぬ不安がオレを包む。そして同時に奴を殺せと心が叫ぶ。
「死ね……死ねえぇぇ!」
一心不乱に振り下ろした剣は
「
「なんだ……何なんだその剣は! 」
何なんだあの美しい剣は! 錬金術を纏ったオレの剣が折れた以上見かけよりも固い。そしてあの雰囲気から恐らく相当な切れ味を誇るのだろう。
「振らせない……振るわせてたまるかぁ! 」
オレは恐怖に従い〈ダイン=スレイフ〉を顕現させて切りつけた。しかし奴は表情を変える事無く言葉を告げた。
「魔剣〈ダイン=スレイフ〉……それも欠片じゃなくて完全聖遺物。私も少し本気を出すよ!
「鎧……? どこから換装した!? いやそれよりも……何故だ! 何故それほどの力を持ちながら今まで隠していたんだ! 」
「…………使うつもりは無かった。それは私が
「ッ!」
あの鎧と剣を見た瞬間に戦闘前のやり取りが彷彿とした。最初からあの姿をしていればオレは間違い無く奴への恐怖から逃亡か攻撃をはじめていたのは想像に難くない。
「大丈夫だよキャロルちゃん……私が全てを受け止める。憎しみも、恨みも、後悔も、恐怖も、不安も幸せも温もりも……その上で私がイザークさんの本当の願いを教えてあげる。だからキャロルちゃん……全てを賭して向かって来てね? 大丈夫……
奴は剣を地に突き立てる。自分からは攻めないと言わんばかりにオレに促した。そして飛び込めば危険なのはわかっている。だが……ッ!
「はぁ…………来ないなら仕方ない。やっぱりイザークさんの教育は失敗だね。傲慢で不遜、臆病で親不孝……更には大切な記憶すらも消す愚行に及ぶなんて……」
「アアァァァァ!!」
形容しがたい怒りが……憎しみが、恐怖が精神を支配する。そして感情の赴くままに剣を振るうがその度に弾かれる。
「君の実力は本当にその程度なの? もっとぶつけなよ! 君の想いを全部込めなよ! 私は逃げない! 全て受け止める!」
「オレを………………馬鹿にするなあぁぁ!!」
錬金術を発動し火・水・風・土の奔流が奴を包むがそのどれもが手に持つ剣に切り裂かれた。
「な……ぜ…………?」
「良いよキャロルちゃん! もっと力を込めなよ! 全てを乗せた一撃を放って! 大丈夫! 私は逃げない!」
「そうか。ならば…………コレならどうだ!」
剣を収めダヴルダヴラに想い出を込める。先程よりも高純度のエネルギーを込めてこの周囲を吹き飛ばす市毛……【エレメンタル・ノヴァ】を放った。この一撃を無傷で防いだ者はいない。仮に倒せなくても手傷を負わせなければ!
「何もかも……壊れてしまえば!」
「良いよ! 私に全ての意識を向けてくれてるのがよく分かる! だから礼儀を以てこの技を見せてあげるよ…………
剣より放たれた紫電の斬撃がオレの一撃を事もなげに切り裂いた。
「馬鹿……な……」
「確かに今の一撃は良い一撃だけどそれで終わりじゃないと私は知っている。全てを込めて!」
「後悔……するなよ?」
残る全ての想い出を込める。構築するのに時間はかかるが奴は逃げないと告げた。故にオレは【翠の獅子機】を構築し先程の一撃の比にもならない程の規模で、周囲一帯を焦土と化す一撃を放った。
「アレが【翠の獅子機】……次の一撃は【Exterminate】かな? なら……現れて!
奴は紫電の剣と鎧を消した。だがその瞳は慈愛の微笑みを向けながら金色の鎧と弓を顕現させた。先程の鎧や剣の気配もどこか感じるその力は先程のモノをゆうに超えるのは明白だった。
「
「うあぁぁぁぁ!!」
オレの放った光の奔流と奴の放った矢が激突した。だがすぐに押し切られ獅子機が撃ち抜かれ崩壊した。
「オレの……全てが……負けた? そんな……馬鹿な……」
全力を出した後の脱力感がオレを襲うが感情が認めない。最早武器すらも出せず、持てない程に限界にも関わらず身体が動く。そしてその感情の赴くままに拳を振るった。だがその拳は受け止められ……オレの身体は奴の腕で抱きしめられた。
「よく頑張ったねキャロルちゃん。1人でお父さんの遺言に従って【世界を識る】為に手探りで頑張ったね。でも聡明なキャロルちゃんは今の自分の行いが不正解なのはわかっていた…………でも胸に燻る激情がソレを許せなかった。だけど今日……全てを出し切って尚受け止める人物が現れた。理由がわからないんだよね? 混乱してるのはわかってる。だから今は………………
オレの意識はその言葉通り微睡み夢の中へ落ちていった。その最中……抱きしめられた温もりは
育美ちゃんマジ詐欺師。人類の敵(笑)
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