それぞれの道は延びて行き、やがて運命は廻りだす 作:タク-F
楽しみにされていた方々……お待たせしました!
育美の言葉を受けた二課は響に協力を得る為に現状で開示できる情報を開示した。そしてその身に起こる情報も把握次第共有される事も確約された。
「本来だが我々から響君に情報を開示する事はできない……が、件の男性である【檀黎斗】から語られる可能性が高い事が推測された。現在ノイズ討伐に戦力が不足しており響君の協力がなされればありがたい。ならば我々は響君に情報を開示し、円滑な関係を得る方が合理的と解釈した」
源十郎のこの判断は異例な上に優斗達の想定を外れていた。しかし不幸中の幸い育美の授けたペンダントから育美・優斗・龍樹・鏡香も情報を把握している。
「教えてください! あの日私の身に起こった事を!」
「そうね。まず響ちゃんの心臓に埋まっているかさぶた……ソレはガングニール……2年前に二課に所属していた戦士……天羽奏ちゃんの携えていた槍ね」
「奏さんが……?」
「私もまた奏と共に戦場に居たわ。そしてあの日……奏は私達の前で命懸けの技を使いノイズを道連れにして死んだ。いえ……が殺されたという方が正しいかしら」
「そうだな……。ここからは今までよりも尚荒唐無稽な話だが翼と黒森君と……」
「鏡香さんだ。実はあの日おれと鏡香さんもライブ会場に居た。鏡香さんも別口でチケットを手に入れてたんだけど響は未来といるって聞いてたし、おれ達の席は響達と離れてた。だから声はかけなかった筈だった」
「うん……んん……う〜ん……」
当時語れなかった話は響の理解を超えはじめていた。その光景を見て弦十郎は1つの結論を出した。
「幸いこの場所はリディアンの敷地内だ。放課後翼とここに来ると良い。少しずつ話を進めよう」
「それに鏡香さんも顔つなぎもしないといけないとな。優斗さんっていってさ、ほら……街の外れにある写真館あるだろ? あそこの店長さんの息子さんで「私の自宅よぉ〜」櫻井さん!」
「…………えぇ!? 了子さんって旦那さんと息子さんがいるんですか!? 「ちなみに優斗はもう大学3年だから君達よりもオトナよ?」えぇ!? 了子さんそんなにオトナの人だったんですか!?」
「知りたい? もぉ~仕方ないわねぇ〜」
「やめろ母さん! 親の惚気を聞かされて気まずい息子がいるんだぞ!」
「うるさいわよ優斗!」
了子の惚気に辟易した優斗の抗議は鉄拳制裁によって制圧された。
「つ……強い……」
そして響は凡そ1月の時間をかけて2年前の真相を聞くために本部へと通い詰めた。
「ねぇ響……今日は……」
「あっ……そっか。うん。わかってる……流星群……だよね」
「いっしょに……行こうね?」
未来は不安を抱えていた。ガングニール覚醒後から響は二課へ通い詰めた。表向きは当時の真相を知る為とされており、事実ではあるがその詳細を語る事はできない。故に内容を識る事のできない不安は無意識に膨れ上がる。
「危ない事は……しないでね?」
「そう……だね」
♪ 〜〜♪ 〜〜♪ 〜〜!
「あっ……鏡香さん! 今日ですよね! 響も来れるって言ってました! 最近フラフラ外出してましたけど今日は大丈夫だって……」
通話の中で未来の表情が少しずつ明るくなる……が、響は罪悪感に包まれていた。なぜならばこの日は満月……育美が現れると予告した日だからだ。そしてとうとう二課からの呼び出しが入る。
『響君……申し訳ないがあと2時間後日没でありその3時間後は月が最も輝く。現場へ向かって貰えるか?』
「……はい。わかりました……向かいます。ごめん……未来……」
響は告げる事すらできず未来の元を離れた。
「あれ? 響……? 何処へ……?」
【ピリリ! ピリリ!】
「あれ? 着信だ。相手は……鏡香さん?」
『未来……大事な話がある。午後6時にリディアンで一番近い天文台に来て。未来が聞きたい事の一端を語る準備ができたから……』
響が眼の前から走り去った事を認識した直後に鏡香からの連絡が一方的に入った。未来の返事を待たずに終了した為に胸中は不安と恐怖に包まれた。しかし他の選択肢が存在しない未来は大きな不安を抱えながらその時を待つことになった。
日没を迎え響は本部からの連絡を待った。しかし事態は唐突に動く。
『ノイズ出現パターンを検知! 場所は……響ちゃんの前方150メートル……いや! 離れて行きます! 追ってください!』
「は……はい!」
響は逃げるノイズを追跡する為に移動を始めた。すると本部に別口からの連絡が入る。
『本部及び響ちゃんに連絡。俺の自宅最寄りシェルターにてノイズが出現し俺の判断で撃破を終えた。だがこのノイズは
『了解よ。聞いての通りノイズの追跡は気を付けてね』
突如優斗からの連絡が入りノイズ追跡に警戒心を強めた響だがノイズは郊外の平原で動きを止めた。するとノイズが弾け見慣れぬ領域が展開された
「えっ!? えっ!? 何コレエェ〜〜」
「私の空間にようこそ立花響。直に残りの観客が集う。暫し待ちたまえ」
「檀……黎斗……さん? アレ? ノイズは?」
「あぁ……あのノイズは私の製作品だ。まぁその辺りの説明もしてやろう」
黎斗は不敵な笑みを浮かべ腰を下ろす。すると数分で戦場に群青の流星が降り立つ。
「貴方が檀黎斗ね。語って貰うわ……真実を……」
天羽々斬を構えた翼が殺気を込めて距離を詰めた。しかし黎斗は笑みを浮かべて後方へ呼びかけた。
「そこにいるのだろう?
「…………へぇ? あたし様の存在に気付いたのかい?」
「
黎斗は右掌に光球を生成するとシルエットのみの少女へと放たれた。そして視線が外れた一瞬の隙を突き風鳴翼が懐に肉迫して斬りつけてきた。
「良い速さだ。しかし……軽い!」
攻撃を察知した黎斗は先程と逆の左手に力を込めて刃を受け止めた。反撃として光球を放った右手を握り翼の腹部へカウンターを撃ち込んだ。
「がっ……!」
「え……? なに…………が……?」
響からすれば僅かな時間で先輩と襲撃者が攻撃に倒れた。その絶望感が強調され恐怖に足が震え腰を抜かした。
「やれやれ……話をする前に攻撃するとは野蛮だが……まぁ良い。始めよう……
「なんで……あたしまで……?」
「貴方の……話など……」
土煙が晴れて2人は立ち上がり黎斗へと向かう。しかし受けたダメージから反撃を考える事はできなかった。
「私が語るのはある少女の話だ。少女は平和に過ごしていた。温かな家庭で優しい父母に愛しい妹のいる幸せな4人家族だった。そして少女は父親を尊敬していた。父親もそれを理解していた。また……母親と妹との関係も良好であり家族4人で過ごす時間を大切に考えていた……」
「え……? その……話は……」
響の動揺に反応を返さず黎斗は語り続けた。
「ある日父親は家族を自身の職場へと連れて来た。職場も好感を示し案内の為に先行して現場の確認に向かい……彼らはノイズに殺された。しかし幸か不幸か……
「待って……その……人物は……」
翼はその人物を知ってる。故にその先の言葉がわかってしまう。
「少女は復讐を誓い力を求めた。しかし運命は少女を選んだか……力と名声を与えた。数年の努力の後に少女は相方を経て大舞台で主役を務める事が決まった。そしてライブが始まり盛況な出だしから裏の思惑まで……な?」
「おいおい……ソレの女の話があたしとどう関係する「黙って聞きたまえ」チッ……!」
ネフシュタンの少女は黎斗の限度に怒り抗議をしたが流された。そして黎斗は高揚したように語り続けた……
「しかし現れただろう? 人類の天敵……ノイズが。人々は混乱し会場から逃げ出した。当然だ……ノイズが現れれば襲われて殺される。しかし……このライブの胴元は特異災害対策機動部二課……その裏ではある聖遺物の起動実験が行われていた」
「ある……聖遺物……?」
「その聖遺物を覚醒させるには多量のフォニックゲインを要した。幸いライブのオーディエンスからのフォニックゲインでも覚醒は可能だと判明しており順調に覚醒しただろう。しかしその場所はノイズの襲撃により混乱に巻き込まれた。そして単純なノイズ被害から我先にと逃げる観客が他を押し退けて逃げる醜さにより死傷者は千人にも迫った。だが……それが何故かわかるかな?」
「何故……なんだ……?」
翼の問いに黎斗は息を大きく吸い叫んだ
「ふぅ〜〜、……立花響いぃ! 何故私がその少女の話を知ってるのかぁ! 何故2年前のライブの真相を知ってるのかぁ! 何故私がこの話をしているのかぁ! その答えはただ1つ。それは……あの日君の心臓にガングニールを埋め込んだのがこの私だからだぁ! 」
「うそ……だって……あの場所にいたのは……女のひと……で……」
「っ……! まさか貴様!」
「それは……この女性か?」
黎斗は自身の外見を嘗て響と邂逅し、2年前のライブに参加した姿へと変えた。そしてネフシュタンの少女はその姿に別の意味で驚愕していた。
「ふぃー…………ね……? いや違う! 何なんだお前はぁ! 」
「つくづく大人しく他人の話の聞けない小娘共が。特にネフシュタン……君は気付かないのかな? その鎧が……今の話で上がった鎧であり彼女から渡されたのだろう? さぁ小娘共! 全てを知りたければ私を倒す事だ! ただし……
パチン!
黎斗が指を鳴らすと翼の身体にノイズが迸り侵食を始めた。
「翼さん!」
「なに……これ……? うあぁぁぁぁぁぁ!!! やめろ! やめろおぉぉぉぉ!!! 」
「喜びたまえ風鳴翼。君の願いが叶うぞ? この場にいる全員を殺す事ができたら……な?」
悲鳴をあげる翼の身体が異形の怪物に取り込まれる。そして変容を続ける身体は剣を持つ虚ろな鎧騎士へと姿を変えた……
外道なり育美ちゃん!
はい!翼さんを(お手製のアルカ)ノイズに取り込ませる異常事態ですが、いくつかの目的ありきで行っています。
今後の展開にお楽しみください!
よろしければ感想等よろしくお願いします!