それぞれの道は延びて行き、やがて運命は廻りだす   作:タク-F

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手違いに気付いた育美は遅れを取り戻す為に奮闘する。


手遅れと仕込み

「やばああぁい! ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい! フィーネの転生時期まちがえたあぁぁぁ! 2年! 2年の時間よロスは対ラスボス戦に於いて最悪手だあぁぁ!! …………………………はぁ〜〜〜……落ち着け落ち着け……未だ最悪のライブの8年前で立花響覚醒の10年前……まだ……まだ時間はある筈! ならば急いであの人達に会いに行かないと……この際コントロールがアレなのは目を瞑るか……はぁ」

 

 育美は10色の宝石が嵌められた指輪を装着してヨーロッパへと旅打立った。

 

「そうだ! F.I.S研究所(アメリカ)に行こう! それじゃあ……〈封解主〉(ミカエル)!」

 

 育美の左親指に装備されている指輪が鮮やかな灰色のように輝くとその姿が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………と思ってたのに見覚えのある()()()()()()()()()()()()……これは間違いなく日本に於けるフィーネの潜伏先……だよね。やっぱ天使のコントロールが出来て無い……か。はぁ〜〜〜……どうしよ……」

 

 嘆く育美だがフィーネから見たら得体のしれない侵入者。接触を試み、場合によっては計画成就の為に排除も辞さない状況なのだから。

 

「貴様……何故この場所にいる? いや……それよりも()()()()()()()()()()()()()()自慢ではないが相応の結界により物理・異端技術共に不可能だと主っていたが……まぁ良い。目的を聞こう。貴様の表情から困惑が見て取れる。ならばお前が私に利する者か否か……な?」

 

「これはこれで都合が良いかな?」

 

 呟きと共に笑みを零した育美はフィーネへと問いかける。

 

「まずは事実を。私がこの場所に転移したのはただの偶然でどうやら転移陣に何らかの不具合があったのでしょう」

 

 育美はそう告げて転移陣を展開した。そして陣を見定めたフィーネは本来の目的地を尋ねた。

 

「なるほど……詳細な座標を把握できなかった故にここに……か。ならば解せないな。()()()()()()()()()()()

 

「貴女の問いに()()()()()()()()()()()()()。故に問い返します。貴女は並行世界の存在を信じますか? 

 

「並行世界……だと? ふむ…………」

 

並行世界……その単語がフィーネの表情を強張らせたが、即座に表情を切り替えた。

 

「私は並行世界に於いて貴女が【月を穿つ砲塔が使用された世界】・【月の落下する世界】・【バラルの呪詛が解除された世界】・【本来死した者が生きながらえ、生存するべき者が死した世界】……などを認識しています。もちろんこの世界もとある並行世界と同じ行動を取ればその軌跡を辿る事は可能です。しかし私には果たすべき目的があります」

 

「なるほど……確かにその並行世界の知識が事実であれば私の計画は筒抜け。つまり悉く邪魔することもも可能……そうだろう?」

 

「まぁ端的に言えば可能です。しかしここで巡り会えたのも何かの縁……まずは互いの為に交渉をするのはどうでしょう?」

 

「交渉……か。良いだろう。では状況を擦り合わせるとしようか?」

 

 フィーネも育美の思惑に気付いたので敢えて互いが互いの策に乗る事を決めた。

 

「では大前提に私はバラルの呪詛の目的と正体を識っていますが、今私の口から語る事はありません。それは貴女が自らの努力と過程・仮説・立証を以て行うべきだからです。よろしいですか?」

 

「バラルの呪詛については沈黙……か。では貴様は私に何を提供する? そして同時に何を要求する?」

 

「ではまず

 ●私は貴女の計画に表立った妨害は行わない

 ●もし貴女が砲塔を以て月を穿った暁にはバラルの呪詛の真実を語ります。

 ●そして並行世界にて開発された人体への負担を抑えた【LINKER】のレシピを8年後の【特異災害対策機動部二課・櫻井了子】名義でお送りします。

 

 以上がこちらの提供するメリットです。如何ですか?」

 

「ふむ……」

 

 少し考えたフィーネは提示されたリターンと妨害されるリスク天秤にかけ、そしてこう返した。

 

「お前の提示する利益……確かに興味深い。良いだろうではお前の要求を告げてみろ!」

 

「ッ!? 即答ですか。それはこちらとしてもありがたいです。では改めて私の要求ですがよろしいですか?」

 

 フィーネの即断即決に意表をつかれるもすぐに交渉の主導権を取り戻すべく育美は要求を始めた。

 

「まず私の転移能力は万全ではありません。なのでまずは貴女の仇敵であるバヴァリア公明結社へと私に送り届けていただけますか? 私はとある錬金術師に会わねばならず、また……あの組織は裏世界の情報に精通している。もちろん結社を通じて貴女の妨害は考えておりません。なぜならば結社にも救わなければならない人物がいるので……ね。次に貴女がアメリカにて秘密裏に立ち上げた研究機関である【F.I.S研究所】の所在地及び緯度・経度等の座標を教えて欲しいです。こちらは場所が分かればそれで充分です。どうでしょう?」

 

「【F.I.S研究所】と【バヴァリア公明結社】の所在地及びコンタクト……か。良いだろう。その程度ならば交渉成立だ。不思議と結社の連中が混乱に襲われるイメージが想像出来るのが妙にリアルに……な?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜サンジェルマンside〜〜

 

「サンジェルマン様! 侵入者です! その人物は2人! 内1人はフィーネです!」

 

 唐突に告げられた報告に私は動揺した。しかも侵入者の1人がフィーネなのは()()()()()。ただ……もう1人は誰だ? まぁフィーネの配下と考える方が自然か? 

 

「久しぶりだなサンジェルマン……凡そ400年振りか? だが安心しろ。今回来訪した目的は私の連れ……そこの少女だ。私はあくまでもコイツをお前に引き合わせる事が目的であり、役割を果たし…………っともう1つの約束も果たさなくてはな。左手を出せ。目的地の座標データを刻んでおく」

 

 そう告げるとフィーネは姿を消した。

 

「さて……君の目的を聞こうか。フィーネと共にこの場所に来たのならば大凡の事情は識っているのだろう?」

 

「話が早くて助かります。パヴァリア光明結社のNo.2にて実質のトップであるサンジェルマンさん?」

 

 どうやらこの少女はある程度こちらの事情を理解しているらしい。まずはそこを追求しよう。

 

「時に君は何故私達の事を? それにフィーネとはどのような関係だ?」

 

「その質問に答えるならば貴女にも問います。貴女は並行世界を信じますか? 具体例で言えば【バラルの呪詛が解かれなかった世界】・【人口的にノイズを量産できた世界】・【本来死ぬ運命だった人物が生き残る世界】・【貴女達の組織の長が世界を滅ぼす世界】等……ですかね?」

 

「ふむ……確かに私達も並行世界に対して一定の理解はある。つまり君は並行世界の記憶をある程度有していると?」

 

「そうですが……下手に動けばこの知識は事態の悪化を容易に招くでしょう。故に裏世界の情報を網羅しながら錬金術の研鑽を行えるこの場所に……いえ、貴女に会いたかったのです。そして私は()()()()()()()()()()()()()()()()()。その為には貴女達の協力が不可欠であり、また同時に錬金術師としての実力も磨かねばならないのです。お願いします! 私に力を貸してください!」

 

 私にはわかる。この少女の目は本気だ。壮大な覚悟を宿した人間の瞳をしながらも自らの実力を理解し頭を下げてでも教えを乞う覚悟もある。悪戯や冗談の類いでは無い事は明白だろう。ならば……

 

「錬金術師に交渉に来た……ならば君は私達に対価を払う用意がある。そうなのだろう?」

 

「もちろんです。まずある時期にフィーネが試作した対ノイズ兵器の使用者が兵器暴走を沈める為に死んでしまいます。そしてその6年後にもう1人後天的に対ノイズ兵器を纏う少女も。彼女達のDNAは事前に提出しますのでそれを基にホムンクルスを作成していただき、兵器の一部を渡していただければそれを最初の対価として提出します」

 

 フィーネが作りし兵器とその使用者の肉体……か。確かに魅力的ではあるが弱いな。

 

「確かに魅力的な話だがそれではホムンクルス制作分の対価しかないぞ? だがあるのだろう……次の対価が」

 

「もちろんです。私の知識に誤りがなければ現在結社はとある錬金術師のシャトー建造に協力をしていると思われますがどうですか? 名を……キャロル・マールス・ディーンハイム」

 

「…………驚いたよ。まさか君の探している錬金術師とはキャロルの事か?」

 

「はい。私の目的は単純です。死んで欲しく無い人を死なせず且つイレギュラーによる事態の混沌を避けたいですね」

 

「ふふ……君は強欲だな。しかしそれならば君が錬金術を学ぶ為にここに来たのは理解した。良いだろう……私自身は組織が長く続けば腐敗する事は理解しているが、同時に幾度対処しようと根絶は不可能だ」

 

「そうですね……今伝えるかは悩みましたが決心したした。とある並行世界に於いて貴女を含め組織が1度瓦解した事がありました。しかしその後人を人とも思わない外道に組織残党を吸収し、手を切るのに都合の良い手駒として利用される者もいるの世界すらありましたから……」

 

 私がいなくなった場合の結社の未来……か。アダム局長(自他共に認める無能)が再建出来るとも思えない上に外部吸収とは目も充てられない。ならば仕方がないか……

 

「良いだろう……君の要求を受け我々パヴァリア光明結社は君の錬金術の手解きを行い、キャロルとのパイプ役を引き受けよう。但し……」

 

 もちろん彼女の要求は魅力的だ。しかし我々の理念は等価交換だ。ならばこちらも条件を提示しなければな

 

「まず君……育美は私の直属の部下として腐敗した不穏分子への粛清と情報収集を行ってもらう。まぁ後者は君の目的とかなり合致していると思うが?」

 

「素晴らしい条件ですね。喜んで! これからよろしくお願いします!」

 

 私は彼女……育美と固い握手をした。この出会いが私の……私達の運命を大きく変えるとはこの時は思いもしなかった。

 

〜〜サンジェルマンsideout〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今後の為のした準備の為に暗躍を始める育美ですが、実はまだ転生特典の力を十全に使いこなせていません……が、響覚醒に合わせて実践レベルまで強制レベリングを行います。

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